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山賊少女と魔法の杖  作者: babie
孤児時代
10/20

掛け合い

 カミーユは今日も夜遅くまで働き、帰るとこだ。しかし、足取りは軽い。あの歌を聴きに行くのだ。あれから名も知れぬ彼女の歌を聴くのが日課になった。彼女は毎日毎日歌っていた。流石に雨の日はカミーユも寄らずに帰ったので知る由はないが、カミーユが通う日は毎日だ。時には父らしき人を無理やり参加させ、掛け合いで歌うこともあった。彼女は大抵「なってない」と憤慨するのだが、父は鷹揚に構え、そういうところも可愛らしいと思っているようだった。


「さて、今日はどうかな?」


 カミーユは耳を澄ます。


   いったい誰?

   闇に隠れて私の秘め事を聞いていたのは


 今日は1人らしい。ここでカミーユはいたずらを思いついた。


   敢えて名前は告げないでおくよ


 カミーユは彼女の父の歌も聞いていた。それを歌ってびっくりさせようというのだ。カミーユの声を聞いた彼女は一瞬ヒゥッと喉を鳴らし驚いたようだったが、改めて続きを歌い出した。


   ロメオなのね?


   いや、ロメオでいたくない!

   この忌まわしい名が君との仲を裂くのなら!

   君を愛するために、生まれ変わりたい!

   僕じゃないほかの誰かに


   ああ、夜の暗がりで私の顔が見えないの?

   わかってるでしょう?

   あなたの眼に私の顔が赤らむのが映ったら、それはあなたに告げているのよ

   私のこの純粋な愛を!

   無駄な遠まわりはやめて!

   私を愛してる?

   あなたの答えはわかっているの

   誓いなんていらないわ!


ここで彼女は堪えきれなくなったようだ。


「フフ、ウフフ、フフフフフフ……。ねえ、そこにいるのは誰?」

「敢えて名前は告げないでおくよ、って言ったら堂々巡りになっちゃうな」

「本当の名前よ」

「カミーユ」

「そう……カミーユ……。カミーユ、歌はお好き?」

「いや、初めてだよ。こんな、なんと言うか、素敵な曲を歌うのは。子供の歌ばっかりさ」

「お父様よりずっと素晴らしかったわ」

「照れるな」

「良かったらまた私の練習相手になってくださらない?」

「ええ!喜んで!」


2人は歌を通じて意気投合したのだった。

土日は改稿作業します。


ロメオとジュリエットの歌詞は、オペラ対訳プロジェクト様(ライセンス:パブリックドメイン)から頂きました。

https://www31.atwiki.jp/oper/pages/1368.html

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