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後日談・3

「――燐音さ~ん? ちょっとお買い物に行って来ますわよ~?」

「あ、私も行きたい。バビロン様は?」

「行く行く~♡ よいしょっと……」


 運営から『名誉プレイヤー報酬』として授かったバビロン様の人格転送権限……!! 魔改造に魔改造を重ねた、等身大バビロン様人形は、バビロン様のこちら側の体として機能している!! いやあ、最高。リアルでもバビロン様と一緒だもんね……。


「真弓や燐音達の世界は、本当に緑が全然ないわね~」

「あっはは……。これでも結構、緑化したんですよ?」

「七瀬財閥も金儲けばかりしていては感じが悪いですから、植林活動をちゃんとやっていますのよ?」

「あのペルセウスが、こっちの世界では天才敏腕当主なんて言われてるんだもの、驚きよねぇ?」

「あ、我慢できない。ちょっと触らせてください」

「やぁだもう~エッチ~♡」


 この手触り、人間と全く変わりない……。ああ、もちもちぷにぷにほっぺ……。可愛すぎる……。


「ねえ~あんた達、子供は作らないの?」

「あ~……」

「んん~……」


 そうなんだよね。何回かそういう話にはなったことがあるんだけど、もう45歳だし……。真弓も相当長生きすると思うけど、正直生まれてくる子供が……怖い。


「なんで作らないの? もう45歳だから~とか?」

「それもあるんですけど、私達の子供ってなると……」

「人造女神計画によって作られた2人の子供、どんなイレギュラーとして生まれてくるか……」

「子供に私達の親が作り出した業を背負わせることになったらって思うと、怖くて」


 人造女神計画によって作られた私達は、常人のスペックよりも遥かに高い。身体能力的にも、再生能力も、寿命も。

 そんな私達の子供が生まれたらどうなるか、想像しただけでも怖い。もしかしたら不老不死みたいな生命体が生まれてくるんじゃないかって。


「親のせいで自分達の幸せ諦めるだなんて、あんた達らしくないわね~?」

「子供が生まれることだけが、幸せってわけじゃないですからね」

「あら、ワタシが生まれたことであんたが幸せになったのよね? じゃあ、あんた達が子供を作らなかったら、これから生まれてくる子供が誰かを幸せにすることもなくなるわね? 幸せの輪は、あんた達で終わりね~」


 うっ……。す、鋭いところを突いてくる……。


「それに、ユキノとつくねは子供が居るんでしょ? 6人も居るって聞いたけど?」

「あの2人はちょっと、その……!!」

「お互いにお互いの子供を身籠ってますものね……」

「出来ないわけじゃないんだから、シたら良いのに~」


 そうなんだよね、出来ないわけじゃないってことはバレてるんだよね~……。夢乃ちゃんとかえでちゃん、6人も子供が居るからね~……。皆逞しく育ってて、夢乃さんは『ママ』って呼ばれててさ、かえでちゃんは『母上』って呼ばれてるんだよ。面白いよね~……。


「どん太とモッチリーヌでさえ子供が居るのに」

「あ゛!?」

「ん゛ん゛……!!」


 くそっ……!! どん太に負けてると思うとなんか、腹が立ってきた!! 一丁前にお父さんとか呼ばれよってからに、んぐぐ、悔しい!!


「ワタシは、全然遅くないと思うよ? あんた達なら、子供を不幸にすることはないと思う」

「そう、ですかね……」

「ちょっと自信がないですわ……」

「世界最速でワールド制覇した勢いはどこに行っちゃったのかしらね~。それに、メルティーナもヘルミナとの子供が出来たそうよ~?」

「あ゛あ゛!?」

「く゛う゛……」


 あのメルティーナにも、負けた……!? 私が……!? 負けた、たたたたたた……!?


「そろそろワタシに子供の顔を見せなさいよ~」

「じゃあ、バビロン様が私の子供を身籠ってくれるなら」

「え゛」

「あ! それならわたくしも頑張りますわ!」

「え゛え゛……どど、どうしようかしら~? おほほほほ……」


 私達ばっかりに子供を作れ子供を作れ~って、ズルいよねえ!? バビロン様も子供を……あ、あれ? 私、今とんでもないことを言ってる?


「…………じゃ、じゃあ、本当に! ワタシも子供を作ったら、あんた達もやるのよね!?」

「え、あ、はい……。やり、ます」

「や、やるわ。燐音の子供なら別に……良い、わよ?」

「もしもし、わたくしだけど。ええ、さっき依頼した通りよ。わたくしと燐音さんの遺伝子から、人工授精用のキットを用意して頂戴な」

「は、早いわね!? 本気で言っているの!? 数十年言い続けてもやらなかったくせに~!?」

「やります。子供、生みます」


 よし、バビロン様が生んでくださるなら、私達もやろう。そうしよう。


「……とんでもなく、大きな買い物になりそうですわね」

「ちょっと買い物ってレベルじゃ、なくなっちゃったね?」

「あんた達の子供が出来たら、世界中が大騒ぎになりそうね……」

「バビロン様の遺伝子も、ケテル側から送って頂いてそのボディで出産とかしません?」

「しないわよ!! そんな機能まで付けないで頂戴!!」


 惜しい、リアルでバビロン様の子供もって思ったのに。また10年後ぐらいに、運営に要望を送ってみよう。お金なら、自分で稼いだ分なら幾らでも出すから。


「ほんっと、あんたの倫理観ってどうなってるのかしら!? ライン上を反復横とびしてるわよ!」

「はい、二枚舌どころか三枚ぐらいは舌があるので」

「今日はステーキよ、ステーキが食べたいわ! おめでたい日だし、一大決心の日なんだから、ステーキよね!?」

「それはバビロン様が食べたいだけではなくって?」

「そうよ! だって美味しいもの、行きたいわ!」


 いやあ、ちょっとお買い物のつもりが、本当にとんでもないレベルのお買い物になっちゃったわ。でも、そっか~……。真弓との子供、バビロン様との子供かあ……。


「名前、考えないと……」

「食べながら考えたら、急に良いのが浮かぶわよ。というか、作るってなったら急にせっかちね!?」

「嫌ですわ~! 貴方達の名前は、ステーキを食べてる時に思いついたのよ~なんて、子供に言いたくありませんわよ!?」

「まあまあ、いつ思いついたかは内緒にすればいいんだから」


 ――――その後、結局ステーキを食べてる最中に名前を思いついたのは、ここだけの話。

 私達がダブル妊娠したというニュースが世界中を騒がせることとなり、思った以上の大混乱に陥ったのは少し先の話。

 そして……。私の連続ログイン日数が、遂に途切れてしまった大事件も……。それから、やや先の話になるかな。出産当日にログインだけでもするって言ったんだけど、流石に全員から怒られたんだよね。あーあ、私の連続ログイン日数が11,555日で終わっちゃった~って、物凄くがっかりしたけど……。それ以上に大変だったのはね……。

 ダブル妊娠をすると、子育てがアホほど大変だっていうことよ!! しかも2人とも双子!! どうして4人も一気に生まれちゃうかなぁ!? 嬉しいけど、嬉しい悲鳴だけど、実質四つ子なんですけどぉ!! バビロン様がゲラゲラ笑って、今までの分のツケが溜まってたのよ~とか言ってたけど、本当に大変なんですからねぇ!?


「子供かあ、なんだか……。楽しみになってきちゃった」

「わたくしもですわ~!」


 この頃の私をぶん殴りたい、お願い殴らせて。ダブル妊娠だけは、やめなさいって……! 全国の皆も、ダブル妊娠は……やめておけ……!!


「――――あっははははは!! あーっははははは!! あんた達、最高~!!」


 まあでも、バビロン様の満面の笑顔が見られるなら、お釣りが出るか。ダブル妊娠は良いぞ。皆もやるべきね。


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