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564 ゆるゆる作戦会議

「あら? リンネさんはどちらに?」

「あ、ペルセウスさん! お姉ちゃんはだいぶ前にローレイの魔神殿へ行きましたよ」

「教官様の誰かに用事があったのかしら?」

「いえ、バビロン様に会っていると思います!」


 リンネさんがバビロン様のところへ……? 直接姿を見るだけで限界化して倒れてしまう、あのリンネさんが……? 大丈夫かしら。


「いったいどういう風の吹き回しなのかしら……」

「多分、自分のネーミングセンスが終わっているか否かを聞きに行っていると思います」

「それは終わっているとしか言えませんわね」

「そうですよね! よかった、おかしいのがお姉ちゃんのほうで。頑なに認めないんです!」

「変なところが頑固ですもの、リンネさんは」

「わかります、すごくわかります!! 困ったさんです!!」


 オーレリアちゃんも大変ですわね、リンネさんの独特のセンスに振り回されて……。でも、それが楽しいのでしょうね。だって困ったさんだなんて言いながら、しっかりと笑顔ですもの。


「あ、噂をすれば帰ってきましたよ!」

「本当ですわ! おかえりなさい、リンネさん!」


 あらあら噂をすれば、タイミングよくリンネさんが帰ってきましたわね! 皆様のレベリング状況や装備強化状況などを報告したかったから、早めに帰ってきてくださるのは助かりますわね!


「ペルちゃん……」

「はいな、ペルセウスですわよ!」

「私のネーミングセンス、そんなに変なの……?」

「みどりんだったかみのりんだったか、あれも相当なものだと思いますけれど、まあリンネさんのセンスは非常に独特なものがありますわね!」

「ゔぁあああー……」


 あらやだ、この上ないほどに絶不調フェイス。リンネさんにはネーミングセンスがありませんけど、その他のセンスがずば抜けていますし、そこまでショックを受けることはないと思いますわ! 本来なら、たった今心の中で思った言葉をそのまま口に出すところですが、絶不調フェイスのリンネさんにこれを言うのは些か躊躇われますわね。


「お姉ちゃんはその他のセンスが突き抜けているので、ネーミングセンスが悪いぐらいでしょんぼりしないで欲しいです」

「あっ」

「ゔぁああああああ……!!」


 オーレリアちゃんが、わたくしでも言うのを躊躇ったのに……!! 言ってしまいましたわ!!


「もういっかい、バビロン様にヨシヨシして貰う……」

「いつまでもバビロン様に甘えないって言ったのは誰でしたかー?」

「ゔぁああああああああああ……!! 悪い子だ!! リアちゃんは悪い子だ!! この口か、この口が悪いことを言うのか!!」

「ふぇええ、はひゃひてくりゃひゃい~」

「うわぁほっぺもちもち……」

「むぇえ~……」

「そんなにもちもちですの? あら、とってももちもちですわね……」

「みゃああああ!!」

「いたっ!?」

「あだっ!」


 もちもちに便乗したら引っかかれてしまいましたわ……。最初はもっとお淑やかでいい子だったはずなのに、すっかり猫の女王様になってしまいましたわね。猫耳と尻尾を着けるだけで、こんなにも性格に影響を及ぼすものなのかしら……。


「私で遊んでないで、何か話したいことがあったんじゃないんですか!!」

「あ、そうでしたわ! リンネさん、皆様のレベ」

「あ!! ちょっと待って!!」


 リンネさんが急に大きい声をお出しになるものだから、ビックリしてしまいました。どうしたのかしら、皆様のレベリング状況等を知らせようとしただけですのに。


「ちょうどお昼ご飯だし、全員集まろうよ。リアルで」

「随分と唐突ですわね……」

「使えるものはなんでも使う。もちろん、リアルで集まっているこの状況も使うのよ」

「…………なるほど、理解しましたわ」


 なるほどなるほど、リンネさんはつまり……! 皆様と一緒にお食事をすることによって、レベリングで疲れて下がっているテンションを今一度上げようとしていらっしゃるのね。そういった気配りまで出来るなんて、やっぱりリンネさんのセンスはずば抜けていますわ!

 同盟を含め、ギルドメンバーが全員揃っていることですし、ランチの会場を貸し切りにして全員を集めましょうか。そうと決まれば早速、行動開始ですわー!!



◆ ◆ ◆



「――――なるほどね。つまりバビオン側での情報共有は一切禁止して、徹底的に情報漏洩を防ごうってわけだ。トロイに何か大きな動きがあると察知されたら、対策を打たれそうだもんね」

「そうです。いつどこでトロイの送り込んだ機械が聞いているかわかりませんし、チャットでは見逃す可能性がありますから、リアルで情報共有をしたほうがいいと思って集まって貰いました」


 昼食会という名の情報交換会議。バビオン側では意図しないタイミングで情報漏洩する可能性があるから、リアルで会って話をすればそんな心配はなくなる。相手の干渉できない領域で作戦会議をするのは少しずるいかもしれないけれど、利用できるものはなんでも使わないとね。

 ん……? 真弓がなんだか、どこか具合が悪そうな顔をしているけど、なにか苦手なものでも無理して食べたのかな? 辛いものでも間違って食べちゃった? まあ、気をつけてね。


「スキル統括について詳しくわかったで。基本となるスキルを一通り覚えると統括されるみたいやわ。剣技やったらスラッシュ系にピアース系、バスター系の基本的なものを15種制覇すると全剣技になるで。これは無双連斬やら天破斬なんかの超位や極位スキルを取らんでも統括される。もちろん上位スキルを取ったらそれも全剣技に入る。せやから、基本の上位までマスターしたらええ」

「特殊技、専用技も該当のスキルに統括されるぜ」

「あ、そうなんだ~。じゃあエリスちゃん、あと一種類だけかも~」

「ん、射撃スキルはショット系が7種超えたら、ショット系が統括になる」

「なんや射撃だけ優遇されとるな」

「射撃はレイン系、ショット系、バスター系でバラバラッス……」

「……ひょっとして、めっちゃキツイんちゃうか?」

「どれか一系統、集中して覚えるべき。レインとバスターは、欲しいのだけ覚えたほうがいいかも」


 早速情報交換が始まってるね。そっか、スキルの統合はそういうルールがあったんだ。私達はいつの間にか全部覚えて統合されてた感じだから、細かいルールまではわからなかったなぁ。


「でも、どうしてスキル統括が必須なんですか~?」

「んなもんスキル統括で枠空けるために決まっとるやろ、少しは自分で考えてみいもってぃ」

「あ、そっかぁ……。いや、50枠あってもスカスカだし、いいかなって」

「は? 戒律か解放のどっちも取ってねえのかよ」

「え、なにそれ」

「もしかしてもってぃ、獄の最上位サボってる?」

「獄の最上位、戒律か解放が貰える~。やってない、確定~」

「えっ、アレやらなきゃダメなのぉ!?」


 やらなきゃダメでしょ。レベル800で『獄にて、更なる難易度が解放されました。新しい能力やスキルを獲得しましょう』ってアナウンスが来るし、結構な頻度で再度アナウンスが出るのに、まさか完全に雑音として処理してるタイプ?


「解放は統括スキル等を除く攻撃系か補助系のアクティブスキルを強化出来るスキルだ。例えば、本来ならスラッシュは全剣技に入ってるが、わざわざ統括から引っ張り出して枠を使う代わりに、オメガスラッシュみたいな超強化版に変更出来るんだぜ」

「戒律はスキル枠を潰してステータスを爆上げや! 戒律か解放のどっちかしかセット出来ひんから二者択一やけど、どっちも強いぶっ壊れ人権スキルや! とっとと獄行け!!」

「うひいいい……!!」

「まさか、レベル800超えたら常識だと思ってたよ~。逆にこれ、知らなかったって人いる~?」

「いや、案外いるかもよ~?」

「でもあれって、レベル800になったらアナウンスあるじゃん」

「え、あ、アナウンス……?」


 もってぃみたいに、このアナウンスを聞き流してる人っているのかな? 1人いるなら、他にもいそうな予感がするんだけど……。


「夢乃はやりました~。かえでちゃんも、やりましたよね~」

「当たり前だろ、つみれ達も全員やったわ!」

「わたくしもやりましたわ! 解放を取っていますわよ!」

「戒律のほうが強くない?」

「総合的なパワーで戦うなら戒律、特化型なら解放のほうが強いんだよ」

「結局特化でも底上げ型の戒律のほうがよくない? スキル強化は自己バフでやれば、実質解放みたいなもんでしょ。ベース上げて強化バフ積んで殴ったほうが強いと思うけど」

「速いボスだとバフ積んでる暇がないし、バフ打ち消しとかもあるから常に強化のほうが――」


 あ、始まった。戒律と解放論争。この2つの強化系統、一生論争が終わらなさそうなんだよね。過度な戒律によって得たステータスに限界突破をつければ凄まじいステータスになるし、特に私はアンデッド憑依があるからその分更に上るしね。ステータスの暴力で殴りつけて、余裕があればバフ、みたいな感じ。


「リンネちゃんってステータスどのぐらいいってるの? 一番高いのだけ教えてよ~」

「25万とかいってそう」

「いうて20万ぐらいやろ」

「憑依時は50万ぐらいいってますね」

「は……?」

「え、うん、は??」

「ご、ご……っ!?」

「どん太を憑依した時はSTRとAGIが50万ぐらいになってますね」

「ご、へ、は!?」


 いやいや、それぐらいになるんですって。というかそこまでないと、神系とか人類卒業クラスと当たった時に手も足も出ないんですよ。


「ちょっと、参考までに聞きたいんだけどさあ! 誰と憑依した時が、最大値なの!?」

「うーん、私よりカーミラさんのほうが高いので……」

「カーミラさんはどれぐらいいってるのさ!? いや聞いちゃダメかなこれ!?」

「言ったところで問題ないですけど、私はリアちゃん憑依のMAG90万、カーミラさんはジャンボ憑依時のTEC101万が最大ですね」

「100万カンストじゃねえのかよ……」

「ステータスの基礎値をブーストさせるバフは抜きで、憑依の平常時はそれが最大ですね」

「待ってよ、バフでまだ伸びるの!?」

「伸びますね。1.5倍ぐらいになります」

「ちょっと待って、当然戒律型だよね? 何個縛ってるの!?」

「45枠潰してます」

「アカン、全部桁が違うで……」


 でも統括しちゃえば、5個ぐらいで十分じゃないですか? 46枠潰すと上昇量が10万超えるんですけど、流石にこれ以上潰すとなぁ~……。


「え、じゃあ、復活とかどうするの……?」

「単体復活は統括してる中にありますよ。全体復活は復活阻害のデバフが当然のようにばら撒かれるというか、大体の敵の攻撃に追加効果でついてくるし、復活阻害デバフをぶち抜ける単体復活しか機能してないので、全体復活は切ってますね」

「僕達は、まだその領域にいってないよ……」

「お昼ごはんを食べている場合じゃありませんわ!?」

「腹が減っては戦が出来ぬって言うし!!」

「もってぃは戦の前に獄行け!!」

「戒律で45個も潰す選択は流石に考えてなかったわ……」

「そこまで潰したら流石に強いけど、いやでもうーん……!」


 そうですよね、45個も潰すとスキルがなくなるって悩みが出てくるんですよね。私も最初はそれで悩んだんですけど、それにはとっておきの解決方法があるんですよ。


「戒律以外の全てのスキルを統括スキルにしちゃえば、実質スキルが60個ぐらいで戒律型に出来ますよ。全部統括スキルにしちゃえばいいんです」

「……簡単にイカれたこと言わないでくれる?」

「つまり、攻撃や支援、パッシブスキルに至るまで全部統括になるまで覚えろってことかぁ!?」

「そうですね、それが戒律でもスキル大量に積む方法です」

「アカン、アカンしか言葉が出てこなくてアカン……」

「ショット、レイン、バスター、全部統括すべき……」

「エリスちゃん、あと一種類って言ってたけど、後30種類ぐらいに増えたかもしれないなぁ~」


 だから、皆さんも是非スキルを統括しましょうね。解放型でも、統括したほうが強化できるスキルも増えて、強化スキルをガンガン使えますよ。うちにも解放型が2人いますけど、2人とも統括たくさん持ってますから。まあゼオちゃんとめーちゃんなんですけど。


「はい、悲報です。獄に行ってないのはもってぃだけでした」

「えええええええ」

「ええーって言いたいのはワイらのほうや!!」


 まあそれ以前の話の人もいるみたいなんで、その人はとりあえずさっさと獄いってきてください……。どうしてこう、どうしてなんだろう……。うーん、うーーん……!!


「あれ、そういえばレイジさんってオフ会不参加じゃなかったですか? リアルの方は大丈夫なんですか?」

「全員集まっとるんや、再招集もかかっててサブマスが行かんのはアカンやろ! これ以上大事な行事あるか? たぶんあらへんで!」

「無理には参加しなくていいよーって言ったんだけどねー」

「無理やない無理やない。それに休む理由も七瀬財閥のお墨付きや、なんも問題あらへん」

「なるほど~! でも、皆揃って良かったです!」

「そう言って貰えるとなんや嬉しいな!」


 サラッと居たから違和感なかったけど、そういう理由だったなら参加も問題ないね! よかった、無理に参加させちゃったかなーって思って心配しちゃった。いよいよ全員集合って感じで、毎日ドキドキワクワクで楽しいよ~!!


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