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ダークワーカー ー影の陰謀ー  作者: 餅月 響子


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第26話 束縛の瞬間・閻魔大王との契約

 颯真は部屋の隅の方、膝を抱えながら目を覚ました。窓から聞こえるスズメの鳴き声が煩わしく感じる。今日も母の碧郁は、朝ごはんが作れないと床に座ったまま、ぼんやりしていた。深くため息をつき、目をつぶる。時計を見るが、何もできない自分に焦りを見せた。そわそわと落ち着かない。


 颯真が気を抜くと、こんな命なんていらないでしょうと母の碧郁は自死しようと考える。それは、閻魔大王の計らいで、闇の仕事をさぼればさぼるほど、母に魔の手がさしかかるためだ。

 飲食店やコンビニのアルバイトの仕事をこなしつつ、高校にも通う颯真の体の源はどこから来るのだろうか。閻魔大王に付けられた腕のタトューが、時々ズキンと痛み出す。


「母さん、今日は昨日買ってたパンでいいって言ってたでしょう」


「……ああ。ごめんなさいごめんなさい」


 自分の力でできないことに申し訳なさを感じる母の碧郁に、颯真はため息をこぼす。八個入りの袋からバターロールを取り出す。味はパンの甘さだけ。ジャムやチョコは無い。水道水と一緒に頬張った。味気ないパンでも腹は満たせる。文句を言わず食べきった。お腹の好かない母は、颯真の食べる姿を見て、頬杖をついて笑っていた。安心したようにも見える。


「……俺さ、今日、バイトで帰り遅くなるから。先にご飯食べてていいからね。昨日、スーパーで買ってきた見切り品の唐揚げ。レンジで温めて」


「……うん」  


 手の震えをおさえようと左手をぎゅっとつかむ母の姿を見送って、手を振った。胸がぎゅっと締め付けられる思いで玄関の扉を開ける。少し立ち止まり、母の碧郁は今日も安心して過ごせるだろうか。優しい言葉をかけても落ち着かず、不安がよぎるときもある。そんな後ろ髪をひかれるような思いをして、一歩外に出た。


 毎度のごとく、顔の目の前に現れたのはコウモリの紫苑だった。


「颯真~! どこに行くんだよー」

「俺は今から学校だよ。単位落としたら退学だからな。もうすぐテストあるし! だから、どけろよ」

「学校? お前は学校よりも大事なものあるでしょうよ? ねーーほら」

 

 コウモリの紫苑は、パタパタと旋回すると、颯真の鼻をつんつんと突いた。咄嗟に腕で振り払おうとしたが、見事に避けられる。舌打ちをする颯真は面倒になって急いで逃げ出した。


「へへん。俺様の攻撃を避けるなんて、無理だよ……こらー、何してるんだよ~。逃げるつもりか~!?」

「俺にだって自由な時間が欲しいんだよーーー」

 

 一目散に逃げだした。ショルダーバックが横腹にバンバンあたるが、気にしない。


「自由な時間? 颯真、お前には自由な時間なんて無いんだよ」


 コウモリの紫苑が赤く目を光らせると、颯真の左腕のタトューが光り出した。走り出した体がバタンと地面に叩きつけられる。顔が地面に当たって、小さな傷がついた。


「ち、ちくしょーー。やったなぁ?!」


 鼻血が噴き出すと手で慌てておさえて、顔をゆがませた。


「おいら、何もやってないもんねー。ただ、目をギラッと光らせただけだもん!」

 

 パタパタ旋回しながら、颯真の両肩を足でつかみ、空中を飛んだ。有無も言わせないで、閻魔大王のいる審判の間に連行していくコウモリの紫苑だった。


「何もやってないって明らかに攻撃しただろ。魔法の力で。まったく、もう。ひどい扱いだなぁ!」

「お前はもう閻魔大王様と契約してるから無理なんだよ。断ることはできないのさ。ほら、大人しくおいらに運ばれな!」

「…………ちっ」


 空中で腕組をしながら、舌打ちをする颯真は話したくも無くなった。虹色の丸い異次元空間が現れると、二人はそのまま中に吸い込まれていった。



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