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550 思わぬ反撃

『カウント最大!! 原初の魔狼が出現します!』

「あ、今回もウルフ階層か」

「そのようだな」

『グガァアアアアアアアアア!!』


 パナシーアクリスタルだけでもね、自給自足しようかなと思って大穴に来たのよ。あまりにも懐かしくて楽しいね? そして私達はあまりにも……。


「おすわり」

『マリアンヌが【絶命破壊弾】を発射、絶命! 原初の魔狼・ゼロスの生命活動が終了しました』

『原初に続く大穴は静寂に包まれました……』


 あまりにも、強くなりすぎた。マリちゃんがフル武装、おにーちゃんが【サイクツロードーシャくん・スペシャル】に乗り移って、荷物持ちで私とサリーちゃんが同行してるだけ。うん、あまりにもあっけなく……かつて激闘を繰り広げたり、返り討ちにされてしまった相手を一撃で葬れる。


『トラップ作動――アルテナがハッキング、無効化されました』

「これは出来る限り自給自足したほうがいいな。一周にかかる時間が大したことないのに、手に入る鉱石は非常に多い。面倒ではあるが、何百億シルバーもこれに溶かしてはいられないぞ」

『(;´∀`)』

「早く掘ってリーダー♡ 早くやれ」

『(´;ω;`)』


 5階層を平均3分で駆け抜けられるから、100階まで走ってだいたい1時間。時給はテラまでは行かないぐらい? ムラがあるから幾らって言えないのよね。とりあえず4時間やっててこれで最終周、資源ダンジョン入場回数リセットチケットで追加2回の入場が可能だからこれが最後。

 このハイスピード採掘周回、やればやるほど思うのはね……ただただ隠し通路と倉庫擬態ミミックがウザい。あとトラップも面倒くさい。アルテナが低品質トラップをハッキングして自動的に無効化してくれなかったら、もう面倒くさすぎて絶対周回したくない。

 でもこれで、シャーリーちゃんの弾代とマリちゃんの(・・・・・・)弾代がかなり浮く。2人揃って何も考えずに撃ち続けてたら、どん太達の食費の何千倍って数字が飛んでいくことになるもん。さすがにミミッキュんの固定収入じゃ追いつかなくなるから、弾代ぐらいは稼がないと……。


「それにしても、弾代を稼ぎに来てるのに弾を使っていいのか……?」

「いいの。マリちゃんね、これはシャーリーちゃんにも言ったことだけど、お金と命は同じ天秤に乗せてはいけないの。お金がかかるからって弾をケチって死んでたら元も子もない、何も考えずに撃って。迷わず引き金を撃つための周回よ」

「そうか……。まあ、この超威力の弾丸を使い放題なのは、信じられないほどの快感だ。今更やっぱり撃たないでって言われても無理だがな!」

『(;´∀`)』

「それで飛空艇の武装も強化したら、もう無敵じゃ~ん♡」

「これと同性能ぐらいのものを撃ち返してくるんですよ、トロイは」

「やば……」


 はあ、とにもかくにもこれで大穴採掘周回は終わり。超高額な鉱石ばっかりを回収する周回でも1周1時間、これを今から神木の迷宮でバンバン溶かすのよ……。後ね、当然のように超機強化機とかでも使う。設計図の一部を神木の迷宮で手に入れたから知ってるんだけど、エーテル瓶とか真地獄晶石とか極限圧濃ヒヒイロカネとか、もう名前を見たくないアイテム名がずらりと並んでる。

 これを乗り越えなければ、トロイに勝つことなんて絶対に不可能。あの時対峙して感じた圧倒的な差、それは今もなおトロイも進化しているだろうから広がり続けているはず。追いつくには、地道な努力しかない……。


『警告、ログインから12時間が経過しようとしています。強制ログアウトまで残り30分』

「あ、やば。一旦元の世界に帰らないと」

「活動限界時間というやつか。難儀だな」

「リンネちゃん、元の世界の体はこんなに丈夫じゃないんでしょぉ~? 無理、してない?」

「ん? あ、そうですねえ……ちょっとリフレッシュしてこようかなと」


 もう12時間経過したんだ、ということはもう朝の……7時!? うへ、朝ご飯食べなきゃ。ログインしなおしたらバビロン様のログインボーナスも貰えるね。今日で連続何日目だっけ? 累計は36日目、ログボは35日目かな。


「じゃあ、パナシーアクリスタルと地獄晶石は全部倉庫に入れておくから」

「ああ、戻ったら早速取り掛かるよ」

「サリーちゃん休憩~! すっごく疲れた~」

「たまにはフィールドワークもいいだろう」

「マリちゃんはアルテナの補助なしでちゃんと生活出来るようになった?」

『以前より筋力と体力は大きく向上、柔軟性も非常に向上致しました。好調です』

「今の周回も、実は補助ではなくて負荷をかけて貰っていたんだ。前の我とは違うんだぞ」

「おお~……!」


 マリちゃんが健康的になってる!! リアルの私よりもずっと健康的なのではという疑惑があるね……? いや、そんなことはないはず……。実は私より動かない、ものぐさキャットのオーレリア王女が下にいる! 私はまだ大丈夫、ごろんと寝っ転がりながら空中に本を浮かべて読書をしたり、おやつにマタタビ入りケーキをペロペロしながら食べたりしてない。

 ――――待てよ? これはひょっとして、リアちゃんを叱らなければいけない案件なのでは? 普通にお行儀が悪すぎる、あまりにもおロイヤル(・・・・・)さのかけらもない行為を嗜めるべきなのではないでしょうか……? いや、猫としては正しい行動かもしれないけど……。


『強制ログアウトまで残り20分』

「あ、やばいやばい、後20分しかないわ。さっさと倉庫に入れないと……」

「巨大なマジックバッグに小さいマジックバッグを収納すると、反発を起こして小さいマジックバッグだけを弾き出すんだけどぉ~……あれあれ? 知らなかったぁ~?」

「え、何そのプチテクニック。つまりそれって、小さいやつの中身だけを一気に出せるってこと?」

「そうそう~♡ この倉庫も超でっかいマジックバッグみたいなものだし? ほら!」


 え、何その地味に役立つテクニック。今までマジックバッグからせっせと取り出してた私の努力は? というかそれ、前の周回でなんで教えてくれなかったの!?


「倉庫内で分別とか出来ないから~几帳面なリンネちゃんには、ちょ~っと耐え難い、かも?」

「いえ、そんなことないです。はい、投入……うわ、出来たわ……」


 こんなの先に教えてよ~! なんならチュートリアルに記載しておきなさいよ、なんで……ぐぁあああ!! 今までどれだけの時間を無駄に、はい! 倉庫内自動整理ボタン、ぽちーっ! 一瞬で終わった、ああもう最高!! 最低!! くううううう……!!


「リンネ、それがいつもリンネから受けている技術革命の瞬間の感情だ」

「…………ぐぁああおおおお!!」

『(;´∀`)!?』

「いっひひひ~♡ リンネちゃん壊れた、か~わいい~♡ あ、でもでも強制送還の時間で~す♡ はいざんねぇ~ん♡ サリーちゃん達に八つ当たりする時間ありませぇ~ん!」

『フリオニールの頭部アバターを【バケツ】に変更しました』

『(;´∀`)!?!?!?』


 もういいもん、おにーちゃんに八つ当たりしてリアルに帰るもん!! ぐううう、悔しいいいい~!! こんな誰でも知ってそうなことを知らなかったのが、非常に悔しい! 悔しいから朝食バイキングでステーキ頼んじゃうもん。絶対食べるもん! 待ってろよステーキバイキング!!

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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
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