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深夜1時。カップ焼きそばを食う。

作者: ビバ深夜飯

このエッセイはフィクションです。現実に存在する製品とは関係がありません。

深夜0時50分。


SNSを見ていたらこんな時間になっていた。


もう寝なくては。


そう思った時、決まって小腹が空く。


何か食べたい。


できればちゃちゃっと作れるものがいい。


冷蔵庫の中には夕食の残りがあるが、今は気分じゃない。


もっとフランクなもので、ジャンクなもので、今この時間に食べたらいけないような気がするもの。









……カップ焼きそばが食べたい。










廊下に行き、インスタント麺が入っている段ボールの中身を漁る。


あった。


有名メーカーのカップ焼きそば。


からしマヨネーズとあおのり、揚げ玉、かつお節、追いソースなるものを完成後にトッピングする関西たこ焼き風焼きそば。


他にもシーフード味のカップ麺やカップ春雨、カップマカロニなんてものもあるが、汁気が多いものは寝ている途中でトイレが近くなるから今回は却下だ。


キッチンにてフィルムを剥がし、商品パッケージにプリントされている指示通りに蓋をべりりと開け、ソースやかやくの小袋たちを取り出す。


かやくをインスタント麺の中に入れる。


この時、インスタント麺を軽く持ち上げ、その下にかやくを注ぐよう入れると湯切りの時に湯切り穴からかやくが流れていかない。


給湯器のお湯を注ぎ、蓋を閉じて上におぼんを乗せ三分待つ。


ここで何故か蓋とおぼんの間にソースを挟んでソースを温めてしまう。


「ソースは温めることでソース内の油分の粘度が低くなり麺と上手く混ざり合う」と勝手に思い込んでいる自分が頭の片隅にいる。


因みに、この持論に根拠は全くない。


と、スマホのタイマーが鳴る。


さっき剥がしたのと反対側の蓋をめくる。


現れるのは穴が開いた銀色のフィルム。通称湯切りフィルムだ。


すぐに流し台の蛇口をひねり水を流しながら湯切りをする。


こうすることで流し台がボンと鳴る現象を抑えることができる。


ラーメン屋のごとく念入りにちゃっちゃと湯を切ったら、蓋を全て剥がし、麺が熱を持っている間に麺とかやくを混ぜる。


これには麺やかやくの持つ水分を蒸発させる効果もある。


もし麺やかやくが水分を含んでいるとソースを混ぜた時にソースがしゃばしゃばになって麺に絡みにくくなってしまうような気がするし、味が薄まってしまうような気がする。


これも根拠のないこだわりである。


ある程度麺が乾いたらソースを半分だけまんべんなくかけ、片手でソースの小袋を持ちながら箸で麺を混ぜる。


全体が淡くソース色になったら残りのソースをまんべんなくかけ、混ぜる。


こうすることで麺全体に均等にソースが混ざるのだ。


最後に追いソース、からしマヨネーズ、あおのり、揚げ玉、かつお節の順にかけたら完成。


器をリビングに持っていき、コンビニで貰ってきて結局使わなかった個包装の割り箸を割る。


箸で麺をつまむ。


そうそう。この指に丁度良く負荷を与えるもったり感がいいのだ。


そしてからしマヨネーズとあおのり、かつお節の順に匂いがする。


ずぞぞと一口。


うまい。


ソースの濃い味がたまらない。


からしマヨが鼻腔にツンとくる。


これだ。これでいいのだ。


二口、三口と箸が進む。


人間、本当に美味いものを食うと無言で黙々と食ってしまうというのは本当だと再確認させられる。


気づけば時刻は深夜1時。


深夜の1時に凝ったものなんて必要ない。


お湯を注いで三分で出来るものでいい。


あまりにも不健康な時間に、不健康なものを食べる。


それがいいのだ。


カップ焼きそばを深夜1時に食べているという事実が罪悪感を与えてくる。


その罪悪感が脳を麻痺させ、思考を放棄させ、ふわっとした気分にさせてくれる。


そして「たった一杯のカップ焼きそばでここまで感傷に浸ることができる自分はとてつもない幸せ者である」という事実が更に幸せパラメーターを底上げしてくれる。


それだけに留まらず、こんなくだらないことを考えて幸せになれる自分がどれだけ幸せ者かを噛み締めることで幸せの無限ループが完成され、永久機関が回るたびに悟りの境地へ精神が近づいていく。


が、あと少しでこの世の輪廻から解脱できるかというところでカップ焼きそばを食べ終わってしまう。


器を持ち、必ず器の角に残るかやくを一つも残さず口の中にかきこむ。


このソース味のかやくはあまりにも味が濃いため、なんでお前らだけ麺と一緒に口に入ってこなかったんだと思うも、これもカップ焼きそばの醍醐味かと毎回自分を納得させて食い切る。


プラの器と割り箸などをゴミ箱に捨てて布団に潜り込む。


幸せだ。


安くて美味しいものをおなかいっぱい食べてすぐに寝ることが出来る。


これに勝る幸せが果たしてあるだろうか。


そんなことを考えながらゆっくりと意識は夢の底に沈んでいった……。

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