表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者天聖バクテンオー  作者: 獅子糖
朝の風景
15/23

13.猫と緑と灰色の空模様

間が空いてしまい申し訳ありません。

ちょっと私生活でごたついて……なくてもそんなにペース早くなかったですねすみません。

 ある日道端で倒れとったそいつを見つけたんじゃ。


 ワシはカ太郎と一緒ん走り回っとった帰りじゃった。

 ま、ワシはホンに一緒ん走っとっただけじゃがの!

 そいでの、今日んカ太郎(ジェントル)ハニィ(ハニエル)のゲイルシューターで滅多打ちんされとったの。おう、その通りじゃ。カ太郎(かりボディ)ハニィ(ほんたい)が打ち据えとった。

 ありゃあ数日は行動不能になるの。

 ワシか?

 ワシぁそのまま走り続けとったの。

 ただ走っとっただけじゃから、止まる理由も掴まる理由もあるはずがないでの。


 ―話が逸れたの。

 雨が降っとる中でその細い息はぁ、今にも止まっちまいそうじゃった。

 そこんおったのはちいこい猫じゃった。

 近くん見守るもんもおらず、一匹で倒れとった。


「主よ、そがぁなとこで寒ないんかの?」

「……にぃ~…」

「なんと、寒ないんか…ふむ。既に感覚も分からんのぉなってしもぉとるようじゃの。どれ」


 その陸坊よりも更にちんまい身体を抱き上げて、まずは家に連れ帰ることにしたんじゃ。

 …はて?どっかで似た様な話ぃを聞いた気がするんじゃが、どこじゃったかの?

 ま、思い出せんちゅーこたぁ、思い出さんでもえぇっちゅうことじゃ!


 そがぁなことよりもじゃ。

 今ぁこのちびすけん命を消さん様にせんといかんの。まずはワシの念動(サイコキネシス)で雨払ぉて、炎熱(パイロキネシス)で温めちゃるとこからじゃ。


「もぉちょい待っちょるんじゃ。すぐん良ぉなるからの」

「……」


 そぉして温めながら撫でたると、そんうちに細っこかった息もちぃとずつ力を取り戻して穏やかんなっとったんじゃ。どぉやら飯んはありつけとったのかあんまし腹ぁ空かしとらん様じゃし、後はこのまま元気んなってくれりゃ良いんじゃがの。

 ここで会ぉたのも何かの縁じゃろ、良ぉなるまではうちにおったらえぇんじゃ。短い縁になるか長い縁になるかは分からんが、よろしゅうのっ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ハニエルであります。

 今日も今日とてカマエルの逃走を阻止するところから一日が始まったであります。

 いい加減…本当にいい加減に懲りやがってほしいでありますな。

 毎朝毎朝余計な仕事を増やしてくれやがって…であります。

 ただまあ。今日はラジエルが意図せず捕縛を補助してくれたのであります。

 本人は単にカマエルと並走しているだけのつもりだった様でありますが、カマエルは追う側(こちら)の追跡を振り切る為に各種センサーやらレーダーやらに自分が映らない様に自身の身体に小細工を施してやがるのでラジエルが隣にいるだけでカマエルが簡単に補足出来ていたのであります。

 そんなわけで、特に網を張る必要も無かった為思う存分(物理的に)叩いてやったでありますよ。

 ボロ雑巾よりはマシなくらいで勘弁してやったであります。


 と、ここまでは良かったのでありますが、カマエルと別れた後そこらをふらついていたラジエルが余計なものを抱えて帰って来たであります。


「ただいま帰ったの」

「元いた所に帰してきなさいであります」

「第一声から鬼じゃの、ハニィや」


 その腕には子猫が抱えられていたであります。

 近くまで来た時点で分かっていたではありますがどこで拾って来たでありますか…


「のぉ、ハニィよ。こいつぁあのまま雨ん中におったらすぐんでも力尽きちまうじゃろ。近くん親猫らしい反応も無ぅて、ここん来るまで念話(テレパス)で呼びかけ続けても反応が無かったんじゃ。ちぃ助ん聞いても弱り過ぎとって答えるどこやなかったしの。そいで放っとくんはちぃと(こく)過ぎやせんかの」

「はぁ…ではその猫はいつまで面倒を見るつもりでありますか? 大体レヴォルドの襲撃がいつあるか分からない状態でこんな小さな猫を飼って、ちゃんと面倒を見きれるのでありますか。食事はかなりコマメに与えて上げないといけないでありますよ? もし昼間に『革命家(ゴキブリ)』どもが出たら陸も空も学校で、博士はうちには殆どいないでありますから誰も面倒を見るものがいないであります。面倒を見る為の当ても対策も無く拾ったのであれば、それは保護ではなくエゴであります」


 そう、もう少し成長していればまだ話し合う余地はあったでありますが、この猫は見ただけでまだ生まれて間もないのが分かるくらいに小さ過ぎたのであります。

 自分でもかなり冷たいことを言っている自覚はあるのでありまが、命を預かるのであればこの辺は譲れないのであります。


「出撃しとる間じゃったら、ワンコに世話ぁ頼めるじゃろ」

「は?」

「がうっ?(吾輩、か…?)」

「そうじゃそうじゃ。ワンコじゃったら安心して任せられるしのっ」


 丁度通りかかって運悪く巻き込まれたでありますが、ガブリエルは有事の際には陸や空を守る為の最終防衛ラインなのでその案は却下であります。

 本人は何故かやたら自己評価が低い様でありますが、ガブリエルはこの大型バイクに変形する身体が本体でありますから、自分たちの仮ボディとは比べ物にならない馬力を持っているのでありますよ?

 しかしそんな彼が動けなくなってしまうと…


「陸や空の護衛はどうするのでありますか? レヴォルドが攻めてきた時にこちらの戦力を割く余裕があるか分からないのでありますよ」

「姉さんとこには兄さんがおるし、陸坊んとこには嬢ちゃんがおるじゃろ」

「ぐ……っ」


 正論を述べたら正論(?)で返されたであります!

 た、確かにその二人は相当な戦力でありますが……片やレヴォルドのソルジャーと互角以上に渡り合い、片や仮ボディとはいえ天使(カマエル)を一撃でK.O.して…

 あ、しかも空だって自分たちの仮ボディやガブリエルくらいであれば拳で(ボコ)すくらいいつも平気でやっていたであります。更に得物(鋼鉄バット)を装備すると簡易スクラップ製造機の完成であります。

 ちなみに博士は筋肉なので守りは不要であります。本人の許可も得ているであります。

 ……み、身の回りの個人戦力が尋常ならざる魔境と化しているであります…ガブリエルの自己評価が低い理由が分かった気がするのであります…


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 なんぞ、ハニィはちぃ助をうちん迎え入れるんに反対みたいじゃ。

 ワシとてハニィの言うとることが分からんわけじゃないんじゃがの。

 それにの。こいつを言うとまたハニィから無責任じゃと言われそうじゃが、最終手段で鹿三郎を頼るっちゅう手もあるんじゃ。山の共らん中でも鹿三郎は飛び抜けて頭がえぇからの、下手すりゃ天使(ワシ)らが世話するよりも安心して任せられるくらいじゃ!

 ふむ…ここは一つハニィに提案してみるのも手かの?


「大体、あなたは自然を好むではなかったでありますか? そこに自然に対して真正面からケンカを売っている存在である自分たちが介入するのは良いのでありますか?」


 む。

 考えん耽っとったらハニィがおかしぃなことを言うとるの。

 確かんワシは超自然主義を自称するほどに自然っちゅうもんを好んどる。

 じゃがな。


「ハニィの言うとる自然っちゅうのはなんじゃ?」

「はい? 何…とは?」

「ハニィの考えとる自然っちゅうもんの定義じゃ」

「…人の手が入っていない、本来あるべき形で存在する動植物や大地、海や空でありましょうか」

「ほぉか、ほぉか、なるほどの。ちなみにの、ワシは人も自然の一部じゃと思ぉとる」

「まぁ、その辺りの定義は人や状況によって異なるものでありますから、別段ラジエルの主義主張を否定するつもりはないであります」

「ほんでの、ワシら『天使』も、自然の定義からは外れんと思ぅちょる」

「そ、それはいくらなんでも無理があるのであります…」

「わふ。がうっばふっ(吾輩も流石にそれはどうかと思うぞ。吾輩たちはどこから見ても立派な人工物である)」

「で、ありますな」

「確かんの、ワシらの身体は機械仕掛けじゃ。そこは否定せんがの、ワシらをワシら足らしめちょるんは何じゃ。この鋼鉄の身体だけかの? それとも異世界の産物による恩恵(ちから)かの?」

「それはないであります」

「わぅ(そうだな)」

「自分が…自分たちが物言わぬ、ただの戦う機械であれたなら……っ」

「くぅうう~ん(ここまで、苦悩することはなかったであろう…)」

「全くであります! カマエル(やつ)趣味嗜好(いし)を持たぬロボットであったなら!! もっと毎朝平和な時間を過ごせたものをっ!!!」

「ぐるるるるるるっ(その通りである! 吾輩たちもこの防衛本能(いし)がなければ毎朝の闘争(逃走)に心乱されることもなかったであろうに!!!)」

「つまり…全てカマエルが悪いでありますっ!!!」

「わぉーーーんっ!!!(吾輩たちの平穏を返せっ!!!)」


 なんじゃ、ハニィもワンコも色々溜めこんどるようじゃの。

 ちぃた同情したってもえぇかもしれんが、


「本題はそっちじゃ無ぇんでの。置いとこかの」

「やっぱりあなたも『天使』でありますな…マイペースが突き抜けて譜面からはみ出しているであります」

「主も負けとりゃせんがのっ」

「がう…っ(天使とは…)」


 がははははは!

 コイツらと話しとると脱線ばかりじゃのっ!

 これじゃからコイツらとおるんは止められんのじゃ。

 が、これじゃと話が進まんの。


(こま)いこたぁえぇんじゃ。こん星で芽生え、心あるものはすべからく自然じゃと、ワシはそう考えとるんじゃ。こりゃもしやするとワシがワシ自身の自己(アイデンティティ)を崩さん様にする為ん詭弁かもしれんがの。じゃが、これがワシの主義主張っちゅうわけじゃ。そん上での超自然主義じゃ」

「ラジエル…あなた、何も考えていなさそうな面してそれなりに考えているのでありますね」

「がうぅ…わふっ(吾輩も同じことを思ったが…もう少し何かに包めハニエルよ…)」

「あぶらとり紙かハエ取り紙くらいであればすぐに準備できるでありますよ?」

「わっふ。がぅ(吾輩が悪かった、何方(どちら)も要らぬ。オブラートに包め)」

「次気を付けるであります」

「わふぅ…(それは直す気が無い者の言だ…)」

「で、ラジエルの主張は分かったでありますが、結局その子猫はどうするでありますか? いくら家族周りの戦力が充実していても、いざというときの為にガブリエルを余らせずにおくのは賛同しかねるであります。それに例え世話の問題が解決したとしても飼うかどうかは陸や空に聞くべきであります」


 そいつぁワシも考えたしの、ハニィん言う通りじゃ。

 ほいじゃそろっと聞いてみるかの。


「……っちゅーわけじゃが、どうじゃろか姉さん?」

「…は? そ、空……?」

「が、がぅ…?(あ、姉、だと…?)」


 うん?ハニィとワンコは何をそげに怯えとるんじゃ?

 単に姉さんと通信を繋いどっただけなんじゃがの。


『そうだな。別に飼うくらい良いんじゃないか』

「空……!? こ、これは違うのでありますっ」

「がうっ! わぅんっ!!(そうだ! これはラジエルが勝手に!)」

『黙れ?』

「はい…」「がう(はい)…」

『そっちにいる3人は後でちょっとお話ししよう、な』

「ワシはちぃ助んこと聞けたからの、別に話は無―」

「なーーーっ! わあぁぁあ!!! わーーー!!!」

「わぉーーーーーーーーーーーん!!!(分かった、待っているぞ姉よっ!!!)」


 ワシが姉さんに答えとる最中に二人が割って入って通信を切ってしもたんじゃが、なんじゃろぉかの?


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 こ、このバカタレが…っ!であります!

 これ以上空を刺激するんじゃねーでありますよ!

 この時間帯…間違いなく授業中であります。

 つまり……レヴォルドが出現したわけでもないのに授業中に教室のど真ん中で空の通信機(ヨルムンガンド)の呼び出し音が鳴ったということであります…!!

 ただでさえ空は通信機を忌避しているきらいがあるのであります…それが衆人環視の中で突然鳴り出し恥ずかしい思いをしたかと思えば、用件はレヴォルドでもなんでもなく、猫を飼う飼わない……

 出来ることなら自分だって後でお話ししたくないでありますよ!?

 空の言っていたお話は日本語ではなく、肉体王国の言葉(にくたいげんご)…!

 い、いかんであります。

 過去の数々のトラウマがフラッシュバックしてくるのであります……!

 せめて…せめて、「暇じゃの」とか抜かすラジエルを逃がさぬ様に、ガブリエルと押さえつけておくのであります!!!


 ◆



 そのまま少しすると、角とか身体とかがやたらめったらデカい鹿?が1匹の猫を連れて家を訪ねて来たであります。

 そのインパクトフルな視覚情報にガブリエルと二人固まっている間に、元凶(ラジエル)が気安くその鹿?に話しかけて子猫を引き渡すと、そのまま2匹の猫を連れて出て行ってしまったであります。

 自分たちは初めて見たでありますが、この鹿と言うには猛々し過ぎる鹿がラジエルがよく話す鹿三郎だそうで、この鹿三郎がラジエルの飛ばしまくっていた念話(テレパス)を拾ってわざわざ親猫を探して連れてきてくれたそうであります。

 ………鹿とは…?



 それから更にしばらくして………動かぬ鉄くずと化した大きな塊が3つ…庭に積み上がったのであrimシ…tあ……

ハニエルはこんなに口の悪いキャラにするつもりなかったんですけどねぇ…

周りの環境(天使)が奴を歪めたっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ