354 ジャンクケイヴ・1
◆ ジャンクケイヴ:メロウ ◆
『ジャンクケイヴ:メロウへようこそ! トラップ、宝箱のジャンクアイテム、奥の階層へ向かうポータル、これら全てを発見する方法は貴方次第! お好みのジャンク品を手に入れて、研究所で鑑定と修理をしましょう!』
『メロウが【ハイパーサーチ】を発動しました』
「んっまぁぁああああ~~~~!!!!! 宝の山! 宝の山ですよお~~♡♡♡」
「お、落ち着いて、トラップもいっぱいあるんだから!」
「あ、そうでしたねえ~。うっかりうっかりですねえ~」
いや~そんな『うっかり~てへっ♡』みたいな顔しないでメロウさん……。か、可愛いから……。でもメロウさんはうっかり~って言ってるけどしっかりハイパーサーチはしっかり発動してるんだよね。息を吸うように発動する辺り、それだけジャンク漁りは油断ならないって身に染みて理解してるってことだよね。私も気をつけないといけ
『ピピピ……罠感知……』
『感知――【不明なトラップ】』
『感知――【アトミックマイン】』
『感知――【クラッシュサンダーセンサー】』
『感知――【抹消焼却炉】』
『感知――【底なし沼】』
『感知――【連鎖爆導鎖】』
『感知――【スナイピングレーザー】』
『感知――【不明なトラップ】』
『感知――【カーネイジブラスター】』
――――持って帰らせる気ないじゃん。一個たりともジャンク品を持って帰らせないぞという確固たる意志を感じる。このジャンクケイヴからは殺意をモリモリと感じる……!!!
「これはこれは、ひろーーーい洞窟ですねえ~。ほら、遠くにあるのが見えますかあ~? あの宝箱、アレが愚者の末路と言われる爆弾で、その隣にあるそっくりの青い箱が、古代のアイテムが入った収納箱……大体壊れているのでジャンクボックスと呼んでいます~♡」
「…………ち、違いがわからない!」
「行けばわかりますよお~♡」
ごめんねメロウさん、ジャンクボックスと爆弾箱の違いが全くわからないんだよ!! 全く一緒じゃない!? なんで一瞬でわかっ……うおっ、急に止まる!
「これは……赤いピカピカと、ビリビリ罠ですねえ~……」
「どこ!?」
「この先の床が感圧板になっているんですよお~! 赤いピカピカが発射されて、反応がいい人が避けた時を想定して両脇の壁が電撃ビリビリの罠が設置されてるんですねえ~」
「へ、ええ……!?」
全然わからない! ごめん、本当に全然……!
『メロウが【アンロック】を発動、【カーネイジブラスター】と【クラッシュサンダーセンサー】が解除されました』
「ほらっ! こうやって解体したら鉄くずで~す♡」
「すごぉぉい……」
「凄いですかぁ!? 凄いでしょう~!? 褒められるのに慣れてなくって、やだ照れちゃいますねえ~!!!」
――――カチャッ……。
「あ、ちょっと嫌な音」
「え……あ! 大丈夫! ガラスの欠片みたいなの踏んだだけみたいだよ!」
「ほっ……。また下着姿で研究所に転移するところでしたねえ~……。危ない危ない……」
このダンジョン全く油断ならないんですけど! どうしてこんなに殺意が高いんですか!? これで入り口から全然、まだちょっと歩いたぐらいだよ!? 罠が、罠の数がヤバすぎる……! 探索スキル必須じゃんこんなの! 罠を遠隔で起動させてガンガン突き進むにも威力が頭おかしいレベルのトラップとかもあるし、これは…………ヤバいって言葉しか出てこない!
「さ、て! これがジャンクボックスですよお~! 左のものが威力がとんでもない爆弾、右のものが目当ての物です~~!! 爆弾の箱には遊び心がありまして~、必ず綺羅びやかな装飾の中に隠れて小さく何処かにドクロのマークが刻まれているんですよ~! ほら、これですねえ」
「見えるか……!! こんなもん……!!! 誰が見つけられるっていうのこれを……!!!」
「2回ぐらいは開けてしまいましたねえ~。爆発まで3秒ぐらいありますから、十分逃げることは出来ますが~……トラップを無視することになるので危険なのには変わりないので、こうなったら緊急脱出に限りますねえ~」
「緊急脱出が必要な事態になるのは避けたいね……」
「そうですねえ~……」
この、葉っぱみたいな、蔦みたいなの金の装飾に紛れてドクロのマークがある方が……爆弾……。開けても爆発するまで3秒って、それまでに逃げられる方がおかしいんだよ……。これは酷い、こんなのジャンク品が2個あったー! って喜んで開けるに決まってるじゃん。だって直前にトラップが二重で配置されてるんだよ? こんなのってないよ……。
「それじゃ、あけますねえ~~♡」
「あ、開ける時は」
「ぱんっぱかぱぁ~~~ん♡」
「!!!!!」
吉報。メロウさん、ぱんぱか一族。メロウさんとはなんだか、今後も上手くやっていけそうな気がする……!
『EXCELLENT! スペシャルジャンクボックスです!』
「ん~…………古代の遺物のようですねえ~! 研究所に帰って鑑定と修理をしないとはっきりはわかりませんが、間違いなく装備として機能するものだと思いますよ~♡ 珍しいですねえ~!」
「おお~~! なんだか珍しいボックスだったみたい、異界人にしか聞こえない声でそう通知が出たよ!」
「最初から調子がいいですねえ~♡ まあ、罠は最初から殺しに来てる辺り相当機嫌が悪いようですけども~……」
「やっぱり、こんなに殺意マシマシじゃないの、普通は……」
「ちょ~~っと殺意が強いですねえ~~……」
や、普通はもうちょっと手心というか、もう少し可愛げのあるトラップなのね……。特別殺意が強いだけかあ、だよねえ……。毎回これだったら一般プレイヤー号泣ダンジョンだよ。
『メロウが【?スペシャルジャンク】を獲得しました。【■集めるもの】へ収納しました』
『メロウは残り7個までアイテムを持ち帰ることが出来ます』
なるほど、こんな感じで何個まで持ち帰れるかはその人次第で決定されるのね。ダンジョンインフォメーションから確認出来るかな? 確かUIからマップ、現在のダンジョンを選択して、インフォメーションを開くんだっけ……あったあった!
えーっと……? 基本が2個しか持ち帰れなくって、私は残り5個まで、メロウちゃんは8個で今7個に減った。奥の階層に行くポータルを起動するのに、持ち帰り枠を2個消費するのね。カバンの量や質、インベントリ拡張次第で枠が増えるんだ! つまりメロウちゃんの【■集めるもの】は相当凄い性能ってことだよね……。あ、メロウちゃんの探索スキルおかげで次の階層に進むのに枠消費1個だけで良くなってる! つまり、後10階層進んでも2個は持ち帰れるってことね! なーるほど。
「さ、すすみましょ~♪」
「は~い。なんか腰巾着みたいでごめんね」
「いいえ~。そうそう、ドクから聞いた話ですが、広域消滅の古代魔術が使えると聞いたのですがあ~……何回ほど使えますか~?」
「連続なら2回、かな。時間を置けば5分に1回は使えると思う」
「素晴らしい~!! あまりにも大きな罠や高度な罠は私では解体出来ませんから、それで消して進みましょう~♪」
「なるほど、ちょっと役に立てる気がして来た」
「あ、止まってくださ~い。あそこ、見えますか~? なんだか陽炎が出てるように見えませんか~?」
「本当だ。なんかゆらゆらしてるね」
ん、今度は熱源か何かがある? 確かに陽炎が出て風景がゆらゆらしてる場所があるね。
「あれは抹消焼却炉、落ちたら最後の存在を消滅させるほどの超高温で焼かれる焼却炉ですよお~」
「ひっ……」
「アレにここを守っていた戦闘用ロボットを叩き落して処理したんです~。性能は間違いないですよお~……あれが、解体できない罠の代表ですねえ~」
「なるほどね……覚えておいて、避けて進むしかないね」
「どれほど大きいかもわからないので、それが一番ですねえ~」
ひ~……本当に殺意が殺意殺意してる……! 私このダンジョン苦手かも! 怖い! すっごい怖い!!! 私もだけどペルちゃんとかも即死しそう!
「むむっ、怪しげな魔術陣はっけ~ん……ですねえ」
「これは…………転移陣だね。偽装もされてない、乗れば起動すると思うよ」
「おお~読み解けるんですかあ~?! 私は魔術陣になるとサッパリ、小難しいことばーっかり書いてあって回りくどいですし、これ乗ったら移動! ぐらいに書いておいて欲しいですねえ~」
「それだと相手にすぐ読み取られて術を妨害されちゃうからね……。バレない、真似できないように高度化してるんだよ~」
「私も読めはしますが、読み解くのは無理ですねえ~。尊敬します~……あ、光りましたねえ!」
『次の階層へ移動しますか? 持ち帰り枠が1個減少し、ジャンク品の質が向上します』
「更に奥に移動できるみたい。どうする?」
「まだ他の宝箱があるからもったいないですねえ~……」
「奥に行くと持ち帰れる量が減るけど、品質が良くなるみたい」
「品質が良くなる!!! それは魅力的ですねえ~!! 行きましょ行きましょっ!」
メロウさん、質より量派かと思ったら逆だーー! 量よりも質を選ぶタイプの人だー!! でもそうだよね、今まで大抵のジャンク品は見てきただろうから、並々ならぬレアジャンクが見てみたいよね!
「じゃ、行きましょうっか!」
「行きましょーーっ!」
『リンネが持ち帰り枠を1個消費しました。残り【リンネ:4】【メロウ:7/8】』
『ジャンクケイヴの奥地へ転移します』
いざ、まだ見ぬジャンク品を求め奥地へ! 我らをレアジャンクと会わせ給え~~……な~んてね。でもこういう敵が居ないで罠! 罠! 宝箱! 罠! ってダンジョンも楽しいね~! 持って帰ってからの楽しみもあるし、楽しい~!!