435 ジャアクナルモノ・3
『エリアメッセージ:左塔の守護龍を撃破、守護結界を制圧しました』
『エリアメッセージ:右塔の守護龍を撃破、守護結界を制圧しました』
『エリアメッセージ:内城の守護龍を撃破、守護結界を制圧しました』
戦況チェック、左塔と右塔と内城に突撃したメンバーはかなりの負傷者と戦死者が出てる。ペルちゃんは生きてるけど反動で衰弱、クーガーさんは瀕死、お昼寝さんが重大な負傷、アイギスさんもギリギリ、ヨハンさんとレーナちゃんは別パーティだったはずなのに同じPTにいるし、これはかなりギリギリだったみたいね。恐らく1パーティ目と2パーティ目がどっちも崩壊して、組めるメンバーで組んで再度突撃して辛勝かな。こんな時だけ軍団長の特殊UI、戦況チェッカーが役に立つ~……!! 任命した副団長4名、お昼寝さんやもってぃ、レーナちゃんにハッゲさんもこの戦況チェッカーが使えるけど、確認してる暇がないよね~……。
問題なのは地下宝物庫組、高菜さんとヴァルフリートさんチーム。ここはなんと戦死者がゼロ、ただし火力不足なのかなかなか倒せないみたい。今で多分高菜さん組が3凸目、焦ってそうだなあ……。
「地下宝物庫に、応援が必要なのでは?」
「信じて待ちたいですね……。邪龍耐久組も相当に奮闘しているようなので、ここで消耗して挑みたくないです。万全な状態で入りたい」
「そうですね……」
「飴は、残りそれが最後の一個ですか?」
「ええ、これだけです。3分が限界でしょう」
「…………最初は、使わないでいてくれませんか?」
「厳しい戦いになりますよ」
「相手の油断を誘いたいです。まだ余力を残した状態で倒したら、尻尾を出さないかもしれない」
「この会話は聞かれているのですか?」
「ティアちゃんのゴールドプロテクションが完璧なら、漏れていないはずです」
「…………わかりました。リンネさんを信じます」
ここまで積み重ねてきたものを無駄にしたくない。カーミラさん曰く、この玉座の間の中にオルヴィスは居る。隠れている。カーミラさんでも探せないなら、逆に探せないエリアを特定すればそこにいるということ。念入りに探しても感知できないエリアが一箇所だけある、オルヴィスはその場所にいるはず。油断して飛び出したところを、捕まえてやる。絶対に逃さない。
「でも、一度だけ……。確かめておいたほうが……。とても、不安です」
「大丈夫、私を信じて。必ずこの秘策は成功します。大丈夫、必ず上手く出来る」
「そんなに、真っ直ぐな瞳で見つめられると、年甲斐もなく、ふふっ……」
「え、あっ、そんなつもりじゃ、なかったんですけど!」
「カーミラ様、お耳が真っ赤です!」
「い、いえ、これは違いますよティア、誂っただけで……」
「寒いとお耳が赤くなるって聞きました、違うんですか?」
「ちよちよちよちよ……」
「千代はん、そんなに太もも出しとって寒うないんか? なんや太うなったな? 最近更に鍛えとるんか?」
「姫千代さん~! 帰ったらドラゴンのお肉でパーティですよ~っ」
「は、はい、ええ、そうで御座いますね……。そう、そうで御座いますね……」
「……ユ、ユキノ、さん。ちょ、ちょっと」
「はい~? はい、はい……。あらっ!」
「だ、だから、ご飯のお誘いは、ひ、控えめに……」
集中力が少し途切れたけど、逆にリラックス出来ていいかもしれない。私もちょっと気を張り詰め過ぎていたかも。もう少しリラックスして、本気を出す時にガチッとスイッチを入れて切り替えるようにしよう。常にフルの状態でいると遊びがないからね、遊びっていうのは大事。余裕は柔軟な思考に繋がる、余裕を持って行こう…………ん? あれ、戦況チェッカーに、大きな動きが……ええっ!?
「レーナちゃんとヨハンさんが、地下宝物庫に移動してる!?」
「え、だ、だだ大丈夫、なの?」
「内城から地下宝物庫は確かに近いけど、大丈夫なのかな……。踏み倒しも使っちゃってるはずだし……」
「無理を嫌うタイプのヨハンさんが、無理に動くとは考えにくい。恐らく一撃離脱、必殺の一撃をお見舞いして撤退するのではないでしょうか?」
「一撃必殺、ですか~!」
レーナちゃんとヨハンさんがペアで、地下宝物庫に向かってる! 他のメンバーは私達のところに敵が来ないように防衛してる……? 大丈夫かな……。いや、考えなしに行動するタイプではないはず。まだ余力がある、そう信じて戦果を待――
『エリアメッセージ:地下宝物庫の守護龍を撃破、守護結界を制圧しました』
『エリアメッセージ:邪龍ファーブニルの強化結界が破壊されました。邪龍ファーブニルの強化状態が解除されます』
早ッ!? 到着して突入したのとほぼ同時じゃなかった!? うわ、レーナちゃんとヨハンさんのMPと職ポイント残量が0%って書いてある……。レーナちゃんはオーバーヒートで動けなくなってるし、ヨハンさんは飢餓と筋肉断裂になってる……。無茶をするタイプじゃない人が、完全に無茶をした感じじゃないですか、やだーーっ!
「本当に、一撃必殺が残っていたようですね」
「耐久組が撤退完了次第、交代で入場します! 総員戦闘態勢用意!! ティアちゃん!!」
「はいっ! リンネ様、よろしくお願いしますっ!」
『【アンデッド憑依】を発動、ティアラ・エルドリードが憑依し【恐怖の女王】状態になりました』
「素晴らしい、成功しましたね。ゴールドプロテクションも維持されている」
ティアちゃんを憑依させるのは上手く出来た。正直ティアちゃんが物凄く格上になっちゃったみたいで、このまま私の従者という枠のままでもいいのか、憑依が成功するかとか色々不安だった。でもティアちゃんが受け入れてくれるなら、成功するみたい! しかも金錬術もティアちゃんが許可してくれれば使える。よかった、計画は概ね順調に進みそうね!!
『(((((((((((っ;ω;)っ』
「しぬ、しぬ、しぬ、無理、もう無理」
「もう大丈夫ですエリスさん! 外です! 抱っこもういいです!」
『ガァ……!!』
「あと、たの、む、ます」
「はぁ……っ……はぁ……!」
「デロナ、落ち着いたら、で、良い。我の、左足を、なんとかしてくれ……」
『ォー……』
ゴッドゴールドが滅茶苦茶小さくなってる!? おにーちゃんの手に乗るサイズまで小さくなってる!! 全員無事……とは言い難いけど、瀕死でもなんとか生きて出てきた……! 本当、ここまで良く耐えきってくれたと、良く頑張ったと褒めたいところだけど、間髪入れずに……突入!!
「突入ッ!!」
「(突入です~っ! リンネ様、頑張れ~っ!!)」
『つくねが【フルチャージ・超龍砲】を発動』
『相殺! 深淵邪龍ファーブニル・アライバルの【怨嗟の絶叫】を打ち消しました!』
『――――おのれええええ!! 逃げるなぁああああああ!!』
入場初手でいきなりなお出迎えじゃないの。ああ、間近で見るとやっぱりデカい。圧倒的な巨躯……。それに名前の状態から察するに、恐らく最終形態に到達した姿。ここまでやり合ってたんだ、しかも強化状態のファーブニルと。本当に、本当によく全員生き残ってたね……。
『我がこの世に生を受け、数百年間ッ……!! このような屈辱を受けたのは、これが初めてだッ……!! 赦せん、赦せん、赦せん! 赦さんぞ虫けら共がぁあああああああああ!!』
「――――数百年ものの、熟成肉ですねぇぇぇ~……!! 楽しみぃぃ……!!」
『氷華のユキノが【喰う者】を発動、特定の対象に強力なプレッシャーを与えます』
『深淵邪龍ファーブニル・アライバルが【恐怖】状態になりました』
『【恐怖の女王】の権能により、深淵邪龍ファーブニル・アライバルが【死恐怖症】状態になりました』
『な、んだ……? 今の、我に、流れる、今の感情、は……!?』
その感情の正体をじっくり教えてやりたいところだけど、じっくりお前を教育してやる時間はないんだよ。その感情の正体に気が付かないまま、正体不明の感情に取り憑かれて死んで逝け。
『エリア全体の龍種が【恐怖】状態になりました』
『ヴァルフリートが【不安】状態になりました』
『つくねに精神状態異常は効きません』
『つみれに精神状態異常は効きません』
あっ……。そ、そっかぁ……。というかユキノさんの状態異常有効範囲広すぎない……!? 遠くのヴァルフリートさんにも届いてるんだけど!? ヴァルフリートさんに今度、精神状態異常に抵抗のある装備を作ってあげないと……。これから毎日、隣にいるだけで不安になってたら大変だもんね。うんうん、今日は我慢してね……。





