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306 戦いは既に始まっている

◆ コロッセウム・観客席 ◆


「やーすまっせん……!」

「大丈夫ですよ。そこに居たら手出ししてくる人絶対いないですから」

『わうぅ~? (暑くない?)』

「暑くないよ~どん太くん~~ふかふかもこもこだ~」


 もうダメぽさんが私のところに転がり込んできた。大会の優勝予想くじが当選確定で、600Gシルバーも転がり込んでくるんだって。受け取ったら今日中に奪われないものに換えて消化するから、それまでボディガードになってくれないですかって頼まれちゃった。私としてはどん太とおにーちゃんをダメぽさんの隣に置いておくだけで当選金の1割も貰えるし、どん太とおにーちゃんはそのお金の一部で好きなものが買えるし、ダメぽさんはお金受け取った瞬間に襲撃されてお金奪われるってこともないから得しかないね。

 まあ、流石につくねちゃんクラスのヤバい人が襲ってきたら本気で事を構える必要があるけど、この前ここで…………なんたらーナ。なんたらーナが私に喧嘩を吹っかけてきてどうなったかみんな覚えてるだろうし、まさか仕掛けてこないでしょ。


「そういえばリンネさん、団体代表なんですよね?」

「そうですよ」

「俺、リンネさん1位流し予定なんですけど……どこか、警戒してるところって……」

「あ~」


 あ、そういえば団体のくじだけは今日まで投票出来るんだっけ。ソロとペアは昨日の23:59までだけど、団体は明日開催だから今日まで投票オッケーなんだよね。要注意パーティ、要注意パーティか~…………トーナメント表失くしちゃった。


「ちょっとトーナメント表持ってませんか?」

「あり、まぁす!」


 さすがダメぽさん、すぐに出てくる……。ん? なに、この書き込み……?



【団体・Aブロック】

      ┌─  魔神兵 (NPC)

    ┌─┤

    │ └─  ウゴーノシューC

  ┌─┤

  │  │ ┌─  聖天騎士団 (NPC)

  │  └─┤

  │    └─  森がモリモリ

─┤

  │    ┌─  執行する右手(ギロチン) (NPC)

  │  ┌─┤

  │  │ └─  脱トラ

  └─┤

    │ ┌─  マッチョの誓い

    └─┤

      └─  廃教会の慈母 (NPC)


【魔神兵】

 ヤバイッしょ。でもどうだろう、わからん……! 3位、2位、1位……。


【ウゴーノシューC】

 名前も面白くないし戦い方も爆弾投げるだけ。モロトフ1人で出来る


【s】

 

【森がモリモリ】

 実力を隠して予選で同じ技だけで勝った魔術師PT、なによりここにはゴリアテが居る。あとはわかるな?


【†ギロチン†】

 †執行する者† でも名前負けせず、マジで強い。3位~2位候補に入ってきてる、期待大


【脱】


【マッチョの誓い】

 もうここに出てこられた、それだけで十分だと思う。ただ自分たちの筋肉を見せつけたいって言ってた、もうやだこのひとたち。でもすき


【廃教会の慈母】

 Aブロックのシードチーム。なんでも不慮のトラブルで出てこられなくなった、開催50~60の頃の覇者チームらしい。ガトランタ王が予選やらなくても通過で良いって通したらしい。寛大~。

 構成メンバーは葬儀屋ミーシャ、呪物師カーサ、反魂師リザ、慈母ニンギリフ。全員女性NPC……え? 50年前から覇者って皆様おいくつ……でも美人だからいっか! 強いのかなぁ……? 強いか。期待値高め




【団体・Bブロック】

      ┌─  バビロン様の虜

    ┌─┤

    │ └─  動物園

  ┌─┤

  │  │ ┌─  ウゴーノシューA

  │  └─┤

  │    └─  ナイアガラ

─┤

  │    ┌─  ウゴーノシューB

  │  ┌─┤

  │  │ └─  パルメザン

  └─┤

    │ ┌─  マスターゼルヴァ (NPC)

    └─┤

      └─  おでん ( 笑 )


【バビロン様の虜】

 1位予想のチーム、リンネちゃんのところ。絶対ヤバい、つよい


【動物園】

 もってぃがんばれ、応援はするし骨も拾ってやる


【ウゴーノシューA】

 リンネちゃんに負けるから考えなくてヨシ


【ナイアガラ】

 ブリザーマン、モロトフくんがワンチャン……ないです。あ、ない? ない……。


【ウゴーノシューB】

 名前がオモロイ、リア友繋がりのパーティ。戦い方は至って堅実。リンネちゃんに負けるから考えなくてヨシっ!


【パルメザン】

 パルチザンと名前間違った槍サー。槍持ちしかいない。でも強い。リンネちゃんに負けるから考えなくてヨシっ!


【マスターゼルヴァ】

 Bブロックのシードチーム。絶対上がってくる、と……思いたい。お弟子さん達が未知数。3位候補


【おでん】

 あつwwwあつwwwほふほふほふwwwwwwwwwwwwwwww食べられるだけの存在



「……ぐっ……ふっ……」

「え? どうし……あっ!!!! これ、見なかったことにしてくださぁーい!」

「なん、で、聖天と脱トラ、何も……」

「書くのも面倒だなーと思っちゃって、うん……」


 ダメぽさん、ユニークな人過ぎない? しかも最後とかおでんじゃなくてエデンだし、これ本人たちに見せたら失礼過ぎる……で、でも、ごめん。笑っちゃう……!! 全く期待してないところと期待してるところの差が凄いなぁ。


「こ、ここ、多分、ここと当たって、負けちゃうかも」

「え!!!???? え、ここが……!?」

「理由は――――」

「はあ、へえ、ほぉぉおおお……!!!??」

 

 まあまあ、私の予想なんて割りと外れる事が多いから当てにならないけどね。参考にはなるかもしれないし、教えておくのもアリかな。なんせこれも当たったら、1割くれるって言うしね!!! 私もだいたい同じの賭けたら取り分どっさりだー!


「あざます! 参考になりました!!!」

「あくまで参考程度ですけど。考える余地はあるかなーって」

「なるほど~なるほどですよぉ~……」

「リンネ殿……っ♡ あ~ん、あ~~~~ん」

「千代ちゃん(・・・)はい、あ~ん」

「むぅ~~~……」


 この狐っ娘め、いつでもどこでも甘えてこようとする! しかし私は決めたんです、千代と呼び捨てよりも、やっぱり『千代ちゃん』のほうがいいなって。そしてここぞって時に『千代』って呼ぶんだ……。そうするとね、超高確率で素直ないい子になる。ずるい使い方を覚えてしまった……!


「わ~始まっちゃいます~!」

「ティアちゃん飲み物こぼさないように気をつけて歩いて~」

「は~い!」


 ちなみに今ここで観戦してるのは私、どん太、リアちゃん、おにーちゃん、千代ちゃん、ティアちゃんだけ。マリちゃんは運び込まれてる神木が増えて来て作れそうな段階に入ったから、飛空艇の最終調整に向かってる。そして意外や意外、ゼオちゃんとデロナちゃんが機械系の扱いに聡かった! あの子達って博士(ドク)に作られた生命体だから、幼い頃に生命維持装置とか諸々重要な機械を自分で扱えるように教えられてたんだって。そういえば機械のことを『機械(マギア)』って呼んでたし、機械の存在を知ってたんだよねー。今はね、出力不足だった現代の術式の部分を古代の術式に書き換えてもらう作業とかしてるみたい。また仲良く出来て、本当に良かった。


『さあ! さあ! 皆様、おまたせ致しましたァーーーー!!!!! 天下一決定戦、一対一の真剣勝負!!! 記念すべき第100回の最強が決定する時が、やってまいりましたァーーーーー!!!!!』

『選手入場です。矛の扉からは【千変の守護者・ゴリアテ】が入場です』

『皮肉にも矛の側から防御に重きを置く選手が勝ち残りましたーー!!! 防御は最大の攻撃かー!? 決勝戦でも防御こそが最大の攻撃だと証明してくれるのでありましょうかーーー!!!』

『盾の扉からは【白銀の射手・レーナ】が入場です』

『あらゆる守りを撃ち抜いた! あらゆる障害を突破した! あらゆる壁を粉砕した! 最後に立ち塞がる千変の守護者も撃ち砕き、攻撃こそが最大の防御だと証明してくれるので、ありましょうかーーー!!!??』

「わぁーー!?」

「あっ!」

「おおっとっと、ティアちゃん危なかった~」

『わふっ! (ないすきゃっち!)』

『(*´∀`)b』

「えっへへ、ごめんなさぁ~い! はい、しゅわしゅわです!」

「ありがとーティアちゃーん」


 ティアちゃんがね、リアちゃんが露店におやつを買いに行ったのを見て『私もおつかい、1人で出来ますっ!!!』って張り切って飲み物買いに行ったんだよね。ちゃんとおつかい出来たみたいだけど、人数分のジュースを運んでくるのは難易度高かった。うん、ごめんね。というか飲む量がバグってる子がちょいちょい居て、重かったよね。本当にごめん、そしてお疲れ様!


「おつかいできたね~。えらいっ!」

「えへ~~♡」

「むむむむむむっ……!」

「リアちゃんは自分の分だけ買ってきちゃうからなぁ~」

「むむむむむむっ、みゃみゃみゃみゃ……!!!」

「え、なにそれ可愛い」

『(*ノ・ェノ)キャー』


 どーれ、ゴリアテさんに、レーナちゃんか~。正直決勝がこの2人なのは予想外だったな~私ならくじ、絶対外してたわ。5口しか買えないし、無難なところ買っちゃって冒険とか出来ないよね。それが出来たからダメぽさんは勝ってるんだろうけど。というか勝ち確定は凄いわ~……。ある意味この大会の絶対的勝者よね、ダメぽさん。


「リンネさんのところはみんな、仲良しですね~」

「? 当たり前じゃないんですか?」

「うちの同盟さんには居ないですけど、従者って主人に絶対服従だと思ってるテイマーさんが結構少なくなくって、あんまりな扱いの人も中には居るって聞きますね~……」

「そんな人達はみんな勘違いしてますね。主人は従者に助けてもらってて、従者は基本主人よりも強いってことを。ある日突然立場が逆転しますよ、きっと」

「そうですよね――」

「え?」

『わうぅ……? (従者、主人よりつよいの?)』

『(´ε`;)……』

「リンネ様はつよいです!」

「そうですね。リンネ殿は多分誰よりも強いですね……」

「みんなのお陰で強いだけだよ。でもまだまだ及ばない相手もいる、ここで立ち止まるわけにはいかない」

「…………え、まだ強くなる」

「倒したい、超えたい相手が無数にいるので」

「ほぇ~~~~…………」


 まだ倒せてないボスも沢山いるし、超えたい相手も沢山いる。まずは特にあの、あいつ!!! ストロンガー!!!!! 偽バビロンちゃんより先にあいつだよね、絶対倒す。まずは倒す。必ず倒す、おにーちゃんと、ペアでね!!! そうじゃないとリベンジにならないわ。


『ゴリアテ選手が入場して参りましたーー!!!』

『相変わらずバッチリ決まっていますね。この男が決勝まで上がってくると誰が予想していたでありましょうか?』

『続いてレーナ選手も入場だーー!!!』

『非常に可愛らしい少女です。この華奢で可憐な少女から繰り出される銃撃の重さは、想像の遥か上を行きます』


挿絵(By みてみん)


『一番当たりたくなかった相手とは、必ず当たってしまうものですね』

『それはそう。私もちょうどそう思ってた』

『しかし、負けたくありませんね……。24年の人生の中で、これほどまでに感情が昂ぶったのは初めてです』

『え、としした? これは年上のおねーさんの威厳を見せないと……』


 そういえばレーナちゃんって25歳だっけ。ゴリアテさんの一個上だったか~。というかゴリアテさんもゴリアテさんで、あの容姿で24なんだ! 30ちょいかと思ってた。


『え、僕より上なんですか!?』

『あ、しまった。くちがすべった』

『…………』

『え、え? え……?』

「レーナちゃんって24より上なんですかぁ!!!!????? 未成年だと思ってたんですけど!!!!」

「レディに失礼ですよ~口を滑らせたのはレーナちゃんだけど……」

「あ、そうですね、すみませっ……」


 ん? あれ、会場がすっごい静かなん――――


『えええええええええええええええええええええええええええええ』

『えええええええええええーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!????????????』

『会場中から驚きの声が上がっております!!! わ、私も、驚きのあまり反応できませんでしたーーー!!!』

『人間種、ですよね? 長命種ではない、す、すごくお若く見えますね……!』

『あの冷静なゴリアテ選手が驚きと戸惑いを隠せず口をパクパクとしております!!! こんな状態の中、決勝開始の合図が出されようと言うのかーーーーー!!!!??????』

『え、嘘、嘘ですよね!? 上!?』

『ひ、ひみつ、黙秘権をこーし、します』

『ガチの反応じゃないですか、ヤダーーーー!!!!!!』


 ああーー知らなければ驚くかーー。ゴリアテさん、サングラスがずっこけるぐらいビックリしてるわ。レーナちゃんまさかのド天然盤外戦術、これは心が揺さぶられるわ。情緒が滅茶苦茶よ。


『た、たいせんよろしく』

『え?! あ、よろしく、おねがいします……?!』

『さあ泣いても笑っても一本勝負!!! 最後に立っているのはどっちだーーー!!!』

『真剣勝負――――ッ!!!!』


 これ、ゴリアテさん大丈夫かな……。いや意外とレーナちゃんも自滅ダメージ食らってるし、お互いにパニックだわ。何やってるの~~……。


『わふっ!! (僕ね、3歳!!)』

「お? 生まれた時を覚えてるの? えらいね~どん太」

『ワウゥン!! (お月さまが真っ赤だった!)』


 どん太3歳か~。生まれた時を覚えてて偉いね~。3年前のお月さまが真っ赤だった日ね、なんか特別な現象の日かもしれないし、後で調べて日付を割り出してみよっか。誕生日プレゼントとか買ってあげよ~。


『始めッッ!!!!!』



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