第2話 やけくそテクニック
今宵、諸君に話すのは14年前の話だ。
そのとき俺は23歳。
社会人の新参で、当時はコンビニの正社員になって働いていたのさ。
ある日のこと、若い男が店を訪れてきた。
推定では…20代後半ってとこかな。
名前は名札が付いていたものですぐわかったよ。
『阿部高広』っていう男だったんだけど、そりゃあもう、実に男らしい男でね。
俺は俗にいう『ノンケ』っていうやつなんだけど、ついつい彼の身体を舐め回すように眺めていた。
しばらく眺めているとあることに気がついた。
彼の股間辺りがふっくらとふくれているではないか。
彼は一体、何に興奮したのかは知らないが、少なくとも店に女性は居なかったよ。
彼はエロ本コーナーも見てなかったはずだ。
遂に彼の股間の謎について知ることを耐えられなくなった俺は彼に近づくことをケツ意した。
夜中で、一人で店番を任されていたことを良いことに、俺は彼に
「やらないか」
と言って店のトイレへと誘ったのさ。
彼は快くトイレへと付いてきた。いい気味だ。
トイレの中は薄暗くて不気味な空間だった。
俺は黙って彼のパンツをゆっくりと下げた。
なんと、そこから現れたのは逞しい男根…
ではなく、店の大量の商品だった。
俺は驚いた。男も驚いた。
そう言えば、数週間前からちょくちょく店の商品がなくなっていることがあった。
そう、その現象の正体こそ、この男だったんだ。
男はこんなところで犯行をバレてやけになったのか、急に暴れ始めた。
そのとき俺は彼に顔面を殴られたような気がしたんだ。
勿論、俺がキレないわけがない。この俺がね。
俺はこの男を恨み続けたんだ。
すると、何週間かした後に朝のニュースで男性がひき逃げされたというニュースを見た。
幸いにも男性は一命をとりとめたらしいが、その男性というのが…
この前、店を訪れたあの男だったんだなぁ。
どうだ?すっきりしただろう?
君たちに忠告しておこう。
股間がふっくらしているヤツほど、何か悪いことを企んでるからな。
…おっと、俺のジュニアが元気になったみたいだが、今回はこの辺にしておこう。
また次回にでも俺の話を聞いてくれ。
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第3話に続く…