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「未定」の書  作者: アナン
第二章
19/22

(1-9)師匠

 来てしまったのか戸葉瀬 母音!?


「何で姉さんがここに……!?」


 と驚いたように言ったが、この学校にいることはすでに知っていた。

なぜならこの学校に入ったときにチラッと姿を見たことがあるからだ。


「あら?風紀委員ですから騒がしいこのクラスに注意をしに来ただけですわ」


 しまった!もう見つかってしまったか……。

ああ、今まで築き上げてきた学校でのイメージが崩れてしまっている。


「ちょっと秋!この女だれ!?姉がいるなんて聞いていないわよ!」

「いや、これは……姉というわけじゃ――」

「あとで聞くわ!……それよりあんた誰よ!?」


 何であとで聞くって言っておいて別の人に聞くんだよ……。

それより早く速を止めないとまずい!


「年下にあんた呼ばわりされるのは少々腹が立ちますわね……いいですわ、もう闘う気があるようですので相手をしてあげますわ」

「わかってるじゃない。それならボコボコにしてあげるわ!」


ああ……予想どうり闘うつもりだ。


「ちょっと待て!姉さんと闘っちゃだめだ!」

「なっ、何でよ!?」

「いいから早く学校に戻れ!」

「……わかったわよ。戻ればいいんでしょ!」


 そう言って速は窓から飛び降りようとした。


「あ、速。弁当ありがとう」

「なっ、……言うのが遅い!」

「ごめん」


何とか止められた……。

姉さんと闘わせるわけにはいかないからな。

 姉さんと言っても実でも義理でもない。

単にそう呼ばされているだけだ。


「あらあら。せっかく久しぶりに手ごたえのありそうな子でしたのに。……まあいいですわ。宵が同じ学校の生徒だとわかりましたし、かわいがれますわ」


 ひどく背中に悪寒が走るのが感じられた。

 もう僕の平和な日常が終わりだ……。


「宵。まだ次の授業まで10分もありますし、私と少しつきあいなさい」

「え!?ちょっ引っ張らな――」

「あら、何ですの?」

「いえ、何でも……」


 姉さんのことだから放課後までつきあわされるに違いない。

でも、逃げることは無理だ。


「あなたと会うのは久しぶりですわ。ゆっくりお話しましょう」

「あの……姉さん。そろそろそのしゃべり方やめませんか?」

「やめるつもりはありませんわ。お母様との約束ですから」

「そ、そうですか」


 なぜこんなにもおびえているかと言うと、昔、まだ優神さんと出会っていない小学生のころ。僕は姉さんによくかわいがられて(いじめられて)いたからだ。

姉さんは幼稚園のときから合気道と柔道を習っていて、誰も逆らう人はいなかった。

でも恐れられていたわけではない。

なぜなら、とてもやさしく、気が利いて、みんなを笑顔にしていたからだ。

僕とは違う学校だったが、町では有名人で友達のいない僕にまでその情報は届いた。

でもなぜ僕がそんな人にかわいがられて(いじめられて)いたかと言うと、学校の帰りに偶然姉さんとすれ違うときに、ぶつかったけど謝らなかったことが一番の原因で、姉さんはいい人でい続けることにストレスがたまっていたときに僕が偶然にもぶつかったからだと言っていた。

 それから一年経って姉さんとは仲良しになり、合気道を教えてもらう師匠と弟子の関係になった。

しかし、小学校を卒業してからは全く会わなくなった。

そして僕が魂転の能力を手に入れたあと、また姉さんと会った。

姉さんは以前よりはるかに強くなっていた。

久しぶりに手合わせをしたが、魂転の能力を得ているにもかかわらず攻撃を当てることすらできなかった。

全ての攻撃を完全に読まれ、なすすべなく負けたあと、また弟子になったが、雪宮 李秋とばれてしまい、弱みをにぎられまたかわいがられる(いじめられる)ことになった。

修行はとてもきびしく、後ろで落ち葉を落とすのを目をつぶって取ると言うものだった。

 中学を卒業してからまた会わなくなり(犯罪者逮捕のため1年ほどついやしたため、姉さんとは1学年離れた)高校に入学して今のこの状況にある。


「そういえばあなた……魂転者ですわね」

「なっ!?」


 突然の言葉に少しの間言葉を失った。


「ですから、わたくしも魂転者ですわ」




―おしまいよ。

―…………

―あらあら。途中で寝てしまったのね。

(本当にかわいい子。

早くお父さん帰ってくるといいわね。)

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