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「未定」の書  作者: アナン
第二章
15/22

(1-5)二つの世界

二つ目の世界は『未定願』主観です。

 速との出会い……それを思い出した。

しかし、その記憶はもう何10年も昔に起こったような気がする。デジャブのような……。

それは優神さんの時と同じ感覚。

でも、僕はまだ16歳だ。何10年も昔の記憶なんてあるはずがない。


「ちょっと李秋?何ボーっとしてるのよ!」

「え?あ、ちょっと考え事してて」

「ふ~ん。それよりさ、もう7時過ぎだけど間に合うの?」

「え?」


 台所から出て時計を見た。


「7時!?」


7時過ぎだった。

いつもならもう出ている時間の10分前。

まだ食事も済ませていない。


「7時って……桜、今日は急いで食べろよ?」

「あ~……うん」


 桜は食べるのが遅いからいつもは早くに作っているのに!

それよりさっきの、あ~って何だったんだ?

いやいや、それよりじゃないって。


「あ、李秋。私の少なめにして」

「じゃぁ私が食べるね~」

「はいはい……。あ、そういえば、あなたは料理少なめにしますか?」


 ……名前ないから呼びづらいな。それに……


「いえ、私は普通でいいです」


同級生に敬語を使われるのは少し変な気分だな。

 ……ったく速はいつも少なめだな。ちゃんと食べないと大きくならないのになぁ。

しかし……あんなに暴れたりするのによくこれだけでエネルギーもつなんて、省エネか?


「あ!こぼしちゃった~」

「え!?」


 ああ!時間ないのに!こぼすのは計算外だ……。

まあ、水だし大丈夫か。


 ――数分後――


「何とか時間以内に食べ終わったな」

「食べるのにそんなに時間かからないじゃない」

「お前は少ないからだろ!」


 何で毎回ツッコミ入れてんだろう……。

 とにかく、時間以内に食べ終わったし、そろそろ出るか。


「じゃぁ、学校行くぞ」

 


「ほぅ、もう代ハラを思い出すとは……いや、思い出しているわけじゃないか」

「『未定願』。本当にここが気に入ったようだな?」


 『無在』か……本当はここはお前の住む世界じゃないがな。


「いいだろう?ここならあいつを観察できるしな」

「おまえは何が目的だ?」


 目的……お前に言ってもわかるわけがない。

俺の世界でもわかるやつなんかいなかった……。

 目をそらしながらそう思った。


「お前には言ってもわからない」

「……言ってみなければわからないだろう?」


 確かにそうだな。ここはけてみるか。


「……教えてやろう。俺の目的は『断言だんげん』の『カギを与えよう。カギは遊びを終わらせる。しかしお前にカギは見つけられん』を打ち破ることだ」

「……『断言』を打ち破るのは無理ではないのか?」


 !?わかったのか?『断言』を知っているのはこの世界にはいないはずだが……。ククク、初めての結果だ。今回は成功するか……?


「まさか『断言』を知っているとわな」

「ああ、知っている。予言ではなく『断言』だろ?確定しているということだな」


 確定している……か、しかしカギはある。見つからないと言うことで、ないと言うことではない。

 ククク、カギは見つからない……ならば、見つからないまま使えばいい。

例えば、誰かが『大声』を出せば扉が開くのであれば、自分はそのことを知らずに『叫べ』ばいいだけだ。


「おい!」

「だれだ?」

「ひでぇなぁ、自分でやとったくせによぉ?」


 やとった……?ああ……


「そうだったな『片目の』」

「天ノ姫水城だ『片目の』じゃねぇ」

「戻ってきたと言うことは、何か見つけたか?」

「不馬改人が動き始めたぜぇ。封印したはずだけどなぁ。あと、あいつがお出ましだぜぇ。お前の言ったとおりのやつだ」

「そうか」


 しかし、今回は早いな。もう不馬改人が動き出したか。

それにあいつが来たか……。


「じゃぁ、行ってくるからな『無在』こいつは頼んだぞ」

「どこに行くつもりだ?」


 いちいちと質問してくるやつだな。


「雪宮李秋を殺しに行く」

「おい待て!殺すだと?頼むと言っておいて殺すのか!?」

「それはこいつの本名じゃない。その名が本名のやつを殺しに行くだけだ」

「……」


 ククク、今回はあいつの名前を使ったか『優しい悪魔』よ。お前の使う名のやつは俺に殺される……。

仕方のないことだ。殺したくて殺しているんじゃない。

 ……!!こいつの使う名は毎回違う?『定願』の名を使う……。『定願』は願いをかなえる……。……そう言うことか。

ククク、カギのカギは見つけた。あとは俺の得意分野だ。直感で動く!



―終わり。今回は少し、謎があったわね。

―ねぇねぇ、カギってなぁに?

―カギはねぇ、そのままの意味よ。何かを開けるための何かよ。

―へ~。

―ほら、早く寝なさい。昨日は早く寝たでしょ?

―はぁい。

―(……本来あなたはあの人と結婚し続けるべきなのに、私なんかと結婚するなんて……幽霊の代ハラさん、私は愛する人をあなたから奪ってしまったわ。もう成仏なんて……できないわよね。ごめんなさい……)

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