0.プロローグ
宜しくお願い致します。
日本は異世界からの脅威に脅かされていた。
突如として現れた謎の黒い球体。そこから這い出してきた巨大な影。全身に鎧を着こんだ様な形をした者、獣を模したような者、人とも獣ともつかない異形の者と見た目は様々ではあったが、どれもが一様に周りの建造物を優に超す巨躯を誇った。次々と数を増す巨大な集団は自らを『革命家』と名乗り、この地を訪れた目的を語った。
曰く「無数の世界に根差す世界樹へと繋がる生命の樹、セフィロト。その枝に成る果実、セフィラを手に入れる事が我らの目的。邪魔立てしなければこちらからは何もしない」と。
それだけを言い残して巨大な集団は黒い球体の中に再びその姿を消し、全ての巨体を飲み込んだ後には球体もその姿を消した。何事も無かったかの様に、しかし集団が残した巨大な足跡だけは、今見たもの聞いたことが現実であることの証明であるかの様に残して。
誰しもがその言葉に困惑し対応を取りあぐねていたある日、『革命家』の探すセフィラ、そしてセフィロトは唐突にその姿を現した。
地面を突き破った様子もなく、本当に忽然と雲を突き破る程に巨大な樹が出現したのだ。そして大樹に招かれたかの様に『革命家』の巨人もまた姿を現した。
大樹と空飛ぶ巨人の威容に人々は困惑を深めながらも物見遊山の如く大樹の下に集まって来ていたが、『革命家』は宣言通りそこに集まる人々にはまるで興味を示さずセフィラに手を伸ばした。
しかしその実に触れようとした途端に大地が激しく揺れ、長大な亀裂が走りその中に人々を飲み込もうとした。人々は突然の事態に恐慌状態に陥り、蹲り泣き叫び、それでも亀裂の近くにいた人々は辛うじて正気を取り戻して少しでも亀裂から遠ざかろうと懸命に足を動かした。
しかし亀裂は地面が裂けていくというよりも陥没して下へと落ち込んでいく様に広がり続け、最も近かった男がついにその咢に飲まれた―
「あ゛あ゛あ゛あああぁあぁあぁぁぁ~~~~~っ!!!!!」
―かに見えた瞬間、揺れと亀裂の広がりは発生時と同様に唐突に終わった。
「ああぁぁぁああ~~~~・・・・・・・・・れ?」
また、落ちたかに思われた男は、男の身長程もある大きな手によって支えられていた。
「大丈夫か?」
大きな手の持ち主は空の様な蒼を基調としたカラーリングのロボットだった。
「え・・・は、はい」
男は呆けた様に大きな手とロボットの顔を交互に見ながらも、声を絞り出してどうにか答える。
水色のロボットは助けた男の無事を確認すると、巨人と・・・いつの間にか巨人と大樹の間に割って入っていたもう一体の赤いロボットの側へと飛び立った。
「ついに動き出しましたね、レヴォルド。 セフィラはあなた達には渡しません!」
「ま、そーゆーわけだ。 悪ぃけど、こっから先は俺たちが相手だぜっ」
そして赤と蒼のロボットは巨人―ロボット達よりも更に巨大であった―に向けて言い放つ。
「・・・グルルルルルルルっ!」
巨人は威嚇をする様に人ならざる唸り声を上げ、自らに対峙した二体のロボットを睨み付ける。
やがてロボットと巨人はぶつかり合い、先程まであまりの恐怖に混乱状態にいた人々はいつの間にか恐怖を忘れ、その戦いをいつまでも見上げ続けた。
これが長きに渡る『革命家』と『天使』達の戦いの、その始まりでった――
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