4
「うわ……」
思わず声が漏れた。写真や絵でしか見たことが無い大草原。風が吹く度に、サァ、と草花が揺れる音がする。
次いで、自分の姿を見る。ゲームを始まる前は、いつもの部屋着を着ていたはずだ。だが、今は茶色の革製の服を着ている。質感は野球のグローブに近い。触った感じは丈夫な様だが、あまり動きやすくはない。
「これがゲームか」
夢でも現実でもない『ゲームの世界』に半ば困惑し、半ば感動している。
「あのー……」
後ろから声をかけられた。自分しかいないと思っていたので、少し驚く。
「は、はい」
そこに居たのは、金色の長い髪をツインテールにした、白い肌が眩しい美少女だった。服装はこちらと酷似している。恐らくは自分と同じく、ゲームを始めて間もないプレイヤーなのだろう。強いて服装の違いをあげるとすれば、こちらは短パンを履いているのに対し、向こうはスカートだと言うことぐらいだろう。
「もしかして、真太郎兄さん?」
「ああ、もしかして、舞、か?」
「そうだよー!良かったー、会えて!」
「お前……そんな感じだったか?」
シンが知っている舞は、肌が健康的な小麦色で、髪は陸上部らしい黒い短髪だったはずだ。
「あ、ああ、これ?このゲームってばね、キャラクターメイクされるとき、理想の自分に近い容姿になるんだって」
「ふーん……」
改めて舞を見る。どう見ても自分が知っている妹の姿ではない。