554 ぶっちぎりでイカれた覚悟・2
昨日私は神木の迷宮21階で【将器強化装置設計図・D】を手に入れている。あまりにも嬉しくてダンジョンの外で小躍りしたほどよ。その他にも24階で【宝具強化装置設計図・F】を手に入れてる。ここでちょっと心に大きなダメージを負った。
なぜならAからEの存在が判明したから。最低でもFまでの6枚、神器と超機を含めて合計24種類は集めなければならない。G以降もあるかもしれないから、それ以上になる可能性はあるけどね……。
正直なことを言うと、私だけで集めるのは大変だから皆が追いついてくれないかな~と期待してた。いや、甘えてたと言うべきかな。だから探索とか挑戦のほうばっかり夢中になって、単純な周回は避けていたんだよね。はっきり言ってかなり辛い作業……いやいや、作業と呼べるほど単純なものでもないから、嫌だな~って思って避けていたのよ。
『これから行うのは戦闘じゃない。単純に相手をどれだけ早く倒し、高速で周回出来るかを突き詰める作業。誰が出てきても、どんな条件であっても、必殺のコンビネーションを叩き込み続ける作業よ。泣き言を言わずに付いてくる覚悟があるなら、私に続きなさい』
一人二人は無理だよ~って、特にシャーリーちゃんには退屈な作業かなと思って、もしかしたら付いてこないかもしれないなと思ってたんだけど……。ああ、確かに最初はシャーリーちゃんも嫌そうな顔ではあったんだけどね。いざ周回をスタートってことで、まずはエスちゃん、めーちゃん、おにーちゃん、それと初参加ってことでシャーリーちゃんの5人組で出発したのよ。
『――27階ボス、神毒の大蛇・ミズチの討伐を確認。記録は2分25秒でした』
「どう? どう? 早い!? 早いよねっ!!」
「他の子達のパーティがまだだからわからないけど、うん! 早いと思う!」
「やった~! 絶対シャーリー達が一番だも~ん!」
まず初回、ミズチと当たって2分25秒。宝箱回収も含めて4分もかからずってところで、この回に設計図は出なかった。このペースなら順調に周回出来そうだな~と思ったら、なにやら知の間組が物凄くむすーっとした顔をしてるわけよ。
なんで怒ってるのか問いただしてみたところ、ボス撃破前にパズルが解けずに終わってもやもやするとのこと。そしてここからある人の一言がきっかけとなり、大戦争に発展してしまったわ。
「ボスを倒す前にパズルが解けないようでは、リンネ様からご褒美は頂けませんね」
「あ゛?」
「マリアンヌさん、怖い顔をしても無駄です。解けなかったのは事実ですし」
「あ゛あ゛!?」
エスちゃんがまさかの爆弾投下。これにビキッと来たのがマリちゃんとリアちゃんで、今度は知の間が先に終わらせてやると啖呵を切ってしまい、また同じ編成で再挑戦することに……。
『――27階ボス、歴戦の覇龍・傷だらけの討伐を確認。記録は2分19秒でした』
『知の間Aのボーナスバフが消滅しました』
「あ~!! 負けた、負けた負けた~!! 悔しい~!!」
「……シャーリーさん。次はもっと爆速で終わらせられるよう、作戦を考えましょう」
「次は絶対負けたくないの! シャーリーはね、接近までの時間を減らすべきだと思う!」
結果、リアちゃんのパーティが先にパズルを攻略してしまい、第一パーティのボス討伐よりも早く終わってしまったので、今度はエスちゃん達のパーティが知の間へ送られることに……。
マリちゃん達のパーティは今回も負けたのでより一層悔しがり、次はどうするべきだとか作戦会議を開始。そんな知の間送りの皆を横目に、今度はどん太、リアちゃん、ヴァルさん、ゼオちゃん、デロナちゃんのパーティで出撃。そして結果がね……。
『――27階ボス、偉大なる蜘蛛の王の討伐を確認。記録は3分44秒でした』
『知の間Aのボーナスバフが消滅しました』
『知の間Bのボーナスバフが消滅しました』
「こんなのおかしいです! どうして私達の時ばっかりタフな敵が出るんですか!!」
『如何に素早く相手の弱点を見抜き葬れるか、まだまだ遅いということか……』
「あ~あ、負けちゃった!」
「仕方ないこと、様子見はほどほどに思いました!」
「よし、交代だ。先にクリアしたんだ、我らのパーティで良いだろう?」
『わうぅ~ん……』
「ぐぬぬぬ……」
リアちゃん達のパーティはまさかの最下位で即交代。知の間はマリちゃん達が先に終わったのでそちらと交代することに。今度は千代ちゃん、マリちゃん、ティアちゃん、カーミラジャンボのパーティで出撃。メンバーが異様に少ない気がするけど、他のパーティより練度というか、火力がね……。
『――29階ボス、神狸ぽこんこ及び覇神オロチの討伐を確認。記録は1分21秒でした』
「まあ、こんなところでしょう」
『ぴゃうっ!』
「朝飯前に御座います……あ、朝飯などと言ったらお腹が……」
「は、は……!? 早すぎませんか!?」
「問題見てたら終わっちゃった~! シャーリーもボス行きたいの~!!」
「頭をフル回転しないと勝てません。シャーリー、頑張りましょう」
「うんっ! 頑張らないと!」
火力ぶっ壊れ組が強すぎる。エスちゃんのところも火力が高いけど、カーミラさんが本当にぶっ飛んでる。ティアちゃんがボスの近くまでカーミラさんを送り込んで、千代ちゃんが自力でそれに合流して超火力を叩き込む。討ち漏らしたらマリちゃんの破壊榴弾が飛んできて確実に終わる。完璧なパーティに見えるけど、残念ながら知の間がマリちゃん頼りってこともあってそっちのハンデがね……。一度知の間に回ったらなかなか帰ってこられない可能性が……。
『我が神、強襲と必殺のコンビネーションばかりだが、いいのだろうか?』
「良いのよ! 迷うぐらいなら殴る、もしも通じなかったらその後のことはまた考えればいいの! そして相手に最速で、とにかくあらゆる手段で距離を詰める訓練は絶対に役に立つ!」
『(*´∀`*)b』
まあなんだかんだあって、全員がこのダンジョンでのハードな周回に納得してくれた。そういうわけで、全員が別方向にやる気が出た結果、私達は途中から何周したのかのカウントすらも止めて、とにかく周回を早くすることに専念し始めた。
クリア時間の1分の壁を超えたい、知の間にはパターンがある、必勝コンビネーション攻撃、パーティ総替えによる組み合わせ変更、新たなコンビネーションとパターン構成……。
とにかく周回数を重ねれば重ねるほどに新技が誕生した。その中でも特に気に入ったコンビネーション技は【バーニングどん太トルネード】【忍法・うさぎターボおにーちゃんの術】【おロイヤル右ストレート】【ばにたす砲】【ダイナミック巨大化地団駄】辺りかな。
特に巨大化が可能なおにーちゃん、重力操作系魔術が使えるデロナちゃん、ギガントアックスで斧を巨大化させておにーちゃんへ預けられるエスちゃんがパーティに揃った時限定で使える、ダイナミック巨大化地団駄が酷かった。動きが鈍い地上にしかいられない巨大ボスは、全部これだけで良かったもん。巨大化して高速で地団駄を踏みながら、ギガントアックスを地面に叩きつけるだけ。超大激震以上の威力の衝撃波が敵味方の見境なく襲いかかりすべてを滅ぼすのよ。
まあ、調子に乗って満月の女王にまで使って、返り討ちにされて即死したんですけどね。それ以降は使う相手を慎重に選んでましたよ、はい……。
「100周は、超えたよね。多分……」
「私は数えていましたよ?」
「うへえ、カーミラさん凄い……。何周目……?」
「これで104周目です。ちなみに、まだ一種類も揃っていませんよ」
「ゔぉああ……! 200までとりあえず走るか、次は誰が行く?」
『わうーん!(僕行くもーん!)』
「はいはいはいはい!!」
「シャーリーも!!」
「メルも行きます!」
「我は知の間のパターン解析が面白いからまだ行かない」
「ティアも行きまーす!」
「此方は食事の時間ですので……」
「食事、大事です! デロナもたくさん食べて、大きくなります!」
「デロナは大きくならなくていいもん!」
「そんなことありません、さあ! 食べましょう! つるつるさんからいっぱい貰ったので」
「あう~。ゼオお姉ちゃんみたいに沢山は食べられないんだってば~」
そういうわけで……? 104周してもまだ5時間しか経過していないので、200周が終わったら休憩することにしましょう。夜のご飯は後でこっそり食べればいいよね? 今は周回が大事、このまま突っ走れー!! 設計図が完成するまでー!!
追記
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