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55話 迷宮都市へ

「みんなに提案なんだが、一旦塔の外に出て修行と準備をしないか?」


 60層で躓いた俺はみんなに一旦外に出る事を提案した。


「ジン、それはいいが何かアテがあるのか?」


「あぁ、北大陸にある迷宮都市に向かおうと思ってる。あそこには未だに攻略されていない迷宮もあるし、高価な迷宮装備が売っているらしいからな。」


 誰かに聞かれるとは思っていたが、以前から迷宮都市での修行は考えていた。叡智さんによると迷宮都市には古くから迷宮が存在し、未だに攻略されていない。攻略する事で強力な武器や宝を手に入れる事が出来るらしい。

 それに北大陸の迷宮都市へ向かうまでには1ヶ月近く掛かり、環境も厳しい。そういった旅を経験する事で環境の変化にも対応出来るようになるかもしれない。

 更に、迷宮都市には迷宮から出土した強力な武器や防具が売っていると聞いている。幸いにも大賢者の塔で大量の魔石を手に入れているのでそれを売ればかなりの金額になる。ここから上の層に挑戦する為にも装備の強化は必要だ。


「北大陸かぁ、行った事ないなぁ。どんな所なんだろうね?」


 ローズは考え込んでいるようだがクロは興味津々のようだ、マリーは良く分からないといった顔をしている。


「食料もかなり減ったし、このペースだと100層到達前に食料も無くなる。それに武器や防具だってかなり消耗している、俺は一旦ここを出て外に行ったほうがいいと思ってる。」


「分かった。ジンがそこまで言うならそうしよう、私達はお前に付いて行く。」


「わ~楽しみだね、マリーちゃん。」


「はい!」


 話しがまとまった所で俺は無限収納から30層で手に入れた玉を取り出す。これは創造神様から頂いた塔の外へ出るアイテムだ。


「じゃあみんな俺の近くに集まってくれ、このアイテムで塔の外へ出るぞ。」


 玉に魔力を流すと空間が歪み、一瞬で塔の外へと出た。


「外は久しぶりだね~空気がおいしい!」


 クロは久しぶりの外で本当に嬉しそうにはしゃいでいる。俺も久しぶりに外に出て身体からふっと気が抜けた気がした。知らず知らずの内に精神的に張り詰めていたのかもしれない。


「さて、まずは王都へ転移するぞ、今日は宿屋でゆっくり休もう。みんなも気が付かないような疲れが溜まってるかもしれないからな。それで明日は北大陸への移動の準備をして、明後日出発の日程にしようか。」


「そうだな、その方がいいだろう。」


 そして俺達は全員で王都へと転移する。食事は取ったばかりなのでまっすぐ宿屋へと向かい、2泊分宿を取った。

 部屋は俺が1人と女の子3人に別けた。節約の為に1部屋という手もあったのだが、今の精神状態と童貞の制約がある以上はそれは非常に辛い。今日は一人でやりたいことがあるのだ、誰にも言えない男の秘密の儀式だ。


「じゃあ、今日は自由行動だ。明日の朝、宿屋で食事を採ってからみんなで準備しよう。」


「わかった。クロとマリーは私に任せておけ。」


「ローズ、わたしは大丈夫だよ!?迷惑掛けないよ!?」


 ローズは冗談だと笑う。どうやら街に来てリラックス出来てる様だ、いつもみんな明るいがやはり塔の中では知らず知らずの内に負担が掛かっていたのかもしれない。


 その夜は久しぶりに一人でゆっくり楽しんだとだけ言っておこう。


 翌日は朝起きてみんなで食事を採って魔石の換金をし、食材の買出しや装備の予備の購入を行う。食材は大賢者の塔に挑戦する事も考えてなるべく多く買っておく。

 そして大きな買い物として馬車を買った。イクスに聞いたら引いてもいいという事だったので、すこし奮発して大きめの居住性の高いものにした。これならダンジョンの中で出して中で寝る事も出来るだろうし、無限収納があれば常に持ち歩く事が出来るのでメリットが大きいだろうという判断だ。

 俺の転移は一度行かないと発動出来ない為、どうしても最初の移動は徒歩か馬車になるのだ。


「馬車って高いんだな、知らなかったよ。」


「それはジンが一番いいのを買ったからだろう、私は驚いたぞ。あれは貴族が乗るような馬車なんだぞ・・・。」


 ローズは若干呆れた様な、クロとマリーは目を輝かせて馬車を見ている。イクスもこれなら相応しいと力強く頷いていた。


「よし、じゃあ今日の夜はみんなの好きなものを腹いっぱい食って明日の出発に備えるぞ!」


「「やった~!」」

 

 そして夜はみんなでお腹いっぱい食べてゆっくりお風呂に入って、早めに就寝した。

 翌朝は一旦徒歩で街の外まで行き、目立たない所で無限収納から馬車を出してイクスに引いてもらった。さすがに街中でこんな目立つ馬車をイクスのような珍しい馬が引いていればかなり目立ってしまうのでそれを避けた形だ。


「さて、ながい旅だ。色んな場所に寄って食材を買い込みながら北大陸へ向かおう。御者はみんなで交代しながら、スノーに警戒してもらう。夜もみんなで交代で警戒にあたってもらう、その時の相方はイズミに頼む予定だ。」


 全員がしっかりと返事をし、俺達の旅は始まった。その後は何事もなく、途中の街や村で食材や珍しいモノを買いながら進んで行く。不思議と襲って来るモンスターは居なかった、間違いなくイクスの存在感だと思う。


 北大陸へは船で向かう。全員船は初めてで期待と緊張で大はしゃぎだった。ただし、ローズが船酔いした。それ以外は平和に進む事が出来た。


 北大陸に上陸すると港街は中央大陸と殆ど変わりがなかったが、進むにつれて緑が減り、高い山が目立つようになってきた。

 途中の街で売ってる食材もかなり違って来ており、初めて見る料理や食材を楽しみながら気に入ったモノを大量に買い込んだ。


 そしてついに目的地の『迷宮都市ギャザレス』へと辿り着いた。


お読み頂きありがとうございます。

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