417 Memory of Eldorado part9
「移動に時間がかかりますね~」
「それは仕方ないです。デロナがどんちゃに乗ってました、移動遅いは当たり前です」
「ごめんね、足を引っ張っちゃって……」
「大丈夫、気にしないで」
デロナさんの足代わりだったどんちゃんが居ない影響で、思ったよりも移動に時間がかかっていますわね……。ラーラさんとリーリさんも黙りっぱなしですし、イライラしているのかしら……。
「早く移動しないと、また吹雪来ちゃいます~!」
「ん、吹雪の夜が来る……」
「晴れが短い、移動が辛いです」
「それに、向こうに見える建物に本当に人が居るかどうか、それも怪しいですわ。先に中を確認出来ればいいのに……」
「こんなにいっぱい雪が降ってるのに、離れて行動は危ないですよ~っ! 戻れなくなっちゃいます~!」
「ん、ティアの言う通り。危険」
先行して誰かが移動をと思いましたけれど、確かに戻れなくなる可能性がありますわね……。いえ、でもレーナさんなら晴れの間に行って戻ってくるぐらいできるのでは? わたくしもカットインを連発すればギリギリ、晴れの間に高所に行って皆さんを見つけて帰ってくればいいのでは? 大丈夫、雪山がどれだけ見通しが悪いかはもう経験済み、吹雪が止む周期があるのであれば、目印さえあれば帰ってこられますわ!
「ゼオさん、次の晴れの周期にわたくしが先に様子を見に行きますわ。そうしたら次の晴れの周期に、何か目印になるものを使ってくださらないかしら?」
「獄炎、あります! 先行しますか?」
「危ないですよ~っ!」
「ん、危険」
「もし何もないところに全員で行くとなれば、折り返す手間が増えるだけですわ。そうしたら移動時間が更に増えてしまう。移動できる人が先に確認に行くべきではなくて?」
「で、でも~……」
「ペルセウスさんがそう言うんだから、任せるべき――……――……」
『……ッ!』
『ッッ!!』
「は、はい~……そうですね、ティアもそう思います……」
ではわたくしが先行して、先に…………ええ? レーナさん、わたくしの呼び方が随分余所余所しいですわね? いつもならぺるぺ~るとか、ぺるぺる~って呼びますのに……。何か気に触ることでも言ったかしら……?
『自分たちにしか聞こえない音だと思って、油断したな』
「え?」
『システム:波動のラーラが【波動衝撃波】を発動、白銀のレーナに1,150Mダメージを与えました』
「ぐっ……?! な、何するの……!!」
『リーリ達には聞こえるんだよ! その、凄く高い音でのやり取り!!』
「な、何をしていますの!?」
ええ!? 急にラーラさんが、何をしていますの!?
『ずっと違和感があった。ティアと、レーナだ! お前達にしか聞こえない、高い音で意思疎通を取ってる!! 自分たちの都合のいい方向に導いてる!』
「な、何言ってるんですか~っ! ティアは、そんなことしてませんっ!」
「そっちこそ、私達を悪者にしようとしてる。都合が悪い方向に行って欲しくないから? ペルセウスさんが行くって言った途端に行動した、西は都合が悪い? ラーラさんとリーリさんが、結託して私達をハメようとしてる」
『嘘ッ! 西の仲間に知らせるって言ってた! ペルセウスは消すって!』
「そんなこと、言ってませんっ!!」
これは、どういうことですの……。ラーラさんとリーリさんが敵……? ティアさんとレーナさんが敵……? どういう、何が起きていますの……??
『お前達は先に入った。怪しい、最初から私達を誘導するつもりだったんじゃないか!』
「コインの話をして、興味本位で口に入れたのがティアとレーナ様が最初だったから、最初だっただけですっ!!」
「そう。むしろいつ入ったかすらわからない、ラーラとリーリの方が怪しい」
『リーリ達はペルセウスさんより先に入ったもん、ペルセウスさんが一番最後だもん!』
「全員、武器を下げて。話し合いましょう。この場で、何かがおかしいのは確かですわ」
「おかしいのは、いきなり攻撃してきたラーラさんですっ!!」
まずいですわね、ラーラさんが攻撃をしたのが原因で全く引き下がる様子がありませんわ……。これは、どうしたことかしら……。
「――――ティアはそんなに怒鳴らないです」
「えっ?」
「ティアは怒鳴らない。怒らない。怖がったり、不思議がったり、悲しい顔はします。でも、怒らない」
「え、え、ティアだって、お、怒ります。だって、それが普通です!」
「ティアお姉ちゃんはそうやって、髪の毛をぐしゃぐしゃしてイライラしない! それに、ティアお姉ちゃんは右と左を覚えたばっかり、東と西の区別はまだ出来ないはずだよ!」
「べ、勉強しました、朝の太陽の反対は、西です。朝の、太陽の反対です!」
「……レーナさんはわたくしをペルセウスさんとは呼びませんわ」
「よ、呼ぶよ。ちょっと、違う呼び方が良いって思っただけ」
「ではいつもの呼び方で呼んでくださいまし」
「…………」
これは……。これは、もしかして、本当に……?
『ワ、ワカラナイ、シラナイ、イツモノ、ヨビカタ……??』
「ティア、その槍は誰から貰ったものでしたか? それが答えられる、信じます」
「リンネ様です!!」
「ティアお姉ちゃんじゃない!!」
『チガウ、ドウシテ、ゼンブ、ゼンブアッテル、ナゼ!!』
『システム:ティアラが正体を現し、ウェアセルヴァウォルフが出現しました』
『システム:レーナが正体を現し、ウェアセルヴァウォルフが出現しました』
『狼獣人族!?』
『えっ!?』
まさか、狼人間がティアさんとレーナさんに化けていたなんて!! では、本物のティアさんとレーナさんはどこに!?
「生け捕りにして情報を吐かせますわ! 出来るだけ殺さず叩きのめしますわよ!!」
『ニ、ニゲロ……!』
『シッパイシタ、シッパイシタ……!』
これは、捕まえて洗いざらい吐かせる必要がありますわね! 正体を現したからには、容赦しませんわよ!!
◆ ◆ ◆
「――というわけで捕まえたのが、これですわ」
「いや~お手柄だあ~……。まさか捕まえておいてくれるなんて……」
「撫でてもよろしくてよ?」
『撫でるなら私だ、私が最初に疑ったんだっ!』
「あ、撫でても……いいですか?」
『ダメ!』
「じゃあ間を取ってどん太を……」
『わう? へっへっ♡』
いやぁ~ペルちゃん達、最初は騙されてたけど少しずつ違和感に気がついて、最終的には誰が人狼なのかまでちゃんと当てられたの偉い……! ティアちゃんが槍を貰ったのは確かに私からだけど、これは私が仲介人になっただけで正確にはカーミラさんから貰ったものだからね。じゃあ本物はどう答えるんだって?
「ねえねえティアちゃん、その槍は誰から貰ったんだっけ?」
「リンネ様とカーミラ様ですっ!」
「うんうん、そうだね」
「はいっ!」
こうよ。そしてティアちゃんが怒ったりするのは確かにしないね、真似出来てるのは口調や声、記憶も表面的なものだけで深いところまではコピーできないのね。こいつらの見分け方がわかってきたわ。
「吐きなさい。時の神の目的は? 黄金の女王との関係性は?」
『オイツク、トキニ、オウゴンキョウ、トリモドス……』
『ソノトキハ、チカイ、モドラナ、ケレバ……』
『俺達の記憶を奪ったのはお前達か?』
『チ、ガウ、シラ、ナイ』
『ワカラ、ナイ』
「お前達と狂った狼の関係は?」
『ジョ、オウ、ヒテイ、シタ、オロカナ……』
『モドル、コバンダ、ウラギリ、モノ……』
『ユーリはどこだ!!』
『シラ、ナイ、オロカ、モノ』
「黄金の女王に化けて私を攫ったのは、本物? なんで私のコピーは居ないの? ヨハンさん達のコピーは?」
『オマエ、オオカミ、マネ、デキナイ』
『ツヨ、スギル』
『アトハ、シラ、ナイ、イ、ア、アアアアアアアアアアアアアア!!』
『ガアアアアアアアアアアア!!』
『始末する』
「ええ、お願いします」
「こわれた~。ようずみ~」
――――とりあえず、ペルちゃん達のおかげで捕まえられた二匹から引き出した情報と、これまでに判明している情報を時系列順に並べて再確認しよう。
【エルドリード・メモ】
・大人っぽいティアちゃんの姿で現れた謎の存在に誘拐された、これが誰かはわからない
・最初に襲われた狂い狼はウェアセルヴァウルフ――人狼と呼ぶ――とは別勢力、人狼から裏切り者、愚か者と言われ、黄金の女王を否定した? 何を否定したかまでは不明。恐らく協力を否定した?
・狂い狼を黄金の女王が避けた、もしくは黄金の女王に化けていた人狼が避けたから上記の関係性はほぼ確定
・時の神と黄金の女王が睨み合いをしていて拮抗状態と思っていたが、協力関係である可能性が非常に高い
・時の神の狙いは何かに追いつくこと、そしてその時は近いらしい
・黄金の女王の狙いは黄金郷を取り戻すこと、この世の銀を滅ぼし、黄金で支配すること?
・東側の街に居る闇人間は人狼に姿を取られた虚ろ人、もう元には戻らないかもしれない
・西側の街には完全に姿を奪うことに成功した人狼が蔓延り、有力な者は城に連れて行かれ兵士として戦力にされている
・この世界に通常の手段で入った時、必ず人狼にコピーされる。先に人狼を退治出来れば影を取り戻し、この世界で何の害を受けることもなくなる
・カーミラさん、ヨハンさん、アイギスさんは強すぎる為にコピーに失敗した。ただしカーミラさんは黄金を持たずに入場した為に存在が消えかけた
・私は狼だからコピーできない? どん太も同じく狼だから? 私のどこが狼なのかは不明…………追記、左手の魔手が狼の形態を取れるから??
・黄金期の記憶を奪われたのは人狼の仕業ではない。憶測だけど、ヨハンさんとアイギスさんの足止めの為に時の神が行っている妨害工作の可能性がある?
・これも憶測だけど、ピンポイントで記憶を封印するのは難しいし手間がかかるから、黄金以外を対象にしている可能性がある。断定はできない
・人狼は人狼同士でしか感知出来ない高音での会話が可能、ラーラさんとリーリちゃんが聞き取れる
・全身黄金のゴッドゴールドは何の影響も受けず自由に活動出来る。黄金の女王に感知されないが、狼には追い掛けられることがあるらしい
「こんなところかな……」
まだ謎な部分も多いし、憶測の部分も多い。でもこれなら辻褄が結構合ってると思う。とりあえず確定してるのは、時の神の目的がもうすぐ達成されそうだってこと。これが一番厄介で、敵である可能性が高い上に、何が起きるのか確定してないから何としても妨害したいところ……。
「これだけ派手に活動しているのに、敵の尖兵が送られてこないのも謎ですわね」
「それが人狼の役目なんじゃ?」
『姿を奪った兵士が居るはずじゃないか。それが来ないのはどういうことだ?』
『ミーが城に忍び込んでも、そーんなソルジュァー見たことあーりませーん』
気になるのは城の中、ゴッドゴールドの言う事が真実なら兵士は見たことないらしい。戦力を削ぐ為に金貨を盗んでばら撒いてるのと、私の援軍を呼ぶのを許可してくれたことから、かなり信用できる存在ではある。かなり協力的だし……。
「リンネ~。ここ、ログアウト試した~?」
「え? いえ、やってないですね」
「さっきまでログアウトすると二度と戻れないって出てた。でも、偽物倒してから警告消えた~」
「あら、わたくしも消えてますわ!」
「むしろそんな警告出たんだ……」
「チャンネル変更も出来る~。2チャンネル、ある~」
「…………え?」
「変なの、なんでチャンネルがあるんだろ~」
チャンネルが、ある……。本当だ、2チャンネルが存在してる……。こんな閉鎖空間で、どうしてチャンネルが2つも……?
『チャンネルとは、なんだ?』
「あ、えっと、なんて言えば良いのかな……。表の世界で私達が活動するのに、いつも同じ時間帯だとつまらないだろう~って、別の時間帯の世界が用意されてるんです」
『時間軸の違う、並行世界ということか?』
『面白いねえ。途轍もない力を持つ神の業としか思えないねえ』
「あはは、そうですね。実際は運営が…………」
運営が、用意した、機能……。時間を、変える、力……。時の神、クロノス……。
「ペルちゃん、神話とか詳しいよね。ハルパーとか知ってるし」
「え? た、嗜む程度ですわよ?」
「時の神クロノス以外に、時の神って……居る?」
「ええっと……ちょっと待ってくださいまし……。今、ここまで、ここまで来ていますの…………。あああ!! 居ますわ!! 時刻の神、カイロスですわ!! 兄弟神か、姉妹神か」
『誰デース?』
『時を刻むカイロス……思い出したぞ。俺も聞いたことのある名だ。秩序を重んじ、混沌を嫌うとされる厳しく平等な神として崇められている。俺達の国でもカイロスの時計を採用している』
『私も名前を言われて思い出したよ。1年は365日、1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒を決めたのもカイロスって神だったねえ』
ああ、ああ、ああああ!!
「チャンネルを作ってるのは、カイロスの力なんだ……!!」
「ええ!? システムに、この世界の神が関わっていますの!?」
「わ~お。突飛した考えかも~」
「普通のダンジョンとか、そういう場所にはチャンネルがないよね。でもここにはある、時の神がいるから! 恐らく別の時間軸を作り出して、そこに兵士を隠してるんだよ!」
『ありえない話ではない。それならばゴールドの言うことと、人狼達の言うことがどちらも成立する』
『回りくどいことをするねえ……。何のためにそんなことを』
「城にコピーがぞろぞろと揃っていたら、答えを置いているようなものです。隠すための時間稼ぎでしょう」
「2チャンネル、入場不能だった~。行けない~」
「カイロスが混沌を嫌い、秩序を重んじて正しく時を刻んでいるのであれば、クロノスが作り出しているこの加速空間はまさに混沌。カイロスの忌み嫌う混沌です。カイロスはクロノスを封印したんじゃないですか? この、エルドリードと共に」
「リンネさんの予想が正しければ、クロノスはカイロスに対して途轍もない憎悪を抱いているはず。クロノスの目的は、もうじき達成される……。追いつく……」
エルドリードの時間は加速している。恐らくカイロスが不都合なエルドリードと共に封印した、もしくは……時の流れから、切り離した。別の時間に隔離した。それが天魔大戦が起きた後のタイミングで、その辺りでアイギスさんやヨハンさんが巻き込まれた。
「エルドリードには、世界中の金が集まっていたんですよね?」
『ああ、そうだ。この国がほぼ全て持っていた』
『だからこそ、金は自慢できたのさ』
「ゴッドゴールドさんが忍び込んだ時、城にあった金を見て……どう思いましたか?」
『どう、とは~? 金貨が宝物庫にザックザクと~……』
「少ない、そう感じませんでしたか? 世界中から集めたとしては」
『…………確かに、ワールドのゴールドをコレクトには、少ないネ~』
「エルドリードの女王は、金をあらゆるものに変えることが出来るんですよね」
「まさか…………」
ああ、なんだろう、最悪だ。だから時の神と黄金の女王は結託してるんだ……。
「時は金なり、その逆。金を、時間に変換している。黄金の女王が金を時に変換し、時の神が変換した時を操り加速させている。大昔の時間に取り残されたエルドリードを復活させるために、現代に追いつくために、加速しているんです。追いつくというのは、もうすぐ現代に追いつくということを言っているんだと思います……!」
「祝福された、銀色の涙は~……?」
「追いついたところで、本来の目的である銀を金に変える力がなければ目標は達成出来ない。それを取り戻した時、黄金の女王は行動を開始する。世界に再びエルドリードの名を刻む為に、この世からシルバーを消し去り、エルドリードが全てを支配しようとしているんだと思います」
『集めている兵士は、その為の戦力というわけか』
『しかし2万ぽっきりじゃ、どうにもならないんじゃないかい?』
「2万も居れば、周囲の小さな村や都市を順に制圧、全てを人狼にすり替え、他の都市に潜入することは……十分に可能だと思います」
「この雪原に、いつの間にかひっそりと復活して、秘密裏に活動を進めれば……可能ではありますね」
この説が正しいとしたら、急がないと……! なんとかして時の神を止めないと、大変なことが起きる!!
「しかしこの戦力では、城を攻めても西の拠点から潰しても、時間も人数も足りませんね……」
「せめてもっと、人がいれば……」
「お昼寝さんには、連絡を取りましたわ。伝わっているかは、わからないけれど……」
「もう10時、お昼寝そろそろ起きてるはず~」
『ン~ッ……。ンッン~……。ミーが、マックスパゥワーで穴をオープンすれば、ユー達が出入りは恐らくオーケー。バット、絶対バレてミーは殺されキリング、ねっ!』
『まず、バレない小さな穴を空けて援軍に連絡をつける。11時までに戦力を目標地点に集結させ、ゴールドが大穴を空ける。どうだ?』
『人狼とやらに接触されるんじゃないかい? 入ったら、コピーされるんだろ?』
『いや、それならゴールドが何度も手下に接触しているから、その都度人狼にバレているはずだ。ゴールドが空けた穴以外は罠として設置され、潜ればコピーされる。ゴールドの空けた穴は管理外、接触されないはずだ』
11時、歯痒い1時間になるけれど、お昼寝さんを信じて連絡を取ってみるしか……。一か八かの賭けになる、それでもやらないよりは何倍もマシ……!
「このまま城へ向かいましょう。カーミラさん、感知されないギリギリの範囲を探ることは出来ますか?」
「可能です」
「まずこの場で小さな穴を空け、もう一度城の周辺で小さな穴を空けます。その都度連絡可能な相手に一斉にメッセージを送信、援軍が来ることを信じます。そして11時と同時に援軍が来ると信じて大穴を空け、城へ突撃。どうですか?」
反対意見は、ないね。ほぼ決めつけの強行作戦になるけど、状況からして一番可能性が高い最悪のシナリオがこれ。間違っていたとしても、現状を打開するにはこの方法が一番手っ取り早い。何にせよ、このまま行動しないのが一番の愚行だと思う……!
『やろう。何もしない、待つだけの日々は今日で終わりだ』
『私もこんな寒いところ、さっさと出たいんでね。元凶を叩くのには賛成だ』
『居なくなった同族達が、その行方を知っているかもしれない。やるっ!』
『きっと、師匠はここでリーリが成長するのを望んで送り出したんだと思います、やりますっ!』
『わうっ! (悪いやつ、やっつけるよ!)』
「ギルドメンバー全員に向けて送るメッセージですわ。短く、わかりやすいものにしたつもりです。送り先とメッセージはコピーして使ってくださいまし」
「なーいすぺるぺ~るぐるぐ~る」
「これ、これですわね。やっぱりレーナさんはこうでないと……」
「???」
行動しよう、時間は残り少ない。この時限爆弾が爆発する前に、何としても食い止めないと……!!
◆ ◆ ◆
「ん……? また届いた」
「俺にも来たぜ。座標は? 今度は正確に載ってるか?」
「アカン、文章がボロッボロやで!」
「全員内容同じデース? ちょっちょ、びみょーんに違うないか?」
「あのリンネちゃん達からの救援メッセージだ、ただ事じゃないってのは間違いないんだけどな」
今度はペルちゃんからだけじゃない、リンネちゃんからも、レーナちゃんからも救援メッセージっぽいのが届いた。前のメッセージはリンネちゃんがピンチだとか、ルテオラの北の雪原とか、呪いのコインとかがポツポツと書いてあるだけでわからなかったけど、今度のメッセージは繋ぎ合わせたら割と読める内容になってるかもしれない。
「もってぃの方も来た?」
「あ、来てる! 来てる来てる!」
「全員届いたメッセージをオープンしてみてくれ、繋ぎ合わせよう」
「きぬのはこれネー!」
「ユキノも、届きました~!」
「わ、わっちも、これ……」
全員に届いたメッセージを繋ぎ合わせてみよう。ええっと、あ、結構……これだけの人数がいれば、一つの文章になるわ。
「ルテオラ北、座標は……この周辺だな。11時、扉を開く。時の神、黄金の――エルドリードの――阻止……」
「これ、今いる全員集めたほうがいいんじゃねえか?」
「ハッゲさんに賛成ですね、僕も集めた方がいいかなって思います」
「図書館、筋肉、王国、賭け狂い、他にも掲示板で集めちまおうか?」
「リンネちゃんがピンチだって言うんだから、相当だと思うんだよね」
『(;´∀`)b』
「フリオニールさんもそう思うよね。絶対一大事だと思うんだよ」
「きぬもそう思うデース!!」
「わ、わっちも、絶対、やばいと思う……」
「この空間に何かある、11時になればそれがわかるってことだろうな……」
11時になれば何が起きるのかわかるはず……。これは、今集まれる人を総動員して、もう掲示板にも書き込んで大々的に人を集めちゃう? もし何も起きなかったら、いやぁ~大法螺吹きとか言われちゃうなぁ~……。
「そもそも、こんな異常なメッセージ送ってくる時点で、絶対厄介事やで。このだだっ広い雪原に、なんかパラレルワールドでもあるんとちゃうか? 自由に行き来できへんから、困っとるんちゃうか??」
「エリスちゃ、も、そ、おも、もも、ももう……」
「エリス~この雪原でもその露出度は自殺行為でしょ……」
「エ、エリスちゃ、の、か、から、だ、み、魅せ、つけ、るん、だ……」
「見てる方がさみいぜ……。しょうがねえ、食べれば寒さも吹っ飛ぶような料理、これから集まる奴らの分もどかーんと作るか!」
「お、ワイも斬るのだけは得意やで」
「マイペースな奴らだぜおい、リンネちゃんがピンチだってのによ……」
「まあそう言うなシュタークさん。俺らが今出来るのは、待つことと人を集めること、11時にこの近くで何か起きるのを信じることだけだ。それまで準備を万端にすべき、だろ?」
「確かにな……。悪かった」
「おう」
よし、集めよう。人を大勢集めよう! 何も起きなかったら僕が責任を負おう、そして何も起きなくてリンネちゃん達に連絡が付いたなら、どういうことなのか徹底的に追求しよう……! 何かが起きてもどういうことなのか一から十まで全部聞きたいけどね!
「よし、僕が責任を持って集める。皆はここに仮拠点を作成して、準備を進めて。ほら、インスタントハウスのスクロールまだ余ってたでしょ? あれでいつもの仮設ハウス作っちゃおう」
「ギルド倉庫の資材使ってええか~?」
「いいよ!」
「どこでも倉庫課金してる奴おるか~?」
「あ、僕のとこの資材も出します! いつもいつも悪いんで!」
「きぬ、持ってるデース!」
さあさあ、やると決めたならやる! 行動開始! 11時になにか起きると信じて、リンネちゃん達から続報があると信じて、お願いだから空振りだけは絶対にやめてねぇ~!! 頼んだよ、リンネちゃ~ん!!





