第1話 不幸を司る者
俺は横田てるゆき、37歳。
所謂、「冴えないおっさん」ってヤツなんだわ。
会社員をしていたんだ。
昨日までは、な。
というのも、実はこの前、上司に左遷を告げられちまった。
まったく、俺の存在価値を把握していないバカげた会社って訳だ。
そんな会社にいても時間の無駄であることを悟った俺は昨日、会社を辞めてやったわけ。
フフン、やつらめ、俺が辞めてさぞかし苦労することだろうなぁ。
実は俺、不幸を司る天才なんだ。
俺に見捨てられたり、軽蔑されたり、恨まれた人物や企業は何かの事件に巻き込まれたり、最悪の場合は…破滅してしまうんだよね。
理解力に欠けた者のために具体例を挙げると…
時は遡り、実に24年前のこと。
中学校へと入学した俺はしばらく先輩共から壮絶なイジメを受けてたんだけども。
ある日、その先輩共にこう告げてやったんだ。
「あなたたちのことはもう知りません。
いくらこの僕に絡んでこようと一切僕はあなたたちにリアクションの一つも見せたりはしませんよ。」
すると、何故か逆上した先輩共は俺にナイフを突きつけてきやがった。
「これでもか?」とでも言わんばかりに新品っぽいナイフを俺の目の前に突きつけてきたんだぜ。
そりゃあ、俺だってビビるじゃん。
ちょっとだけだが、ションベンが漏れちまったよ。
そんな場面を偶然にもとある先生が目撃していて、その出来事は最終的に警察も絡んでくる始末となった。
その後、その先輩共を学校で見ることはなくなったって訳だね。
これだけだと、偶然だと言われても仕方がないだろうが、まだまだあるんだよなぁ。
ま、それは次回にでもお話ししようか。
とりあえず、昨日俺が辞めた企業がどうなっちまうのか…楽しみだぜ。
ハッハッハッ!
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第2話に続く…