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055 華胥の夢、全員集合!

◆ 自宅 ◆


「――――次のニュースです。京都府では昨晩から降り続いていた大雨が止み、大規模な河川の氾濫こそあったものの、死者行方不明者の報告はありませんでした。しかし避難時に転倒したなどの軽傷を負った怪我人や、避難所で体調を崩した人がいるなどの報告が相次ぎ、依然として災害対応に追われている状態が続いています。なお、一部地域で中規模範囲に発生した停電は今は復旧したとされており――――」


 レーナちゃん先輩の方で降ってた大雨がやっと上がったらしい。こんなに大規模な災害が発生してるっていうのに死者行方不明者、それに重傷者が今現在確認されていないっていうのと、怪我をした人も転んだ程度で済んでるあたり災害対応能力の高さを感じるし、停電がこんなに早く復旧するのも技術の発達を感じさせられる。昔のニュースとか見ると、河川氾濫で何十人何百人の死者とか結構あったみたいだし、今の時代って凄いなぁって思う。2000年に入ってから数十年間の前半は異常気象、極端気候との戦いだったみたいだし、その辺りのノウハウが活かされてるんだろうなぁ~……。あ、今日のお米はちゃんと炊けてる、美味しい。私の炊飯技術も上がってきたな…………。

 ん? スマホに通知が……。メルティスオンライン……あれ? そういえばなんでスマホにメルティスオンラインの通知が届くんだろ? もしかして、同期してる? ええ? いつやったんだっけ?! でも同期してるわ間違いなく! だからレーナちゃん先輩からメッセージが届いたのかぁ!

 あーそうだ。あの時は確かにダイブシステムと同期してたわそう言えば……。スマホと同期させて連絡先をダイブシステムに追加したんだったわ。万が一ダイブシステムを利用中にバイタル異常を検知して救急車を自動で呼んだ時、事前に設定した相手に緊急事態を知らせるメッセージを発信してくれるサービスを利用してたわ。そうそう、真弓に連絡が行くようにしたんだったね。すっかり忘れてた。その時に同期したんだね。


『家、大丈夫だった。電気も復旧したから、ログインしたよ』


 レーナちゃん無事だった~良かった~! なるほど、こうやってログアウト中でもメッセージを受けることが出来るのね、便利なサービスだわ。じゃあレーナちゃん先輩も帰ってきたことだし、ニュースも見終わったし、後はくだらないバラエティ番組しかないから消して……。行きましょうかぁ、バビロンオンライン!! もう私あのゲームにメルティス要素ないし、バビロンオンラインで良くない? 良いよね?


『バイタルチェックスキャン開始……問題ありません』

『東京都の今後の天気は雨が予想されます。窓やドアの閉め忘れ等にご注意下さい』

『閉め忘れに問題がないと回答を頂きました。バーチャルダイブシステムを起動します』

『バーチャルダイブシステム起動……ゆっくりと、目を閉じてください』

『バーチャルシンクロ開始……完了』

『ようこそ、仮想現実空間へ。バビロンオンラインのプレイがリクエストされました』

『バビロンオンラインが見つかりませんでした。メルティスオンラインのプレイがリクエストされました』

『メルティスオンラインへアクセス中……リンク完了』


 ッチ……。いつかメルティスとバビロンちゃんの地位を逆転して、バビロンオンラインにしてやる……!


『おかえり~♡ 愛しのバビロンちゃんから、ア・ド・バ・イ・ス♡』


 う゛ ん゛ っ゛! ! !  聞く聞くぅ~~~!!!


『遠距離で発生したスキルでも、直接攻撃判定を持つスキルがあるのよ~? これは直接攻撃に対する反射の対象になるから、気をつけなさ~い♡ これだけ聞くとデメリットが目立つかもしれないけれど、これはこれでメリットもあるのよ~? 詳しくは自分で確かめてみなさいな~♡』


 はぁ~~~い!!! は~……ログインする度にバビロンちゃんからの豆知識コーナーみたいなのが入るの、やば、脳が溶けてからログインすることになるからログイン直後に隙だらけになっちゃう……。やばいやばい……。バビロンちゃん可愛すぎるよぉ……!




◆ 魔神殿・ギルドルーム ◆




「おやおや、帰ってきたねぇ~」

「おっそ~い」

「あら、おかえりなさい! 皆もう揃って居ますのよ!」

「よう!」

「来よった! 待ってたでぇ!」

「おかえり~~」


 おおう、まだ21時になってないのに全員ギルドルームに居る! リアちゃんを囲んでお勉強会をしてる魔術師チームのお姉さま達と、いつもは見かけない探索チーム? の人たちも居る!!


「おっす、新サブマス! 初めましてッスね、華胥の夢の【不抜之志(ふばつのこころざし)】のリーダーの(あか)ッス。よろしく!」

「ッッ!! よ、ろしく……おね……しま……すぅ」

「そういえば、結構お話しているのに名乗っていませんでしたね。華胥の夢の【磨穿鉄硯(ませんてっけん)】のリーダー、ミッチェルです。改めてよろしくお願いします」

「よろしく、おねがいしますっ……!」


 あれ、魔術師チームと探索チームって名前じゃなかったんだ……!? ふばつのこころざし、ませんてっけん……どっちも『絶対に諦めない』『目標達成までやり抜く』みたいな意味の言葉だね。でもどうして同じ華胥の夢に所属している人たちなのにチーム名があるんだろ?


「赫さんとミッチェルさんはね~。元々別のギルドのマスターだったんだよ~? 僕が華胥の夢を設立する時に、合併したんだ~!」

「ローレイの海賊退治の時ッスね。主に食料調達とかアイテム調達の支援面で働いてたッス。あの時はレベル低かったんで! あ、今もまた平均レベル45ぐらいになっちゃったんッスけどね! 全員魔族転生したんで! あははは!!」

「同じくその時に。住民NPCに魔術を教えて、数で押し切る戦いをしていました。こちらのチームは元々レベル40以下どころか30前後が多かったので、レベル40台になれるのはメリットしかありませんでした。この魔神殿出現には感謝しかありませんね」


 なるほど……。それで毛色の異なるチームが3つって感じになってるのね。よくこれでギルド運営が出来てるなぁ……。お昼寝さんが自由な人だから、ギルドの器も大きいのかな? 幅広い層のプレイヤーが居て面白いね!


「まあチーム名はもう殆ど機能してないようなもんなんで! 探索チームでオッケーッス!」

「こちらも魔術師チームで構いませんよ。昔は魔女チームだったのですが、実は男性もおりますので魔術師チームとなりました」

「赫さんと、ミッチェルさんは、サブマスターにならないんですか……?」


 そして疑問! この2人、チームリーダーなのになんでサブマスにならないの!? 私よりサブマスになるべき人たちじゃない!?


「あ~それはッスね、探検に夢中なんでサブマスとかやってても意味ないなーって思ったからッスね!」

「こちらも似たようなものですね。魔術関連の研究に夢中なのと、その実験に夢中ですので」

「…………え? 私も似たような……」

「魔神殿建てた人がサブマスじゃないのはちょっとよくわかんないんで!」

「そうですね。魔神殿を建てたのがリンネさんと聞いて驚きました。色々と聞きたいのですが、ルールはルールですからね」


 なるほど、うーんなるほど……? なんか押し切られちゃったような……!? まあ、皆が良いっていうんだから、良いのかなぁ。サブマスで。


「じゃーじゃー改めて。みなさーん、集まってくれてありがとう! なんと出席率100パーセントで、ギルドオークションを開催いたしま~す!!」

「わー」

「始まりますわ~! 楽しみですわ~~!!!」

「おう。金は、めっちゃあるぜ」

「あれは絶対ワイが貰うで!」

「皆気合入ってるねぇ~……エリスちゃん、お金足りるかな~?」

「いやぁ~楽しみッス! 探索打ち切ってまで来たッスから、もしかしなくても商品はアレだけじゃないんッスよね!?」

「他にもあると聞きました。ちなみに私達からも出品しているものがございますので」


 わーーー開始だーーーー…………? あれ、そういえばどん太達は? なんか違和感があると思ったら、どん太達が居ないねぇ!? どこに――――1階? ああ、マップから見た感じ、これは各々教官NPCのところに遊びにいってる感じかな? どん太はモッチリーヌちゃんのところに行ってる、リアちゃんはエキドナさんのところ、千代ちゃんローラちゃんトルネーダさんは、食堂! あれおにーちゃんは?


『(*´ω`*)』


 お る や ん け 。ギルドルームのインテリアに化けてるじゃん!! なにをさも『私はただの鎧ですよ。インテリアですよ』みたいに立ってんのよ。違和感なさすぎて気が付かなかったわ! こっちが気がついた途端にエモーション出してくるし、なんともお茶目な人だわ、本当……。


「進行はこの僕が~と言いたいんだけどね? 慣れてる人が居るんですねぇ~。ペルちゃん、お願い!」

「わたくしが進行役を致しますわ~! 本日のメインの商品は既に知っての通りだと思いますの、ですが! 本日はメイン以外にもたくさんの商品が用意されていますのよ! その他の商品に関してはリストにしてアイテム名だけ記載しておりますわ!」

 

 わ~。進行ペルちゃんか~! もう皆リストの載ってる名前を見てるだけでそわそわざわざわしてるよ……! いやぁ、名前を見ただけじゃよくわからないのがちらほらあるなぁ~~~…………あれは私が勢いで作った呪物だなぁ……!!


「黒鉄の輪ってなんや……?」

「え、マスターが使ってたファイティングガントレット売るんッスかぁ!?」

「俺これ欲しいかも」

「え、めっちゃある。金そんな持ってきてないんだけど」

「あ……。これ杖っぽい名前……」

「後から出てきた物が欲しかった時に、お金が無くなっていたら困りますね……」

「それではまず、これから! 【スナイピングクロスボウ+12】ですわ!!」

「はぁ!? レーナちゃんの使ってたヤツじゃん!!」

「え、要らないの?!」

「んっ!」


 最初に出品されたのは、レーナちゃん先輩が前に使ってた武器らしい! スナイピングクロスボウ+12……12!? 過剰強化してるのなんてペルちゃんぐらいだと思ってた! レーナちゃん先輩も、結構ガッチガチにやるタイプなんだ……!?


「見ての通りの大型クロスボウ、徘徊型ボスモンスターのリトルレッドドラゴンを撃ち落とした、あのレーナちゃんが使っていた武器ですわよ! 性能は今皆様に共有した通り! まずは500万からスタート希望でしたので、500万からですわ!」

「たっか!?」

「700出すッス!!!」

「いきなり700が出ましたわ!」

「ユニーク装備で+12が700ならちょ~安いよぉ~?」

「800!」

「がぁ~~……850出す!!」

「900ッス!」

「900が出ましたわ! 900以上は居まして!?」


 うわぁ、うわぁ。900って、もう倍近い値段になってるよ、ユニークの+12武器ってそんなに高級なの……!? 処刑斧の+12って、実はこれとんでもないものをペルちゃんに貰っちゃったんじゃぁ……。


「1000!!」

「1150、出すッス!」

「1150かぁ~~……!」

「1150なぁ……!」

「さあ1150! これ以上居まして!?」


 これは、赫さんが1150万シルバーで決まり、かな……?!


「1300で~す!」

「1300!! 一気に1300が魔術師チームのカイナさんから出ましたわよ!? え、使いますの!?」

「カイナちゃんはマジックシューターだっけ~? 属性弾を撃つ魔術職だよ~」


 ひょえ~~~。1300!? もうなんだか、初っ端からぶっ飛んだ数字が飛び交ってるよぉ……!? 私今、70万ぐらいしかないんだけど! それもペルちゃんから貰ったヤツね!?


「1400!! もう無理ッス!!」

「おりますぅ~……勝てると思ったのに~……」

「1400! 他にありませんの! 1400!! 赫さんで決まりですわ!!」

「やったッス~~~!!!! レーナちゃん、大事に使わせて頂きまッス!!」

「んっ、つよいよ。1400、ありがと! もらった~」

「最初から数字が強いですわ!! では次の商品は軽めな物で行きますわよ、次は【ターゲットシールド】ですわ!」


 んっ!? ターゲットシールド……!? 実はおにーちゃんに欲しい装備だったりしない!? あ、ヘイト上昇量+25%にバランスのいいガード耐性の大盾……あれ? ホ・タテの劣化版じゃない? これ!? うーんこれは、良いか……。と言うかお金ないわ! 最終落札まで聞き流しておこう――――


「110!」

「110万! 他に無いですの! 110万で決まり! 探索チームのコナーさんですわ!」

「コナーさん、レイジに110渡しておいて~」

「思いの外高値になりよったなぁ、おおきに!」

「ヘイト率の上がる大盾、少ないんですよ~。希少ですからね~」


 どうしよ、ホ・タテの存在を教えたいけどコナーさんが絶望しそうなんだけど……!? い、言わないでおこう。今は気持ちよく購入したんだから、気分を下げるような情報は――


「ちなみにうみのどーくつでヘイト50%の大盾、出る。レジェだから、結構出ないと思う」

「本当ですかぁ!? いや~あそこはヘイト取りにくいから、これで取りに行きやすくなりそうです! 今度行ってみます!」

「んっ」


 レーナちゃんが、言っちゃったぁ……!? でも、コナーさん凹むどころかメッチャ喜んでる……。上の目標が出来ると喜ぶタイプ? このギルドの人、更に上があるとかわかると喜ぶタイプの人多そうだし、そっか、良いのかぁ言っても……。


「では次は【カルサムの白銀+7】! これはレジェンダリー武器でしてよ! 性能は表示の通りですわ! では100万から!」


 うわ、もう次だ! えっと、カルサムの白銀……? なんだろ、どんな武器……おお~~。



【★カルサムの白銀+7】(最上級・レジェンダリー・蛇腹剣・空きスロット2【○○】)

・ヘイト率-50%

・斬属性攻撃+20%+14%

・斬耐性無視20%+35%

・空き

・空き

 ――この斬撃、見切れるかしら? by魅惑の殺し屋カルサム

 強化可能・重量1.2kg



「はいはいは~い。エリスちゃんが400万だしまーす」

「450! 私も蛇腹剣使うんです~!」

「あーソノスさんがビーストテイマーだっけ~。蛇腹剣、使えるんだよね~」

「500~」

「550!」

「ん~700!」

「え、ぐぅ、ぐ~~~……」

「700! ビーストテイマーで使えるそうですわよ! 他に居ませんの?」

「にっしっし……」

「700でエリスさんに決まりですわ! はい、エリスさん! お金はミッチェルさんに渡して下さいまし」

「ええ、確かに。受け取りました」

「やったった~~~。蛇腹剣出なくて困ってたんだよねぇ~……!」

「うぐ~……欲しかった~……」


 蛇腹剣、エリスさんが落札したか~! 白銀の蛇腹剣、格好良いなぁ~……。金色のと二刀流にしたら面白そうじゃない? あ、金色!! 金色って言えば、金色のアイツの死体! 死体安置所7番に自動納棺されてる! 見落としてた! え~どうしよ、成功したら売り物になりそうだし……。


「あ、ペルちゃん続けてて~。ちょっと離席~……」

「あら? ええ、では次の――――」


 よ~し。やっちゃうか~! いざ、いつもの3号室へレッツゴー!! あ、でもすぐに出てくるのは良くないかな? もし出来上がったなら今作って来ました感が満々だし、ちょっと時間を掛けたフリをして……。どうせ私お金ないし、私の商品後半に固まってるし、それまでには戻ればいいよね。




◆ しばらくして…… ◆




「ただいま~……。お昼寝さん、これリストに入れておいて下さい~」

「んえ? んえ!!?? ちょいリストの15番に新商品追加、追加でーーす!」

「おお? なんだこれ?」

「よーわからんな……?」

「なーにーこーれー?」

「これ、名前の通り、ですの!?」

「どういう意味なんッスか? これって?」

「これは、これは……!」


 いやぁ、出来ちゃった。出来ちゃったよ、黄金のアイツを使った呪物が……! 本当は盾で作ろうと思ってたんだけど形状変化イレギュラーなんて始まって、失敗するかな~と思ったら、まさかまさかのそのまま完成しちゃいました……!


「お静かに! まずは先の商品を! 12番、【★ダークイヤリング】ですわ! レジェンダリーのイヤリング、それもスロット付きですわよ!」


 おおっと、ちょうど私の出品物の番だった! もうちょっと時間かけようかと思ってたけど、ジャストタイミングだった。危ない危ない。


「物理系全部の耐性上昇!?」

「え、なにこれやば」

「ぶっ壊れてない……?」

「HP自然回復なんて、あってないようなもの~」

「実質ほぼデメリットなしだねぇ~……」

「生存能力に関わってきますね。これは欲しい……」

「では、300万から!」

「俺は500出すぜ」

「ハッゲさんが500!」


 え、うそ、500? もう500もつくの……?


「700出す~」

「エリスさんが700! 他にいらっしゃって?」

「750出します~」

「マヨさんが750!」

「800!」

「900出すぜ」

「ハッゲさんが900! まだいらっしゃるかしら!」


 900、900……!? イヤリングに、900……!? いや、勢いで作ったものなんですけど、なんか申し訳ないような!


「900で決まりですわ! ハッゲさん、リンネさんにお金をお渡しになって?」

「お? リンネちゃんだったか。ありがとよ、大事に使うぜ」

「あり、がとう、ごじゃましゅ……」

『ハッゲさんから【9,000,000シルバー】を受け取りました』


 ひょえ~~……。勢いで作ったアイテムが、900かぁ……!


「では次、13番! 【★黒鉄の輪】!』

「こっちは物理耐性10%下がるんか、いや待て!? 物理攻撃15%上昇やと!?」

「空きスロット付きじゃねえか、こっちのほうが欲しかったかもしれねえ」

「さっきのと合わせたら、実質デメリット無しの物理15%上昇だね~?」

「ひゃ~これ欲しいよねぇ~……」

「なんッスか、空きスロアクセが出まくりじゃないッスか!?」

「存在を疑われていたレベルだったのに、よく出ますね……」

「あーー呪物師に作ってもらったヤツじゃないこれ!? こんなの出るんだ……」

「何の死体あわせりゃこうなるのよ……」

「あれって物理ダメ5%アップで掲示板が大騒ぎだったわよね?」

「お静かに!! 500万スタートですわ!!」

「1000万出すぜ」

「ハッゲさんが容赦ない1000万! 続く人は居まして!?」


 い、っせん…………!? っというか、ハッゲさんお金持ち過ぎじゃない!?


「1200~僕もこれは欲しいっ!」

「1300出すぜ」

「1400!!」

「1500だ」


 ハッゲさん、ハッゲさん……!?


「ハッゲはアバター売りまくってるからねぇ~……」

「おう。シルバー産出が増えてアバターも高騰してるからな」

「1500万! ハッゲさんより出す方~!」

「いやぁ~ワイもこれは欲しい!! 1700出すで!!!」

「レイジさんが1700万! 他にいらっしゃって!?」

「頼むでぇ……!」

「居ないですわね! 1700万、レイジさんに決まりですわ!」

「よっしゃ!! おおきに!! ほんで誰に払えばええんや!?」

「リンネさんですわね」

「なんやて!? ええもん出しすぎちゃうか!?」

『レイジさんから【17,000,000シルバー】を受け取りました』

「ひゃわわわありがとうございまひゅ……!」


 やばばば、倒れちゃいそう。どうしよう、こんなに貰って……!?


「それでは次! 本来はメインの前でしたが14番! 【★殺戮回転・深淵なる黄金の指輪】! もうカードが刺さっている状態の指輪でしてよ!」

「状態異常5秒追加は痛そうやなぁ」

「どっちも5秒追加、ですか」

「与える状態異常の効果時間も5秒追加、受けるのも5秒追加なぁ」

「でもこれ、マスターがやられたって言ってたシャチのカードじゃないッスか!?」

「あ~これ、そうじゃない?!」

「そうだねぇ~……僕がやられたやつ~」


 あ……。次、また私のか……! これはさつりくしゃーちのカードが刺さってる、状態異常5秒追加の指輪だね! カード効果はスクリューアタック使用可能と、全ダメージ5%カットっていうやつ。


「全ダメージ5%カット!?」

「あ、本当だ~カード効果強くな~い?」

「先程のイヤリングと合わせると、物理は15%耐性を得ることになるのでしょうか」

「どうやろ、10%耐性で引いた後に最終を5%カットするかもしれへんな」

「そうじゃないと耐性系とカット系で揃えたら100%カットで無敵になっちゃうねー」

「強さがわかったところで、500万から行きますわよ!」

「ん~状態異常を与えるスキルがあらへん……」

「俺もねえな……」

「じゃあ~僕が600で~」

「お昼寝さんが600万ですわよ!」


 いやーこれ、デメリットの方が大きいように感じちゃうよね。状態異常が5秒伸びるのは、流石に辛いよ。幾らダメージ5%カットとか色々あっても、デメリットの方が大きく見えちゃうし。


「他に居ませんの~?」

「お、買えそう……? まさかの……?」

「600! お昼寝さんに決まりですわ!」

「やった~~~……!! 僕これ、メリットしかないから嬉しいなぁ~~!!」


 うーん強いカードが刺さってるとは言え、デメリットを皆嫌ったか~! ん? え、メリットしかない……? 状態異常が自分も5秒伸びるのが、お昼寝さんにはメリット? なんでだろ……?


「はい、リンネちゃ~ん」

「あ、そういえば私からって知ってましたね……ありがとうございます」

「んやぁ~あの時受け取った時に見ちゃって、その時から欲しくて欲しくて~!」

『お昼寝大好きから【6,000,000シルバー】を受け取りました』

「安く買っちゃった、ごめんねぇ~?」

「むしろ売れて嬉しいです!」


 でもなんでメリットなのか聞くのは、ルール違反だし……! もやっとするけど、でも欲しい装備が手に入ってお昼寝さん嬉しそうだし! いっかぁ!


「では急遽今リストに入った商品。皆様これが見たくて買い渋りましたわね? 【★★黄金の左手】!!!」

「おおおお……!!」

「すげえ。なんだこの性能」

「うわ、うわ、欲しい~……!」

「名前の割に銀色やんけ!」

「本当に名前の通りのスキルがありますのね……」


 それで! さっき黄金のアイツの死体を盾にくっつけたらイレギュラー化した、ミスティックレアリティの装備! これは凄いよ、自分では使えないのが残念だけど、凄いユニークな性能してるやつ!



【★★黄金の左手】(極上・ミスティック・左手用装備・空きスロット1【○】)

・【呪】左手に装備を持つことが出来ない

・【呪】外す際に1000万シルバーを消費する

・素手として扱われる

・スキル【黄金障壁盾】使用可能

・パッシブスキル【黄金の左手】習得

・パッシブスキル【金貨袋出現!】習得

・空き

 ――そんな手が、あったなんて……by意表を突かれた決闘者

 特殊解除・強化不可・装備登録者【――】・重量なし



 名前とは裏腹に、見た目は銀色の腕輪。左手で敵を倒した時に金貨袋(使用するとシルバーに変換される換金アイテム)がドロップして、どん太が持ってる【黄金の右足】同様にこっちは左手での攻撃時にクリティカル率とクリティカルダメージが上昇するスキルが使える。しかも黄金障壁盾っていうスキルも使えて、消費なしで金色のシールドが発生させられる! ただ、クールタイムは3分に3回までっていうストック消費型のスキルで、3分経たないと回数が返ってこないタイプみたい。装備詳細情報で知れたのは、このぐらいかな? 後は使えないから、実際の性能とかはわからない。

 あ、呪い装備の中ではスッゴイ珍しい外せるタイプだけど、外すには1000万シルバー消費するっていう……。なんか特殊な解除方法の装備なのも特徴だね。


「では、100万から行きますわね?」

「500万や!」

「レイジさん500万!」

「700万出すッス!!」

「赫さん700万!」

「950~」

「こよこよさん950万ですわ!」

「僕は1400万~」

「お昼寝さんが一気に1400万! さあ二度と手に入らないかもしれませんわよ! それに見たことありませんでしょう!? ミスティックレアリティ!」

「1600万~」

「エリスさんが1600万ですわよ! さあまだ居るかしら!?」

「2000万出すよ~?」

「お昼寝さんから2000万が出ましたわ!!」

「おいおいおいおい……」

「アカン、資金力の暴力や」

「いくら持ってるんッスかぁ~!」

「僕がPKで得た装備はぜーんぶオークション行きだもんね~」

「資金源が強すぎる……」


 あ、ぼけーっとしてました。2000万? 2000万って何? あ、お金のこと? わぁ……。もう頭が、ぼひゃーっとしてます……。ついていけないせかい……。

 うちのメンバーで着けられるとしたら千代ちゃんぐらいなんだけど、体術より剣術剣術! って人だし、どん太は装備系が全滅してるし、おにーちゃんはこれ素手扱いだから盾外したらシールド系スキル壊滅、うちで着けられる子誰も居ないんだよね。それにもうこれ以上増やすかっていうと、微妙……!


「2000万、決まりでよろしくって? 2000万!! お昼寝さんで決まりですわ!」

「やったぁ~~~! はい、リンネちゃん!」

『お昼寝大好きから【20,000,000シルバー】を受け取りました』

「ひゃわわわ……ありがとうございますぅ……!」


 あー! あー……! お昼寝さんに強力な装備が渡ってしまったぁ……! この性能で2000万なら、実は安いんじゃない?! ううん、いや2000万ってぶっ飛んでるわ、高いわ! それにしてもお昼寝さん、幾らお金を持ってるの!?


「お昼寝はさっきのガントレットの収入とアバターガチャの大当たりの収入もあるんやったなぁ……」

「あれ高く売れたなぁ~バニースーツ。3000万だったっけ」

「少なくとも今4000万近くは持ってたか。流石にもうねえだろ」

「どうかなぁ~~?」

「それでは最後ですわよ! はいわたくし500万!」

「は!? 紹介ぐらいせえや!」

「仕方ありませんわねぇ!? はい、最後はこれ! 【★ウルフカチューシャ】ですわ!



【★ウルフカチューシャ】(アバター・頭 or アクセサリー【その他】)

 わおーん!! これを装備すれば貴方も狼人間?! コスプレ用アバターアイテム!

 アバター性能・なし



 あ、そういえばこれがメインだった……! 今までの傾向からして、もう凄い値段付きそうなんだけど、覚悟しておかないと……。今私の所持金は~……4300万!? もうそんなに、ええ!? ええええ!?


「700出すの」

「レーナさんが700ですわ! はいわたくし900万!」

「それズルいやんなぁ!? ワイも用意してたで、1500や!!」

「1600出す~」

「一瞬で負けたで……!?」

「俺は2000出すぜ」

「絶対ハッゲに被せたくない。2200~」

「エリスさんが2200万ですわよ!」

「高すぎるッス……!」

「動物系の耳アバターはガチャから排出されていませんものね……」

「ヒドゥンすら無い疑惑~」

「じゃあ僕が2500出しちゃおうかなぁ~?」

「「「「はぁ!?」」」」


 え――――お昼寝さん、まだ、お金あるんですか……!? うそ、でしょ……!?


「流石にそんなに金がねえ……」

「エリスちゃんもまさか、お昼寝がまだ2500も持ってるとは思いませんでしたよぉ~……」

「わたくしが3000万出しますわよ!!!」

「ふっふっふ~……3300」

「ええ!? 3400!!」

「3500~。嘘じゃあないよ? 本当に持ってるんだぁ」


 ペルちゃ――――お昼寝さ……ほにゅ? んにゅ、よく言ってることがわかんにゃいです……。どうしよう、なんでそんなに持ってるのかなぁ~~~……。


「これだけの金が一体どっから……!? おい、まさか公式の方のオークションで出てた高額アイテム、殆どお昼寝か……?!」

「まさかなんッスけど、ひょっとして聖属性の短剣を出したのって、マスターだったりするッスか……?」

「そだよ~」

「ヒドゥンアバターのバニースーツがそうなら、もしかしてあの時のクラシックメイド服とか……」

「そうだよ~」

「もしかして、もしかしてなんですけれどね? 億行ってらっしゃる……?」

「それはどうかなぁ~?」


 お昼寝さん、どんだけガチャ運と宝箱運が、良いんですか……!? これが、ギルドマスターの運命力なんですか……!?


「あれあれ? 買えちゃう? 買えちゃうのかなぁ~~??」

『お昼寝が【挑発】を発動しました』

「こら~スキル発動させないの~」

「うわ。プレイヤーに挑発効くと、お昼寝から目が離せなくなるんだ……」

「これって別方向から挑発をそれぞれ食らったらどうなるんだ?」

「レベル高い方優先~? もしくは近い方だって~」

「降りますっ!! わたくし、今の手持ちで勝てる気がしませんの! 他に3500以上いらっしゃいますこと!?」

「勝てるわけがない……」

「無理、ですね。それにその可愛らしいのを着ける勇気が……」

「はい! 決まりですわ! くぅ、欲しかったですわぁ……!」

「やったぁ~~!!! はい、リンネちゃん!!」

『お昼寝大好きから【35,000,000シルバー】を受け取りました』

「うわ、ぁ……! ありがとうございます……!?」


 これで、7800万シルバー……。嘘でしょ、こんなに、貰って私……死ぬ? 死なない? 大丈夫……!?


「どう? どう? 似合う?」

「おお、良いじゃねえか」


挿絵(By みてみん)


 え、お昼寝さんアバター変えてるーーー!? ええ、それ、凄く良いですねぇ……!? 容姿で色々と破壊にも来てらっしゃいますね……!? すっごく、可愛いです……!


「あ~ん! わたくしもいつか、可愛らしい動物の耳アバターを……!」

「ペルちゃん、優雅判定を受けるといいね……?」

「はっ……!? そ、そうでしたわ……!」

「それでは、今回のオークションはこれで終わりだよ~。買った人も、買えなかった人も、次は出品したいって人も、ぜひぜひ次にまたつなげてね~」

「爆買いしたマスターが耳を揺らして自慢してくる~」

「んっ……いい。可愛い」

「良いもの買えて良かったッス! 次開催のときまでに、なんかいいものを拾っておかないと!」

「リーダーうみのどーくつ行かないですか!? ヘイト盾出るらしいですよ!?」

「あ~いいですね~。ちょうど8人集まってますし~」

「では、いい機会ですから、我々と半々でパーティを組みませんか?」

「あ~いいッスねぇ! 冒険魔術の半々で8の8で行きましょう~!」

「詳しい班分けは道中で。この時間昼なのは、8チャンネルにしましょうか」

「マスターありがとうございましたッス! また来るッスよ~!」

「またよろしくおねがいします。ありがとうございました、楽しかったです!」

「また~!」

「いってきゃーす!」

「気をつけていってらっしゃあ~い」


 解散になった途端、皆一斉にモチベが上がってダンジョンに突撃してっちゃった……。残ってるのは、サブマスとマスターだけになっちゃったね……?


「ハッゲ、たまには狩りいこ~? うみのどーくつ!」

「おう。行くか」

「ほんまか? ほなワイも行きたいわ!」

「あ~エリスちゃんは迷ってます、どうしようかなぁ~」

「わたくしも行ってしまいましたわ! それにちょっと調べたいことがありますの」

「ん……行った。やることない、リンネ、一緒になにか、する?」

「え、ほわ、何かして遊びますかっ!?」

「あ! じゃあエリスちゃんは~……気になるけど、うみのどーくつ行こうかなぁ~? リンネちゃん、ごめんね! また今度ね!」

「はい! また今度です!」


 お~。珍しくハッゲさんが狩りに出るんだ! お昼寝さん、レイジさん、エリスさんが一緒の4人パーティ! うみのどーくつダンジョン、お昼寝さん達もシャチ狩り出来ると良いけど、難しいよね流石に。


「あのシャチ、倒せそうなんだよね~これの性能次第だけどさ?」

「ああ、さっきの黄金の左手か。銀色なのに黄金……なんか納得行かねえ装備だなそれ」

「ほんまやで! でもあくまで黄金なのは左手、装備はいぶし銀っちゅうことちゃうか?」

「そういう解釈もあるか……」

「じゃ、行ってくるね~? リンネちゃん、レーナちゃん、ペルちゃん~また今度遊ぼうね~」

「は、はい! お気をつけて!」

「いってらっしゃいまし~!」

「てららぁ~」


 あーさっきの左手装備、行けるのかな……。それにダメージ1族を200削り切る方法とかあるのかな……? もしかして毒? アレに効くのかなぁ……。


「あーちゃ……リンネさん、わたくしはさっき送られてきたこの部品を、ちょっと調べてみますわね! ごめんなさい、どうしても興味が」

「あ、それ! うんうん、わかった! それとこれ、返すね」

「はいっ! 鑑定がまた必要になったら仰って? ではレーナさん、あー……リンネさんをよろしくお願いいたしますわ!」

「んっ……ばいばい」

「いってらっしゃい~……」


 ペルちゃんがゲーム内に居て別行動なの、何気に初めてかも……。でもレーナちゃん先輩と一緒だからね! 寂しくないっ!! ソロで砂漠に行くより全然マシ!


「どこ、行く?」

「そうそう! レーナちゃん先輩」

「レーナ。レーナちゃん」

「れ、レーナちゃん……で、いいんですか!?」

「いい。むしろちゃんの後に先輩、変。好きだけど」

「じゃあ、レーナちゃん! 一緒に砂漠にいきましょう!」

「…………ゔぇえええ…………」


 え、すっごい嫌そう。砂漠駄目ですか!? 駄目なんですかぁ!?


「でも楽しそう。行く」

「良かったぁ!」

『(*´ω`*)』

「あ…………。気が付かなかった。居たんだ」

『(´;ω;`)』


 ああ、おにーちゃんそういや居たわ……。うん、見事にインテリア状態だったよ、おにーちゃん。潜伏の才能があるよ……。じゃあ、砂漠! 行ってみよっか!! まずは全員集合をかけようかな、流石に千代ちゃんとかお腹ぱんぱんになってるでしょ……よし、ステータスに満腹って付いてるね。トルネーダさんも……ああ……ああ!? 泥酔!? 嘘でしょトルネーダさん!? ローラちゃんも泥酔!? 何やってるのあの人達ーーーー!? お酒飲んじゃったのーーー!?



※お昼寝の容姿を僅かに修正。髪色の変更

※お昼寝のぺったんこがデカいように見えるのは詰め物と思っておいて下さい……!(

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