080 触るな危険!!!!!
◆ 魔神殿・ギルドルーム【3号室】 ◆
――――プレミアムアバターガチャチケット。ペルちゃんと私が真抹殺・真殺戮・地獄鯨のHELLモードから出たのに忘れかけていたチケット。ペルちゃん曰く、黒姫セットの容姿を気に入っているから私が使って良いと。そもそもアバターガチャはいっぱい引いたから要らないと。じゃあ遠慮なくってことで私が貰うことになった。
このプレミアムアバターガチャチケット、何が凄いかって『必ずヒドゥンアバターが出現する』ってところ。ヒドゥンアバターっていうのはガチャを引いた時に1パーセントの確率で登場するガチャ景品のリストに掲載されていない衣装のことで、その数や種類は一切不明。ローラちゃんに着せたハレンチメイドセットみたいなセットアバターが出る可能性だってある。
なんでこれの存在を今思い出したかって、完全に猫耳+尻尾が原因で『あれ、インベントリにないぞ』って探してたら、アバタークローゼットっていうアバター専用のインベントリに入ってるって言われて取り出そうとしたら、同じくアバター関連のアイテム判定を受けていた【★プレミアムアバターガチャチケット】なんてあったもんだから『ああ、そういえば!!』ってなったわけです。
なお、先程の猫耳+尻尾をどうするかなんですけど、レーナちゃんは『私、犬派。犬耳犬尻尾なら着ける』って要らない宣言、ペルちゃんは『優雅判定がありませんわ……なので着けませんわ』と着けない宣言。売る? って提案したんだけど、多分私の心臓がもたないぐらいの値段になるだろうから覚悟した方がいい、やめておいた方がいいって言われて、最後には私に取り扱いが一任されてしまった。そして性能が性能だけに取り扱いにも困っています。ギルメンなら誰にあげても良い、何なら着ければ? って言われたけど、どーしよ。これ私もしっぽが付けられないんだよねぇ。
【アバター:ぴょこぴょこ猫耳(髪色反映)】(アバター・頭)
・身体と一体化する猫耳アバター
・装備者の声から感情を認識してぴょこぴょこと動く
・もはや猫獣人族と見分けが付かないレベルの完璧なアバター
・装備者登録【――】
・装備後、一切受け渡し不可。取り外しのみ可能
・【ぴょこぴょこ猫耳専用アバタークローゼット】増設
【アバター:ふりふり猫しっぽ(髪色反映)】(アバター・体2)
・身体と一体化する猫しっぽアバター
・装備者の声から感情を認識してふりふりと動く
・もはや猫獣人族と見分けが付かないレベルの完璧なアバター
・装備者登録【――】
・装備後、一切受け渡し不可。取り外しのみ可能
・【ふりふり猫しっぽ専用アバタークローゼット】増設
「じゃあ、引くよ……」
「ええ、よくってよ!」
「ごーごー」
まあとりあえず引かせて頂きます。猫耳と尻尾は後回しよ。さあこい、ゴスロリドレスに合う靴アバターとか、今着てる装備に合う靴アバターとか、バビロンちゃんのドレスに合う靴アバターとか、贅沢を言わないから魔神バビロンのロリィタドレス+15に合う靴アバターでいいぞ!!!!!
『【★プレミアムアバターガチャチケット】が投入されました。抽選を開始します……』
『【★触るな危険!セット】が当選しました!! おめでとうございます!!』
『ご利用ありがとうございました』
いや、なにもめでたくないんですけど。【触るな危険!セット】って何よ……。一体どこのどいつがこんな地雷臭のするヒドゥンアバターを開発したのよ。名前だけじゃ全く意味不明な――――
「ア゛ッ゛――――!!!!!」
「ちょっと、リンネさん!? どうしましたの!?」
「絶対凄いのが出た。顔に書いてある」
――――ア゛!!! ア゛ッ゛!!! ア゛ッ゛ッ゛!!!!!
「鑑定しててぇ!!!!」
「ちょっとリンネさ~~~ん!? どこに行きますの~!?」
「果報は寝て待て、だよ。ペルちゃん」
「どういうことですの!?」
◆ 3分後…… ◆
従者情報ウィンドウを開いて、ターゲットの位置情報をピン止め。ローレイの市街地エリアにて、アクセサリーを物色しているターゲットを補足。目標確認、これよりご主人様権限を執行する。
「――――どりゃーーーっ!!!!」
「はぇぁああ、えぇええ……っ!?」
執行完了。リアちゃん、今日からリアちゃんは……。猫ちゃんだ……。
「お、お姉ちゃん……!?」
「凄い……完璧だ……かわいぃいいい……!! 生まれて来てくれてありがとうリアちゃん…………うっぇえぇえ……!!」
「泣いてる!? 泣くほどなんですかっ!?」
完璧だ、完璧だよリアちゃん、可愛すぎる……! ペルちゃんもレーナちゃんも、リアちゃんのこの姿を見たら満足してくれるよ!! だって、だって可愛い、可愛いっっ……!!
『オーレリアに【★★★お猫様】セットの効果が発揮されます』
『オーレリアがパッシブスキル【お猫様】を獲得しました』
『オーレリアがスキル【にゃんにゃんふぇすてぃばる】を習得しました』
「へぇっ!!???」
「なんだか今、ちょっと体にゾワッとした感覚がっ……!」
アバターに、セット効果、だと……!? ヒドゥンアバターフルセットを着用しても効果がないのに、モンスター産? 宝箱産? のアバターにはセット効果があるの!? じゃあ、お昼寝さんもしかして尻尾着けたらセット効果あるんじゃ!? 大変だ、ギルドに戻って報告しようっ!!
「リアちゃん、お買い物はもう大丈夫!? ギルドに戻らない!?」
「え、あっ、大丈夫です! 欲しいのなかったので、戻りますっ!」
リアちゃん、今お耳がぴょこぴょこぴょこって動いて、しっぽがふりふりっとしたの可愛いねぇえええ!!! 可愛い、可愛い以外の感情消えた……。私今、尊さで消滅出来るかもしれない……。あ~~~……っ!! ぎゅーっと抱きしめたい……。
◆ 魔神殿・ギルドルーム【ロビー】 ◆
ギルドルームに戻ってみれば、ペルちゃんとレーナちゃん以外皆ログアウトして居なかった。そういえばお昼だった、お昼ごはん、行っちゃったか~……。お猫様の素敵な新衣装になりたてホヤホヤの状態で、見れなかったかぁ~~……!
「――――いい」
「いいよね……」
「いいですわ…………」
「あ、あの……っ」
「耳、ペタッとなった……」
「いい……」
「いいですわね…………」
ええ、ですので3人でお猫様を舐め回すように見ております……。隅から隅まで。ちなみに触るな危険! って言うのはいわゆる昔の地雷系ファッションっていう奴で、未だに病み可愛い方面のファッションで人気のファッションセットだった。白いブラウスに、黒いエプロンドレス。黒いミニリボン、黒い厚底シューズ。古典派の由緒正しき地雷系ファッション……なのでセット名が『触るな危険』なのね。地雷系って言葉を遠回しに表現するここの運営、好きよ。
そうそう、飛び出す前に鑑定しててって言った通り、ペルちゃんとリアちゃんはドレイクから出たアイテムの鑑定をしててくれました。
『【?兜(虹)】は【★★竜騎士の兜】でした』
『【?鎧(虹)】は【★★竜騎士の鎧】でした』
『【?衣類(虹)】は【★★竜騎士のアンダーアーマー】でした』
『【?靴(虹)】は【★★竜騎士のグリーブ】でした』
『【?帽子(虹)】は【★★魔導師のティアラ】でした』
『【?服(虹)】は【★★魔導師のローブ】でした』
『【?衣類(虹)】は【★★魔導師の真理】でした』
『【?靴(虹)】は【★★魔導師のシューズ】でした』
『【?全身鎧(虹)】は【★★フルメタルガンナーアーマー】でした』
『【?本】は【御伽話:家なき少女と小さな龍】でした』
『【?本】は【ドラゴンの子育て日記】でした』
『【?本(虹)】は【★★レアな分厚いレッドドラゴンカードバインダー】でした! おめでとうございます!!!』
リアちゃんを見ながら話し合った結果、『いい』『いいよ』『いいですわ』ということで、魔導師フルセットをリアちゃんに着せることにしました。だって完全に適任者なんだもん。それで、分厚いレアドラゴンカードバインダーは『レアなレッドドラゴンカードがランダムに4枚出現 (全5種)』って内容だったから、ペルちゃんとレーナちゃんで2枚ずつ分けることに。ペルちゃんが1枚目と4枚目、レーナちゃんが2枚目と3枚目で引いた結果が――――
『【★★分厚いレアドラゴンカードバインダー】から4枚抽選されます……』
『【レッドドラゴンの卵カード】を引き当てました』
『【★★炎龍女帝ドレイクカード】を引き当てました!!! おめでとうございます!!!』
『【★暴竜炎帝ドレイクカード】を引き当てました!! おめでとうございます!!』
『【★暴竜炎帝ドレイクカード】を引き当てました!! おめでとうございます!!』
まさかの、暴竜炎帝ドレイク2枚引!! レッドドラゴンの卵カードは残念ながら『HP+500』の効果しかない盾用カードで、いや確かに卵は……レアだわな……ってガッカリカードだった。そしてこのドレイク二種の効果だけど、これがとんでもない効果のカードでした……。
【★暴竜炎帝ドレイクカード】(レジェンダリー・アクセサリー【首】)
・スキル【※セルフバーニング】使用可能
※自身の属性を3分間火属性に変更し、凍結系を無効化する
※クールタイム30秒、任意解除可
――――ゲグ・ナウダス、アニェーラ!!! by暴竜炎帝ドレイク
【★★炎龍女帝ドレイクカード】(レジェンダリー・武器【主】)
・スキル【※全身全霊】使用可能
※次に使用する攻撃スキルの威力を1.5倍にするが、最大HPの45%を消費する
※クールタイム3分
――――おのれぇ!!! 生かして帰さん!!! by炎龍女帝ドレイク
「武器に刺した。いい」
「いいですわね……。でも、その……わたくしにはまだ刺せないカードでしたわ……」
「私は首のも、刺した。今度からブレス効かない」
レーナちゃんには2枚とも大喜びの効果のカードでした。また火力上がるんですか……。ほぼHP半分消費ってデメリットが酷いですけど……。
ペルちゃんは首ショボ (首のアクセサリーがしょぼいの略)だから、首のアクセサリーを更新したらかな。いやーペルちゃんのペネを突破した後、万が一にも火属性で攻撃してたら攻撃がセルフバーニングで通らないって、凶悪過ぎる防御性能だなぁ……。
「あの、これ、貰って良いんですか……?」
「大丈夫。ちょっとアバター解除して元の装備の見た目、見たい」
「わたくしも見たいですわ!」
「あ、じゃあリアちゃんちょっと解除させてね? ごめんね?」
「はいっ!」
「耳、ぴょこって引っ込んだ……可愛い」
「んっ、可愛い……」
「外す時まで特殊モーションだなんて……!!」
それで、リアちゃんが貰った魔導師セット。見た目が気になるからアバター解除させて貰ったら、髪の中にひょいっと引っ込むみたいに猫耳が消えた。特殊モーション持ちとは、さすが黒いオーラを放つ尋常ではない力を感じる宝箱に入ってただけある……! そもそもアバターに能力付きってのが凄いよ……。他にもいっぱいあるんだろうなぁ~。
「あ~……。マグナの部屋で見た、妹のアルスちゃんの若い時の服」
「そうですのね! 今の派手派手な見た目のアルスさんとは印象が変わりますわね~」
「アルスさんって、ポーション売店の奥にいらっしゃる女の子ですよね?」
「んっ、色んなポーション作ってる。最終的に今夜は月が綺麗ですね・1号を作ったのが、アルスちゃん」
なるほど、アルスちゃんって昔は地味な容姿だったのかな。今はすっごい派手みたいだけど。実はこの前ねーさん達を沈静化させるのにカクテルポーションを注文したんだけど、あの時は奥から『おっけーーー!』って声だけしか聞けなくて姿を見てないんだよね。
「注文しただけだからしっかりお姿を見れてないんです……」
「マグナと正反対。赤いボサボサ髪のファッション興味なしがマグナ。青髪にカラフルなインナーカラーの髪をした、ファッションリーダーがアルスちゃん。可愛いから、今度話してみるべき」
「とても明るく元気な方ですわよ! お話するだけで元気になりますわ!」
「ほぇえ……今度会ってみよう……。あ、リアちゃんごめんね!」
「ふわっ!? あ、生えた……」
「生える時も、ちょっと溜めてからぴょこって出る。可愛い……」
「凝ってる。猫耳に尋常じゃない愛を感じる」
「感じますわね……。これは、愛ですわね!」
いつまでも、いつまでもこのぴょこぴょこ動く猫耳と、ふりふりと動く猫しっぽを観察してた……。じーっと見てるとちょっとずつ赤面してくリアちゃんも、可愛すぎる……。あ、そう言えばリアちゃんの進化先、これがちょっと問題発生で今は進化出来そうにないのよね。
【★災厄の魔女】(闇属性・悪魔系・中型)
・妖艶な姿に成長した二代目災厄の魔女
・その魔の力は大いなる災いを呼ぶであろう
【★★未開放】(???・???・??)
・選択不能
【★★★未開放】(???・???・??)
・選択不能
ねーさんの時とは違って、強制的に選択することも出来ない未開放状態。進化しないのは当然、災厄の魔女に【中型】って書いてあるから。これは私の独断じゃなくて、リアちゃんも『え、成長した後の姿に……? い、嫌です……』ってきっぱり断られた。どうやらリアちゃんも今の容姿を気に入ってしまったらしい……。今の属性を失いたくないようで。
「そういえば、効果は?」
「あー……+5ぐらいまでなら、ちょっと課金すれば出来そうなんですけど……」
「いくつまで上げると最大効果ですの?」
「ローブが、+12かな……? 他は、10かな」
「あら、わたくしのと一緒ですわね! ではお昼ごはんの後に強化してしまいましょう?」
「え゛っ゛」
「わたくし、強化チケットぐらい幾らでもありますわ。心配しなくて構いませんのよ! ☆5魔晶石もガチャの副産物で大量にありますから、安心ですわね!」
ちょっと待って、リアちゃんの装備を強化したいのはそうなんだけど、それってもしかしてペルちゃんが課金して私がそれで叩くってこと!? それは流石に申し訳無さ過ぎるんだけど!! 全然ご安心じゃないですけど!
『メールが届きました』
『メールが届きました』
『メールが届きました』
『メールが届きました』
「いっぱいありますから、しっかり使って下さいまし?」
「んっ、強化は大変。じゃあ私もご飯。また後でね、ばいばいっ」
『07XB785Yがログアウトしました』
うわ、うわうわうわうわ、すごい量のアイテムが添付されて送られてくるんだけど……!? やだ怖い怖い怖い、このゲームってホラーゲームだっけ……!? ひぃぃいいいレーナちゃんがご飯行っちゃった、助けを求める前に行っちゃったぁ!!
「送り返して来られないように完全譲渡で送りましたわ! 足りなかったらまた言ってくださいまし? 後でチェックも致しますわね~??」
「ひぃ……!? ありがとうございます真弓様、ありがとうございます……」
「では、御機嫌よう~~!! オーーーーーッホッホッホッ――――」
『ペルセウスがログアウトしました』
最後のホが、途切れちゃったよペルちゃん……。本当にすみません、ありがとうございます……。何かお返ししないと……。そうだ、ペルちゃんの首ショボを解消出来るように、ネックレスを作ってあげよう! 金色のアイツを死体に使ってみてはどうだろう! 居たら狩って納棺したい……。そうと決まればサッサとご飯を食べて狩りに行ってみよう!
「じゃあ、リアちゃん……ご飯行ってくるね? 撫でて良い?」
「はいっ! あっ」
「かかったなリアちゃん、合法撫で許可ゲットだぜ……!」
「ひゃわ……耳の付け根だめです~~……感覚もあるんですよ、未知の感覚でこそばゆいです~~……え、えっと……! にゃ、にゃ~~お…………え、えへっ」
――――この子私のことを殺す気か…………???





