プロローグ
半球状の惑星が五つ存在している。
それぞれの惑星は互いに干渉できず、まるで異なる世界のように独立している。
その惑星に住む人々の首には、生まれた瞬間から「線」が刻まれている。
その数は惑星ごとに異なり、それは彼らの運命の断片であり、輪廻転生の軌跡でもある。
しかし、彼らはその線が示す「運命」がすでに定められていることにすら気づくことができない。
運命は決まっていて、変えられない。だが、その真実は隠され、誰もがただ日々を繰り返すのみである。
惑星ごとに文明の発達も異なり、それらはパラレルワールドなのか、階層ごとの世界なのか、あるいは互いに干渉を禁じられた世界なのか、誰にもわからない。
ただ一つ確かなのは、どの惑星にも共通して「越えてはならない境界線」が存在し、そこを超えようとする探究者は異端とされ排除されるということだ。
そんな世界に生きる少女――親の関心を得られず、心の隙間に儚さを抱えている。
彼女の唯一の心の支えは、かけがえのない友達だけだった。
彼女は自分の運命と世界の秘密に疑問を持ち、やがて禁じられた境界線を越える決意をする。
そこで待ち受けていたのは、五つの惑星の真実と、変えられないはずの運命を揺るがす驚くべき光景だった――