表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

588/601

581 終焉る世界・3

◆ ◆ ◆



「――――バビロン様、お願いがあります」

『あらぁ? イカれ女からお願いだなんて、珍しいわね~?』


 それは、無礼を承知での頼みだった。

 ありえない頼みであることなど、百も承知だった。


「魔界の主を、替わって頂きたいのです」

『……誰かがイカれ女に化けてる? そうじゃ、なさそうね。遂に頭が本当にイカれたのかしら~?』

「正気です。本気の、お願いなのです」

『……何が望み? 何をしようと言うのかしら?』

「メルティスを滅ぼします。そのための一手、そのための奇策です」


 到底、受け入れて貰えないだろう。そもそもの話、恐らくゲームのシステム上、絶対に受け入れて貰えない頼みだと思う。


『…………本気なのね』

「どうしても、この手が必要なのです。バビロン様達が総掛かりで、撤退させることがやっとだったメルティスを出し抜くには、奇策が必要なのです」

『…………どうすれば良いのかしら?』


 ――――それがまさか、受け入れて貰えるだなんて。


「私の……従者に、なって頂きたいのです」

『…………いいわ。リンネに賭けるのは、悪い賭けじゃないものね』

「バビロン様……」

『そのかわり! 必ずよ? 必ず、ワタシを勝たせるのよ!! いいわね~? さもないと~……』


 その時、初めて私は自覚した。私はそれだけの信頼を勝ち得たのだと。バビロン様が全てを委ねても良いと判断するほどに、信じて貰えたのだと…………。



◆ ◆ ◆



『畳み掛けなさい、リンネ!!』

「はああああああああああああ!!」

『究極スキル【滅流冥夜流忍術奥義・輪廻永劫掌】を発動、クリティカル! メルティスに3,970,700Gダメージを与えました』

『とりゃあああー!!』

『バビロンが【ワールドブレイカーキック】を発動、クリティカル! メルティスに2,690,505Gダメージを与え、大きく吹き飛ばしました!』

『く、かぁあああああああああああ!! おのれ!! おのれ、おのれ!!』

『メルティスが【慈愛の女神の魂】を砕き、究極神技【ソウルブレイカー】を発動! 肉体を再生させました』

「使ったか!! 残り28だ!!」

『ぐっ……!! ほざけ!!』


 残り28、バビロン様から聞いた通り!! 先の天魔大戦の時、メルティスは肉体の核にダメージを与えない限り、ソウルブレイカーによって肉体を完全に再生する力を使えると聞いていた。つまり、後28回分ソウルブレイカーを使わせた時、奴は後がなくなる!!

 残り回数はバビロン様がさっきトドメを刺された時に接触し、残りの魂を探ってくれた。この数に間違いはなく、これを吐き出させきったら私達の……勝利!!


『躱せまい!!』

『メルティスが【光の槍】を発動』

『クリティカル! 【空蝉】を発動、ダメージを身代わり人形が肩代わりしました』


 確かに躱せない。恐ろしいほどに速い一突き。だが、追加効果がなければ所詮ただの一撃!! こちらは毎日毎日、当たれば即死の戦いを潜り抜けてきた。その強者達の一撃とお前の一撃、そこに然程の差も存在しない!!


「はぁああああ!!」

『馬鹿の一つ覚えが!!』

『【伊賀流忍術奥義・天破剛掌】を発動、Block! メルティスに攻撃を弾かれました』

『お前さえ消せば、魔界の主も消える!!』

『リンネ!!』

『バビロンが【ソニックミサイルパンチ】を発動、Block! メルティスが攻撃を弾きました』


 くっ、出来る!!


『消え失せろ!!』

『メルティスが【鉱山の神の魂】を砕き、究極神技【ソウルブレイカー】を発動! 砕かれた魂が刃となり――――』


 これは、躱せないか……!!


『アラート:メルメイヤが自らの意志で憑依を解除しました』

『モッチリーヌ3世が自らの意志で憑依を解除しました』

「リンネ様!! ご武運を――」

『ワオォオーン!!』


 まさか、そんな! 駄目!! バビロン様は特別なだけで、貴方達は!!


『メルメイヤ・モッチリーヌ3世が平均5,550,775Gダメージを受け、破壊されました……』

『【メルメイヤ】が【死体安置所】に自動納棺。【ソウルブレイク】状態により、再起不能です』

『くっ!! 邪魔をする!!』


 嫌、嘘、そんな……!!


『リンネ!! 覚悟の上のことよ、無駄にしないで!!』

「うっ……くっ……!! ヒュリエス!!」

『(お力になります、リンネ様)』

『【アンデッド憑依】を発動、ヒュリエスが憑依し【裏切りの戦士】状態になりました。プリセット【恨み】を呼び出し装備します』

『えきどにゃ!!』

『バビロンが【アンデッド憑依】を発動、【えきどにゃ・ステラヴェルチェ】が憑依し【ニャジシャン】状態になりました』


 ごめんね……!! ここで、立ち止まるわけにはいかないの!! ヒュリエス、力を貸して!!


『それよりあんた、ちゃんと数えてるぅ~? 後27回よ!!』

『はっ! その半分もあれば十分だ!!』

『にゃにゃにゃにゃ~♡』

『バビロンが【猫猫超大祭】を発動、魔猫の大群が押し寄せてきます』


 今にその27回が、あっという間に尽きてなくなるわよ!!


『鬱陶しい、数で誤魔化そうとも所詮雑魚は雑魚よ!!』

『メルティスが【光の雨】を発動、相殺! 【猫猫超大祭】が打ち消されました』

『アラート:猫の恨みが貴方に蓄積します……』

「くらえ!!」

『はっ! 遅すぎるわ、止まって見える!!』

『真覚醒スキル【リベリオン】を発動、一定時間あらゆる効果を逆転します』


 そりゃあそうよ。特別なスキルでもなんでもない、ただの通常攻撃だもの。でも巨大な斧が目の前に迫ってきたら、迎撃したくなるのが常識的な反応よ。お前も漏れなく、常識に囚われている側で助かるけどね!


『メルティスが【破壊と滅びの槍】を発動、クリティカル! 1,100,570Gダメージを受け、破壊されました……』

『なんだ、造作もない』

『【リベリオン】の効果が終了しました』

『アラート:ダメージを受けた恨みが貴方に蓄積します……』

『アラート:破壊された恨みが貴方に蓄積します……』


 ダメージは受けた……しかし、反転した。破壊された……しかし、反転した。故に私は無傷……でも、受けたダメージは本物。それは恨みとなって私の体に蓄積している。


『アラート:ヒュリエスの恨みが、貴方に託されます……』

『アラート:極限まで恨みが蓄積し、貴方はもう耐えられない!!』

「――やったな?」

『こいつ、何を……離せ!!』


 タンカーにはタンカーの、火力の出し方ってものが存在するのよ……!! これはヒュリエスちゃんを、その家族を、仲間を!! 踏みにじったお前へ対する恨みだ!!


「お前を憎む者達の、恨みの叫びを聞け……!!」

『こ、の……!!』

「グラッジバーストアーマー!!」

『神技【グラッジバーストアーマー】を発動、貴方の恨みが爆発します!!』

『ガード、ブレイク! メルティスが18,254,275Gダメージを受けました』

『がぁあああああああ!! あああ、あああああああああああああああああ!?』

『HPブレイク! メルティスのHPが第2ゲージへ突入しました』


 冥界で嘆く亡者達の、怨嗟の声を聞け!! これでもまだ、恨みの声の一部だ!!


『メルティスが【ライトニングキック】を発動、クリティカル! 550,780Gダメージを受け、大きく吹き飛ばされました』

『う、ぐ、お……のれ……』

『にゃんにゃんにゃーおにゃおにゃお♡ ワタシのこと、忘れてなぁい?』

『バビロンが究極スキル【魔猫流星群】を発動、星になった魔猫達が隕石となって降り注ぐ!!』


 そうよ、1人じゃお前には勝てない。私達は弱いから、最強の女神であるお前には勝てっこない。でも、私達は1人じゃない。私達は、大勢で1つの力となって、お前を討つ!!


『ぐっ……!! うああああああ!!』

『メルティスが【風の神の魂】を砕き、究極神技【ソウルブレイカー】を発動! 砕かれた魂が刃となり――――』

『(我々の恨みを、どうかお願いします)』

『アラート:ヒュリエスが自らの意志で憑依を解除しました』

『えきどにゃが自らの意志で憑依を解除しました』

『リンネ、バビロン様!! オーレリアを、どうか――』


 もう、躊躇ったりしない。それが皆の覚悟なら……!! 私は!!


『破壊! 【魔猫流星群】が【ソウルブレイカー】に破壊されました』

『ヒュリエス・えきどにゃが平均5,350,151Gダメージを受け、えきどにゃが破壊されました……』

『おのれ、まだ壊れぬかぁあああ!!』

「グラ、ッジ……バースト……」


 ヒュリエスちゃんが、耐えた……!? この土壇場でハッタリなんて……!!


『させるかああああ!!』

『メルティスが【雷の神の魂】を砕き、究極神技【ソウルブレイカー】を発動! 砕かれた魂が刃となり襲いかかる! ヒュリエスが6,177,405Gダメージを受け、ヒュリエスが破壊されました……』

『【ヒュリエス】が【死体安置所】に自動納棺。【ソウルブレイク】状態により、再起不能です』

『おのれ……。猪口才な……!! 羽虫の、分際で……』

『メルティスが【水の女神の魂】【石の神の魂】を砕き、究極神技【ソウルブレイカー】を発動! ブレイク状態から回復、肉体を再生させました』


 でも、その覚悟のおかげで……余計な1回を吐き出させた。残り、23回。お前の残機が、驚くほどのスピードで消費されているぞ!!


『ヘッドショット! ピンホールショット! ピンホールショット! ピンホールショット! メルティスが3,170,400Gダメージを受けました』

『ぐっ!? この期に及んでまだ邪魔をするか、機械の小娘があああああ!!』


 まさか今の狙撃……!! いけない、レーナちゃんが!!


「ヴァルフリート!!」

『(ああ、役目を果たそう)』

『ドレイク!!』

『この魂、バビロン様のために捧げます!!』

『【アンデッド憑依】を発動、ヴァルフリートが憑依し【希望の龍戦士】状態になりました。プリセット【龍の怒り】を呼び出し装備します』

『バビロンが【アンデッド憑依】を発動、【炎龍女帝ドレイク】が憑依し【怒りの炎龍】状態になりました』


 やらせない、お前の相手は私達だ!! レーナちゃん、逃げて!! 今のメルティスは、本気でレーナちゃんを消しに来る!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91yBAKrtvML._SL1500_.jpg
本作をご覧頂き誠にありがとうございます
 宜しくお願いします!
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
アース・スターノベル様より出版させて頂いております!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ