365 ジャンクケイヴスクラップ作戦・5
◆ ジャンクケイヴ・シャウタ・最下層 ◆
居たよ、赤くてデカくて強くて二足歩行で動きが速い奴が。そして居たよ、黒くてデカくて多脚で動きの早い奴が。暫く狩ったけど、戦闘兵B型系に接近を許すと壊滅の危機に瀕する可能性があるから、こいつだけは注意しないと本気でヤバいね。
「しばらくG型だけは見たくない」
「A型がアサルト、Bがバスター、Gがグリーディ、Rがレイドか。それぞれに赤い型が居て、偶数のナンバリングの奴がエリートタイプのようだ。S-34戦闘兵B型が最も危険で、S-37工作兵G型が見た目が……キツイやつだな」
『単純に赤ければ危険ということだな』
『基本はA型でこれが9割以上、稀にA型以外の敵がエリート化していると危険、更にレッドカラーリング化しているともっと危険なんだな!』
実は私は結構暇だからこっそりと統計を取ってたんだけど、まずS-31警備兵A型が居る割合が95パーセント。残り5パーセントがランダムで色々と選ばれて、最下層に居る敵20体毎にエリートが1体紛れてる計算。推定S-31警備兵A型がおよそ160体前後居るみたいで、エリートが最大8体の168体倒したのが最高討伐数だったから、多分このフィールドには168体の敵が湧いてる計算になる。
168体の内8体がランダムなエリート、もしくは特殊なだけの敵が選ばれて出現する。大体3%の確率でS-32警備兵R型、残り2%の確率で黒い人型のS-33、赤版で34のB型、S35とS36が暗殺者みたいなやつで、S37とS38がゴキ……カサカサしてるやつ。S37とS38が一番無害だけど、見た目が有害。
最強最悪なのがS-34戦闘兵B型、これがHP100G近くあってヤバい。デロナちゃんのシールドは即破壊するわ、ルゥちゃんの方陣はぶっ壊すわ、クリアランスって技で全員のバフ・デバフ全部剥ぎ取るわ、おにーちゃんとドミエラさんがカウンター地獄でハメてなかったら壊滅の危機だったよ。こいつヤバすぎ、次見つけたら全員全力でボコるしかない。
「1グスタフぐらいのサイズの、赤い人型兵器がまた出たら全力で。あれは危険も危険、最悪過ぎますし」
『俺よりは小せえ! 0.9にしろ!』
『細かいことはいいから、ルゥの方陣壊されないようにしてっ! 効力が高いのを作り直すの大変なんだから!』
『お、おう……すまねえ』
『でも一番大きいキラキラ持ってる』
『一番美味しい? お宝?』
「そうなんだよね、他のはスペシャルジャンク持ってない時があったけど、赤タフに至っては2個も持ってたんだよね……」
『赤くてタフ。赤タフ』
『他意を感じるぜ!! なんか違う意味を感じるんだぜ!!!』
『被害妄想、名前が似てるだけ』
『お腹が空いたな……』
『ここ来る前に食っただろ!!』
「そうなのですが……」
「どんちゃもきっと、腹ペコ!」
ん~ちょっと全員集中力が切れてるような気がする。リアちゃんはたまにぼーっとしてるし、マリちゃんとモーリスさんは魔導砲開発の草案作りに夢中だし、カムイちゃんはお腹空いてるし、千代ちゃんとゼオちゃんも多分お腹空いてそう。どうしよう、昇降機に陣取って本格的な休憩タイムにしようかな? もう1時間半ぐらいやってるんだよね。流石に小休止すべきかな。
「次のどん太が連れてきた奴を倒したら、昇降機に後退して休憩にしましょう」
『賛成だ、実は俺も腹が減ってな』
『ヴァルフリートは毎度ビームを吐いているからな! 疲れるだろう! うむっ!』
『はぁ……』
『ヴァルちゃん、一番疲れてる原因こいつっしょ』
『その通りだサリー嬢……』
『――――ワォォオオオーーーン!!!! (赤デカ! いっぱい!! たいへん!!)』
あ、それは大変。これは覚悟を決めないと……。
「赤タフ複数! 最大限の火力で応戦しないと危険です!」
『むっ!!』
『遂に来たか、危険な回が!』
『どん太殿が退避次第、最大限の火力で応戦するぞ!!』
「お姉ちゃん! 大親分を出しますかっ?!」
「あ! リアちゃんはそれで! 残り全員は赤タフに集中砲火、そろそろ来ます!」
『オーレリアが真覚醒スキル【∞にゃんこぱわー】を発動、次の攻撃スキルの威力が途轍もなく上昇します』
『ワォォオオーーーン!!!! (速いよ怖いよいっぱいだよ~~!!!)』
『Σ(´ д ) ゜ ゜』
『なんじゃアレは!?』
『ヒャアーーー??!!! 8体全部赤タフじゃねえかァ!!!』
「ダーリ・トゥム・ダーリ・ミディア!!!」
これはマズい、8体全部が赤タフなのは流石にヤバいでしょ……! むしろどん太が道中で轢き殺されてないのが奇跡なレベルなんじゃないのこれ!?
「慈悲深き地獄の女神達よ、彼の者に強敵へ打ち勝つだけの力を与え給え! ヴェレス・ヘーラ・ゴッディス!」
『デロナが【ヴェレス・ヘーラ・ゴッディス】を発動、1分間オーレリアの最終攻撃力と全ステータスが1.1倍になります』
「にゃんにゃにゃおーん! おいでませおいでませ、我らが大親分!」
『オーレリアが神技【にゃどんれいど】を発動! 大親分猫の軍勢が出現します!』
『にゃーんにゃんにゃんにゃーん……! やーっておしまーい!』
『ヒャア可愛い!』
「触ったら死にますよっ!」
『ドヒャア!!!』
うわぁぁ……思わず飛びつきたくなるレベルのもふもふ大親分猫、とてもデカい……。高層ビルの半分ぐらいある、いい勝負してる……。尻尾だけで私達が一掃されるんじゃないかってぐらい大きいよお……!! あ、いけない。猫ちゃん達が突撃する前にぶっぱしないと!
「大いなる虚空に沈め!!!」
『【古代神術・中暗黒球体】を発動』
『複数のS-31警備兵A型(Lv,400)に平均25,500Mダメージを与え、撃破しました。経験値合計 2,560G 獲得』
『複数のS-34戦闘兵B型(Lv,????)に25,000Mダメージを与えました』
『猫達の、仁義なき戦いが、始まる――ッ!!』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)に猫達が突撃! S-34戦闘兵B型(Lv,????)はバラバラになった! 経験値は 4,000G ぐらいだにゃ』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)が【出力最大】【ハイメガビームソード】を発動、ああ! 儂の可愛い猫達が結構やられたにゃ! 半分はお家に帰った!』
ゆ、緩い!! 大親分猫のログが、緩い!!!
『儂が【こんにゃろー!】を発動、複数のS-34戦闘兵B型(Lv,????)に44,000Mダメージを与えたにゃ、遠くまで吹っ飛んだにゃ』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)に猫達が突撃! S-34戦闘兵B型(Lv,????)はバラバラになった! 経験値は 4,000G ぐらいだにゃ』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)が【出力最大】【マナアサルトチャージ】を発動、ああ! 儂の可愛い猫達が結構やられたにゃ! 殆どがお家に帰った!』
『儂も帰るにゃ』
『大親分猫の軍勢が大打撃を受け帰還します』
「え、早いっ!?」
え、リアちゃんもびっくりしてるけど私もびっくりだよ! もう帰るの!? まだ2体しか倒せてないんだけど!
『クーガー、吹き飛んだのを始末するぞ! 合わせられるか!』
『やってみるか!』
『龍将ヴァルフリートが【小龍砲】を発動しました』
『蟹座のクーガーが【マッスルビーム】を発動しました』
『ノンナ、万が一に備えて構えておれ!』
『もう構えてらァ、旦那ァ!』
ログが緩いけど、ダメージが見たこと無いレベルのダメージが出てるんですけど……!? これ、真覚醒のスキル強化とデロナちゃんのバフ込みのダメージかあ……やっぱり最終ダメージ上昇はヤバいわ、強すぎる……!
『スキルリンク! 【筋龍砲】が炸裂! クリティカル! 複数のS-34戦闘兵B型(Lv,????)に19,200Mダメージを与えました』
「アレでまだ動けるか、尋常ではないな」
『マリアンヌが【チャージレーザー砲】を発動、【超改良マリアマイトボム】を起爆、クリティカル! S-34戦闘兵B型(Lv,????)に4,800Mダメージを与えました』
「まだ6体残ってる、数体は瀕死! 近接戦闘の準備!」
『【コープスチャージ】を発動、MPを完全に回復しました』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)が【出力最大】【マナアサルトチャージ】を発動』
あのバリアみたいなのを纏って超高速でタックルしてくるスキルが厄介なんだよこいつ~!! 拠点に近いのは1体しか居ない、おにーちゃん頼むよ~~!!
『双子座のエルが【スティール】を発動、S-34戦闘兵B型(Lv,????)から【中央演算処理装置】を引き抜きました』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)が制御不能、機能停止……。経験値 4,000G 獲得』
『――レベルアップメッセージ省略中――』
『イル、背中のこれ』
『わかった』
『双子座のイルが【スティール】を発動、S-34戦闘兵B型(Lv,????)から【中央演算処理装置】を引き抜きました』
『S-34戦闘兵B型(Lv,????)が制御不能、機能停止……。経験値 4,000G 獲得』
え、嘘っ……!? 装甲が剥がれてボロの状態なら、まだ起動してる状態でもパーツぶっこ抜いて破壊出来るの!? 盗賊職の可能性を見た……これはすごい……! ん……あっ!!!
『後のはもうちょっと壊せば――』
「……!!! 敵がリポップする時間! イルちゃんエルちゃん戻って!」
『『!!!』』
『ワォォン!!!!』
『どん太が【地獄魔狼連弾】を発動、S-34戦闘兵B型(Lv,????)に2,500Mダメージを与えました。大きく吹き飛ばしました!』
どん太ナイスフォロー! 退路を確保してくれたのね、偉いっ!! 残り4体、リポップしてきた敵ごともう一度中暗黒球体をぶちかませば……!!
『――――WARNING!!! WARNING!!!』
『なんだァ!? この異様な音はァ!?』
『わからん! だが、嫌な気配がするぞ!』
警報……!? この最下層全体に響き渡るぐらい大きい警報、まさか……!!!
「全員、今すぐ昇降機まで後退! 残りの4体を蹴散らしながら前衛組が道を切り開いて! 後衛組は出来る限り追っ手を撒いて!!」
『全員リンネ殿の言う通りに行動開始、逸れるな!』
『撤退戦用意だ! リンネちゃんが危険だっていうなら危険だ、急げ!』
まだこの最下層のなんらかの防衛システムが、生きてるってこと!? だとしたら、この警報は私達に向けてじゃなくて……!
『――――シャウウウウウウウタ国ななななな内主要部ににににに、強大な敵勢力の侵入をかかかかかかか確認。確認確認確確確確認、速やかに排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除排除。発進許可アアアアアアアアア』
発進許可!? や、ば……い!!
『排除! 排除! 排除! 排除! 排除!』
『【エリアボスアラート】緊急発進! S-40殲滅戦闘兵K型(Lv,????)が出現しました!』
『(;´∀`)!!??』
『なんっじゃ、あれは!!?』
『巨大な鉄の人馬か!?』
これは、逃げ切れない……!
「逃げ切れない! 死力を尽くして戦うしかない!」
『同感だ、逃げ切れる気がしないぞ!』
『作戦変更、徹底抗戦だ! 気合い入れろ!!』
やるしかない、勝てるかどうか怪しいレベルの相手だけど! まだ赤タフが4体残ってて、追加で湧いた雑魚もいるけど……! ここを切り抜けられないと、前みたいなただレベルが上っただけの雑魚になっちゃう。これを乗り越えてこそ、本当のレベルアップだと思うから!
「総員、戦闘準備!! 鉄の人馬を撃滅せよ!!!」