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288 決戦の地・1

◆ 龍骨平原・決戦の地 ◆


『警告:【無限結界牢獄】を解除すると後には引けません。また、マナの嵐が【災害級】となりギルドポータルやテレポート系の使用に多大なる支障が発生します。準備はよろしいですか?』


 準備は、やれるだけのことはやった。リチャージ用に使える死体も12体、足りなかった分はレーナちゃんから貰った。後はやおちゃんが降霊術で皆を喚んで、千代ちゃんに力を与えたら……開始。


「全員、覚悟はいいね! やおちゃん!」

「…………無念に散った幾千幾万の英霊達よ、未だ燻る闘志があるならば、今ここに我らと共に地獄の業火とならん! 深淵よりも深き冥谷の底より這い出し、来たれ!! 英霊降臨!!!」


 泣いても笑ってもこれっきり……!


『八百姫が神技【降霊召喚・英霊憑依】を発動しました』

『姫千代に加賀利の英霊達の力が宿ります――――』

『姫千代の【神通力】【金剛力】が【神力】へ強化されます』

『姫千代の種族が【神狐】に昇格します』

『姫千代の【零姫式刀剣術正統後継者】が【姫千代式刀剣術】へ強化されます』

『姫千代の【妖狐化】が【神狐の極意】へ強化されます』

『【◆妖刀・百姫】が【?神剣・無限】へ強化されます』

『【◆不変不動の篭手】が【?怒涛剛烈の篭手】へ強化されます』

『着用中の防具が【?神羽織(じんばおり)】へ強化されます』

『姫千代の攻撃スキルが全て強化され、全てのステータスが極限まで上昇します』

『八百姫が【神通力】【神技】【妖力】を失いました』


 全力で、これまでにないほど! 全力で!!


『警告:八百姫の力が弱まり、【無限結界牢獄】が解除されました!』

『おのれぇ……!!! 皆殺しにしてやる!!!!!』

『警告:【嗜虐デロナ】【暴虐死灰丸】【苛虐ホウエン】【悪虐オロチ】が召喚されました!!!』

『雑魚が幾ら集まっても無駄なん――――』

『神狐姫千代が【神雷脚】を発動、大妖狸ぽこんこ(Lv,????)に549,660Kダメージを与え、大きく吹き飛ばしました!』


 え、今の――――ッ!?

 

『邪龍城・天守閣が崩壊しました!』

「ぽこんこぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

『【シャドウダイブ】を発動、神狐姫千代の影へ移動します』

『神狐姫千代が【天変地異】を発動、マナの嵐を突き破り転移します!』


 こ、これが、英霊憑依の力……! 散っていった加賀利の英霊達の想いを受け継いだ、神域に踏み込んだ千代ちゃんの――――!!!


『ぐごぉ……は、っが……!! 油断してたよ、いきなりだねぇ、ちょっと痛かったよ……ちょっと、ね!』

「此方の命に替えても、貴様は必ず!!!」

『ほざけ!!! ちょっと強くなったぐらいで調子に乗るな!!!』

『大妖狸ぽこんこ(Lv,????)が【神滅斬】を発動しました』

『神狐姫千代が【祓魔斬】を発動、相殺! 大妖狸ぽこんこ(Lv,????)と威力が同格です!』

『くぅっ……!?』

「はぁああっ!!」

『大妖狸ぽこんこ(Lv,????)が【神速連斬】を発動しました』

『神狐姫千代が【乱華閃舞】を発動、相殺! 大妖狸ぽこんこ(Lv,????)と威力が同等です!』

『僕の、方が、強いはず……!!』

「獄での修行を投げ出し、母を裏切った卑怯者に!!! 我ら一族の剣に力だけで勝とうなどッ!!!!!」 


 互角か、いや……剣術は千代ちゃんが上回ってる。僅かに……!! でもぽこんこは剣術だけじゃない。剣の道のみならず、あいつは……術も!!


『大妖狸ぽこんこ(Lv,????)が【妖狸術伍式・鳳閃火(ほうせんか)】を発動しました』


 爆炎を撒き散らす、昔のリアちゃんが使ってたブリザードクラスターの火術に似た、強力な!!! どうする、出るべきか……庇うべきか……!!!


「破ッ!!!!!」

『神狐姫千代が【一喝】を発動、【妖狸術伍式・鳳閃火(ほうせんか)】を打ち消しました!』

『なっ……!!』

『神狐姫千代が【乱華剣】を発動、大妖狸ぽこんこ(Lv,????)に760,119Kダメージを与えました』

『大妖狸ぽこんこ(Lv,????)が【蹴り】を発動、神狐姫千代が122,559Kダメージを受けました。ノックバックしました』

「ぐっ……?!」

『大妖狸ぽこんこ(Lv,????)が【再生:不死の炎】により完全に回復しました』

『お、っととと……。く、ふふ、ふふふ……!!! 僕は幾ら負傷しても、ほぉら! すぐに治る!!! 君は、どうかなぁ……?』


 よし、決めた。私はこの影から一切出ない。完全に千代ちゃんの補助に回ろう! 適切なタイミングでネクロフォースを提供する、千代ちゃんのHPタンクになっておこう……。私が首を突っ込めるレベルの戦いじゃないわ! いや、ただの蹴りが全く見えなかったもん。いつ蹴ったのよ、本気で。


『【ネクロフォース】を発動、神狐姫千代が完全に回復しました。【ステータス+150】【被ダメ時無敵】状態の付与は不可能です』

『ッチ、生半可な攻撃じゃ、君も回復するようだねぇ……。お互い、動かなくなるまで殺し合うしかなさそうだ……! アッハハハ!!!』

『(リンネ殿……!)』

『(私に構わず集中して。皆がこいつの力の源を断ち切るのを信じて!)』

「――――参るッ!!!」

『かかってこい!!! お前を殺して他の妖狐も殺す!!! そして僕は神をも超える、究極の存在になるんだ!!!!』


 あ゛……? 身の程知らずが……バビロンちゃんを、超えるだぁ……? 決めた。こいつのことを絶対に、この戦闘中一度はぶん殴る。神を超える前に私に殴られるような哀れなタヌキに、バビロンちゃんが超えられるわけがないことを、絶対に思い知らせてやる!!!!!


「はぁああああ!!!!!」

『死ねぇえええ!!!!!』




◆ ◆ ◆




『――――アソンデ、アソンデ、ゼオ、ゼオ、アソンデ、アソンデ、ゼオ、ゼオ』

『嗜虐デロナ(Lv,????)が【アニメイト・カオスソルジャー】を発動、混沌兵が多数出現しました』


 なんやろなぁ、なんやろか……。


「デロナ……!」

『嗜虐デロナ(Lv,????)が【瘴気の槍】を発動しました』

『攻性防御! 通常攻撃で【瘴気の槍】を弾きました!』

『アソンデ、ゼオ、ドク、アシタモ、マイニチ、タノシイ、アソンデ――――』

「嬢ちゃん、可哀想やけど全く自我があるとは思えへん! 記憶の中の言葉を滅茶苦茶に口に出してるだけや!!!」

「う、ぅ……!!! デロナ!!! ああああああああ!!!!!!!」

『ゼオが【フルチャージ・次元斬】を発動、特効! クリティカル! 嗜虐デロナ(Lv,????)に122,501Kダメージを与えました』

『アハハハハハ!!! アソンデ、タノシイ、オナカスイタ、アソンデ、アソンデ』


 この、デロナっちゅう怪物は……夢を見てるんとちゃうんやろか。ぽこんこに取り込まれて、自我を失って、楽しかった時の夢を繰り返し繰り返し繰り返し…………。聞いた話やと、全てを恨んでてゼオちゃん嫌いで、ドクっちゅう生みの親の博士にも愛されなくて全てを壊したんやって聞いたんやけど……。本当はしっかり、楽しかった記憶もあったんとちゃうんやろか。


『ミンナデ、タベルト、タノシイネ、アシタモ、タクサン、アソンデ、ゼオ、ゼ、オ、ゼオオネエチャン、ゼゼゼゼゼゼゼエエエエエエエエオオオオオオオオオオオオオ』

「来るッス!!! 下がって!!」

「我が主バビロンよ、彼へ苦痛に耐えるだけの力を与え給え!」

「遮断せよ強固なる岩の壁よ」

「にゃんにゃおーん!」

『僕が盾になろうが【頼れ、我が鋼の肉体を】を発動、パーティ全員のダメージを引き受ける状態になりました』

『メガ盛りトントロが【ペイナス】を発動、僕が盾になろうが受ける最終ダメージを5秒間70%カットします』

『グリモアが【ハードストーンウォール】を発動、強固な岩の壁が生成されました』

『オーレリアが【猫ちゃん障壁(みゃおーんうぉーる)】を発動、岩猫の障壁が生成されました』

「この後撒き散らした死体の吸収なら、反撃する!」

「頼むでテロリスト!」


 あまりにも悲しいバケモンや、出来れば苦しまんようにしてやりたい。ただこいつは硬すぎる。今の火力では一発で消し飛ばしてやれん。それこそ、特大のチャンスを作れへんと――――来るッ!!!


『ミミミミミンンンナナナナナアアアアア、タタタタタベべ、タタタタタべエエエエエル、ルルルルルルルルル』

『嗜虐デロナ(Lv,????)が【ギガペインバースト】を発動しました』

『ハードストーンウォールが崩壊しました……』

猫ちゃん障壁(みゃおーんうぉーる)が崩壊しました……』

「うぉぉおおおおおおおおおーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

『僕が盾になろうが3,110Kダメージを受けました』


 よう耐えた!!! 流石マッチョはちゃうなぁ!!!!


『嗜虐デロナ(Lv,????)が【混沌兵吸収】を発動、周囲の混沌兵を吸収し始めました……』

「今や!!!!」

「オラオラオラオラオラアアアアアアア!!!!! 溶けろぉぉぉおおおおカジノで稼いだ金ぇえええええ!!!!!!!」

『モロトフくんが真覚醒スキル【ハイパーファイアデモンストレーション】を開始します』


 これがカジノで稼いだ金を全部突っ込んで作り出した、超絶焼夷火炎瓶っちゅう――――何十個投げるんやコイツ!? どっからそんなに出てくんねん!!!!! 目出し帽アバターでテロリストみたいやなーこいつと思ったら、ホンマにテロリストやんけ!!!


「あああああああああ俺の金があああああああああああ!!!!!! でも溶かしどころだああああああああ!!!!!」

『Weak!!! 嗜虐デロナ(Lv,????)が1秒間辺り凡そ45,000Kダメージを受け続けます!!』

「持ってけ泥棒ォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

『アハハハハハ!!! アソンデ、タノシシシシシシイシイシシシシイ、アアアアアアアアアアア!!!!!』


 あかん、何百の世界で投げとるのに圧倒されてもうた!!! アホか、ここが特大チャンスやん!!!


「ここで一気に――」

「だめ!!!!」


 なんやゼオちゃん、何で止めるんや!? ここが勝負やろ――――


『嗜虐デロナ(Lv,????)が【ファイアペインバースト】を発動しました』

『ゼオが【魔盾・戦姫】を発動、攻撃を無効化しました。【残ペネトレイト・105】』

「は……!? は……!?」

『アハハハハハ!!!! アハハハハハ!!!!』

『モロトフくんの【ハイパーファイアデモンストレーション】が終了しました。合計891,578Kダメージを与えました』


 あの言葉が狂った時は、ペインバーストの予兆なんやな……! テロリストの火炎瓶投げ祭りも終わってもうた、このダメージで死なへんのは長丁場になりそうやな……。いや、何が何でもスピーディに殺さなアカン!!!


「助かった! でも時間があらへん、なんとしても倒さなアカン!」

「……私に、大きなチャンス、ください。必ず倒す、絶対です!!」

「…………わかった! お嬢ちゃんに一発逆転の策アリや! がっつりダウンさせたるで!!」

「ダウン狙いか、猫ちゃん! まだ当ててない属性覚えてるかい!」

「風です!」

「合わせてくれ!」

「はいっ!」


 グリモアとリアちゃんがなんや用意する気やな、こっちは予想外にも槍やら斬撃やら弾く係になってもうたけど、まだ真覚醒が残っとる! これを吐き出してなんとか繋げたるわ!!!


「ほな行くで、気合い入れとき!!!!」



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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
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