表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

502/601

499 本当

 今日はなにもない素晴らしい一日だった、なんて日がたまにはないものかな。今日はメルティスの強襲によってカーミラさんが大変なことになってしまったし、その結果初狩りに遭遇して一網打尽にしてやろうとしたらもっと大事になってしまったし、悪事を働いていた奴らと勘違いされて殺魔さんと死闘になるし……。


「ふわ、あぁぁ……」

「カーミラちゃん(・・・)も髪が長いから、ちゃんとお手入れしないとね!」

「わざわざお風呂に入らなくても、回復魔術でよろしいのでは?」

「あ~エスちゃんってばお風呂嫌いなの~? 確かに髪が傷んだら回復すればどうにかなるけど、綺麗にするにはお手入れしないとダメなんだよ~?」

「そう、ですか。エスの髪は別に、綺麗でなくても……」

「お姉ちゃんの従者が見窄(みすぼ)らしい容姿をしてたら、恥ずかしいことなの!!」

「わ、わかりました。申し訳ありません……」

「あ゛あ゛……。ハードな訓練の後の風呂は、良いな……」

『これからは逆に私が体に負荷をかけてトレーニングします。お覚悟を』

「いやだ……いやだ……」

「ほらマリちゃん、千代ちゃんのこの逞しい健脚を見習って? 拝んで? 崇めて?? せめて自分の体ぐらい自分でコントロール出来るようにしよう?」

「少し筋力をわけてくれ……」

「努力せねば手に入りませんよ。偽りの筋力にはいずれ裏切られます故」


 真弓にも聞かせてあげたいね、今の言葉!! 偽りの筋力にはいずれ裏切られる、良い言葉だよ! 名言だよ名言!!

 いやー魔神殿のお風呂だとなんとなく他の人が入ってきたら嫌だなーって言ってたら、それじゃあ黄金郷に即席で露天風呂を作ろうってことになって。リアちゃんが火と地の魔術でちょちょいっと作ってくれて、デロナちゃんが冷気が入ってこないように障壁で保護して、あっという間に快適な大浴場が完成しちゃった。

 それにしても、こんなに賑やかなお風呂タイムになるとは思わなかった。千代ちゃんやマリちゃんが『あれ、どこにいるの?』って聞いてきたから場所を教えたら一緒に入りたいって言うからティアちゃんに迎えに行って貰って、今は従者全員でのんびり賑やかにお風呂タイムよ。


「それにしても、このタオルは不思議だな。異界人に見られる可能性がある場合は、体に張り付いて絶対に離れないのか」

「ま、まあ、うーん、仕方ないことなの……。一人で入る時は、こうはならないんだよね?」

「ならないな」

「此方は何度も一糸纏わぬ姿をリンネ殿に見せております故、このようなものは不要なのですが……ぐぬぬぬ……っ!!」

「無理に破こうとしないで……。無理だから……」

「ぐむむむむむむっ!!」

「きっと、お風呂の神様が世界と約束しているんですっ!」

「お風呂の神様……いるのかなぁ……」

「きっといます~!」


 ティアちゃんはサラッとお風呂の神様なんて言ったけど、いるのかなぁ……。本当にいたらどんな権能を持ってるんだろうね? お風呂の温度を司ってたりするのかな……。


「カーミラちゃんは髪の毛サラサラですね、私と似てるけど私よりサラサラかも」

「ボリュームが出るようにお手入れした方が良いのかな?」

「せっかくなのでサラサラを極めたいですよね!」

「エスちゃんもサラサラ極める~?」

「エスは、そういうのは、よくわからないので……」

「しかし、改めて見るとやはり、大きいな……リンネは……」

「え? マリちゃんとそんなに変わらないでしょ」

「いや、我より10かそれ以上は大きいな。間違いなく」

「…………リンネ殿、前より大きくなられていませんか?」

「え? むしろ小さくなってるはずだけど」


 いやまさかそんな、前にバビロン様に少しでも寄せる為にってバストを100に設定したんだから大きくなってるはずないじゃんね。リアルモジュールアバター設定を維持するの項目にチェックを入れてるから、リアルタイムで多少の誤差が出るかもしれないけどさ。

 

「確かに、いやどうだろうか……」

「ティアは大きくなりましたー!」

「ティア殿は無意識に容姿がリンネ殿の好みに合わせるよう変わっているようだと、以前聞いたことが御座いまする」

「あ、それは間違いないと思う。それがティアちゃんの性質だから」

「リンネ様も、間違いなく大きくなってます!!」

「え? いやそんなはずは……」


 うーん、そこまで言うならちょっとステータスをチェックしてみようか? 個人情報の詳細表示から確か見ることが出来たよね。えっとステータスを開いて……あったあった、この折りたたまれてる項目を表示して~…………!?


『身長168.8センチ、バストサイズ105、ウェスト65、ヒップ9――――』

「いっ……!?」

「ああ、大きくなってましたって顔だな」

「やはり、大きくなって御座いますね」

「大きくなってるんですね! 凄いですリンネ様~!」

「な、なんで!? なんで……!?」


 嘘でしょ、なんでこんなに大きくなってるの!? しかもこれ、当然のようにバストサイズがマイナス2センチの状態だし、リアルで107もあるの!? ど、どうしてこんなことに……。太った……? 太ってる……!?


「ひぃん!? なんで急に触るの千代ちゃん!?」

「筋肉質になられておられますから、胸筋や背筋の分で大きくなられたのかと」

「ああ、つまりリンネの立派な風船が膨らんだわけじゃなくて、筋肉が太くなった分大きくなったってことか」

「なるほどです~! 納得です~!」


 トレーニャン……? まさかトレーニャンの方針に従ったから、いやでも、体脂肪率は落ちてて順調だったし体重もそんなに変わってないから……。太ったわけじゃなくて、筋肉が太くなった分が反映されてるってこと、だよね……? 本当にそうだよね!?


「それにしても我々は、大きいか小さいかのどちらかしか居ないな」

「此方は並かと」

「姫千代さんで並だったら、ティア達は皆小さい方に分類されますね!」

「千代ちゃんは十分でかいでしょ。あ、めーちゃんが割と普通サイズかな? 小さい方だけど、あるほうだし」

「メルメイヤ殿は確かに、彼女もまた筋肉質に御座いましたね」

「は、はい!? いえ、メルはそんなに大きくないほうだと思います!」

「え゛、あ! いつから来てたの!?」

「えっと、カーミラ様が髪をお手入れされ始めた辺りからです!」


 いつの間にめーちゃん来てたのよ、びっくりした~……。カーミラさんの髪の手入れって、5分前ぐらいかそのぐらいかな? 結構長い時間気がつけなかった、ごめんねめーちゃん!


「メルメイヤ君も、脱いでお風呂に入ったら良いんじゃないか?」

「いえ、まだまだ修行中の身! 忍耐を極めよと言われておりますので!」

「忍耐に御座いますか。蒸し風呂に入ってからは此方もかなり鍛えられました」

「サウナ、ティアも大好きです~! お水のお風呂に飛び込むのも大好きです!」

「私も絞るのに、サウナ行こうかな……リアルで……」

「リンネ殿はそのままがよろしいかと」

「リンネ様、ぎゅーって絞られちゃうんですか!?」

「ああ、絞るっていうのは体型を引き絞るために運動をするとか、そういう意味さ」

「そうなんですね! 勉強になります~!!」

「メルも、自己流の忍耐を極める為にサウナを利用させて頂いてもよろしいですか?」

「うんうん、全然良いよ~いっぱい使って~?」

「はい、ありがとうございます! リンネ様!」


 めーちゃんは忍耐を鍛えてる最中かー……。忍者たるもの、時には耐え忍ぶのも必要になるだろうからね。忍者はどうもきぬちゃんやフーマモンみたいに派手に暴れてるイメージがあるけど、本来は諜報活動や暗殺なんかに長けてるはずだし。むしろ術をバンバン使って暴れてる方が異常なのでは?


「ところで、リンネ様!」

「うん、どうしたの~?」

「メルに与えられた任務は、いつまで続ければよろしいでしょうか!」

「うん?」


 え、めーちゃんに与えた任務? 忍者を全職業マスターしようねって方針についてかな? それはもちろん、全部のレベリングが終わってレベルが801になるまでじゃない?


「忍者を全部マスターするまで、まだまだでしょ?」

「いえ、マリアンヌ様から預かっております子機にて撮影をせよ、との任務の話です!」

「…………」

「待ってくれメルメイヤ君、子機は今、どこに……?」

「忍法隠匿の術で隠しております! ここに!」

「…………今すぐ止めてえええええええええええええええええええええええ!!」

「わあ!? あ、落と……!?」


 ――――ちゃぽん……。


「ぎょああああああああああ!?」

「どうしてそんなに焦ってるんですか~?」

「此方にもよくわかりませぬ」

「早く、上がって!! めーちゃんカメラ探して壊して!!」

「は、はい! 今すぐ!!」


 嘘、嘘、嘘、めーちゃん!? めーちゃん嘘でしょ!? 今の今まで、撮影して放送してたの!? 嘘でしょ!? 嘘だよねえ!? 実はドッキリでしたーって、まって掲示板……!! 掲示板にもしかして、いやまさかそんな……!!


「ああああああああああああああああああああああああ!!」

「お姉ちゃんどうしたの~?」

「リンネさん……? お風呂が、熱かったのですか……?」


 掲示板が、掲示板が大変なことになってるううううううううう!! 無理、もう、人前歩けない……。お風呂、生放送、ああ、あああああ……あああああああああああああああああああああああああああああ……!!


「オワッタ……オワッタ……」

「あ! ありました! 破壊しました!!」

「ウン、アリガト……」


 どうして誰も教えてくれなかったの、放送中だって……。フレンドほぼ全員落ちてる、お昼寝さんすら寝てる。ユキノさんはプライベートエリア、ヘルミナ様とお話してるんだ……。ああ、終わった……! 私、終わった……!!


「…………もう、外、歩けない」


 現実を直視したくない。悪い夢、これは悪い夢なんだ。きっと何かの間違い、運営がきっと放送を止めててくれてる。私はまだ終わってない、終わってない……。終わった……。どこまで酷いことになってるのか、確認しなきゃ……。したくない……。終わった……。


「終わったぁ…………」


 へるぷ、みー、きゅうせいしゅさま……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91yBAKrtvML._SL1500_.jpg
本作をご覧頂き誠にありがとうございます
 宜しくお願いします!
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
アース・スターノベル様より出版させて頂いております!
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ