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524 Reginleif・3

「うわーびっくりしたー。フリオニールさんが吹っ飛ばされて来たけど、そんなに強敵なんだー……?」

「あ、すみません、それはその……千代ちゃんが蹴っ飛ばしました」

「こ、此方は、おばけ殿の移動が遅れてはマズいと……その……」

『)ヽ´ω`(』

「ああ~なるほどね~……?」

『あらあら、でもダメージは受けていないから、良いんじゃないかしら』

『全軍退却完了、ね? ねえねえリンネちゃん? 撫でても良い? 良いわね?』

「え、あ!?」


 急に撫でないでくださいよミーシャさん!? とりあえず最初の衝突に概ね勝利しただけで、まだまだ気を抜けない状態なのは変わりないんですからね!?


『その容姿なら撫でたくなるのも無理はないわね』

『そうでしょう? ちっちゃくて猫耳で、可愛いわ』

『孤児院のちびっこじゃないんだから、いきなり撫でられても反応に困るだろ』

『あら、それもそう、ね?』

「では次は此方が」

「え!?」

『(;´∀`)』

 

 なんでこんなに撫でられるのよ……。ちょっと自分の姿を確認したくなってきたわ、アバター変更画面で確認してみよう……。


挿絵(By みてみん)


 うーん、見事なまでにリアちゃんと私が半々に混ざってるって感じの容姿だわ! なるほどね、リアちゃんを撫でたくなる要素が少し反映されてるからついつい手が伸びちゃったのね。それならうーん、少し納得しちゃう! でも千代ちゃん、真顔で撫でるの怖いからやめて!?


「いや~リンネちゃん、凄く言い難いことなんだけどね?」

「あ、臭いですか? 臭いですよね、ごめんなさい……」

「謝らないで、なんかその容姿で謝られると罪悪感が凄いんだぁ~……? あれ、エリス? どうして固まってるのかな~?」

「…………かわいい」

「え? さっき見送った時には既に猫ちゃんだったのに、気が付かなったの~?」

「かわいい!! リンネちゃん可愛い! ちょっとちっちゃい、あれリンネちゃんって未成年だよね? リアちゃんが憑依してるの!? リアちゃんと足して割ってギリギリロリだよね、ロリだ! ロリっ子だよね!? 吸うね!? あ、う、オェ……!!」

「今臭いって言ったばっかりなのに……」

「ご、ごれ、じき、の、こと……!! 臭い、が酷いぐらい、で、吸うのを諦めな……うおぇえええっ……!!」


 そっか、エリスさんはお昼寝さんのことばっかり心配して見てたから、私がリアちゃんを憑依した時の容姿を見てなかったんだ。それにしてもエリスさんがガッツリ嘔吐しかけるレベルの臭気、これはヤバいなあ~……。どうにか対策をしないと……。


「臭い対策に装備を増やす、交換するのは正直嫌なんですよね。感覚にダメージを受けるだけで、生死に直結するようなものではないですし。だからってこのままでは嫌悪感が凄まじくて戦うのが辛いですし、どうしましょう」

『防汚ポーション? コーティング? どう、どう?』

「確かに、グリムヒルデちゃんの案はアリだな。防汚ポーションとかでコーティング出来れば……」

「フィールド全体が臭すぎて、自分に付着しなくても臭いんです……」

「おーう……」

「ほな呼吸止めるしかあらへんがな!」

「レイジ~それじゃ死んじゃうって~」


 息を止める、なるほど……。臭気の根源を断つのが難しいなら、そもそも感じないようにしてしまえば……。


「にゃ! 良いですね、殺しちゃいましょう!」

「んなアホな!?」

「リンネちゃん……」

『物騒だわ。とても怖いわ、ね? ね?』

『ど、どういうことですか。貴方は少し、説明を省きすぎるところがありますわ』

『あらあら、殺されてしまうわ』

『なるほど、頭の回転が早すぎるのか。一緒に行動していたら振り回されっぱなしで大変だろうに。よく従者が追従してくれるものだ』

『(*´∀`)b』

「もう慣れましたので」

『(お姉ちゃん説明端折りすぎ~!)』

「え、あ、あっ、あの、ほら、お昼寝さん!!」

「なんで僕なのーっ!?」


 そうよ、お昼寝さんよ! お昼寝さんに頼めば良いのよ! わかってくださいお昼寝さん、貴方が頼りなんです。お願いします、今説明しますから!!


「痛覚遮断の毒薬みたいに、嗅覚遮断の毒薬みたいな神経毒で、一時的に臭気を感じない体にしてはどうでしょうか! 状態異常回復などで解除されるかもしれませんが、パーマネンスで固定すれば簡単には嗅覚が復活しないと思います!」

「あ、それなら僕の仕事だ。ふっふっふ、任せてよ~」

『なるほど? お鼻を、えいってするの、ね?』

『ミーシャ、鼻を潰すわけじゃないのよ。聞いていた? 薬、お薬を使うのよ』

「オデ、オクスリ、スキ」

「モロトフ君、今大事なところだから」

「あ、すません……」

「あっ!! 領域内で動きがありました! 緑の呪いが形を変えてます……取り込んだ人の中でも、強かった人を再現してるのかもしれないです!」


 むむむ、こっちが退避したら向こうも対策してきたか。流石に何にもしないでぼさーっとしてるわけないか。出られない、領域外からは敵が来る、ならば迎撃する方法を考えるに至るよね。


『厄介だ。手数が足りないと判断して手を増やしたか』

「急いで作らないと、嗅覚遮断の薬!! 僕に任せて!!」

「ほな、臭くても平気な奴はワイについてこいや。増えた手数潰しに行くで」

「おう、行くか」

「くさいのむり~」

「ユキノも臭いのは辛いです~」

「わっちは別に、問題な」

「じゃあユキノも行きまーす!」

「なんでわっちが行くって言うとついてくるんだよ!!」

「ふっふっふ~」

「わたくしも行きますわ! アイギスさんからようやく修得出来た新スキル、ここで初披露ですわ!!」


 臭くても平気な組が手数を減らしに行ってくれるみたい。緑の呪いの再現体はスキルや装備を再現出来たとしても、思考までは再現出来ないはず。サブブレインに乗っ取られるリスクを排除したいはずだから、メインブレインオンリーなはずなのよね。

 つまり、強い個体を再現したとしても、なぜその個体が強かったかまで理解していなければ扱いきれない。所詮は他人から奪った力、私達みたいに積み重ねて強くなったわけじゃない。強さへの理解が足りていない相手になんて、絶対に負けたくない。


「がんばれ~」

「ほな、行ってくるで!」

「あ、僕も行きまーす!!」

「もってぃ大丈夫か? 従者が凄え顔してるぞ?」

「大丈夫大丈夫、皆オッケーって言ってたもん!」


 もってぃも行くんだ、不安だ……。不安だぁ……。


「攻撃はかなり苛烈です。単純な攻撃の繰り返しですが、対応に失敗すれば大変なことになります。気をつけて!」

「おう!」

「ほらほらエリス手伝って~。吐かないよ~」

「うおぇ……! エ、エリスちゃん、臭いの、ちょっと……!」

「私が手伝う~」

「レーナちゃんありがとねえ~」

「今のうちに、再突入時の作戦を練りましょう。私も次の突入では本気を出します」

『えっ』

『え……?』

『さっきのは、本気ではなかったのかしら』

『驚いた、ハッタリじゃないだろうな?』

「いえ、まだ大魔術とかを使っていないので。次は本気で殺しに行きます」

『(;´∀`)……』

「此方も、あれ以上は見たことがありませぬが……?」


 再突入時は本気で行かないと。さっきは様子見で軍神とシャパリュの力だけで行ったけど、殴った感じマジックカウンターとかは検出しなかった。


「最初から本気で殴ってカウンターを受けたら、それこそ復活不可能な大打撃を受けてしまうので。カウンターを受けてもギリギリ生き残れる力で殴りました。脅威となる反撃は恐らくない、あるなら体を持っていかれる前に絶対に阻止するべく反撃しますからね」

『その、本気だと、どうなっちゃうのかしら、ね……?』

「パーマネンス!」

『【パズルカウンター】が発動……クリアしました。【パーマネンス】が解除されました』


 だから次は容赦なし、本気の本気。軍神とシャパリュに加えてもう二つのバフ……これが、バグなんじゃないかと疑う程に強かった悍ましいビルド構成よ。


「我が魔力よ、森羅万象の力となりて敵を討たん。剣となれ、槍となれ、斧となれ、色鮮やかなる百の花となれ!! 森羅万象、百花繚乱!!」

『大魔術【森羅万象百花繚乱】を発動、全ての攻撃に全属性魔術の追撃が発生します』

『まあ、その術は……!』

『つまりさっきの攻撃全てに、魔術で追撃が発生するようになると。頭が良いわね、これが本気なのね』

「モードチェンジ」

『え?』

『隠し武器スキル【モードチェンジ:シャパリュの双腕】を発動、にくきゅースタッフが猫又節棍(にゃんせつこん)に変形しました』

二打連撃形態(にゃんだふるもーど)

『【二打連撃形態(にゃんだふるもーど)】を発動、直接攻撃が二連続ヒットになります』

「マナよ、力を! マナサクリファイス!!」

『【マナサクリファイス】を発動、MP最大値が半減し、STRとAGIが激増します』

「マジカルコンバート!!」

『【マジカルコンバート】を発動、全ての魔術ダメージが物理ダメージに変換されます』

「パズルカウンター・パーマネンス!!」

『【パズルカウンター・パーマネンス】を発動、パーマネンスの解除に設定したパズルの解除が必須になります』


 直接攻撃時、二連続ヒット。これが箒の効果で4ヒット増加で8ヒット。この8ヒット全てに属性魔術の追撃が発動する。その追撃は全て物理ダメージ扱いになり、更に装備のセット効果を物理攻撃重視の構成に直せば……!!


「これで、行きます」

『絶対戦いたくないわ、ね?』

『なにその、魔術師を極めて武人をやるような……』

『二節棍、使いこなせるのかしら……?』

『可愛いデザインの二節棍だ。ほら、両方の先端に肉球が付いて……つ、爪も付いてる。まさかこの武器は……』

「剣術、打撃術、格闘術、魔術、様々なスキルに対応してます。この強みを存分に活かそうかと思って」

『(^Д^)……』

「リンネ殿、申し訳ないのですが……。どの程度扱えるものなのか、手合わせを……」

「ん? 良いよ、ただし一発でも当たったら千代ちゃんと言えどもただでは済まないよ」


 この二節棍武闘型魔術追撃ビルドがどれほど強いのか疑問なのね? 良いよ、試してみたいなら相手になってあげよう。今の私の30万超えのSTRとAGIから繰り出される一撃、耐えられるかなッ!?


「行くよッ!!」

『【シャパリュの剛脚】【魔神斬滅驟雨】【魔狼掌底砲】を発動』

「え、ま……!?」

『姫千代が【乱華剣舞】を発動、相殺失敗! クリティカル! 魔術追撃! 姫千代が667Gダメージを受け、HPダブルブレイク! HPが最終ゲージに突入しました』

「お、ごっ……!?」

『……見えた?』

『ちょっとだけね』

『見えたけれど、対応できるかと言われると、疑問が残るわ』

『これでは防御で精一杯だ、こんなインチキな戦い方があるのか……』

『(*´ω`*)!』

『(お姉ちゃん、ちょっとは手加減しないとダメでしょっ!!)』

『(あ、ご、ごめんなさい……)』

「ご、ごめん千代ちゃん! 大丈夫……?」

「…………この戦いの後、稽古をつけてくれませぬか? 此方は、負けたくありませぬ」

「う、うん……。リアちゃんが良ければね……?」

「この通り、この通りに御座います……!!」

『(わ~土下座までしないで~っ!! 大丈夫、付き合ってあげますから!)』

「感謝致しまする……!!」

『あ、俺も……』

「おにーちゃんもね……。うん、とりあえず緑の呪いをなんとかしてから、ね?」


 ちょっとやりすぎたかも。でもね千代ちゃん、私はリアちゃんが憑依してるから実質2対1なのよ? そこまで落ち込まなくても……。


「――っくぅ~!! アカンで、臭いはかなり耐性あるほうやと思っとったが、これはアカン!!」

「うげえ……! わりい、数発大技打って退散だ」

「つみれが憑依してるのに、だ、ダメだって……」

「やっぱりユキノも無理です~!! でも斬り飛ばして来ました~!」

「あれ、従者は帰ってきたのに……もってぃは?」

「あのアホ、臭すぎて耐えきれんで殴る前にログアウトしよったで!! ほんま何しに来たんやアイツ!?」


 ええ……。もってぃ、ええ……。ええ~……。せめて殴ってから、強く殴ってから死のうよ……。本当、何をしに行ったのよ。臭いを嗅ぎに行ってぶっ倒れただけじゃん……。


「お~帰ってきた~。ほらエリス、ゴー!」

「う、臭そう……。く……さ……臭くない!! 凄い、無臭だよ~!!」

「お昼寝さん、これで量産しましょう」

「もう少し安価な素材で配合出来ない? この素材無駄じゃない?」

「モリヌスティンの花を入れないと、ハルファマイトが安定しないからダメだよ。代用品は未だに見つかってないから抜けない」

「あ、そっかぁ……」

「ハルファの代わりないの?」

「ない。これ抜いたら状態異常レベルが激減して臭い貫通する」

「素材が高価過ぎますね……。あまり量産は……」

「これが金運壊滅の呪いの効果か~」

「いや絶対違うって」

「ブツブツ言ってないで手を動かしてよ。人数分作らないといけないんだから!」

「あーいすんませーん」


 おお、お昼寝さんと錬金術系の生産職のメンバーさんが毒薬を完成させたみたい! でも素材が高価なのかー……。パーマネンスで効果を固定しても死んじゃったら効果切れになるだろうし、何回も頼ってられないね。なるべく死者を出さず、確実な方法で緑の呪いを回収しないと……。


「あ!! 緑の呪いがこちらの位置を特定して、入ってくるのを待ち構えてます~!!」

『場所の移動、提案。どう? どう?』

「グリムヒルデさん、お願いできますか? 設備を移動しないといけなくなりました! 皆さん、大丈夫ですか!」

「もうちょっと待ってー!!」

「後2本作るからそれまで!」

「緑の呪いが消化しきれてないからまだ!!」

「わかりました、準備が出来たら移動しましょう!」


 出待ちまで覚えたか。当然といえば当然、しかしこちらは領域内の様子がわかる。なら、安全地帯を広げてどこから出てくるかわからないようにすればいい。的が絞れなければ出待ちの効果は薄いし、なんなら出待ちをするのに戦力を分散させては奇襲による一撃に対応出来なくなるはず。出待ちは無駄だと理解させてやらないとねえ……。


『……私達も、変わらないといけないわ、ね?』

『そうね。凝り固まった古い思考では、いけないわ』

『あらあら、私は新しい風を既に取り入れていますよ? 時代遅れにならないようにね?』

『来てよかった。緊張する戦いだが、一緒にいて楽しいと感じる』


 師匠組も何か話してる……。四人とも見た目麗しいお姉様達だから、談笑してるだけで絵になるなあ……。


『きゅぅ~ん……。わうぅ……』

『わうっ!! (元気だして!!)』

『あうぅぅ~~……』


 モチちゃん、くちゃいくちゃいでダウンしてる……。大丈夫、すぐに臭い対策が完成するからね……。もうちょっとだから……。


『わうぅぅう!! (ご主人、こっち来ないで!!)』

「えっ」

『わうんっ!! (くちゃい!!)』


 どん太に臭いって言われた。もうダメです、心にダメージが、とてもつらいです。緑の呪いに攻撃されるよりもダメージが入りました。メンタルがブレイクしました。メンタルゲージが最終ゲージに突入しました……。

ご愛読ありがとうございます!

第一巻の発売を記念して、キャラクター人気投票が開催されております。

詳しくは私の活動報告から、奮ってご参加くださいませ!!

更に、100件の投票毎に非公式企画とはなりますが、私の方からお礼の気持ちと致しまして追加のショートストーリーを掲載致します! 皆様のご参加をお待ちしておりまーす!

第一会場はコメント限界に達したため、投票は第二会場に移動しました。

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