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355 ジャンクケイヴ・2

◆ ジャンクケイヴ:メロウ・奥地 ◆


「うう~……!! うぅぅうう~~……!!!!」

「泣かないのメロウさん……! 仕方ない、仕方ないことだから……!」

「私の激レアジャンクちゃんがあ~~……!!!」

「おーよしよしよし、また良い子と巡り会えるから……!」


 何が起きたのか、簡単にまとめると……。それはそれは、悲しいことが起きたのです……。

 まず、さっきの抹消焼却炉のでっかーい落とし穴を発見して、それはとりあえず位置を確認して先に進んだのね。で、その先に構造物が倒れて出来た細い隙間の先にジャンクボックスが見えて、色々と設置されてるトラップを解除しながら進んだんだけど、まあ私もメロウさんも胸がほら、大きいから……『つっかかって苦しいです~』なんて言いながらメロウさんが入ってったのね。【■集めるもの】とか武器とかがつっかかって入れないから装備品殆どを私に預けて。そしたらその宝箱がある場所は行き止まりだったみたいで、宝箱だけ開けて帰ってこようとしたの。その時事件が起きたんだよね……。




◆ ◆ ◆



『リンネさ~ん♡ 今そちらにもどっ――!!?』

『メロウさん!? え、滑った!?』

『オ、オイル!? ヌルっとします、床が、あ! こういう感知できない罠は卑怯ですねえ! ああああ滑る、滑りますこれっ!! ひゃーーー!!!』

『メロウさん、床がせり上がってます!! 焼却炉に向かって、滑り落ちるみたいに!!』

『ぎゃーーーーーー!!!!!!!』



◆ ◆ ◆



 宝箱を開けてから暫くしたら私が居た場所も、メロウさんがさっき通った細い通路も、焼却炉より先の道が全部せり上がったんだよね。メロウさんの宝箱の周囲からは機械の作動油が漏れ出して、それも機械の故障ってだけだから罠じゃなくって。私もメロウさんも、この手の罠というか『装置が作動しただけ』『機械の故障』系は罠として感知出来なくって、複合すると罠になる系には弱いってこの時初めてわかったね。いい勉強になった――――代償は、メロウさんが持ってた激レアジャンク品だったよ。


「私に胸が無ければ、追いつけたのにっ!! 追いつけたのに!!!」

「胸が無ければ焼却炉行きですから、ね……!」

「ぐぅぅう、ううぅぅううう~~……!!!!」


 滑った時にメロウさんがジャンク品を手放しちゃって、それが細い通路をスーーーッと通って落ちてったのね。私は落ちないように掴まってるのが精一杯で反応も出来ずに取れなくって、メロウさんは細い通路に胸がつっかかってジャンク品に追いつけず~……悲しいことにそのままジャンク品は焼却炉で燃え尽きたよ……。

 まあそもそも、私も罠が感知できるだけで『どこに』『どの罠が』の部分までわからないから、一気に情報がどわーーっと来るだけじゃ罠への対処の仕様がないから、もし『床がせり上がる』『機械の作動油が漏れる』って感知しててもここでそれが起きるとは予想出来なかったし……。仕方ない事故だったのよ……。


「あのジャンク品にはもう会えないけど、命があれば次がありますから! 次の出会いに期待して、進みましょう!」

「そう、そうですねえ……。進みましょう、失った子のために……」

「未だ見ぬジャンク品の為に!」

「!! 未だ見ぬジャンク品の為に、いいですねえ! 行きましょう~~!」


 ――――で、ちょっと思ったんだけど。

 もしかしたらこのジャンクケイヴって、巨大な洞窟なのかなーって思ってたけど……ここ自体が巨大な施設の跡地か、巨大な機械の中だったりしない? 地形が丸ごと変わる洞窟って、普通無いと思うんだよね。ここってほぼ間違いなく……そうだよね? 洞窟なんじゃなくって巨大な機械の中って仮定して、今後は注意して周りを見てみようかな。何か新しい発見があるかもしれないし。




◆ ◆ ◆




「ん~……いまいちパッとしませんねえ~……最初の1個目が良すぎたのかもしれませんねえ~……」

「品質が良くなるとは言え、確実に高品質なものが出るっては言われてないもんね~」

「そうですねえ~……後1つが限界ですか~? 次の宝箱で帰りましょうかあ~……」

「帰る時は降りてきたポータルか、次のポータルで進むためのコストが支払えない場合だから、どっちでも帰れるよ」

「わかりました~…………」


 あれから3階層降りて現在5階層、暫くこの洞窟を注意深く観察しててわかったこと。間違いなくこの洞窟は天然窟じゃない。人工的に掘削して、内部に施設を建造したけど何かが原因で崩壊した人工窟。さっきリトルブラックホールをぶちかまして消滅させたアトミックボンバーがあった場所の壁、崩壊しないようにってガッチガチに補強された金属製の壁だったもん。あ、勿論そんなことしたから崩壊したよ。入り口方向への道がなくなって進むしか無いってなってちょっと焦ったね。やらかし方によっては詰みになる可能性があるから、このダンジョンには【ギブアップ】ってUIが用意されてたんだね……。


「「…………あ!」」


 いやーメロウさん、同じ反応をしたね~……。わかる、わかるよ、だってこのマップ構造……さっき酷い目にあった2階層の焼却炉に滑り落ちる場所と全く同じマップパーツだもん! 一応マップがランダム生成だから、こういう事も起きるんだ~。これはリベンジのチャンス、今度こそ! 今度こそだね~……!


「焼却炉は、この床ですかね」

「細い通路には、スパイクトラップとレーザートラップ、奥には毒ガストラップとビリビリ罠、間違いなくさっきと同じ構造ですねえ~!!」

『メロウが【アンロック】を発動、【スパイクトラップ】【レーザートラップ】【毒ガス発生装置】【クラッシュサンダートラップ】を解除しました』

「場所が丸見えなら、解体も簡単ですねえ~!」

「どうしましょ、細い通路は消滅させます?」

「時間経過で床は下がりましたから、それまで耐えられれば~ということですねえ。つまり、今度はオイル漏れに注意して、細い通路から滑り落ちないようにしてさえおけば~……リベンジですッ! リベンジですよお~~!! はい、はい、はい! これ、持っていてくださいねえ!」

『メロウから一時的に一部の装備を預かりました。メロウが細い通路を通れるようになりました』

「あ、はい! がんばってください!」

「む~っふっふふっふっふ~♪」


 頑張れ~メロウさん! 私には応援することしか出来ないけれど、今度こそいいジャンク品が手に入るように祈っておきますね! 


「ぐ、狭い……狭っ……! ふおお~~! 今度こそ、いっただき~~!!」

『メロウが【愚者の末路(イディオットボンバー)】を開きました』

「え」

「あ」

『メロウが【?スペシャルジャンク】を入手しました』


 あ。あっ。


『メロウが超越スキル【奥義:緊急脱出】を発動! 貴方を連れて安全地帯へ強制転移します!』

『ジャンクケイヴ:メロウから脱出判定となりました。【到達:5階層】【入手:ノーマルジャンク6個・スペシャルジャンク2個】』

『お疲れ様でした。無事の帰還をお祝い申し上げます!』

『【愚者抹消爆弾】が起爆しました』




◆ ◆ ◆




「ひ~……ひ~~……! 危なかった、危なかったですねえ~……!! でも、中に凄いお宝が入ってましたよお~~!!! ほら、ほら! 今度は持ち帰れましたねえ~!!」

「こ、これ、後何分ぐらい脱げたままなのかな……??」

「ええと、もう着れますねえ……き、着ましょうか……!!」


挿絵(By みてみん)


 やってくれましたメロウさん、意気揚々と開いた宝箱がまさかの爆弾付き宝箱じゃないですか、やだーーー!!! しかも中にジャンク品が入ってたってことは、一応こうやって持ち帰ることは想定されてる作りになってるってことですかあ!? あ、メロウさんの下着姿。目に焼き付けておこう……せめてもの対価でしょ。


「リンネさん、なかなか、え、エグいのを身に着けてらっしゃいますねえ……?!」

「え?」

「あ、脱げるの私だけじゃありませんので」

「え?????」


 え?????


『◆魔神礼装・黒ノ秘密を装備しました』

『◆魔神礼装・黒ノ脅威を装備しました』

『◆魔神礼装・黒ノ衝撃を装備しました』

『□Babylolitaを装備しました』

『★★★蛇神のアームレットを装備しました』

『◆◆地獄三姉妹の絆を装備しました』

「…………見た?」

「ええ? もちろん……見ました!! 黒! 黒!! それも布面積が、あんなに狭い黒ッ!!! きゃーーーー!!!」

「内緒だから。いい?」

「え、あ、は、はいっ……! あの、メロウも服が着たいですねえ!!」

「約束、破ったらゼオちゃん達に泣きつくから」

「絶対言いませんから! 絶対!」


 装備解除が完全に不可能な部位以外全部脱げてた……! バビロンちゃんの礼装、体2が水着扱いなせいで、バ、バビロンちゃんが着てたようなマイクロビキニみたいな水着姿になってたじゃん一瞬!!! アイテムインベントリから急いで無言で着用したけど、時すでに遅しだった……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………。あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~~…………。切り替えてこ。


「私の装備は、良かった! コレクトに戻ってきていますねえ~! ふんふふ~ん♪」


 前向きに考えよう。外で出会って数時間の子と一緒に、お互い水着扱いの装備一枚になって倒れてたのを誰にも見られてないだけマシ、と。いや待って? ここももしかして、研究所から監視されてるエリアなのでは???


「ここ、研究所の監視エリアじゃない……?」

「ん? ここは大丈夫ですねえ~安全地帯というのは、誰からもちょうど死角になる場所、ですから~♪ 逆に、ちょ~っとでもずれると映るかもしれませんよ~?」

「よかった、動かずその場で着て……」

「急に服が生えてくるみたいでちょっと驚きましたけど、それ便利ですねえ~……さて、戻りましょ♪ こちらで満足ですよねえ? 現地は、良いですよねえ?」

「いい、かな……!」

「は~い!」


 よかった、本当によかった。私達の醜態を見た人達は誰も居ないんだね……! よし、安心して戻ろう。戻ってジャンク品の修理と鑑定だー! うんうん、楽しみだなーー…………ああーーーーやっぱりさっきの恥ずかしいーー……!! 思い出さないようにしよっ!!


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