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552 食べ放題の誘惑

◆ ◆ ◆


 レーナちゃん、いや……ユリアにゃんの撮影見学で英気を養った。ならば次はお腹を満たそうと朝食バイキングの会場に向かったら、なぜか厨房に見覚えのあるスキンヘッドのお方が入っていたので挨拶をしつつ、美味しそうだなーと思った料理をお皿に盛っていたら、見覚えのあるスキンヘッドのお方がガッツポーズを決めて周囲の料理人さん達はガクッと肩を落としてた。

 何か悪いことでもしちゃったかなと思ったら、どうやらハッゲさんは他の料理人の方々と『私が誰の作った料理を選んで持っていくか』で賭けていたらしい。ハッゲさんが作った料理を全部持っていったらしくて、圧勝だったみたいね……。

 一方会場の隅っこ、夢乃さんとかえでちゃんのペアを発見。昨日はかえでちゃんが夢乃さんのお料理を取ってくるのが当たり前って感じだったけど、今日は夢乃さんがふらふら~っと歩きながら取りに行ってた。私が見てても『あっ、危ない』って思うことが多かったのに、かえでちゃんは席に座って見てるだけ。一緒に行きたそうな様子だったけど……今日は見守る日なのかな?

 そして思ったのよね。みんな結構食べる時間遅いのね……? もうそろそろ9時になっちゃう頃合いなのに、会場が割と満席に近いわ。一応7時から開始で、普通なら落ち着くぐらいの頃合いだと思ってたのに。関係者とかゲストのみの営業でこれなら、通常営業だともっと混雑するかも。


「真弓、通常営業だともっと混雑しそうだけど」

「あら? ここは宿泊者専用でしてよ? 想定以上の動員にはならないはずですけれども」

「これでもまだ全室埋まってるわけじゃないんでしょ? もうちょっとエリア拡張しないと、7時の営業時に席が空いてません~ってなっちゃうんじゃない?」

「席なら空いていましてよ?」

「え? でも満席に近く見えるけど……」

「ああ! 今埋まっているのはAブロック、厨房を挟んで反対側にここより広いBブロックがありますの。今は規模を縮小中ですわね。ちなみにハッゲさんが厨房に立っているのは、本人とスタッフの希望によるものでしてよ。お互いに競ってみたかったのでしょうね」

「はあ~……! なるほどね、この倍以上あるなら確かに……。厨房が忙しそうだけどね」

「まあまあ、そこはしっかりとしたノウハウがありましてよ。ふふふっ……」

「凄いねえ~……。あ、追加でお肉貰ってこよ」


 なるほど、ちゃんと考えられてたわ。それにしてもいつも食べてるご飯よりも、なんだか凄く美味しく感じるわ。大丈夫かな、こんなに食べたら太りそう……。後でトレーニング施設で汗を流しておこうかな。生活リズムが狂わないようにね……!

 バビオンに戻ったらまずは大穴かな~……。週間コンテンツが今日の6時にリセットされてるから、また大穴に行って弾代とか希少素材を稼いでこないとね! そのために深夜無理をして4周したんだから。6時前に大穴へ4回入場することで、大穴の入場回数を消化しておいたのよ。クリアした時間は関係ないから、とにかくリセット前に入場したかったのよ。

 大穴から戻ったら、次はいよいよパーニェイナに挑戦ね……。一度に入場出来るのは10人だけど、パーティを2手に分けなきゃいけないみたいだから、パーティメンバーの割り振りをよく考えないと。5人ずつ2パーティが普通のやりかただと思うけど、もしかしたら6と4に分けるとか、はたまた7と3に分けるとかの別解もある可能性を視野に入れて何度か挑戦してみよう。

 思ったのよね、そもそもパーニに勝てなければこの先どんな相手と戦っても勝てないだろうなーって。あの殺意に怯んでるようじゃ、もっと上を目指す資格なんてない。絶対に倒す。


「おやぁ~? 燐音さん、おはようございま~す。お肉、いっぱい取りましたねぇ~?」

「あ、夢乃さん……! お、おはようございます。ちょっと考え事をしてたら、取りすぎちゃったみたいで……! ど、どうしよう。いやこれぐらいなら食べられるか……。夢乃さんも多いね!?」

「夢乃は、かえでちゃんが上手く歩けないので~代わりに取ってきてあげてるんです~」

「そ、そうなんだ……?」

「はい~。ではまた、その時に(・・・・)会いましょう~」

「うん、また後でね……!」


 夢乃さんが居たんだった、忘れてた。そしてお肉がてんこ盛りになっちゃった、考え事をしながら取り分けるの良くないよね。自分の手元をしっかり確認してなかったもん。

 バビオンへ行く前に、これは……。きっちりと燃やしておかないと。せめて炭水化物だけでも控えめに……。い、いやでも、お米美味しいのよね。どこのブランド米なのかな? 炊き加減もいいし、もちもちだし、艶もあって綺麗だし……。ああ、いけませんいけません! つい大盛りに! お米が、お米が悪いんです! 美味し過ぎるのが悪いんです、私は悪くありません!!


「燐音、凄い量。食べられる?」

「あ、レーナちゃん、ここ、これは、その……」

「まだまだ成長期? もっと大きくなる? それは怖い、ビッグ燐音」

「これ以上は……!!」

姫千代(ちーちゃん)のこと、言えないね?」

「う゛」


 いけない、私まで千代ちゃん化するのは……! リアルモジュールアバターに誤差が出て、リアモジュ判定が解除されちゃうかも!? それだけはヤバい、でもご飯が美味しい! 今日だけ、今日だけだから! いや、この朝食だけ!!


 ――――結局、昼食も誘惑に負けた。ハッゲさんは満面の笑みだった。レーナちゃんには燐音の頭文字のLはラージサイズのLとか言われた。悔しい、悔しい……。



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