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397 包み隠さず話そう

 ペルちゃんに連絡を取ってみたら、今丁度エリアボス【悲嘆の王】を倒したところだったって。隠しエリアボスの強欲の王の情報があったから、アップグレードが完了した瞬間に位置を特定して全員で可能な限りの火力を叩き込んだら強欲の王の方は楽々倒せて、悲嘆の王はかなりの時間がかかったけど無事撃破出来たんだって。ドロップアイテムは前回私がドロップしなかった種類のアイテムで、なんとアーティファクト武器! 驚くことに複数の武器種として扱うことが出来て、大剣モード、片手剣モード、双剣モード、クロスボウモードの4種類を瞬時に切り替えられるんだって。この話をマリちゃんにしてみたら今後作る武器の参考にしようってさ。確かにマリちゃんは近接攻撃も出来るし射撃も優秀だし、双剣、ハンドガン、ライフルみたいな感じのを作ってみるのもありだよね。

 話が逸れたけど、とりあえず最下層狩りは一旦休憩に入って報酬分配タイムらしいから、それが終わったらペルちゃんこっちに来るらしい。それまでに千代ちゃんの綿密な点検をすべきだと思ったからしたよね。だって今可能な限り服をひん剥いてみたら、確かにお腹周りがぷにっとしてる……前は腹筋がうっすら割れてた記憶があるんだけど。目を見つめたら耐えきれずに目を逸らすし、自覚もあったと。


「どうするの~? このお腹のぷにぷに」

「い、戦場(いくさば)に出れば、減るかと……」

「あ~あ。千代ちゃんって剣の道には甘えなし、鍛錬の鬼って感じで格好良かったのにな~。自分の体には甘々なんだ~」

「う゛っ゛」


 私も口ではこんなこと言ってるんだけど、千代ちゃんのぷにぷにぽんぽん……結構さわり心地が良くて好きかも。後でぺるちゃんのお腹も触ろう……。


「そういう、リンネ殿はどうなのですかっ!!」

「触る?」

「ひゃ? へ、ほっ……しゃわり、ましゅる……♡」

「なんか布面積少ないアバター買うか、ちょっと待ってね~」


 私のお腹が触りたいと申すか、ならばお望み通り触らせて進ぜよう。水着系のアバターとかなら布面積ガッツリ少ないし、お腹触らせてあげられるでしょ。プライベート状態にしてある姫の間に居る限り他の子入ってこられないし、水着になっても問題ないよね。さて、オークションを開いて~っと……? あれ、なんか新しい項目増えてる。金庫・倉庫からお金を引き出す項目が増えてる! どこでも倉庫を買ってる人は何回でも利用できて、買ってない人は一日2回までなら無料で利用出来るんだ。オークション開いたけど倉庫までお金出すの忘れた、取りに行くの面倒くさい~って人のためにショートカットを付けてくれたのね。これは地味にありがたい機能を付けてくれたね。倉庫に直接購入って機能もあるんだ。

 うわ、もう金庫がパンク寸前じゃん! これはアークトゥルスの主武装を変形武器にして貰うのに、マリちゃんにお金をバンバン使って貰った方がいいかな~? とりあえず将来的に高くなりそうなちびペット辺りを購入して……ちびケルちゃん500G!? うわ~高くなってるね~……最大値が999G出品かあ、この999G以外は500から600の間ぐらいだし、一番高いやつ残して他10点を全部買っておけばほぼ独占出来ちゃうかも? 悪いことしちゃお、ごめんね~全部買っちゃう!

 あ、そうだ水着水着……。女性用アバター、タグは……露出が多い系のタグ選んで検索っと。ん~水着より先に踊り子っぽいアバターが出てきたわ、古き砂漠のロインクロス……? 昔のステラヴェルチェでは一般的に着用されてたって書いてあるけど、こんなに布面積が少ないのを着用してたの!? あ、えきどにゃ様が確かにこんな服だったわ。


『古き砂漠のロインクロスを購入しました。直ちに着用するを選択しました。現在着用中のアバターが解除されます』

「ほら、触っていいよ」

「はべっ……♡ し、しちゅれいしましゅる……」


 どうだ~千代ちゃん、私はちゃんと鍛えてるからお腹ぷにぷにしてないも~ん。指先が震えていらっしゃいますよ? さあ、自らのぷにぷにお腹と私の腹筋との差に打ち拉がれるがいいよ。


「こ、こんっ……♡」

『姫千代が一定条件を満たし、行動不能になりました』

「え、嘘、倒れた。そんなに衝撃的だったのね……。起きるまで待ってあげるか~。じゃあ元のアバターに着替えて…………?」


 千代ちゃん倒れちゃった。じゃあ元のアバターに戻しちゃおうと思ってアバター漁ってたんだけど、そもそもね……? そもそもなんだけど、私アバター着用……してなかったよね? 現在着用中のアバターが解除ってさっきのログは一体、何を……?


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………」


 私、もしかしてなんだけど……。昨日零姫おばあちゃまに和ゴスアバ見られてからずーーっと、あのアバター着用しっぱなしじゃない……? え、あ、お゛……!!


 ――――死にたい。死ぬんだぁ……。




◆ ◆ ◆




「ペルちゃん……。はぁ……。ペルちゃ~ん……」

「ひぃぃいい~~リンネさんが、リンネさんが過去一甘えん坊ですわ!! 過去一ですわ!!」

「もうちょっと静かに」

「あ、はいっ……♡」

「リンネ、あの服を誰かに見せるつもりではなかったのに着用し続けていたのか……」

「言わないでマリちゃん、今絶望してるの」

「裸を見られたわけではありませんもの! 元気をお出しになられて?」


 露天風呂の中で、今更になって羞恥心が沸々と……。もうダメだ……。ダメになりすぎてダメぽさんだ……。自分でも何言ってんのかよくわかんない……。


「ところで、姫千代さんはどうしてわたくしを見て泣きそうな顔になって出ていきましたの?」

「…………ペルちゃんのスタイルが完璧だったから?」

「まあ! 嬉しいですわ~! 日頃の努力の賜物ですわ!!」

「ペルちゃん、理想の女の子みたいな体型してるもんね……」

「リンネさんの好みの体型を目指して、毎日もう一品食べたい欲求と戦っていますの!」

「偉い、偉すぎる……」

「それが姫千代さんとの大きな差だな。もう一口からのもう一口と、あの人は食べすぎている」

「食べた分動けば良いんだけど、最近精神修行多めで動いてないから急激に来たんじゃない……?」

「我ももう少し、筋力をつけるべきだろうか……」

「マリちゃんは柔軟性で勝負して欲しいな~」

「そうか、ん……わかった」

「体が柔らかいと、いざという時に体が動きますからよろしくてよ!」

「そうだな。じゃあ、柔軟性を意識しようと思う」


 ペルちゃん、結構体型が変わりやすい方だもんね。毎日もう少し食べたいって欲望と戦うのは大変だろうなあ~……。私は食べた分は動けば良いと思ってる派だけど、千代ちゃんみたいに『いっぱい食べたい! 動くのはまた今度……』って生活をしたら、私も千代ちゃんのぷにぷにを責められなくなりそうだから注意しないと。


「それにしても、浮力の計算能力はどうなっているのかしら。リンネさんも、浮きまして?」

「え? ああ、浮くよ」

「浮く……? ああ、胸の話か。お風呂で浮くのは自然じゃないか?」

「マリアンヌさん、わたくし達が行ける別世界では、不思議な力によって浮かない世界も多くありましてよ」

「そうなのか。湯の中で浮かないと、普段から重いのにそれを忘れられることがなくて辛そうだな」

「確かに。重いよね……」

「この点に関しては男性と比べて大きな不利ですわね~……」

「…………アルテナは、それが逆に武器だと、判断しているから、一概には言えない」

「マリちゃんスタイル凄く良いもんね。長身で胸が大きくて顔が良くて、前に比べてお尻周りとふとももの筋肉太くなった? 蹴り技密かに練習してたでしょ」

「う、うん……。射撃手向けの蹴り技の稽古を、グリムヒルデにして貰ってるんだ。ハードだったが、足腰が強くなって良かった」

「いいね~……。そうだ、神樹の別荘を拡張して、サウナとかも増設しちゃおうっか。多分出来ると思うんだよね」

「あら! 良いですわね! 姫千代さんにもよろしいのではなくって?」

「さうな?」

「蒸し風呂だよ。高温多湿の部屋で、効率的に汗が掛けて減量に良いの」

「汗をかくのは大事ですわね!」


 お風呂に入りながら別のお風呂のことを考えてるの、謎の背徳感があるなあ……。


『ごめん! 遅くなった、旅支度で忙しかった』

「あ、ラーラさん! 出かける前に会えて本当に良かった~」

「あら、ラーラさん御機嫌よう!」

「やあ」

『お久しぶり、異国の姫君! それで、私に会いたかったのはどうして?』

「まあまあ、背中でも流しながら」

『わうっ?』


 ラーラさん来た~。お風呂一緒入ろう~なんてとんでもない誘い方しちゃって、あとになってやっちゃった~って後悔してたんだよね。来ないかと思ってたけど、来てくれた~!


「ラーラさんお背中失礼しま~す……」

『わうっ!』

「…………あの、剛拳のリーリって子、知ってる?」

『リーリ!? 知っている、ううん正確じゃない。なんて言えば良いか、知っているけど知らない!』

「ど、どちらなのかしら……」

「名前だけは聞いたことがある、会ったことはないということではないか?」

『そう! マリアンヌは頭がいい、まさにその通り!』


 ああ、やっぱり繋がりはあったんだ。名前がそっくりだもんね、何らかの繋がりがあるかもって思うよね。でも会ったことはないけど知ってるって、どういうことだろう。


『私の妹、ユーリの娘……それか、子孫だと思う! 私は古き狼獣人族の血が色濃く出て、何かの前触れかと不気味がられて、色々あって里を出ることになった。あ、そこ気持ちいい! もっと!』

「お耳の付け根の辺りが良いんですね~。どん太もここ好きなんですよね」

『感覚器の近くだから、わう~……。お手々の爪が鋭いから、自分だとあまり触れない~……。わう~……』


 ラーラさん、無意識だと思うんだけど尻尾がバシバシ足に当たってます。当たってますって。痛くないし、むしろもふもふで気持ちいいんだけど気になる~~……!!


「それで、リーリちゃんが子孫だと思うって、どうしてまた……?」

『ユーリは里を、古き狼獣人族の血は不気味な前触れじゃないと考えを変えるように、里を変えるべく族長になると言っていた。族長になって、そして自分の子から先祖返りが出たら、私に似た名前をつけると別れの時に言っていた。約束は果たしたのか、ユーリは凄いなっ!』

「凄い妹さんなんですね……!」

『ユーリは私の憧れだ、とても強い子だから! 幼い頃に両親を失った私達が、天への供物にされそうになった時、私を逃してくれたのもユーリなんだ! ユーリは賢くて、強くて……そうか、きっと里を変えたんだ! ふふっ♪』


 嫌な考えが次々に浮かんでくる……。狼獣人族の里……。ラーラさんとの約束……。戦争孤児や忌み子を引き取って世界を旅していたゼルヴァキャラバン……。モンスターを強制移植された獣人族のキメラ……。止まらない殺戮と化した、ラーラさん……。


「海を渡ったら、里に行けるとしたら……どう、しますか?」

『行く! 里は大きく変わったはず、私のことも受け入れてくれると思う! それに、ユーリに会いたい! 娘だと思う、リーリにも会いたいな……。あ、でも、いくら長命とは言え私が生きていた時代より後だから、もうおばあちゃんかも知れない』


 このまま行かせたら、マズい気がする。まずはリーリさんに会わせて、それから私も里へ一緒に行かないと……。ヤバい、絶対にヤバい。やっぱり止まらない殺戮と化したラーラさんは有り得た未来の姿じゃなくて、これから成り得る未来の姿だと思う。


「リーリちゃんに先に会いに行きませんか? それから、里に一緒に行きましょう!」

『わふっ? どうしてそこまでしてくれる?』

「一緒に加賀利を救ったラーラさんの旅を、快適にしたいなーと思って~……えへへ」

『わう……? わかった、一緒に行こう! 出かけるのは明日の朝なんだ、大丈夫?』


 ――――私の真後ろに、予定が被った子が居ます!! 凄く悲しいオーラを感じます!! でもペルちゃん、うあああおおおーー……!! ペルちゃんと遊びに行くの、昼前にする……!? 事情を話せばきっと、少しは理解してくれるはず……!


「そ、早朝にしませんか……? 6時とか……」

『わうっ!! それじゃもう出発してる! 4時!』

「4時!?」

「4時なら大丈夫かしら……」

「うん?」

「4時なら行けそう……。わかりました! 4時に」


 4時、4時なら間に合う……。間に合ってください、ペルセウス様に頭を下げてどうにかご理解とご協力を……!


「わたくしも行きますわ! 4時に加賀利の船着き場ですわね!」

『わう! そう、4時に船着き場! 4時に支度をして出るんじゃない、4時に船着き場!』


 おお、ペルちゃんも一緒に来てくれるかあ……! 後はペルちゃんに事情を説明すれば、なんとかなるはず! 明日はペルちゃんとお出かけの日だもん、絶対外せないよ!


「わかりました、一緒に行かせてくださいね!」

『待ってる……。わふ、流して! 頭からざばーってするのが好き!』

「ざばーって、行きますね? 行きますよー?」

『わふぅぅ~~~♡』


 おおうっふ、頭からお湯をざばーっとかけて流したら、どん太並のぶるぶるを……!


『じゃ、また明日!』

「え、お風呂は」


 あ、え、お風呂で体洗うだけで出てっちゃった……。ワ、ワイルド……。


「……ペルちゃん、これには深い訳がありまして」

「ま、間に合うなら、大丈夫でしてよ!」

「一応ね、一応聞いて!? ね?!」

「む~っ! 聞きますぅ!!」


 ペルちゃん拗ねないで~……。どうしても、どうしても同行しなきゃいけない事情があるのよぉ~~!! あ、拗ねてふくれっ面のペルちゃん見るのレアかも、可愛い。いやいやそうじゃなくって!! 事情をお聞き下さい、ペルセウス様ー!!


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