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478 遥か遠い幻想

 逃げる最中、リニアレールガンだっけ……? 他にもレーザーが何発かね、掠った。本当に掠りダメージ無効付けてて良かった。一直線に落下したから偏差射撃の良い的だった……。まあでも、逃げ切れたんでね……。


「リンネー……酷いー……ひとごろしー……」

「ごめんなさいって、本当に……」

『わふっ……わふっ……』

「でもリンネはやっぱり凄い、近づけただけ偉業」

「本当に近づけただけなんですけどね……。あ、スクショ撮りましたよ!」

「見たい見たい…………。うわぁ、美人。エペイオス爺、いい趣味してる」

「レーナちゃんが前に使ってた蜂のドローン兵器みたいに、支援ユニットみたいなのがいっぱい浮いてましたよ」

「多分遠距離迎撃用と近接格闘用で装備が切り替わる。色んな状況での戦闘を考慮して設計されてると思う。はぁ~……暑い……」

「オーバーヒートするまで使ったんですね」

「帰ってお風呂入りたい、げちょげちょ」

「げちょげちょ……!?」


 レーナちゃんが、げちょげちょ……!? げちょげちょは多分、べちょべちょよりも更に上の状態だよね。レーナちゃんのファンの人が居たら、今すぐレーナちゃんに接近して深呼吸したいだろうね。こんなことを考える時点で私も結構アレ(・・)だなぁ……。

 まあそれはとりあえず置いておいて、マリちゃんがマグナさんから借りた、トロイの位置情報が判る鍵の機能を複製した【トロイレーダー】によれば、トロイはどうやら次のターゲットに移動するみたい。方角からしてエルフの森か、その先の魔導帝国デリランドか……。


「マリにゃんぬ、なんで来なかったの?」

「絶対に死ぬから行かないって。まあまだ装備が究極超機じゃないから、セット効果的にもきつかっただろうし」

「装備……。マグナの研究所だと、限界がある。専用のクラフトマシンが欲しい……」

「あ!!」

「やだ、怖い。リンネの『()』は怖いの」

「大丈夫です、怖くないです! 皆に案内したい場所があるんです、大至急! そこでついでに話し合いをしましょうよ!」

「はぁえぇ~……」


 そうだそうだ、皆を幻想郷に案内するのをすっかり忘れてた! 森の中にひっそりとあるポータルだから本来なら探すのは大変だけど、ティアちゃんにお願いすれば黄金回廊で楽々到着よ! 一回でも入れば成長した道標の効果で一日に数回は行き来出来るし、他の人の素材で成長させればもっと回数増えるかもしれないし!


『わうわうわうわ~…… (お腹減った……)』

「うん……。調理設備はなかったね……。空きスペースに作れるかもしれないけど、とりあえずご飯買い込んでからかな」

「どんちゃ、いっぱい頑張って偉い。ご飯いっぱい食べて、元気になるべき」

『わうっ』


 ギルドメンバーもほぼ全員が帰ってきてるみたいだし、後はペルちゃんが来ればってところかな? それまでご飯を買ったりすればちょうどいい時間になるよね、それじゃ帰ろうか~。




◆ ◆ ◆




「うひょ~……。何ここ、凄いねえ~……」

「一瞬だけ綺麗な光景が見えたよね!」

「今は寂れた幻想郷ってか。設備を再生させる成長型ダンジョンだな!」

「ボロいけど、鍛冶が出来る設備もあるんやなぁ!」

「専用の、マシンクリエイターだぁ~……」

「ラージウスと、ガリャルドも入れる、かな……。細工台、よ、良さそう」

「あれ? あれあれ? ヘルミナ様の力を感じる蝋燭がありますねえ~」

「リンネさん? その天使人形、ど、どうしますの?」

『…………!!』

『…………』


 天使人形なんてあったんだ。ふーん……。ふーん…………。殺意を向けたらぷるぷる震えだしたわ、魂入りなのね。天使はまあ大嫌いだから殺す一択なんだけど、困ったことに悪魔人形が……。


「この天使、お前のお友達なの?」

『…………!』

「そう、お友達なのね。でもここにその天使を愛してくれる人はいないと思うよ? お前ばっかり成長させられて、お友達はボロボロのままよ」

『…………』


 可愛らしい悪魔人形が、憎たらしい天使人形をお友達だからって庇う仕草をするのよね。こうなると流石に排除するのは可哀想なわけで……。困ったなぁ~……。


「リンネ様~? お人形さん、違う見た目ならイライラしないですか?」

「え? ああ、うーん……」

『……!』

『……!!』

「お人形さん、見た目を変えても良いですか?」


 ティアちゃんが見た目を変えてくれるって言うならまあ、悪いようにはしないけど……。


『ティアラが【生殺与奪】を発動…………。失敗、設備の変更にはギルド内投票による認可が必要です』

「んっ……あれあれ? なんだか抵抗を感じます!」

『幻想郷設備投票:ティアラ・エルドリードが【悲しみに暮れる天使人形】と【空虚な時を過ごす悪魔人形】の変更を要求しています。投票権限はギルドマスター及びサブギルドマスターのみです。ベテランギルドメンバーも対象にする場合はギルドUIの幻想郷管理から変更してください』

「お、なんやなんや??」

「その人形何かいじるの?」

「あ、リンネちゃん天使嫌いだもんね~。良いんじゃない? どうせそれ、メルティス系の装備用でしょ?」

「じゃあ良いんじゃな~い? エリスちゃんは、賛成入れま~す」

「俺も賛成だな。まさかまさかで必要になったら、空きスペース使って再設置でいいんだろ?」

「賛成~」

「わたくしも賛成ですわ!!」

 

 あらあら、設備を変えたり……増やしたりもかな? そういう時はギルド内で承認が必要なのね。ギルドの共有物なんだから、それはそうか。成長とかは許可要らずだけど、マイナス方面の働きかけは許可が必要ってことね。私も当然今回は賛成よーっと。満場一致で賛成だね。


『幻想郷設備投票:満場一致で賛成となりました。ティアラ・エルドリードに一時的な変更権が付与されます』

「ティアちゃん、皆の許可が出たからもう変えて大丈夫だよ」

「わあ~! は~い!!」

『ティアラが【生殺与奪】を発動、【悲しみに暮れる天使人形】が【みすぼらしい金狼人形】に、【空虚な時を過ごす悪魔人形】が【みすぼらしい銀狼人形】に変更されました』

『幻想郷アナウンス:幻想郷にユニーク設備が設置されました! 【みすぼらしい金狼人形】からは金錬術、【みすぼらしい銀狼人形】からは銀錬術が使用可能です!』

「おおーー!!」

「え、これは凄いんじゃ?」


 なるほど、こういうのもありなんだ! ティアちゃんレベルの生産スキルを持ってて、それを伝授可能な対象が居たら、こうやってスキルを設備化することが出来るのね! でも多分、こういうのは魂が入ってる人形とかじゃないとダメなんだろうなあ~……。他の人形にしたら他のスキルが使えたりするかな?


「ティアちゃん、これ以外の人形って出来そう?」

「えっと、うーん…………。多分、無理です! ごめんなさ~い……!」

「ううん、良いの良いの。本当にありがとう、ティアちゃん偉いっ……! これなら可愛がれる!」

『きゃうっ!』

『ぴゃうっ!』

「あ、鳴きましたよ! 可愛いです~!!」


 やっぱり、人形の変更はその人に(ゆかり)がある対象の姿にしか出来ないんだ。つまり、マリちゃんが変更することが出来た場合は、マグナさんとかになったりするのかな? いや、それは流石にないか……ないか? あるかも……?


「あの、お昼寝さん。ギルドマスター権限に、何かをここへ移動させるみたいな項目ないですか……?」

「え? あ、ごめんごめん見てみるよ。えっとね~…………うわ、ある!」

「もしかして、なんですけど……」

「うんうん、これは大変だ……。今のうちに買い占めないとヤバいよ、これは!」

「やっぱり、ちびちゃんですか!?」

「そう! ちびちゃんズをここに移動して、作成のお手伝いをさせることが可能だって! 出来ない子も居るみたいだけど、それでも作成の応援をしてくれたり、成功率や設備経験値の上昇効果が出るってさ! あ、後ね、妖精に移動要請ってのがあるよ!」

「妖精に要請……ふふっ……」

「リンネちゃん……?」

「あ、いえ、なんでもないです」


 おお、凄い……。妖精の移動とか、ちびちゃんズの移動とかも出来るんだ……!! 多分作成のお手伝いが出来るのは複数入手可能な子達で、それが出来ないのはオンリーワンの子達かな? そうじゃないとあまりにも不公平だもんね。


「早速呼んじゃおう、ちびちゃんズ……あっ! これ、空きスペースを丸ごと1枠使うんだ」

「ちびちゃん達が暮らす建物を増築するんですかね?」

「しかも増築にアイテム要求が……ああ~凄い量、凄い量のアイテムが……」

「とりあえず全員、使う予定も見込みもないアイテムをあの倉庫にぶっ込めば良いんじゃねえか?」

「ああ、あれアカンで。容量がワイの倉庫よりカツカツやで」

「これ課金でどうにかなりませんの!? あ、なりますわ!!」

『ペルセウスが3,000ゴールド消費、5,000ゴールド、7,500、10,000、25,000、40,000……』

「ちょ、ちょ、ちょっと、ちょっとペルちゃん!?」


 あわわわ……。あわわわわわわ……。ペルちゃんの金銭感覚がぶっ壊れてるところ久々に見た……。そうだった、課金に対して全く抵抗がないんだった、ペルちゃんは!!


『ペルセウスが150,000ゴールド消費し、【無限倉庫】にグレードアップしました!』

「出来ましたわ!!」

「うひぇえ……」

「ひええ……」

「ちょっとゴールドが減りましたわね。あ、抽選券でまた(・・)マッサージチェアが当たってしまいましたわ! わたくしこれより良いものを使っているから要らないのだけれど……」

『(ペルちゃん、ゴールド抽選券で当たった賞品、オフ会の景品とかにしたら……?)』

『(あら、良いですわね!! ちょっと安物だけれど)』


 ゴールド抽選券、リアルで賞品が当たるタイプのアイテムだったんだ……。個人チャットでペルちゃんにオフ会賞品にしたら~なんて気軽に言ったら、ちょっと安物だけど良いかもなんて……。これ、何十万円ってするやつじゃないの……?


「ほな、素材入れよか……」

「お、おう……」

「ペルちゃんありがとう、本当に……」

「いえいえ、これ以外は課金ではどうにもならなそうですし、わたくしは素材を一個も持っていないから丁度良かったですわ! 貢献が出来て!」

「ユキノは煌めく時空の砂ってアイテムを持っているのですが、使っても良いですか~?」

「あ、時空石の成長アイテムっぽいね。確か大きな時計塔の中にあったよ~」

「は~い!」

「へ、へえ……。一般ダンジョンでも、お、落ちた、変な素材……。ここで、つ、使うんだ」

「無慈悲だと燦爛たるなんとか~ってアイテムが出て、一般だと光るとか輝くとか、煌めくとかの成長アイテムが出るのかねぇ~」

「凄い、普通のオンラインゲームだと、こんなの無い。今まで積み重ねてきたものを、がしゃーんとして、新しいの出して終わり」

「だなぁ。これまでのコンテンツをここに集結させてるみたいな作りだな」

「拡張性も、ば、ばっちり、だし……」


 へえ~。こういうコンテンツって珍しいんだ……。バビロンオンラインが初めてだから、こういうのはどこにでもあるコンテンツだと思ってた。確かに今まで色々積み上げてきたコンテンツがここに集結するみたいな感じで、凄く楽しいね!


「…………って、なんだこの素材要求量!?」

「ああ、ハッゲも見たんか。設備のアプグレは、ヤバいで」

「要らないアプグレキットを解体して、それから出てきた素材を使うとかもある……」

「でも、リンネちゃん……? 究極装備って、大体アプグレキット使うんだったよね……?」

「使います。相手とか状況に合わせて装備変えるとかも必要になると思うので、アプグレキットは色々使うと思います」

「うわ、今のうちに安いの買っておこうかな」

「無慈悲クリアしたらたまに出るやろ。何とかなるんちゃうか?」

「この、エーテルの入ったガラス瓶ってアイテム持ってる奴いるか?」

「いやないなぁ」

「ない~」

「なんやそれ、見たこともあらへんで」

「あ゛」

「「「嫌な予感がする」」」


 エーテルの入ったガラス瓶は~……ああ~……!!


「それ、無慈悲な海の王者で、虹色の宝石箱から……」

「レアアイテムじゃねえか……」

「絶対レア素材やんけ!! 何に欲しかったんや!!」

「全部の設備のアップグレード5回目から、毎回出てくるぞ……」

「ひぇええ……!!」

「リンネちゃん、何回倒して何個出た!?」

「えっと、35回倒して2回だけです。他の場所でも、ちょっと見たことない……」

「ほえぁあ~……」


 特定の素材ばっかり異常な量を要求するとかもあるのね!! これは他ではなかったとか誰も言わないから、もうお決まりみたいなコンテンツなのね!! エーテルの入ったガラス瓶、あれだけ無慈悲色々やって見たことないから、相当なレアアイテムだこれーー!?


「え、まだ持ってる……?」

「使っちゃいました……。この、魔神の寵愛の首輪と、魔神の寵愛のピアスを作るのに……」

「しかも装備作るのにも使うの!? うわああああーー!!」

「アニメイトフェティッシュの対象に出来たんで……」

「絶対に究極超機の繋ぎ素材とかにも使う。胃が痛い、死にそう」

「ヤベえ素材だぞ、こいつは……」

「その為の、キューブでの希少素材交換……?」

「ああ、ああ……」

「レアやけど滅多に使わん奴を、エーテルに変えるっちゅうことかあ!!」

「吐きそうですわ!!」

「エーテルさんは、ティアでも作れませんでした……」

「そうだね、そうだったね……」


 ああ、今日からバビロン様にエーテルが出ることをお祈りする、エーテルオンラインが始まる気がしてきた……。あ~……バビロン様の周囲の空気をガラス瓶に詰めたら、エーテルの入ったガラス瓶に変わったりしないかな~。しないか、したら激レア演出で出てくる素材になったりしないわ。


「でも、ここを頑張って成長させれば、トロイに勝てるぐらいの装備が作れるかもしれないし……」

「あ、トロイのレベルは1500でした」

「…………も、燃えて、きた、やんけ」

「レイジ、声が震えてるぞ」

「そういうお前もな!!」

「しぇんごひゃくぅ……!?」

「ああ、エリスが泣いちゃった……!!」

「プレイヤーが逆立ちしても届かない領域のレベルですのね……」

「ワールドボスモンスター、どころじゃ、な、ない、ね……」

「とにかく、今のままでは無理だと思ったので! 対抗策を今から考えましょう!」

「真っ当にレベルを上げて、素材集めて、神域やな……」

「うん、僕もそれしか無いと思う……」

「近道は、ねえだろうなぁ……」

「これはギルド総出で、相当に本気を入れないとヤバいねえ。まずは集まれる人全員に告知を出して」

『ユキノが【刻を忘れた時空石】を【刻を刻み始めた時空石】に成長させました! 空きスペースが10から15に増加、アイテム作成所要時間が10%短縮されます!』


 そうだね、こうやってちょっとずつ設備を拡張して進んでいくしかないよね。トロイ、付け焼き刃で勝てるような相手じゃなさそう……。メギドなんて本当、チュートリアルみたいなもんだったんだなぁ~って……。先は長い、気合を入れて頑張ろう。


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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
 宜しくお願いします!
ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
アース・スターノベル様より出版させて頂いております!
― 新着の感想 ―
[一言] 幻想郷ってもしかしてメギドとか天使とかに負けて各国家が滅亡した場合のプレイヤーホームとしての側面もありそうだなぁ…
[良い点] どん太の働きもあってあの攻撃を逃げ切ったリンネさん、本ゲームプレイヤーのトップはやっぱすごいな!!けどレーナさんからの『ひとごろしー……』には精神的にダメージ入ってそうw トロイの写真か…
[一言] これだけ有るんだもう無くならないだろ!(フラグ)
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