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「未定」の書  作者: アナン
第二章
11/22

(1-1)新しい家族

前回から 中三~高二で3年経っています。


本編のスタートです。


※主人公は自分は強いと言う自信から、消極的な性格から変わっています。

 不馬改人ふまかいとを殺し……封印してから約3年。新しい家族ができた。親の再婚ではなく、僕が孤児院の子を兄弟という形で引き取ったからだ。

雪宮李秋ゆきみやりあきで引き取っているから親には気づかれてはいない。もちろん、別の家に住んでいる。

 そして今、その家族の家に向かっている。

血のつながりはなくても心のつながりはある。

その家族は今は女性二人だけだ。別に女好きと言うわけではなく、女性の方が気が合うからだ。

もしかしたら優神雲母ゆうがみきららさんのことや母がいないことからかもしれない。


 「まぁ、どうでもいいか……」


 つぶやき、まだ太陽も昇っていない朝の道を歩いた。


 家族の家の前に来た。でも用心しないといけないことがある。


「ピンポーン」


 インターホンを押してしばらくするとダッダッダッと足音が聞こえてきた。

そして……ドアが外れてこちらに飛んできた。


「うわっ」

「あら?李秋じゃない、どうしたの?」


 ドアの下敷きになっている僕に、ドアを飛ばした本人が何事もなかったかのように話しかけてくる。


「またか……」

「また訪問販売の人と間違えちゃった」

「一度も来たことないだろ!?訪問販売の人なんて」


 この騒ぎはいつものことなのと痛みは感じないこともあって、もうあまり気にならない。

気にならないと言っても、ドアを蹴り飛ばすのは正直やめてほしい。

それに、ドアを内側から簡単に外れるようにすることや、簡単に直すことができるようにするなどのドアの設計を考えるのにも苦労した。


「今日は早いわね」

「お前は何時に起きてるんだよ……」

「こっちが先に質問してるんだけど!」

「そんなに怒るなよ。……お前が寝てるときならドアが飛んでこないで済むからだよ」

「そんなこと言って寝込みを襲うつもりなんじゃないの?」

「そんな貧相なのを襲うかよ」

「それって私の胸がないって言いたいわけ!?」


 今にでも襲い掛かってきそうな気迫で怒鳴った。

 まったくうるさいやつだ……。

 雪宮速ゆきみやそく、それが彼女の名前。とても足が速いからそう名づけた。

最初は嫌がっていたが今はあまり気にしていないらしく、呼んでも殴らなくなった。

しかし、その代わりにインターホンが鳴るたびにドアを飛ばすようになった。

 そろそろ騒いでいる速を止めるか……。


「僕はそんなところは気にしてない。さっきのは嘘だ」

「……あっそう」


 実際に速の胸は無に等しい、というか無い。

速は指摘されるととても怒るが、普段は気にしていないらしく、夏に上半身裸でいることがある。

聞いたところ、見られて困るサイズじゃないから別にいいんじゃない?と言われた。

僕としては暑いと脱ぐ癖を直してほしい。一応女性だし……。


「李秋、あんた上がるなら早く上がりなさいよ?」

「ああ。まださくらは起きてないのか?」

「当たり前よ。今何時だと思ってんの?」

「そうか」


 ああ……もう一つ直してほしいことが……。


「ドスン!!」

「うわっ!?」


 予想していた通りに物が落ちる音がした。


「また桜落ちたみたいね」


 雪宮桜ゆきみやさくら。毎回ベッドから落ちて目を覚ますことが直してほしいところだ。


「寝相の悪さは直らないのか?」

「直らないわよ?天然だし」

「……」


 まぁ、床に布団を敷くと寝坊することになるけど……。

 とりあえず僕は朝食を作ることにした。

速と桜の朝食は毎回僕が作っている。僕がいないときは桜が作ることになるけど。手を切ったり、火傷やけどをしたりするから心配だ。

……が、桜の方が僕より料理は上手だ。


「速お姉ちゃんおはよ~!」

「あ、おはよう」

「おはよう。桜」


 そういえば桜はいつから速をお姉ちゃんって呼ぶようになったんだろう?

年は桜の方が3歳も年上なのに……。

 驚くことにみんな同級生だ。速は天才なので本来は中3だが高2で、桜は留年して高2。


「あ、李秋くん来てたんだ~!……ごめんね~パジャマで」

「べ、別に気にするなよ。一応ほら、家族だし」

「そうだね。あはは」


みんな同級生なのは驚いたが、一番驚いたことは桜の本名は不馬姫花ふまひめかで、不馬改人の妹だったということ。まだ僕が不馬改人を殺したことは伝えていない。


「桜。料理手伝ってくれ」

「うん!」


 いつ見ても可愛かわいいな、桜は……。

消極的な性格じゃなくなったけど、告白するのは少しためらいがある。


「ピンポーン」


 インターホンが鳴った。……が、今は手が離せない。

それよりも大事なことがある。


「速。ドア蹴飛ばすなよ」

「……わかったわよ」


 そんなに残念そうな顔をしなくても……。まぁ、仕方ないだろう。速にとってはストレス解消法の1つだ。


「李秋!客よ!」

「あ、ちょっと待ってくれ。桜ちょっと料理やっといてくれ」

「う、うん」


 こんな時間に、しかも僕の家でもないのに僕に用があるなんて……まさか!?

 急いで玄関に向かうと一人の女性がいた。


「はじめまして、……えっとその、ここって孤児院ですか?」


 予感が的中した。やっぱり捨てられた子だった。


「あの……あなたがみょう……あっ、李秋さんですか?」


 なっ……、僕の本名を知っているのか!?



―おしまいよ。

―そういえば主人公の本名って出てこないね。

―確かにそうねぇ。

―おやすみなさい。

―え?……本当にこの本が気に入ったのね。

(そういえば、あの人の本名も知らないわ。

……そんなことも知らないのに結婚してたなんて……うふふ、帰ってきたら聞かなくちゃね)

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