469 ぶっちぎりでイカれ過ぎた女・9
「せっかくやり直せるチャンスなんだ、こんなところで滅びちゃ駄目だ!」
「他の方は、メルメイヤにグランディス、セリョーガにアグニはどうするつもりですか!」
「グランディスは死んだ、セリョーガもアグニも! メルメイヤも反応がない……。もう、何も残っていないんだ。またやり直せば良い、グナだってそう言ってくれたじゃないか!」
「そう……。それなら、もう……仕方のないこと、なのですね」
これは仕方のないこと、どうしようもないことなんだ……!
そもそも、あんなに悍ましく強い奴がこの世に存在するなんて知らなかった! どこからどう見ても取るに足らない小娘に見えたのに、アレは……なんだ!? 化け物だ、人間じゃない、神の使い……? いや、はたまた神そのもの……? 命を刈り取る大鎌、どこまでも追いかけてくる恐怖、死を取り込み操る力……まさか、死神なのか……? 俺は、死神に目をつけられていたのか!?
「このまま気配を隠して、グナの力を示して一時的に新生メルティス王国を隠れ蓑にしよう……。邪神様の望む静寂の世界はいずれまた、その時が来れば……」
まだ俺には邪神様より賜った力の根源が残っている。邪神様を心から信仰し、一番に崇拝し続けている限り、邪神様は俺を見捨てたりなんかしない。たとえ仲間を捨て、無様に敵国に逃げ込み、グナと逃避行を続けることになったとしても! 邪神様は俺から力を奪ったりはしない。
『――メェェギィィドォォさぁぁまぁぁ~!! どぉぉこぉぉでぇぇすぅぅかぁぁ~!?』
「しっ! 誰か来ます……!」
「あれは、メルメイヤ……?」
メルメイヤ……? どうしてメルメイヤが、おかしい……。なんで反応に気が付けなかった? 体をスペアに切り替えたからか、その影響で一時的に盟約が……いや、違う。そんなはずはない、それならセリョーガの反応が追えたことに説明がつかない。もしや、メルメイヤにはグナの一部もオルヴィスの一部も、俺に繋がりのある肉体を何も与えていないからなのか……?
「ど、何処に行った……?」
「わかりません……。しかし、辺りを探しているのは確かなはず」
そもそも、なぜこちらの方角に逃げたとわかった? なぜ戦線を離れて俺を探しに来ているのだ。命令に背いて戦場を離れるなど、メルメイヤの忠誠はその程度だったとでもいうのか? あのイカれた女に、死神に追われているだけでも厄介なのに、メルメイヤにまで追いかけられてはたまったもんじゃない。何はともあれ、とにかくこの場を離れなけれ
『――見つけたぁ!!』
「メギド!!」
『あ、本当に居たぁ!! あっはは!! 引っかかった引っかかったぁ!!』
しまった、なんということだ……! まさかこんな簡単なカマかけに引っかかるとはなんという……! だが、お前の心臓は俺が与えたものだということを忘れるな。依然その心臓は俺の所有物であることに代わりはない! 少し始末するのには躊躇ったが、この様子ではメルメイヤは役に立たん。ここで始末させてもらうぞ!!
「コープス・スカベンジャー!! 我が屍よ、ここに還れ!!」
『あ…………』
俺に似た境遇だからと同情したが、主人を危機に陥れる壊れた人形になってしまっては致し方ない。上位悪魔の心臓、返して貰うぞ。悪く思うな、メルメイヤ。
『は……は……! はははは……!! 本当だ、本当に、本当に……!!』
「……!? なぜだ、なぜ心臓が……!?」
「メギド、メルメイヤが!!」
「逃げる!? なぜ、俺を追ってきたんじゃ……」
なぜだ……。全く、手応えがなかった。メルメイヤとの繋がりが切れたとは言え、メルメイヤの心臓は依然として俺の所有物のはず……。なぜ……そして何処へ行った!? しかし、今不用意に追いかけるのは死神に姿を晒すも同然、追いかけることは出来ない!!
「早く、この場を去らねば……!」
「せっかく生き長らえたこの命、無駄には出来ません!」
そうだ、このチャンスを無駄にすることは出来ない。一刻も早くここから離れ……て…………。なん、だ? 急に、グナの手を引く俺の右手が、軽く……は、離れる、手が……?
「グナ…………グナ…………?」
ち、違う、きっとグナは今転んで手を離しただけ、そうだ、そうに違いない……。グナは肝心なところで、少しドジなところがあるからな……。ほ、ほら、早く立ち上がって俺の手を掴んでくれ、グナ!!
『これは後でバビロン様に献上しよう。もう起こしてあげない』
――カラン、カラン……。
『あ、それ戦乙女シリーズのオリジナルだよね。でも性能はレプリカと変わらないし、使い物にならないから要らない。後でキューブにでも突っ込もうかな』
『グルゥゥゥゥウウ……!!』
「グ、ナ…………?」
聖剣と、聖盾が、足元に……。まさか、いや、そんな、ありえない……。何の気配もない!! 時空魔術は封じている、依然変わりなく!! 転移は不可能、居るはずがない!! 追いつけるはずが……!!
『これほど滑稽な有様はない、死術師が死を恐れているとはね。この程度の覚悟しかない相手が、ヘルミナ様の愛し子だなんて。ヘルミナ様の"誰かが破滅する瞬間が最も美しい"って趣味、ちょっと理解出来ないなあ~……』
「グナ、を……どこに、やった……」
『これからヘルミナ様の器にするのに供物にする。もう霊体の方は要らないから、ティスティス様に処分して貰う予定』
「処、分……?」
『そう、処分。そしてお前は、今から私の糧になる。今度こそ逃さない』
これは……!? 金色の、暖かいオーラが周囲を包んで、何が起きているんだ……!? に、逃げなければ!! 逃げて、逃げなくては!!
「時の、道標よ!!」
『あの時のお前は、レベルだけは高いから私の権能を突破出来る程の力があった。でも今はそんな力はもう何処にもない。そして万が一にも逃げられないように、ここは私の女王様が支配する世界に変わった。もう何処にも逃げられない。私は……お前を、捕まえた』
「冥に沈む闇の力よ、邪悪なる力よ、ああ、ああああ!!」
逃げられない? 逃げられない!? 逃げられない! グナが、俺が、ああ、ああああ!!
「た、助け……!!」
『さよなら、レベルだけは高かった雑魚』
◆ ◆ ◆
『…………捧げよ、当然腕輪! 腕輪! 腕輪になれぇーー!!』
『【★★★タッチ・オブ・デス】【墓の王・メギド】【□邪神のエッセンス】が共鳴します……』
『【□■新月の腕輪】が完成しました! おめでとうございます!』
「おおおっ! おっしゃーー!! ほら見てどん太、ティアちゃん! 揃った揃った! メルちゃん見てご覧、これで完璧に全部揃ったァーー!!」
「わぁ~! 良かったですね、リンネ様~!」
「は、は、はい、リンネ様ぁ!? おめでとうございまぁす!?」
『ワオォォオオオーーン!! (良かったね!!)』
散々手間かけさせやがってぇええ……!! 大人しく腕輪の素材になれ、馬鹿の王メギドォ!! うわぁ~はぁ~!! キューブから出たらしい希少素材、邪神のエッセンスを全財産叩いて買った甲斐があった~!! まさかまだ足りないとか言わないよね? ね? ねっ!?
『【月の女神の慈愛】【Babylolita】【魔手+50】【魔界死霊帝王の指輪】【新月の腕輪】【三姉妹の絆】【狂騒静謐英雄の誓い】が共鳴し、秘められた力が解放されます!!』
「うおっ!! 眩しいっ!!」
『わおっ!! わおわおっ!! (うわ!! 眩しい!!)』
「わあ、凄いパワーを感じます!!」
「うわああああ目があああああ!!」
ほら来た、来た、来た来た来た来た!! 秘められた力が解放、解放ぉおおおおーー!! 究極神器10点セット、解放ぉおおおおーー!!
『世界の管理者メッセージ:【魔界死霊神の禍力】が解放されました! 現在着用中の装備が全て【魔界死霊神セット】として専用装備で登録されます。魔界死霊神セットボーナスの効果は自分自身でオプションを設定してください。以後如何なる相手にも渡すことは出来ません。セットボーナスの効果変更には30分のクールタイムが必要で、戦闘中に変更することは出来ません』
『ワールドアナウンス:プレイヤーから初めて【神域到達者】が誕生しました! おめでとうございます!!』
ふへ、え……? これ、ワールドアナウンス出るの? いや、まあ、今更かぁ!! うわぁ~神域到達だって、遂に千代ちゃんやゼオちゃん、どん太やデロナちゃんみたいな格まで上がっちゃったかぁ~……。残すは他の従者も全員を神域到達させることかな。おにーちゃんが大変そうだなぁ~……。歴史に葬られた英雄全てを超えなきゃ駄目とか、厳しいに決まってるんだよなあ~……。リアちゃんは神域っていうか特殊領域の絶対的存在だから、リアちゃんはまあ置いておいて……。
「一つのゴールまで来ちゃったねえ~……。後はまだ神域到達してない子達の昇格と、うわ……うわ……!? うわああああああああああああああ!!」
「ど、どうなさいましたか、リンネ様ぁ!?」
「リンネ様、お顔が真っ青です~!!」
『わうぅぅん……?』
あ゛あ゛あ゛……!! 種族が【魔神の眷属神】になってる……!! バビロン様の、隣に、認められた……!! バビロン様の隣で良いんだぁ……!! 嬉しい、嬉しすぎる、嬉しくて泣きそうなのに……!!
「装備はここから……!? 神器強化機!? 強化、必要、だってぇ……!! しかも、か、確率って書いてあ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……!!」
「きょ、キョウカ……? ティア様、キョウカって……?」
「あのねメルちゃん! 装備の強化さんは、リンネ様がやっつけられない強敵さんです! いつも負けます! コテンパンにされます!!」
『くぅ~ん…… (僕には応援しか出来ないよ……)』
「そ、そんなに強敵なのですか!? キョウカ、恐るべしです……!」
ここから全装備、専用の強化機で強化が必要だあああああああ…………!! しかもプラス1上がる毎に、アーケインかアーケイン抵抗の伸びがたったの1から2だけ!? 武器も1から3!? しかもランダム!? うわ、おわ、うっ……。吐く……。吐きそう。ヤバい、出る……!!
「待って無理、う、お……!」
「リンネ様ーー!? どん太さん、リアちゃんとデロナちゃんを呼んできてくださーい!! 」
『わうぅぅーー!?』
「あわわ……。あわわわわわ……!!」
ようじょ、ようじょすいたい、ようじょは、すべてを、かいけつしてくれる。よしよしして、なでて、なぐさめて、もうこころが……。ぼぇ……!!
世界の管理者「では、何がどれだけ酷いのか解説します」
・まず神器強化機の設計図が必要(無慈悲モードいずれかの報酬宝箱からレアドロ)
・神器強化機を作る素材が必要(物資がいっぱい、個人だとかなり厳しいかもしれない)
・強化機出来ても+1から既に成功率90%、そこから5%ずつ成功率が落ち続け、当然要求素材も増える。下限は20%、失敗しても数値は下がらないけど精神がやられる
・しかも上がり幅がランダム。成功しても1~3、もしくは1~2の上がり幅
・救済措置として"遡り再強化"がある。低い数値だった回をやり直せるけど、当然のように下限の20%
・武器、防具、まさかのアクセサリーまで強化可能。全10箇所
・魔界死霊神の~系に名前がリセットされてしまったので、当然強化値は0からスタート
世界の管理者「ここからが、このゲームのハイエンドコンテンツだよ……^^」





