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「ありがとうございます。それでは次に、あなたのキャラクターの両親を選んでください」
「両親?」
「はい。選んだ両親によって、あなたの種族が決まります」
『シン』は、指し示された枠の中を見る。人間、エルフ、オーク等と書かれたアイコンが、表示されている。だが、人間以外のアイコンを選ぼうとしても、ブザー音が鳴り、選べない。
「シン様。人間以外の両親は、Aポイントを消費してアンロックしなければ選択出来ません」
「Aポイント?」
「はい。Aポイントは、公式サイトにてお買い上げ出来ます。公式サイトに移動されますか?」
なるほど、とシンは納得した。これは、基本料金無料、一部有料コンテンツがございますよ、と言うことだ。つまり、人間以外の種族で遊びたいのなら、金を払って遊べと言うことだ。
「いや、両親は人間で良い」
「承りました。それでは、永遠世界をお楽しみください」
「え?」
意外だった。もっとめんどくさい説明やチュートリアルがあると思っていたのに。
「何か質問はございますか?」
そんなシンを見て、何か察したのか、アールは質問を促す。
「最初は何をしたら良いのかな?初めてだから、何かアドバイスがあったら嬉しいんだけど」
「永遠世界は、何をしても自由です。シン様の自由気ままにプレイなさってください。ただ、強いてアドバイスさせていただきますのならば……東に向かって歩くのが良いでしょう」
「東、ね。ありがとう」
「他に何かございますか?」
「いや、大丈夫」
「左様でございますか。それでは、良き旅を……」
突然、視界が暗転した。気がつけば、シンは大草原の中、一人で突っ立っていた。