446 死よりも恐ろしいもの
おうごんきょーカッコカリが壊れちゃったから、代わりにゴールドショップで『レンガのおうち、とても大きいサイズ』を購入して設置しておいたよ。名付けておうごんきょーリターンズ、ログハウスよりは大きいし頑丈そうだし暖炉も大きくて暖かそう。看板も設置してあげたから、これで赦してもらおうね。なんかセットの家具と合わせて10万ゴールドとか見えた気がするけど、気のせいだよね。ゴールド応募券メッチャ溜まってる……。いつの間にか200枚近くあるわ、まだ期限あるし貯めておこうっと。
「メガリスさんの体は、難しい金属さんです……」
「難しい金属さんか~」
「可能性のある金属なら、元になってるものを出せますっ!」
「可能性、かあ……。それを絶妙な配合で混ぜたり、精錬したり、なんやかんや色々しなければならないのね?」
「はいっ! ティアは、素材しか出せません……」
「いや~十分凄いと思うけどね、私なんて壊すことしか出来ないし」
「完全に止まっちゃう前に見つけられましたっ!」
「うんうん、そうだね」
それで、メガリスアーマーに使われてる金属は案の定解析不能だった。恐らく合金で、色々な金属を組み合わせて作ってるってことだけはわかった。ただしそれも何が使われて、どの配合で、どういう工程で作られてるとかはさっぱりわからない。今の段階では再現不能な完全にオーパーツ状態。
「コアも異常だ、パナシーアクリスタルをいくら与えても即座に蒸発させてしまう。こんなエネルギーじゃ全く足りない」
「アイドリング状態なんで、とりあえず一日20個かそのぐらい与えておけばコアが機能停止することはなさそうッスね!」
「ん、機能停止したら、再始動にもっと莫大なパワー必要。アイドリング維持のほうが、低コスト」
「100日のアイドリングを超えたら、流石に再始動の方が安上がりだ」
「100日以内に動かせばいいでしょ」
「やーこれ、今のレベルでは絶対作れないと思う」
「魔導具師、魔界技師、錬金術師、人形師、細工師、鍛冶師、他にもまだまだ職人が必要かもね」
「しかし構造は参考になる、これを元にしてバビロンガーちゃんの改良が出来るかもしれない」
「まずは劣化版を作って、遊んでみたいよね~」
「メガリスで対人戦やりたい!」
「あ、いいね~。でもお金がね……資金があればね~」
ん~……。有識者の方々が沢山集まったのはいいんだけど、誰も彼もが『今の自分達では到底及ばない領域』って結論に……。全員がもっと技術的に卓越して、高レアリティな金属や薬物を容易に扱えるようにならないとメガリスアーマーは復活させられないみたい。一応は無理やり動かすことは可能かもしれないけど、それはメガリスアーマーとはとても言えないお粗末なものになっちゃうって。でもメガリスアーマー同士が戦う姿、ちょっと見てみたいな~……。あ、そうだ。
「バビロニクスとローレイに入れてる寄付の一部を、メガリスアーマーの開発費に回します!」
「ん~お金があっても技術がね~……」
「そう、もっと技術ランクをアップさせないと、無理」
「メガリスアーマーを模倣したものから作っていきましょう! 優勝チームには賞金とか商品とか、巨大メカ同士の対人戦見たいです!」
「リンネ、戦ったら壊れるんだぞ? その都度修理して戦闘ではお金がいくらあっても足りないぞ」
「ガトランタ王に交渉して、コロッセウム借りちゃいましょうっ!」
「…………は?」
「あ~」
「あのオッサンこういうの好きそうだし、行けるんじゃね?」
「ダメ元交渉してみよう」
「それじゃあ寄付金の50パーセントをこちらに回します! 一般プレイヤーさんにも呼び込みを掛けて、巨大ロボ作成のアシスタントを募集したらどうでしょう?」
「バビロンガーのライバルも欲しいしなあ……」
「ありかも……」
「ではわたくしがどういったプロジェクトにするか、決めて差し上げますわ! こういったことは得意でしてよ!!」
「お、さすがペルペル。頼もしい~」
うんうん、ありですよね! 細かいことはペルちゃんにまかせて……あれ、ペルちゃん? 寝ないの??
「まずはプロジェクト名を、メガリスアーマーを模倣し――」
「ロボッ闘魂」
「あ、それ良いッスね!」
「自分もレーナさんのロボッ闘魂がいいですね……」
「まさかのプロジェクト名が一発で決まるパターンだな、これは」
「我もそれでいい。チームリンネーズの名に恥じぬ巨大ロボを作ろう」
「え、え、これで良いんですの……? よろしくって……? 他になくって……?」
「ないな。それでいい」
「ロボッ闘魂」
「オッケーッス!」
あ、プロジェクト名が勢いで決まった……! ペルちゃんが困惑してるけど、うん……私もそれでいいと思う。何をやるか一発でわかるし、熱量も伝わってくるいい企画名だと思うよ。
「サイズを制限しないと駄目だよな」
「メガリスアーマーと同等ぐらいのサイズじゃないと駄目だろ~」
『おやおや、面白そうな企画ですねえ? コロッセウムを借りる予定ですか~??』
「あ、パーニさんちゃーっす」
「げぇ! パーニ!」
「うわでた」
『はいはい出ましたよ、ワイパーニで御座います、どうもこんばんは。ガトランタのコロッセウムでしたら、私が作ったものですから構造は詳しいですよお~?』
「え」
「は!?」
「え、うそ!?」
『嘘も何も本当でございます~。あのコロッセウムは拡張機能が御座いまして、ほら会場の周囲に建物がなかったでしょう? あと変な溝があったでしょう。あのコロッセウム、半分に割れて広がりますの』
「は、はっ!?」
「ほええ……」
「確かに、変なレールみたいなのあった」
え、えっ!? あのコロッセウム、ワイパーニさんが作ったの!? 嘘は、言ってない感じだけど……。本当だとしたらコロッセウムに拡張機能があって、フィールドを広げることが出来るってこと!?
『大規模戦闘の演習を見世物として観客に見せる為に、コロッセウムは広げられるように設計しましたから~……。まあ、使ったのは見たことがありませんが。本当に開催するのでしたら、私が今の王に掛け合いましょうかあ~?』
「わかる。私にはわかる。お金を欲しがってる」
「あのパーニがタダ働きするはずがない」
「いくらだ、いくら欲しいんだ」
『え、そ、そんなことないですよお?? 今回はほら、タダ! タダで――』
「ぜったいうそ。タダより怖いものはない」
「後から恩を着せられて死ぬほどこき使われる未来しか見えない」
「吐け、いくらが望みだ」
うん、ワイパーニさんがタダ働きするはずないよね。それは全員わかってるから、早く要求を教えて欲しい。こっちは時間ないんだから……。
『で、では、ええ~……500億シルバーほど~……』
「なんだ、500億でいいの。はい、これでコロッセウムの使用許可と大会開催権とコロッセウム拡張までやってくれるんだよね?」
『え゛っ゛……!? ちょ、ちょ、ちょっとお待ちになって、どうしてそんな大金がポンと出てくるんですかあ!? 500億、え、嘘、本当に全部本物の、500億シルバー……!?』
「正真正銘500億シルバーだけど」
「リンネはぎゃくさつのプロ」
「レーナちゃんそれ最近マイブームッスか?」
「そう。まいぶーむ。いえーい」
レーナちゃんがグリムヒルデちゃんに教えた満面の笑みダブルピースをやってる……。うーん、グリムヒルデちゃんといい勝負、40点!! それよりワイパーニさん、50Gシルバーでこんなに良い働きをしてくれるんだったら安いもんだね。そうだ、契約書とか書いて貰わないと。ちゃんと効力のある契約書ね、でもレーナちゃんの装備のテキストにあった通り、踏み倒しとかして来る可能性があるしなあ~……。
「ちゃんとお仕事をして貰うように、契約書とか必要だよね」
『ふう……。契約ですかあ~? 良いでしょう、契約書ぐらい――』
「けいやく、ですか? 金色さ~ん! けいやくってなんですか~?」
『オーウ、マイクィーン! 契約は、約束を絶対守りますのことネー! 破ったら、地の果てまで追いかける、指名手配デース!』
「わかりましたっ! 約束を破ったら大変なことになる紙、出て来てくださーいっ!」
『――ティアラが【黄金の契約書】を発行しました』
「はい、リンネ様っ!」
「あ、ありがと……?」
『ア゛!!』
どれどれ、ティアちゃんが作ってくれた黄金の契約書はどんな能力なのかな? えーっと……? この契約書で交わした契約は、違反した場合……。一生涯、金銭に触れることが、出来なくなる……!? う、嘘でしょ……!? 私は500億シルバー払えば契約完了なのに、ワイパーニの方だけひたすら不利じゃん、これでやっぱり無理でしたとかになったら、お金に触れることが出来ない商人爆誕よ!?
「パーニ、契約するって言った」
『ま、まだ心の準備が……!』
「おやおや~? ワイパーニともあろうお方が、言い出しっぺのくせにやっぱりや~めたをするんッスかぁ~??」
『ぐ、うう……!?』
「500億シルバーで、ガトランタ王に話をつけて、今まで使ったことのない拡張機能を使わせて貰って、そこで大会を開かせて貰う……だったよな?」
ん……。今、笑った? あ~……なるほどね。
『――黄金の契約書の条件を設定しました。貴方は黄金の契約書にサインをしました』
「はい、とりあえず私はサインしたから」
『は、はあ!? 馬鹿にしないで貰えますう!? 出来ます、出来ますから!! 一言貸してくださ~いって言えば終わり! それだけのことでしょう!?』
『――ワイパーニが黄金の契約書の内容に同意し、サインをしました』
『――貴方はワイパーニに500億シルバーを支払わなければなりません』
「はい、500億。ちゃんと確認してね」
『カウント、む、むむ……っ……! あ、あります。500億シルバー、狂いなく……』
『――ワイパーニが500億シルバーを受け取りました。ワイパーニは契約を必ず遂行しなければなりません』
うんうん、受け取ったね? じゃあこれで、ワイパーニさんは契約を必ず果たさなければならなくなったね。
「ところで、ちゃんと内容読んだ? 所詮今作っただけのお粗末な契約書とでも思った?」
『へ? あっ……!?』
「あ、期限5日」
「5日以内か~。大丈夫かな~?」
「リンネはぎゃくさつのプロ」
『ああああ!! ああああーー!! 鬼!! 悪魔!! 人でなし!! 急いで出発しないと、急がないと!! 退いてくださいましっ!!』
頼んだよ、ワイパーニさん。契約をしっかりと見なかった貴方が悪いんだから……。今の会話で期間のことは言ってなかったからどうせ書いてないと思ったんでしょ? 書いたよ、ギリギリ出来そうなラインで。あーだこーだ文句を言いながら、実はサインする瞬間までにやっとするのを我慢してたのわかってたよ。期間が書いてないからいつまでもやらないつもり、だったんだよね? ふ、ふふ……!
「いつもやられっぱなしだからスカッとした」
「死ぬほど搾り取られたんだアイツには、微塵も同情の気持ちが起きない」
「アイツ絶対操作してるよな、ガチャ系に関しては」
「さて、コロッセウムの件はなんとかなりそうですし! 大会の詳細や、呼び込みの内容、チーム分けなどの詳細を決めましょうっ!」
「おーいいね、決めよう決めよう」
「ペルちゃん遅くならないようにね? 私、先に寝るよ? お金はこっちに回すから……あ、ゴールドさん? 敷地とか金庫とか貸してね?」
『ンッンー? 敷地に金庫なら、新しく作ってくれればいいですヨ?』
「それじゃ、すごい勢いでお金貯まるかもしれないけど、よろしくね」
まあこれでコロッセウムの件はなんとかなるだろうし、後はお金だよね。バビロニクスもローレイも、飛空艇開発とかの目標金額は倍以上になってるし、寄付額も余裕あるはずだから……一時的におうごんきょーリターンズの方に寄付って形で資金回そう。とりあえずゴールドショップから『金庫・国庫サイズ』を購入して……。
『(ペルちゃん、金庫設置して行くからね。開ける人にペルちゃんとゴッドゴールドとマリちゃんを指名しておくから)』
『(え? え?!)』
『――【金庫・国庫サイズ】を購入しました』
『――【簡易ログハウス】を購入しました』
『――【ゴールド応募券】150枚を入手しました』
『――【金庫・国庫サイズ】【簡易ログハウス】を設置、自分以外の金庫へのアクセス許可を【ペルセウス】【ゴッドゴールド】【マリアンヌ】に設定』
『――ミミッキューブの設定を変更、収入の50パーセントを黄金郷の【金庫・国庫サイズ】に入れるように指定します』
「ヨシッ」
「ヨシッ! です~っ!」
「じゃ、おやすみなさい。今日は早く寝る約束なので」
「あ。私も早く寝る、明日引っ越し」
「お? レーナちゃん引っ越しなんだ、お休み~」
「んっ! お仕事の都合、お休み。リンネもお休み」
「お休みなさいレーナちゃん~。皆もお休み~……千代ちゃんにサウナは程々にしなさいって言っておいてね」
『わうっ!』
「は~い! お休みお姉ちゃん~!」
「おやすみなさいリンネ様~!」
どれどれ、これで粗方やることは終わったね。ドッタンバッタン勢いで決めたから抜けや漏れがある気がするけど、メガリスアーマーは引き上げ作業をして仮設研究所に運び込まれたし、新しいプレイヤーイベントも立ち上がりそうだし、ワイパーニさんにはギャフンと言わせたし! 概ね大丈夫だよね、ヨシッ!
『ログアウト処理中――――お休み~イカれ女~♡』
あ゛っ゛……♡ 久々にログアウト時のランダムボイスがバビロンちゃんだった! う~~嬉しい、お休みバビロンちゃん! ちゅっちゅっ♡





