342 現実逃飛
◆ バビロニクス・ギルドルーム【スイート】 ◆
どん太はいいね。もふもふで、もちもちで、ふかふかで、あたたかくて…………どん太はいい。どん太ァ……どん太ァ…………。
「~~~~…………」
『わぅ~~ (元気出して~~)』
昨日学校でどんなことをしたのか真弓から聞いて、つくねちゃん……かえでちゃんからも聞いて、段々と人が集まってきてバビオントークになって、クラス全員にリンネだってバレたね。前からほとんどの人が知ってたみたいだけどね!!! 私も逆に教えて貰ったから問題ないもんね! 問題なーい!! 逆にリアルバレてない人っているのかな? あの学校に通ってる人はその気になれば情報集め放題だと思うんだよね。あ、思い出したらやっぱり辛くなってきたな。
「お姉ちゃ~ん、マリにゃんがお船完成したって喜んでますよ~」
「~~~~!!!」
「どんどんのもふもふの中から返事しないでくださ~い。ほら、行きますよ~」
「んぅぅ~~~……!!!」
このまま居ても仕方ない! よし、行こう……! 行こう……!!
「どんどんに乗って行くんですか~? 逆に目立ちますよ~」
「…………はい」
「あ、降りてきた。お姉ちゃんがそんなに凹むの初めて見ましたっ!」
「思い出したくないぐらい恥ずかしいことって、誰しも一度は経験すると思う。開き直っていこう……」
「思い出したくないぐらい恥ずかしいことがあったんですね……」
「…………はい。行きましょう」
リアちゃんに言ったら瞬く間に広まる気がするから、絶対言わない。絶対言っちゃ駄目だと思う。後は真弓がボロを出さなければ、誰にも広まることはない……。あ、かえでちゃんも……まさか、言わないよね。この世界ぐらい安心安全に暮らしたいの、平和に過ごしたい……。
◆ ◆ ◆
「――――まさか、船に乗って空を旅することになるとはねぇ……」
「今度は海賊王じゃなくてぇ、空賊王になったらいいんじゃないですかぁ~??」
「あたしはこの飛空艇にあるカジノで働くんだ。もう戦闘はごめんだからね」
「ですよねぇ~~。私ももう嫌です~」
おお……。おお~……ねーさんとローラちゃんが、肉体を取り戻してる!! そうだよね、リアちゃんだってスケルトンから肉体を取り戻すまでのレベリングは結構軽い方だったもんね!
『ねえねえねえねえ!!! 生き返って一発目の任務がこの船の護衛って怖いんですけど! 怖い怖い怖い!!』
『ヒャア!!! スッゲーーーーデケえよなぁ!!! サイッコーーーにクールじゃねえかぁ!!!』
ん゛っ゛……!? 知らない人がいる……!!! 多分カーミラさんがニコニコしてるから魔神兵だと思うけど、こっちの『ヒャア!』してる赤いモヒカンに黒いグラサンの長身の男の人は槍持ってるから……牡羊座の人! クーガーさんに教えてもらった情報が正しければ――――
『おや、リンネさん。やっといらっしゃったのですね。紹介しま――――』
「あ! 待ってカーヨコさん! そのヒャアの人が~~~……ノンナさん!!!」
『ヒャア!!! 正解じゃねえか!!! 知り合いかぁ!? 俺のファンかぁ!?』
『なるほど。では、この黙っていれば何処かの国のお姫様に見える子は、誰でしょうか?』
やったーーー!! 大槍使いのノンナさん正解ーーー!! 相方が大盾と重撃槌を使ってるドミエラさんだから隣のデカいドワーフみたいな人で、大砲持ってるチョビ髭生やした静かなナイスミドルがモーリスさん、あっちにいるおめめがそっくりな子達がイルちゃんとエルちゃんだとしたら~~…………!!!
「ルゥちゃん!!!」
『わ! 正解だ~! 凄いね、本当にルゥ達のファンなの? へへ~……』
ルゥちゃん! 本当にお姫様みたいで可愛い~~!! うちの猫のお姫様と気が合ったら嬉しいなあ、可愛いが大集合にしたい……。
「デッカいドワーフみたいな髭モジャさんがドミエラさん!」
『お、当たりだ。ちなみに種族はギガントドワーフだぜ。種族も当たりだな』
「チョビ髭ナイスミドルがモーリスさん!」
『うむ…………』
『では、残りはあの子達だけですね』
はい、超! 難問!!!
『『ど~っちだ~』』
「むむむむむ…………」
どっちがどっちなのかは聞いてない……。髪色とか特徴とかも聞いたことない……。黒ロリと白ロリのどっちが、どっちだろう……!? イルちゃんが髪が黒い方で、エルちゃんが白い方! なんとなく!!!
「髪が黒い方がイルちゃん! 白いほうがエルちゃん!」
『じゃあ』
『これで私がイルちゃん』
『私がエルちゃん』
「はぇええええええーーーーーーーー!!!????????」
『『凄くいい反応!』』
て、手を繋いだら、か、髪色が、逆になったァ!!!! これじゃ、見分ける方法とか最初からないんじゃないの!?
「あ、戻った!」
『ん、ちょっとしか出来ない』
『一発芸?』
『髪が黒い私が、イル』
『髪が白い私が、エル』
『『当たり~~~』』
「おおお!! カーヨコさん! 当たりました!!!」
『私の名前がちょっと外れてます』
おーー!! 黒ロリがイルちゃん、白ロリがエルちゃんで当たりだ~!! カーヨコさんは…………あっ。
「…………カーミラさん!!!」
『ちょっとティアの可愛いところが伝染りましたか? 可愛いですね、もっと血が欲しくなりますね』
「すみませんそれだけは!」
カーミラさん、もういっぱい献血したでしょ! あれで勘弁してください! カーミラさんが力を取り戻せるように、私の血とかレーナちゃんの血とかで輸血パックを作って届けてあげたんだよね。ただね、結構な量が必要だったせいでおかわり要求が止まらなくて、死ぬ寸前ぐらいまで血を絞り出したから結構トラウマなんだよね!
『ヒャヨコォ!! 逆にこのお嬢ちゃんを紹介してくれよォ!!!!』
『ヒャアと名前を混ぜないでください。ええ、紹介しましょうね。この方が私達のリーダー、あのフリオニールを蘇らせ、あのフリオニールが心から忠誠を誓った新たな主君、死霊術師のリンネさんです。マスターリーダーと呼ばせて頂いたり、名前で呼んだりしています。私達がこうして全員再集結出来たのも、彼女が尽力してくださったおかげなのですよ?』
『え、メッチャいい人じゃないですか。すみません、ノンナ・ディスタって言います。ノンナでもヒャアでも大丈夫です』
「わあ急に素面で喋る!!!」
『ヨロシクゥ!!!!!』
こ、濃い。赤モヒグラサンのランサー、キャラが濃い……!!!
『ドミエラ・ドゥオンだ。さっき言った通りギガントドワーフ族、デカいドワーフと思ってくれりゃそれでいい。大盾と重撃槌、ジリジリ詰めて最後は力任せが得意だ。鍛冶なんかもやるぞ』
「よろしくおねがいします! 後でお髭触ります!」
『えっ、いいけど……』
『モーリス・アルダ、酒を作るのが趣味だ…………うむ』
「モーリスさんよろしくお願いします! お酒は、未成年なのでごめんなさい!」
『…………!?!???!??』
ドミエラさんは大きいドワーフだなーと思ったら、そういう種族があるのね! モーリスさんは水瓶の名にちなんでなのかな、お酒を作るのが趣味なのね!
『ルゥだよ~! よろしくよろしく!!』
「ルゥさんよろしくお願いします~……わっ!?」
『ルゥ、そうやってすぐダンスに誘わない』
『ぶぇ~』
方陣士、踊り子のルゥさん! 油断するとすぐ手を取ってダンスに誘ってくるのね、今度ちょっとぐらいお勉強して一緒に踊れるように頑張ろうか……。
『黒い方、イル』
『白い方、エル』
『『よろしく~~』』
「イルちゃんとエルちゃんも、よろしくお願いします!」
『…………?』
『師匠、アルセーヌに会ったこと、ある?』
「え? ない、と……思いますけど……あ!!! 手記と極意を記した書なら持ってますよ!」
『『…………おおおお~~~~』』
「これ、全然読めないんで読んで内容を教えて貰いたいんですけど……」
『いいよ』
『解読しておく』
「ありがとうございます!」
イルちゃんとエルちゃん、雰囲気がレーナちゃんに似てる! 不思議な雰囲気がある! 神出鬼没の気分屋なネコちゃんって感じ…………。頭撫でたいけど、絶対年上なんだよね。
『……未成年?』
『18未満?』
『イルのほうが上』
『エルのほうが上』
『『イルとエルのほうがお姉さん』』
「大人のお姉さんの寛大な心で、頭を撫でることをお許しください!」
『しまった、マスターリーダーはやり手だった』
『つよい。サラリと罠にはまった』
お……っ! お……。年上のちっちゃい女の子の頭を撫でる背徳感、いい……。いいよこれは……。なんだろう、この髪の艷やかさ……。何使ってるのか教えて欲しいぐらい手触りが――――????
「カーミラさん何やってるんですか……?」
『撫でてもらおうかと』
「誰かから可愛いの伝染りました?」
『冗談です。さて、顔合わせも終わりましたし……バビロン様より命じられた飛空艇護衛の任務、魔神兵全員で担当させて頂きますね』
『空の旅~』
『楽しみ~』
『おやおや、私の言った建前が台無しではありませんか』
カーミラさん達、護衛っていう建前で飛空艇に乗っての空の旅が楽しみなのが本音だったんですね! じゃあじゃあ、いつまでも待たせてるわけには行きませんね!
「――――あ! リンネさんが来ましたよー!」
「お、来たか! 進空式が始められるぞー!」
「全員ちゃんと配信とか出来てる~?? 映ってなくて泣くなよ~」
『ワウゥゥーーーン!!! (ここだよーー!!!)』
「動力安定、問題なーし!」
「フリオニールさーん、もう3パーセントぐらい出力上げてみてくださーい!」
「異音なーし!! いいねいいねー!!」
お、おっ……どん太! これもしかして私待ちのイベント!? やば、皆さんおまたせしてごめんなさい!! いそげっ、いそげっ!!!
「お? 来たね~リンネちゃ~ん」
「お昼寝さん! すみません、遅れちゃいましたか!?」
「いやいや~むしろ一番良いタイミングだよ~? みんな~最高出資者のリンネちゃんが来たよ~~」
「お、来たか!」
「仕事早く終わらせて来て正解やったなぁ~~」
「リンネちゃ~ん、こっちこっち~」
「リンネさ~~ん!! ここですわ~~!!!」
費用総額って看板のところに皆集まってる! え、え!? 2,000G以上も掛かってるのぉ!? 最高出資者――――私!? 約1,450Gシルバー!? そんなに出資したっけ、え……でも金庫のお金減ってないし……あ! 素材とかも込みだと、行ってる……かも……?
「さあここで、最高出資プレイヤーのリンネさんが登場です! 皆様拍手でお迎えください!!!」
わっ、えっ、もしかしてこれ、結構な数のプレイヤーさんが配信してらっしゃる……? き、緊張する! 急に緊張する!!!
「いよいよ! 飛空艇が空へ飛び立つ時がやって参りましたね! その前に質問なのですが、まずこの飛空艇はリンネさんが中心に発案なさったと他の方に伺いました! そこで、どのようなことがキッカケで建造に至ったのか、何かキッカケがあればぜひ教えて頂きたいのですが! 如何でしょうか!」
えっと、キッカケ!? キッカケ……ああ!
「えっと……本当は海を渡る大型船を作るつもりが、なんか……軽すぎたので、じゃあいっそのこと飛ばしちゃえって…………」
「…………!? そ、それで、飛ばそうと思って、この飛空艇を……」
「そう、ですね。幸い、飛空艇建造に詳しい魔界技師のマグナさんを始め、心強いサポートをしてくださる皆様が居たので、はい……」
「そ、そうだったのですね! ありがとうございます! では次に、飛空艇で行ってみたい場所があれば――――」
「それはまだ、はや~い」
「それは後! さ、テープカットテープカット! はいはいサクサク進行ー!」
テープカット? あ、これがテープカット! テレビでたまに見るやつ! 一生やることは無いと思ってた、これ……。わ~……なんだろう、嬉しいような恥ずかしいような、変な気分!!
「はい! では出港準備に入りまーす!」
「乗り込んで乗り込んでー! いつでも飛ばせる、はずだからー!」
「マリアンヌと私と馬鹿弟子達で設計したんだ、飛ばないはずないだろ」
「そうだぞー! マグナさんはなーー!!」
「いいから配置ついてー!」
すっごいドタバタしてるけど、これ本当に大丈夫!? とりあえず乗り込んじゃったけど、これってどこに向かってるの?? マリちゃ~ん、お~いマリちゃんや~。教えてちょうだいな~。
「リンネ、ここがコントロールブリッジさ。ここでこの飛空艇のコントロールを全て行っているんだ…………フリオニールさんが」
「おにーちゃんが!?」
「いや、その……結局、フリオニールさんがな、動かすのが楽しくなって……」
『(っ’ヮ’c)Oh Yeah!!!!』
オウイエーイじゃないんだよ。このデッカイディスプレイに映ってるエモーション、絶対おにーちゃんでしょ!!!
「まあ、そういうわけだ」
「どういうことなの……」
ちょっと待って? それってつまり、おにーちゃん今この船を装備してるみたいな扱いになってない?? このゲームまさか、そこまでとんでもない自由度だったり…………ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…………。
・ステータス
【名前】フリオニール・シンギュラリティ
【レベル】なし
【属性】強ボス属性・無属性・ヒーロー系・超極大
【性別】なし
【職業】◆シンギュラリティ号
【魔界侵食値】+1,000
【親密度】(っ’ヮ’c)Oh Yeah!!!!
【特殊能力】
・【影】封印
・【命】封印
・【力】火事場の馬鹿力
・【速】神速対応
・【技】スキル圧縮
・【体】状態異常確率無効
・【魔】不滅のマナ
・【心】アーケインエナジー抵抗
・古代語初心者
・飛空艇シンギュラリティ号操作
【HP】1,000,000,000,000 *1.5
【MP】1,000,000,000,000
【SP】5
【STR】100,000
【AGI】90,000
【TEC】99,000
【VIT】150,000
【MAG】100,000
【MND】1,950+400
【スキル】【5/5】
【◆英雄飛空艇】
・英雄戦技番外編
┣ミサイルランチャー
┣対空機銃
┗神速の武器切り替え
・戦技マスタリー
┗戦技系の職ポイントコスト減少
・英雄戦術番外編
┣【SP1】消費
┣プロテクション
┣リペア【HP15%回復】
┗ダークブレッシング【攻撃闇付与】
・不滅のゴースト
┣【SP3】消費
┣全身鎧系に憑依・乗っ取り
┣属性を念属性にチェンジ可能
┗種族を死霊系にチェンジ可能
・魔界の新たなる希望
┣装備制限一部無視
┣MND+400
┗あらゆる分野を楽しめる精神
【究極スキル】
・シンギュラリティカノン
┣【SP3消費】
┗究極突破の威力の主砲を発射する
【封印中】
・飛空艇シンギュラリティ号で使用出来ないスキルを封印中
【装備】
主武装:□シンギュラリティ号・主砲
副武装:□シンギュラリティ号・武装システム
頭:【全身】□シンギュラリティ号・コントロールアーマー
体1:【全身】□シンギュラリティ号・コントロールアーマー
体2:フリオニールの最強魂【念属性】
足:【全身】□シンギュラリティ号・コントロールアーマー
アクセサリー【1】:□シンギュラリティ号・防衛システム
アクセサリー【2】:□シンギュラリティ号・航行システム
アクセサリー【3】:□シンギュラリティ号・索敵システム
アクセサリー【4】:□シンギュラリティ号・重力システム
当然のように私の従者扱いだし……! シンギュラリティ号!? これ、シンギュラリティ号っていうの!?
「この飛空艇、名前は……?」
「いや、まだ決めてないが」
勝手に付けてるぅぅううう!!!!! おにーちゃん勝手に付けてるよぉ!!!!!
「よーし、全員乗り込みましたよー!」
「いよいよ飛ぶんですね、ワールド中の素材を安く買い占められるこの時期だから出来た暴挙が……」
「待て待て、リンネに名前を付けて貰うのが先だろう」
『(´・ω・`)』
シンギュラリティ号ですね。はい、シンギュラリティ号です……。
「シンギュラリティ号がいいです……」
『((o(´∀`)o))』
「お姉ちゃんにしては凄くマトモな名前です!」
『わう!』
「おにーちゃんが勝手に付けました」
『( д )。 。』
「あ、なるほど。おにーちゃんが……悪い人ですね~~」
『わう~~』
酷い誘導だよ! なんてやつだフリオニール!!!
「シンギュラリティ号! 良いですね、シンギュラリティ号!!」
「全員に連絡、全員に連絡、本船の名前はシンギュラリティ号に決定致しました。地上班の退去合図確認。シンギュラリティ号はまもなく離陸を予定しています。カウントダウンを開始します……残り30秒」
「いよいよ飛ぶね~」
「飛んじゃいますね……! で、どこに行くんですか?」
お~~飛ぶ、なんか凄い、ひゅぅんひゅぅんごぅんごぅん言ってる! それで、飛んだらまずどこに行くんだろう! やっぱりエルフの国行ってカチコミする? しよう? メルティス滅ぼさないと。あ、でも逃げてるのは天界だから、エルフの国を滅ぼしたからメルティスを滅ぼせるわけじゃないんだよね。うっかりうっかり……。
「そう! それがリンネちゃんへの最後のインタビューなんだよ~~! リンネちゃんが言った場所に行こうって決めてるんだよね~!」
「まもなく離陸致します……。15秒前……」
「え、私が決めるんですか!?」
私が言ったところに行くの!? ええ、どうしよう……。どうしようかな……??
「ゼオちゃんの故郷、ガトランタ観光、ルテオラの更に北の領地、バビロニクスの更に西のドワーフの国、加賀利よりも南、色々ありますよね……」
「お~」
「お、予想通りの名前が上がっとるな……」
「どっこに~するっ? どっこに~するっ?」
「5秒前…………4、3……」
うううーーーーなんか皆の予想通りだとちょっと悔しい! どうしよう、どこに行こうかな!!?
「2……1……」
「あっっ!!!!!」
そうだ!! 閃いたッ!!!!!
◆ ◆ ◆
「――お、飛んだ飛んだ! 本当に飛んでる!」
「うおーすっげーー」
「う、どんでる……! う゛う゛う゛……!!」
「泣くなよ~マジで飛んで良かった! 笑って見送ろうぜ!」
「めっちゃ、金使ったから、飛ばなかったら、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「わかる。メッチャ使ったもんな……」
「途中からシルバー溶ける度に胃痛がしてたわー」
おー、あんなにデカい船、本当に飛ぶんだな。どれ、わっちは地上班の手伝いも終わったし、飛んで合流するか……ん? メッセージが届いてるな。これは、行き先か……? ここに行くの!?
「で、どこに行くことに決まったんだ?」
「いやわからん。まだ聞いてない」
「南かな? 西かな? 砂漠の先とか!」
「いやー北と読んだね。雪国の向こう側、見たいじゃん」
「敵国に殴り込みに行ったりして!」
「いやーそれこそないだろー」
「…………座標的には、ち、近場行く、みたい」
「え? つくねさん行き先わかるんですか?」
「おー! 知りたい知りたい、どこ行くって言ってますか!?」
近いには、近いんだが……。や、でも、大丈夫なのか……? これ本当に行けるのか……?
「空中都市メルティナに、乗り込む、らしい」
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