第5話 乗りかけた帰りの電車
やあ、君たちお久しぶりだな。
さて、そろそろ夏も終わりに近づいてきた。
あのジメジメした季節が終わるかと思うと清々するぜ。
さて、今日はつい一週間前の話としようか。
それは会社倒産直後のこと。
俺が会社を辞めたこと、会社が倒産しちまったこと等を親に伝えるべく、実家への帰省を決めたんだ。
一報もなしに実家へ帰ることに少しだけ抵抗はあったものの、会わないよりはましかと思い、ついつい急な帰省をしてしまった。
実家では特にといったことは起こらなかったな。
強いて言えば、妹が珍しく実家にいたぐらいか。
ま、ヤツは絶賛別居中らしいからちょいとプクリとはしていたけど。
で、問題が起こったのは、実家で3日程ゆっくりした後の帰りの電車だった。
俺が切符を買おうとしたら変な夫婦が割り込んできて、
「ごめんね兄ちゃん、私達急いでるの。」
とか抜かして、俺より先に切符の購入を済ませやがった。
なんで俺を狙い、なんで割り込んできたのか。
それだけが疑問だったが、まずは怒りの感情が訪れたのだ。
俺って沸点が低いのか?
まあ、そんなことはどうでもいいが、その夫婦、結局どうなったと思う?
フフ、実は俺の前にその夫婦が座ってたんだけどさ。
かなり年老いたばあさんと喧嘩してピリピリしながら逃げていったよ。
そんなもんなんだな、奴らってば。
と、そんな体験をしたんだ。
夏だからもう少しホラーな体験がしたかったなあ。
まあ、今夜の午前2時、君の布団の横で待ってるよ。
おやすみ。
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第6話に続く…