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2013年・2014年

神の胃のなか

僕たちは発狂した神の胃のなか

自らの像を溶かされて

あとは干からびて排泄されるのみだ

それが転生とでもいうのか

消化器官をくぐった先は

微生物たちと汚物の楽園か

性も死も晒してみるも

恋人との記憶も残らない

臆病な僕は欲望だけが膨らんで

得体のしれない感情が

ぬかるみのなかで去勢された

闇の中の絶叫

自分の生涯に騙されて進むだけ

症状がでている

ふたり併せても

死者は霊魂だけになって

涙をながしても認めてくれない

恐怖を胸臆に抑圧し

遠くで鷹が翼を広げる

咽喉を斬られる季節

淵に立って飛び下りる

ああ、罪だけが

ああ、罪だけを畏れている

朦朧の果て

脊椎が折れても歩かねばならない

落ちた骨の刻まれた数字

朽ちた錠を開くための

水鏡に映る人影に

大小の蛇が蠢いて

栗馬の死が嘶いた

腐った無数の蓮の花が浮かんでいる

引き連れている子供たちの

哀しい声だけが聞こえてきて

心臓が音を奏でて破裂した

ほんとに欲しいものなんてなく

希望も絶望も抱かない

この毟られるような痛みを感じるのは

まぎれもないこの僕だ

僕だけだ

これが

死んだということか

神の胃のなかでの輪廻

死に果てて息果てて

なんと単純な星の巡り

愛も恋も狂って逝って

掠れた声を出して

今日もまた

荒野だけを歩いてる

目的地はなく

ただ流浪の先まで

再び飲まれこまれるまで

時間をかけて溶かされていく



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