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12話 順調に成長中

 朝早く起きて準備運動をしてから村の周りをランニングするのが日課になっている。これは3歳になってある程度自由に動けるようになってから鍛える為に始めた修行のうちの1つだ。

 最初は家の庭を、それから村の中を走り回って、5歳になってからやっと村の外を走る許可を貰う事が出来た。とは言っても森の中への立ち入りはまだ認められていないし、見える範囲の数十メートル限定だ。


 動き回るようになって俺の計画は更にスピードアップして忙しい毎日を送っている。例えば、家の中で両親から隠れるように行動して『隠密』を習得したり、逆に親の気配を常に探って『察知』のスキルを習得したりという感じだ。

 隠密は意識して身を隠し、静かに行動する事によって周りから認識されにくくなる。察知はそういった気配を感じ取り、敵の隠密を見抜く事が出来る。隠密は覚えるまでに時間が掛かった、不思議だったのだがどうやら『無限の魅力』の副次効果で周りに認識されやすかったようだ。

 Lv上げも大変だったが今では『隠密』の効果で存在感をコントロール出来るようになった。今まで逆に苦労する事も多かっただけに、地味に嬉しかったりする。無差別に人を引き付けるって怖いし、ちょっとした罪悪感も感じてたんだよね・・・。


 身体面で言えば『身体強化』『精神強化』『格闘術』そして珍しいスキルが『五感強化』だ。身体強化は腕立てや腹筋で筋力トレーニングする事によって見に付ける事が出来る前衛職には一般的なスキルで、大体の人がある程度のLvを持っている。

 精神強化は後衛職が主に習得するスキルで魔法攻撃力や支援魔法の効果を上げる事が出来る。格闘術はこの為に2回目の地球で空手と剣道、柔道を習って黒帯を取った、最初にこの世界に来たときに戦闘の基本が分からなくてとうさんとの修行が効果的に出来なかったので鍛錬方法や技術を身体に覚えこませてきた。

 モンスターが存在するこの世界では荒くれ者の冒険者もそれなりに居るので護身術は必須だろう。まだ剣を握らせて貰えないので一人で型の練習をして格闘術を習得した、ただ実際の戦闘で使った訳ではないのでLv1で頭打ちになっている。


 そして『五感強化』だが、これは覚えている人が極端に少ない。理由はいくつかあるが、まず『察知』『身体強化』『精神強化』の合計がLv10を超える事が1つ、もう1つが五感の知識がある事だ。

 スキルについての書物はこの世界に存在しているが全てが網羅されている訳ではない、『叡智』のように長い時の中で正確な取得方法が失われているものも多いのだ、そして現在はパーティーでの分業が一般的で1つ目の条件をクリアしていない人の方が多く、地球のようにしっかりとした教育がされている訳ではないので五感をはっきりと理解していない人が大半なのだ。ただ覚える事が出来れば感覚が1.5倍程上がるので非常に強力なスキルである。


「ふぅ、大分強くなったかな。これだけ走っても最初の頃と比べて全く疲れてないし、息も切れてないぞ。」


「おーい、ジン。お前のかあちゃんが探してたぞ、朝メシの時間じゃないのか?」


 もうそんな時間か、最近疲れないからつい走りすぎてしまうんだよな。


「最近はモンスターも少ないが、あんまり村から離れるんじゃないぞ。」


「はい、ジェフおじさん。ありがとう、気をつけるね。」


 門番のジェフおじさんはおとうさんの同僚で酔っ払うとよく喋る人だ。この世界の一回目でたまに剣を教えてくれてた、そろそろ剣術の修行を始めてもいいかもしれないな。早速朝ごはんの時おとうさんにお願いしてみよう。


 家に帰ると遅くなった事を注意された、やっぱりまだ5歳だしある程度で抑えておかないと変に見られちゃうかな。


「ジン、男の子は元気なのはいいんだが森には行ってないだろうな?」


「行ってないよとうさん、村の外で虫を追いかけてたら遅くなっちゃったんだ。それよりもボク剣を教えて欲しいんだけどダメかな?ちゃんと言う事聞くからお願い。」


「そうか、ジンももうそんな歳か、いいだろうとうさんが剣を教えてやる。」


「やったー!ありがとう、とうさん。じゃあすぐやろ!」


 良かった、まだ早いって言われるかと思った。やっぱり男は剣だもんな!


「はいはい、二人とも朝ごはんを食べてからよ。」


「いっただきまーす!」


 とりあえずこれで剣の修行が出来るし、もっと強くなれるぞ。ちょっとはしゃぎすぎたけど、やっぱり精神的には90年以上生きてても身体は5歳だし、無意識の内に感情が引っ張られてるのかな。もうちょっと子供らしく本能的に動いてみよう、その方がいいような気がした。

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