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341 日常、教育

◆ 私立鹿鳴寺学園【1-1教室】 ◆


 結局ベッドで眠れなかったのでダイブシステムの中に避難して一夜を明かして、ベッドとかのクリーニングを重点的にお願いしますってメモだけ残して学園に来た。真弓はあっちにログインして来たぐらいだし、学園にもちゃんと来るでしょ。


「おお、おはよう、ああ天音さん……」

「…………」


 さてと、今日は昨日お弁当を食べさせ損ねたから、今日こそ食べさせるべく真弓には『お弁当持ってこないでね』って伝えて…………ん? 


「あっ……」

「…………?」


 気のせい? ログアウトしたよね? ログアウトしたはずなんだけど、ここギルドルームじゃないし。どん太居ないし。朝のトレーニングもしたし、シャワー浴びたし、お弁当作ったし、ログアウトしてるよね。現実だよね、ここね。


「…………??」

「えっ、あ、あの……? おは、よう……」

「おはよう、ございます」


 なんでつくねちゃん居るの??? なんでつくねちゃん居るの??? なんでつくねちゃん居るの??? なんで??? なんで??? なんで???


「…………????」


 3回見たけどまだ居る。間違いなく本物、本物だよね? え、幻覚じゃない? ちょっと触っとこう。


「ひゃああ!???」

「あ、本物だ…………」


 本物だ。え? なんで本物なんだ? ちょっと理解が追いつかない、えーっと。えーっと。えーーーっと…………――――わからない。私は考えることをやめた。


「え、え、急に体に触って、それでおおお、終わりっ!?」

「ちょっと待ってね、今情報処理してるから」

「きき、昨日転校して、来た……ん、だけど……」

「なるほど。ちょっと待ってね」


 きのう、てんこうしてきた。つくねちゃん、きのう、きた。いつ? きのう。昨日…………昨日は、真弓を持ち帰った、あれ、昨日結構大胆なことしなかった……? 見た? 見た? 見た???


「見た?」

「なにを!???」

「昨日、いつから?」

「あ、朝から……返事、なかったし、無視されてるかとおおお思って……」

「ちょっと待ってね」


 朝から? 朝から、無視……いや無視はしてないよ? だって昨日は真弓のことだけ考えてて、それでいっぱいいっぱいだったからちょっと、こう、昨日私学校来たんだっけ? 来たから持ち帰ったのか、真弓を。つまり、えーっと…………。


「あ、天音さんだ……!」

「ご、ご機嫌よう天音さ~ん……?」

「おはようございます、天音、さん……」

「おはよう、ございます…………」


 何でこの人たちも挨拶してくるの? 全然こう、絡みとかない人達のハズ……あ、アレだ。えーっと、誰だっけこの人…………。いやそれどころじゃないから後ね、つくねちゃん!? つくねちゃんなんで、転校して来たんだ、えっと!?


「昨日は、真弓さんとど――ゴォ……!?」

「あんた普通それ聞く!? 馬鹿!? デリカシーないの!? ちょっとはい、レッドカードレッドカード」

「退場で~す」

「え、だって皆聞きたいでしょ!! 待って、本当に退場なのぉ!? ああああ~~…………――――」

「つくねちゃんだ…………」

「やっと、に、認識された……?」

「つくねちゃんだねえ!?」

「認識され、た!! 四月朔日かえで、です、よ、よろしくね……?」

「わたぬきかえでちゃん! 私は、竜胆天音……で、そのうち七瀬燐音に名前が変わります。よろしくね」

「へええ!!?????」


 つくねちゃんは、わたぬきかえでちゃんって言うのね!!! 覚えた、私、覚えた! うんうん、うん? ちょっと落ち着こう…………。


「で、どこまで見たの……昨日、どこまで?」

「ど、どこまでって、えっと……朝から、帰るまで……?」

「ア゛」

「真弓さんに、プロポーズして、キスししし、して、持ち帰る、まで……?」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…………!!!」


 オワッタ、ドウシテ、キョウ、ワタシ、ガッコウキタ? あんなことまでしておいて、今日平然と学校来て、なんかいつもより数十倍近く視線を感じるなとは思ったけど、そりゃそうだよねえ?! 真弓、この学校で多分知らない奴がいないレベルの超お嬢様を、お姫様抱っこしてお持ち帰りしたんだよねえ!? ハ――――死ぬ。死にたい。帰りたい……。土に還りたい……。どん太のもふもふで幸せだけ感じて生きていたい……。


「――――ご、ご機嫌よう……」

「真弓様ご機嫌よ…………」

「…………!?」

「え、え、えっ……!?」


 誰!? ハァーーー!!! そうだ、真弓、今日から髪がドリルじゃない!! ストレート、おひぃぃ……!!! 破壊力凄いじゃんその金髪ストレート、何処のお嬢様だよ。日本のトップ財閥のお嬢様だよ。それを持ち帰ったんだよ。よく生きてるな私!? 今日始末されてておかしくなくない?!


「あっ……」

「ま、ゆみ…………お、おはよう…………」

「ご機嫌、よう……」

「…………すっごく、可愛いね。綺麗だし、うん……」

「そ、そう、かしら……。似合ってないかと思って、心配で、でも! 褒めて貰って、嬉しい……」


 なんか、雰囲気が違うね、いい……。落ち着いたお嬢様感が凄く発揮されてて、いい……。今日も、帰る? 帰ろう? 私帰りたい。リアちゃん吸って生きていたい。おにーちゃんと一緒にカジノ行って、千代ちゃんと美味しいご飯食べて、ティアちゃんやマリちゃん達と他愛ない会話して、服とかアクセサリー見て、寝たい。帰ろう?? あ、後ストレス発散にへるほえ君壊したい。


「今日帰ろう?」

「駄目でしてよ!? ほら、今からその、職員室に行って昨日の件を謝りませんと!」

「え、やだ、帰りたいの。どん太に埋もれて今日は現実逃避する」

「帰らないの! ほら、行きましてよ!!!」

「つくねちゃん、かえでちゃん、かえでちゃん助けて」

「わっちはもう、助かったので……鼻血出そう……あ、ご、ごめ、なさ……」


 やだ、私ここから動きたくない、あでもここ居たら皆に見られるから帰りたい、やだ、ああああ真弓引っ張らないでお願い、ほぎぃぃい……!!!! いやだぁぁあああ……!!!!!


「そんなお散歩強制終了拒否どんちゃんみたいな反応はよしてくださる!?」

「わうわうわう~~~……!!」

「精神レベルがどんちゃんまで下がっていますわ!!?」

「行きたくない……! 帰りたい……!」


 うぐぉぉ……真弓の力が意外に強い……! こうなれば真弓に埋もれて職員室まで皆の視線を避けて行くぞ!


「人前で、だ、抱きつかないでくださいまし! わたくしまで顔が真っ赤になりますわ!」

「やだ、抱きつく。離さない」

「ちょっと!!!」


 私から見えなければ良いんだ、良いだろう? よかろうなのだ……。こうでもしないと歩けないよ、もう駄目だぁ、おしまいだぁ……。




◆ ◆ ◆




 ――――朝からなんてもん見せつけてくるんだよ、あのバカップル。ここだけで世界中の砂糖の生産間に合うだろ。砂糖のシェア率100パーセントだろ。砂糖吐くわ。


「おい舞、お前等いつもアレ見せられて耐えられてんのか?」

「い、いえ、あの、昨日が初めて……でも、ないんですけど……。あそこまで激しいのは初めてでして……。前から仲良くされていたのは、知っていたのですが……」

「これから毎日だぞ。毎日だぞ???」

「しかも交際開始が昨日ですからね、これからもっと……凄いの見せられるんでしょうか……」


 ヤバいって、アレを毎日は……。毎日眼福じゃん……。七瀬財閥との繋がりが欲しくてこっちに来たが、もうそれどころじゃないんだぞ? どうしてくれるんだよ。毎日進展が楽しみで学園に来るのが楽しすぎるだろ……。そろそろ帰ってくる頃だと思うが、帰ってくるだろうな本当に……。


「――――ほら、教室ですわよ! ちゃんと歩いてくださいまし!」

「真弓、背中痛いから、昨日引っ掻いたとこ、痛いって」

「あらごめんなさいね」

「はぁ……」


 ――――引っ掻いた? え???? え????? ふ~~~~~ん………………。


「天音さん、抱っこして帰りましたからね。起きて驚いた時に引っ掻かれたんですかね……?」

「馬鹿だな舞、良いか? 教えてやるよ、耳貸せ耳」

「え? は、はい…………はっ……!? はっ…………――――ほぇ……ほへっ……!?」

「……わかったか?」

「は、はいぃぃ……!!!」


 いいじゃん……。いいじゃん……。ふぅ~ん……。


「え、引っ掻かれたって何か意味があるの? お、俺にも教え――」

「引っ込んでろ譲二。お前にはまだ早い」

「う、うっす……」

「わ、私に後でこ、こっそり……とか、その……」

「お前は……良いか。よし、耳を貸せ」


 こいつらも、あの2人に当てられて百合の咲く花園に見える沼に堕ちていくんだよ。わっちが堕ちたように、お前らも堕ちろ。百合は良いぞ、ただし挟まったら殺す。


「ひゃ、ああ……!!!」

「邪魔したら死ぬと思え」

「ももも、勿論です!」

「三上~教えてくれよ~……」

「キモ譲二には、早いかな~」

「き、キモ……」

「そうだよお前キモすぎんだよ。何一人でショボショボして一人で真覚醒して~とかやってんだよ。ちゃんと友達と遊べ馬鹿」

「う、うっす……!」

「そ~そ~! かえで様こいつヒッドイんだよぉ~!!」

「なんか駄々っ子みたいなことばっかり言って~皆と遊ぶと効率悪い~とか言って~」


 やっぱり譲二アレだな、こいつの腐った根性一回叩き直さないと駄目だわ。


「ちょっと、聞かせてみ? おい譲二、正座」

「え、ま、まず俺の話を――」

「まずお前以外のを聞く。お前のはそれからだ」

「う、うっす…………」


 こいつらはまだ雑魚だが、ちゃんと情報を与えて叩いてやれば伸びそうな感じがするんだよな。特にこのマジカルシューターの三上が結構強いっぽいからな、そのうちバビオンの方で遊んでやっても良いかもしれないな。いずれこいつらが新要素を見つけて、わっち達の糧になるかもしれないし、マイナスってわけでもないしな。


「――――で~! アルトラってやつの信者で、ほんっっっっっっとこいつキモくってぇ~!」

「アルトラァ!? お前、アルトラの配信なんて見てたのか!」

「や、でも、結構参考になるところとか」

「反面教師としてな? あいつ爺ちゃん殴ってリアルで逮捕されてる犯罪者だぞ、お前気は確かか?」

「え、そ、そんなこと、したんですか……? え、マジ……?」

「キモ譲二、ニュース見ないもんね~」


 久々にキモい名前聞いたなァ!!! まずはそのへんからコイツの心をボッキボッキに折ってやるところから始めないと駄目だ、更地にしたほうが早いってやつだ。


「譲二、ちょっと放課後一戦するか。な?」

「譲二……俺もやったんだ、やるよな? ボクシング」

「この学園の必須科目なのを恨んだわ……」

「なんで必須科目なのかわかんないよね~」

「この学園の理事長が、ほら……」

「あ~~~…………」

「世界、チャンピオン……だもんなッ!!!」

「頭も体も強い奴がナンバーワンなんだって方針だもんね、凄い頭悪い理論だけど……」

「実際この学園に通うのは全員金持ちのお嬢様お坊っちゃまだ、それがいざって時に全く動けなきゃ死ぬだけだからな。悪くはない方針だと思う」

「確かに、でも……ボクシングじゃなくても……」

「ひょっとして、身長150以下のわっちに勝てない?? 譲二お前170ちょいあるだろ、勝てないのか?」

「お、女の子とするのは……」


 よし、一撃じゃ可哀想だから思い知らせてやるか……。


「じゃあ舞、放課後使用許可取っておけ」

「は、はい!」


 東京は比較的治安が良いから忘れてるだろうが、他の都市に行けば金持ちイコール即襲撃対象ってぐらい危険な世界だってのを、思い出させてやらないとな。日本のスラム街って呼ばれてる大阪の日常を思い知らせてやるか。


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