482 あまりにも衝撃的
『喋り方は変な奴ではありましたが、なるほど実力は遥か上。幅広い戦闘技術という点ではアレをベースにするのは間違った選択ではありませんね』
「風魔忍の基礎をマスターした後になっちゃって申し訳ないんだけど、次の教官をお願いしますね、アイナさん」
『承知。リンネ殿の従者から弟子を取れるなど光栄の極み』
そう、実はさっきのフーマモンとめーちゃんの手合わせを見ていたのは私だけじゃなかったんですね。生命研究所の忍者ガール、アイナさんもバッチリ見てたりして。理由は当然、めーちゃんの次の転職先を伊賀忍にするため。各流派について知らない状態で転職すると陽炎、朧なんて名前になるけど、それぞれ流派があることを理解してから転職すると『風魔忍』『伊賀忍』になれるみたいなのね。これはきぬちゃん情報。
「甲賀忍のマスターについては……」
『存じ上げませぬ。しかし、我が父ミツヨシによれば隠れ里から出るような者ではない、と』
「隠れ里かあ……」
『甲賀忍の他にも、仙術や霊術の師もお探しになられては?』
「仙術と霊術ねえ……ああ! 居るわ!!」
『え、いらっしゃるのですか……? 私達も是非、仙術と霊術について学びたいのですが……』
「うんうん、ちょっと確認してみるよ。どこかで待ってて貰っても良いかな?」
『では、ローレイの魔神殿にて鍛冶師殿の手伝いをしております』
「わかった、ありがとうね!」
『いえ、では』
甲賀忍を見つけるまでは、仙術と霊術を学ぶのも良いか~……。仙術はメイナちゃん、確かバビロニクスのカジノで昼間はバニーガール、夜は稼いだお金でカジノで遊んでるって聞いたんだけど……。霊術は勿論あの人……人? 麒麟で決まりよね。なるほど、めーちゃんの育成プランが固まってきたね!!
あ、そうだ。千代ちゃん暇かな? 同郷の人を説得するのにはやっぱり、千代ちゃんを連れてった方が絶対にスムーズだと思うんだよね。ちょっと呼んでみよう。
『(千代ちゃ~ん、お暇~?)』
『(リンネ殿のためであれば何時でも何処でも何をしていても参りまする!!)』
わあ、それはちょっと重いかも。自分のしたいことはちゃんと優先して欲しいかなーって、凄く嬉しいけどね!
『(メルメイヤちゃんとアイナちゃんの師匠になって貰うのに、メイナちゃんと麒麟を説得したいの。あとはね、甲賀忍を探してるとこ)』
『(それならば何も問題なく二つ返事で承諾を頂けると思いますが……あ、甲賀に御座いますか? それでしたら、母上が甲賀忍で御座いますが)』
え゛っ゛。
「…………ッスゥー……。ん……?」
『(リンネ殿?)』
『(え、ちょっと待ってどういうこと……?)』
かなり探してたんだけど甲賀忍、それがそんな『あ、此方の母上は甲賀忍に御座いますが』なんて軽く、ええ?
『(ちょっと待って、そっち行くから。今は、黄金郷のサウナでしょ?)』
『(え、あっ! ど、どうして……!)』
『(多分そうかなって……。まあ一緒にサウナでも入りながら話を……アイナちゃんも連れてって良い?)』
『(ええ、あっ、くぅーん……)』
なぁに、その露骨に二人っきりじゃないのが残念みたいな反応。まあ私もこんな反応が帰ってくるだろうなと思ってわざと言ったんだけどね! 私は悪い子なので。
『(アイナちゃんそういえば遠出出来ないんだった、先に時間がかかるって言ってからそっちに行くよ)』
『(左様ですか! で、では、お待ちしておりまする!)』
露骨に喜んじゃってもう、可愛いね。どれどれ、アイナちゃんを待たせっぱなしになると嫌われちゃうかもだし、一応伝えてから向かおうね。時間が掛かるけど承諾は得られるよってね。さてさて、めーちゃんは早速稽古を付けて貰ってるのかな? 早速だけどステータスとか状態を確認させて貰おうかな、UIからコミュニティを選択してー…………?
『重要なメール:魔神バビロンよりメールが届いています。添付物アリ』
バビロン様から、めめ、めめめ、メール……!? 添付物アリ!? いや当然開くけど、ギルド会議中だったから確認遅れちゃったんだ! ごめんなさいバビロン様、今拝見させて頂きます!! メールボックスから引き抜いてー…………ん?
『リンネ~♡ 昨夜派手に暴れたみたいね、お嫁さんが沢山で大変ね♡ あのね、カーミラのことなのだけれど、カーミラは前世の記憶はハッキリ覚えていないの。そしてヘルミナとは全然合わなくて……きっと、リンネにたっぷり依存すると思うわ。もしリンネが迷惑なら遠慮せずに言って欲しいの、ほら、憧れであり目標だったカーミラが急にグイグイ来て、ちょっと困っちゃう~……でしょ? もしカーミラを受け入れてくれるならとても嬉しいけれど、半端な気持ちで受け入れたらきっと後悔するからそこは覚悟して欲しいの。だから、正直に聞かせてね?』
『取り返しの付かない選択:満月の女王カーミラを【従者】として正式に加入させますか?』
「なるほどね」
この件を確認する為のメールだったのね。てっきり恋文が遂に届いたかと思ったわ。まあでも、このメールはバビロン様にしては遅すぎるね。バビロン様なら、ね。
「もう受け入れ済みですよ、カーミラさん」
『満月の女王カーミラを従者として正式に加入させました。カーミラは貴方を生涯唯一の主君として崇拝し、溺愛し、奉仕します。カーミラが婚姻を求めています……保留が選択されました』
「隠れててもバレバレですよ、差出人まで偽装して……」
「ど、どうして、そこまでバレてしまうのですか……? 各方面に相談して完璧に偽装して干渉したのに……」
「覚えておくと良いですよ、カーミラさん。バビロン様のお手紙からは、仄かなローズの香りがします」
「えっ……」
カーミラさんなら、このタイミングでこの手紙を出してくるでしょうね。私が完璧に一人っきりになったこのタイミングで。全く、本当にあの手この手でアプローチして来るんだから。クールビューティーな容姿に反して、デレデレになるとぐいぐいアプローチしてくるポンコツお姉様になるギャップ、可愛すぎませんか? 反則ですよ?
「香水も、真似したはずなのですが……」
「この香水だけじゃないんです。バビロン様特有の、ふんわりとした香りが足りないんです」
「そこまで嗅ぎ分けられるだなんて、どん太君でさえ一緒と言っていたのに……」
「どん太もまだまだってことですね。それに言ったでしょう? ティアちゃんが先、カーミラさんはその後ですって」
「むむーっ……」
ほっぺたをぷくーっと膨らませて抗議してくる、これが神域に君臨する吸血鬼の姿ですかあ……? それより、添付物の方はなんですか……?
「あ、私の隠し宝物庫から至高の護符が一枚を差し上げようかと思って」
『【□■魔神バビロンのブロマイド (ナイトガウン)】を入手しました』
ふへ、死ぬ、狂いそう、死ぬ、死んだ。
「えるどりーどのさうな、つれひぇっひぇ……」
『仮死状態になりました』
「嘘でしょう……!? リンネさん、リンネさん……!? し、死んでる……!? それが遺言なのですか!?」





