370 パーフェクトなやつ
◆ シャウタ・最下層避難シェルター内部 ◆
「エネルギー回路は!」
「感知できる範囲はオッケーです!」
「大丈夫だ、遮断した」
「この先に居るはず、やって!」
『龍将ヴァルフリートが【中龍砲】を発動、隔壁が溶解しました』
『なんで起動しないんだ!』
『き、来た!!』
『謎の男A(Lv,200)が【ライトマシンガン】を発射しました』
『フリオニールが【マイティガード】を発動、ダメージを受けません』
ふう~追い詰めた追い詰めた……。全く、隔壁にそれぞれバリアが張ってあるとは、時間がかかりすぎて逃げられたんじゃないかってヒヤヒヤしたよ。幸いにもエネルギーを供給してるラインを寸断すればバリアは消滅するし、向こうも逃げ出すためのテレポーターを起動するのに必要なマナが足りなくて逃げられないだろうって一個一個確実に潰して回ってたけど、よかった~ちゃんと居たね~。
『姫千代が手加減状態で【神雷脚】を発動、謎の男A(Lv,200)に499Mダメージを与えました』
『ぐぁ……っ……!!』
『ズール!!! くそっ……! ここまでなのか……!』
「武器を捨てて、手を頭の上に乗せて跪いて。従わないなら手を乗せる頭がなくなるよ」
『わかった、わかった!! くそ……くそっ……!!』
『終わり、か……』
千代ちゃんが蹴った奴がズール、もう一人の悪態マンが名前不明、最初に出会った嘘つきマンがリメン、ズールが何かを持ってるはずだよね。
「おにーちゃん、ボディーチェック。オモチャ捜索タイムだよ、さっき蹴ったやつが本命のはず」
『(*´∀`*)!!』
『くっ……! げほっ……!』
マシンガンと腰のポーチ以外は特に何か大きな物を持ってるって感じじゃない。大本命はそのポーチに入ってるものなんだろうけど……。
『フリオニールが【?謎の金属で出来た立方体】を入手しました』
『(っ’ヮ’c)!!!』
「これは?」
『…………』
「隣の奴の頭が要らないのね、わかった」
『ひっ……!?』
『やめろ!! わかった、話す! 話す、ぐっ……!』
最初から正直に話せば協力してあげたかもしれないのに、欲が出すぎなんだよあんた達。
『それは……この世を支配できる、力だ……!』
「は?」
「フリオニール殿、貸してくれ」
『(´・ω・`)っ』
この期に及んでまだ時間稼ぎをしようとしてる? 往生際が悪い奴だな~……。ちゃんと説明する気がないわけ? 質問をして更にわからないことを増やして質問を増やし、とにかく時間を稼ぐ。ありがちなテクニックだよね。
「もう一回聞くけど、これは? 何?」
『おい、わかるように説明しなければ右足を潰す。次は左足だ、俺の龍の手足の爪の鋭さが飾りだと思うか?』
『パーフェクトキューブ!! パーフェクトキューブだ!!』
『それはなんだと聞いているんだ!!!』
『クズ鉱石から希少資源を、残飯から豪華な食事を、ありとあらゆる物を改良改善改造する神をも超える力を持つキューブさ!!! 今は休眠状態だから両手で持てるサイズだが、起動すればこのトカゲ野郎よりデカくなるって話さ!! お前達だってこれを狙ってこの国に来たんじゃないのかよ!!!』
また適当なことを言ってるだけ? それともこれは本当のこと? 私達の興味を引いてこれを起動させて、今だ逃げ出せーー!! って狙ってるトラップだったりしない??
「リンネ、これは……凄いぞ。凄いという言葉以外何も出てこない。この立方体の内部にどれだけの空間かわからないが、圧縮された空間が間違いなく存在する。そしてこの空間の中に恐らくだが、人智を超えた知識や膨大な術式が刻まれているんだ。起動すれば大きな立方体になり、それぞれの面から投入した物体に応じた何かしらの物体に変換するんだ。それぞれの面に投入箇所が9箇所、それが6面で合計54パターンの変換、改造、改変、改良、初期化だって出来る。これは、これは……これは、何なんだ……」
「あ、マリにゃん、わからない情報いっぱいで目がぐるぐるして来ました!」
「すまない、我にも把握しきれない。原理も何も説明出来ない。なんとなく解析は出来たが起動方法はさっぱりわからない。リンネ、怖いから渡しておく」
「え、うん……」
『【?謎の金属で出来た立方体】を受け取りました』
『【?謎の金属で出来た立方体】は【(W)パーフェクトキューブ】でした。ワールドアイテムです!!!!!』
『【ワールドアナウンス】プレイヤー【リンネ】が新たなるワールドアイテム保持者となりました!』
は……? は…………???
「リンネ……? どうした……?」
「いや、う、待って、ちょっと吐きそう」
見なきゃ、見たくない、見なきゃ、見たくない、見なきゃ、見たくない……見る……見るっ……!!!
【(W)パーフェクトキューブ】(ワールドアイテム・世界を変える力)
・このアイテムは世界が消滅しない限り消滅しない
・【全面】利用料を設定することが出来る。対価はそれぞれ自由に設定できる
・【設置】設置するとパーフェクトキューブが台座上で浮遊し、保有者以外に動かせない。100時間設置可能で、設置満了後は保有者のインベントリか倉庫、どちらも入らない場合はメールへ郵送させる
・【呪】譲渡不可、所有権を手放した際は即時消滅し、ワールドのランダムな場所に再出現する
・【呪】30日間設置しなかった場合、所有権を失う
【効果】
・【A-1~9】食材系アイテムを投入することにより、ランダムな高級料理アイテムへ変換する。それぞれの面によって排出される料理のジャンルが異なる
・【B-1~9】鉱石・宝石・木材系アイテムを投入することにより、ランダムな鉱石・宝石・木材系アイテムへ変換する。それぞれの面によってレアリティの幅が異なり、数字が大きいほどレアリティの幅が広くなる
・【C-1~6】武器を投入することにより、ランダムな武器アイテムへ変換する。それぞれの面によって排出傾向が異なり、強化されて排出される可能性もある。最大で+20の武器が排出される。またはアップグレードキットが排出される、もしくはアップグレード済みで排出される可能性もある
・【C-7~9】武器を投入した時、武器をより良く強化、もしくはアップグレードする。70%の確率で消滅する。装備保護チケットを同時投入することで消滅を防ぐことが出来る。
・【D-1~6】防具を投入することにより、ランダムな防具アイテムへ変換する。それぞれの面によって排出傾向が異なり、強化されて排出される可能性もある。最大で+20の防具が排出される。またはアップグレードキットが排出される、もしくはアップグレード済みで排出される可能性もある
・【D-7~9】防具を投入した時、防具をより良く強化、もしくはアップグレードする。70%の確率で消滅する。装備保護チケットを同時投入することで消滅を防ぐことが出来る。
・【E-1~6】アクセサリーを投入することにより、ランダムな防具アイテムへ変換する。それぞれの面によって排出傾向が異なる。アップグレードキットが排出される、もしくはアップグレード済みで排出される可能性もある。
・【E-7~9】アクセサリーを投入した時、アクセサリーをより良く強化、もしくはアップグレードする。70%の確率で消滅する。装備保護チケットを同時投入することで消滅を防ぐことが出来る。
【特殊効果】
・【F-1】投入したアイテムの状態を初期化する。アップグレードキットは取り外せない。消滅しない
・【F-2】投入したアイテムを+12~+15に一発強化、もしくは完全に消滅する。強化不可能なアイテムは投入できず、保護チケットを使用できない
・【F-3】投入したアイテムを一つ上か同等のレアリティ、もしくはそれ以下のレアリティのアイテムにランダムで変更する。消費アイテムから装備アイテムになることもある。消滅しない。
・【F-4】投入した専用希少素材を別の種類の専用希少素材にランダムで変更する。1%で消滅する
・【F-5】投入したアバターを別のアバターにランダムで変更、1%で消滅する
・【F-6】投入したカードを別のカードにランダムで変更、1%で消滅する
・【F-7】投入したアイテムからカードを外す。消滅しない。解除不能なアイテムは投入できない
・【F-8】投入したアップグレードキットを別のアップグレードキットにランダムで変更、5%で消滅する
・【F-9】投入したアイテムと同じ素材を投入することでレプリカを複製することが出来る。10%で消滅する
――――チェンジ・ザ・ワールド
ワールドアイテム保有者【リンネ】・重量10.0Kg
今日はもうここまでにしてさ、落ちようかな、落ちて良い? きっと明日ログインしたらなくなってるはずだよ。こんなの個人が保有してて良いはずがないでしょ、馬鹿なのかな? 急に『はいプレゼント~核爆弾~好きな時に使ってね~』って渡されたレベルだよこれ。馬鹿なのかな? 個人で持っちゃいけないものだなってわかるでしょすぐに、馬鹿なのかな???
『ふっ、お前みたいな小娘に扱えるもんかよ。我らが偉大なる導師こそがそれを手に取るのに相応しい、お前みたいな小娘に!!! 扱えて!!! たま』
「こうやって使うのかな……」
『【(W)パーフェクトキューブ】を設置します。完全なる立方体が展開されます』
『る……か……あ……?』
「おー。出来た出来た、怖いから仕舞っておこ」
『【(W)パーフェクトキューブ】を撤去します。完全なる立方体が縮小します』
「リンネ、リンネ、後で我も使ってみたい」
「いいよ~。あ、まだ聞きたいことあったんだった。それでお前達は誰? 何者?」
遊ぶのは後にしよ、おにーちゃんも目がキラキラしてる (気がするだけ)し、絶対後で飽きるまで遊ぶことになるわ。それよりまずこいつに聞きたいことがあったんだわ、何者なのこいつら?
『お前は、あ、貴方はいったい何者なんだ……!!! なんなんだよ、いったい!!!!!』
「私が聞いてんだけど」





