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ダークワーカー ー影の陰謀ー  作者: 餅月 響子


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第16話 スピチュアルにハマりすぎ

 ざわざわと話で盛り上がる昼休みの教室で1人黙々とスマホ画面に夢中になっている女子がいた。両耳にはワイヤレスイヤホンをはめている。お弁当を食べてるにも関わらず、動画に食い入るように見つめている。


「朱~、さっきから何見てるの? 土曜日の一緒に行くカラオケどこにするか決めてたんだけど?」


 女子グループで机をくっつけながら、お昼ご飯を食べていたが、動画を見たくなって、1人ぽつん状態だった。榊田 結花(さかた ゆか)は藤原 朱と中学からの同級生だった。


「あー……ごめん。これが気になってさ」

『スピチュアルに興味ある人、これは偽物よ』


 インスタライブ配信で、見たこともない女性が言い切っている。どの動画を見ても怪しいと感じる榊田 結花は、興味は全くなかった。藤原 朱は心霊ものやスピチュアルなもの全般含めて物凄く興味があって好きだった。


「朱ってそういうの好きだよね。確かそのタグってさ、『ライトワーカー』っていうんじゃないの? そういうふうに謳ってさ、何万も騙す人もいるらしいから気をつけなよ」

「騙されるわけないじゃん。私なんて、龍神様呼ぶのに、夏休みのバイト代ほとんどつぎ込んだんだから。これが叶わないってなったら、ハッタリでしょう?!」


 榊田 結花の目が点になる。時が一瞬止まった気がした。藤原 朱の両肩を揺さぶった。


「それ、マジやばいって。詐欺だよ。それ。スピチュアル詐欺。嘘だから。本当に良心的な人は何万も請求しないよ。何百円で済むのよ。な、いくら注ぎ込んだの?」


「……げ。う、嘘。本当? 浄化スプレーとか天然石ブレスレットとか塩を置く皿とか3点セットで8万くらい払ったんだけど。でもでも!! そのブレスレット買ったけど、気持ちは前よりプラス思考になった気がするよ。大丈夫、効果てきめんだから」


 立ち上がって騙されてないアピールをする朱に、結花は、呆れてため息をこぼす。顔を左手で覆った。


「あちゃーーー。めっちゃ騙されてるわ。夏休みのバイトって昨年のでしょう。なんて、もったいないことを……」

「もしかしたら、そんなことしなくても、プラス思考になれた?」

「……私に相談してくれたら、プライスレスだった! 8万円もかからないよ?」

「あー。そっか……やっちゃったな。わたし」


 スピチュアル界隈では詐欺師が横行していた。ライトワーカーとタグをつけて、人を騙し、高額のアクセサリーや怪しげなものを売る。消費者センターに問い合わせが殺到するものもあった。ライトどころか、まさしくそれが、ダークワーカーだったりするのかもしれない。


 教室の隅で、頭に包帯を巻いた 颯真はイヤホンを両耳につけながら、自分で作った冷凍食品入りの唐揚げ弁当を黙々と食べた。今日のあたためぐあいが足りなかったと多少凍っているところを食べてしまう。


(世の中、詐欺師ばっかになって来てるな。配信者もだが、怪しいメールやロマンス詐欺とか……いたちごっこだな。俺はどうしろっていうんだ)


 スマホ画面に時事ニュースのページを開いた。詐欺も多いが、日本の治安が悪くなってきてるのかどこかしこも殺人事件も増えてきている気がする。殺人しても逮捕されない案件もあるらしいとSNSで出回ることもある。政府の癒着が大半だろうと頬をボリボリとかく。


(とりあえずはミッションが発生するまで大人しく……そうもいかないみたいだ)


 窓の外、コウモリの紫苑がこちらを見て、ジェスチャーをしている。またそんなところにいたら、皆に見つかるんじゃないかとヒヤヒヤする。霊感のある人間には紫苑の姿が見えてしまう。颯真は早々にお弁当を食べ終えて、紫苑がいる中庭の方に駆け出した。まだ昼休み終了までは時間がある。


 席の後ろの方、颯真が動き出したのを見つけた朱が心配になって、トイレに行くふりして追いかけた。

 

 今日の昼休みは濃厚な時間になりそうな予感しかしなかった。


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