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280 超ご機嫌な昼下がり

◆ バビロニクス・エステサロン【Gothic Night】 ◆


『――ご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております』

『そちらの各種撮影用ルームはご自由にお使い下さいませ~』

「あ、ありが、ひょ、ごじゃ……ましゅ……」

 

 アバターの一部変更チケット……500円……! 髪の長さと色と目の色の変更はリアモジュ判定にほとんど影響を与えなかった。リアルでもウィッグとか毛染めとかカラコンとかで気軽に変えられるような部分は判定が緩いんだね。逆に体型を弄ったらゴリッゴリとリアモジュ再現率が減少した……特に顔の形とか体型とか。つまり、バビロンちゃんを再現しようと胸をぺったんこにしようとするとあっという間に【再現率0%】になるってこと。だから許されるギリギリまで胸を小さくしたんだけど――――うん、誤差だわ。誤差だね、これ。

 そうそう、リアモジュ判定じゃない時の動作確認を試しにしてみたんだけど……なんかこう、着ぐるみの中で動いてるみたいな違和感? 自分の体じゃなくて、自分の体の外側にある何かを動かしてるような感覚。あまりにも気色悪すぎて私には無理だったわ、リアモジュ最高!


「ん……♡」


 ああ、なんという高品質フリル。高品質レース。この服の手触り、うるさくないリボン……!


挿絵(By みてみん)


 最高……。今私、バビロンちゃんに包まれてる……。バビロンちゃんが着ていた服、それもオリジナルを完全着用ってこれもはやバビロンちゃんと一体化したのと同然では? 私が私たる部分をしっかりと残しつつ、若干バビロンちゃんを意識した髪型も完璧……! 目の色を赤にしようとしたけど、あまりにも意識しすぎかなって日和ってピンクと紫の間ぐらいにしちゃったけど、これもこれでよし……。今の私がなりたい姿になったよ、間違いなく。今の私はね、ここまででいいの。


「…………さ、て」


 さて、問題はこれよ。呪力チャージ、試しにまずレアリティ全く変動しなかったレジェ呪物を与えたのね。そしたらチャージ量まさかの1パーセント。次にミスティック呪物、これが2パーセント。私はもうこの時点で覚悟を決めたね。ああ、アルティメットは3か4パーセントしかないなと……。

 そして突っ込みました、突っ込みましたともアルティメット呪物を。これがチャージ量5%!!! たまたま素体が良かった可能性もあるから検証しようと思って、とにかくレジェ以上の投げ売り装備を買い集めてひたすらアニメイト・フェティッシュ使ってから気が付きました……【呪力強化修得書】の存在にね!!!

 スキル【呪力強化】とはッ!!! アニメイト・フェティッシュの際に追加で呪いアイテムを消費することで成功率上昇やランク確定上昇、更にはイレギュラー確率を上げることが出来るスキルでした!! そしてここで更に思い出したのが、強化ボーナスの存在!!! そう、レジェンダリー装備を安全圏内の+4から次の+5に上げてから素材として突っ込むと、イレギュラー率が+5パーセント――+4だと1パーセントだった――も上昇! 更に呪力強化で+5パーセント! 元の確率が大体3パーセントだから13パーセント! これがボスモンスターだった場合はもうちょっと上がる――――とにかく、イレギュラー率が上がる!


 ――――吐きそう。


 私は一瞬ゲロゲロっと来そうになった感覚を『魔神礼装のため、魔神礼装のため』と押し殺して、このサロンに来る前にバビロニクス周辺のレベル100以上の雑魚を乱獲しながら作りました。アルティメット呪物の山……ッ! 合計100点の、アルティメット呪物の山!!! あ、ちなみにイレギュラーし過ぎてシークレット防具が10個とスーパーシークレットが1個あるけど、まあそれはそれとして……。

 血反吐が出るような思いで完成しました。呪力と呪力ストック合わせてオール200パーセントの魔神礼装が。こ、これが、ダンジョン内ではセーフティエリア以外無条件で消費、一般フィールドでも武器を手にとって戦闘態勢を取ったら呪力消費開始の、超高燃費装備……!! 私ね、試しに暴力を振るうまではこれは本気用の装備にしようとか思ってたんですよ。無理ですね、今までの装備に戻るの。このログ、未だに忘れられないもの。


『魔神の大鎌がデザートマンティス(Lv,125)を切り裂く! クリティカル! 9,970Kダメージを与え撃破しました――――』


 は、ははっ……!!! 見ろ、雑魚モンスターが雑魚モンスターのようだ……!! 魔神の大鎌での物理攻撃が魔術攻撃力で計算されたパワーに、基礎攻撃値――この値はステータスに表記がないけど、隠しステータスとしてあるらしい。純粋な戦闘職だと上昇量が大きいみたい――の暴力!! 思わずレーナちゃんも威力にドン引き、私もあまりの威力に腰を抜かした程に……強い。

 そして何よりこの服を着て獲得した【コープスチャージ】、これは死体安置所にある『自分よりもレベルが高い死体』を消費して、MPを瞬時に最大30パーセントも回復する強力スキル……。これからは死体安置所を常に満タンを保ちMP回復速度+1,000パーセントの恩恵を受けながら、やむを得ない場合は死体を消費してMPを瞬時に回復することが出来るという選択肢が増えた! 

 シャドウダイブも強い。まず、使ったかどうか判別がつかない。なぜなら地上に私を完全に再現したデコイが残るから。デコイは自動で設定した任意の行動――戦闘行動は取れない――をしてくれるから、まるで私が様子をうかがっているようにしか見えない。レーナちゃんが私のデコイに一生懸命話しかけてて後からデコイってわかった時、ちょっと顔を赤くして『さ、先に言って欲しかった』って恥ずかしがってた様子が見れたのは思わぬ副産物よ。

 最大のデメリットである呪力消費はストックの方から先に消費されるから、ストックが尽きない限りは基本的に最大の能力を発揮し続けてくれる。だからこれからは定期的に装備に呪物を与える、呪物給餌が必要ってこと。これからは与えても痛ましくないようなミスティックとかアルティメット装備をバンバン作ろうね。

 ちなみに、副産物として生産用装備であるゲヘナシリーズが出来てたのに、完璧に流れ作業でやってて気が付かなかった。そう、後からになって『あ……こ、これ使ってれば……』ってなったやつ。もう目標にしてた予備込みの100個まで行ったよ……。


「リンネ、エステから出てきた~。見に来――――ォ゛ォ゛……」

「どうですか、レーナちゃんっ」

「…………いい」


 レーナちゃんがエステから出てきたの察して来てくれたっ! いいでしょう、どやぁ~……。バビバビ礼装ですよぉ……。


「いい…………」

「この杖とか――――」

「はい。ブラックプリンセスパラソル。持って」

「こ、これはっ……!」


 いつぞや、装備の見た目に合わなくなったから返した、あの黒いフリルフリルの日傘! 確かに今なら、似合うかも……。


『白銀のレーナから【★ブラックプリンセスパラソル】を受け取りました』

「お゛……そのまま、そのまま」

「え、は、はい」

「いい……。今度はその椅子に座って、はい、こっち見て」

「は、はいっ……!」

「足の向きはこっち。足組んで、少し顔を傾かせて下から上を覗くように……あ、いい……そのまま……」


 流れるようにスクショ撮影会になってる!? や、やや、こ、困りますレーナちゃん……。ポージングまで決めた写真は――――


「ほら、可愛い」

「あ、礼装が綺麗に写ってる。立ってる時とまた違う感じが……!」

「じゃあ、次。あっちのベッドにあおむけて倒れ込むように、ばさーっと。自然体」

「ば、ばさ~っと……?」

「んっ」


 色んな角度からの写真、ちょっと見たいかも……。私が着てるのが申し訳ないっていうか、う~ん……。


「いい…………いい…………」

「そ、そんなにですか……?」

「リンネ、起きて。さっきの鎌、しゃきーんってやって」

「杖に傘のアバター重ねてる状態でも行けるんですかね……?」

『【★ブラックプリンセスパラソル】を畳んで下さい――――【モードチェンジ:魔神の大鎌】を発動します』

「すごい。なにそれ。日傘畳んでぐにゃぁって大鎌になるの、なにそれ凄い。格好いい……。いい……。今の、ショートビデオ撮りたい」

「え、び、ビデオですかぁ!!?」

「お金出すから。撮らせて、ね、ね、リンネ。撮りたい」


 お、お金出すから!? 撮らせて、ですか!? や、でも、ん~~~……!!


「お金は、ほら、上手く行かないかもしれないんで……」

「じゃあ成功報酬。撮ろっ!」

「わ、わ、わ~~~……っ!!」


 撮影の流れになっちゃったぁ!! どうしよう私なんか撮っても、仕方ない気がするけど――でも、後で色んな角度から礼装の動きが見れるし!! 撮りたいかもっ!


「じゃ、じゃあ、ちょっとだけなら……」

「ちょっとね。ちょっとだけ」



 ――――この後、お昼ご飯になるまで撮影した。ついでにティアちゃんとおにーちゃんが合流していろんなポージングの要求をされた。疲れたけど、楽しかったです…………。




◆ ◆ ◆




「――――本当にお礼の内容、これでいいの?」

「見たいんでっ!」


 お昼ご飯で一度ログアウトした後、レーナちゃんからお金を受け取るのはやっぱり無いなーと思って『さっきのディスカウントをアップグレードした姿が見たい』という内容に話を持っていきました。それでもレーナちゃん的には譲れない何かがあったみたいで、結局このダブって当選したブラックプリンセスパラソルは私にプレゼントってことに……。今度は借り物じゃなくって、完璧に私の所有物になっちゃいました。ありがとうございます、レーナちゃん!


「じゃあ、やる」

『【◆ディスカウント】に【◆◆クレジット】を使用し、アップグレードを開始します……』

『【◆◆ディスカウント・クレジット】が完成しました!』

「ん、ただくっついただけ?」

「プリペイドまで行ったらなにかあるかもしれないですし!」

「楽しみですねっ!!」

『(っ’ヮ’c)!』


 それで早速超機アップグレード開始! まず一回目は……特に変わったところもないかも。おにーちゃんは既にアップグレードの偉大さを実感してるし、ティアちゃんもこれから槍をアップグレードするからね、楽しみだねっ!


「じゃ、これも。やるね」

「結果を期待しましょう!」

『(っ’ヮ’c)♪』

「わぁ~~…………!」

『【◆◆ディスカウント・クレジット】に【◆◆◆プリペイド】を使用し、アップグレードを開始します……』

『【◆◆◆プリペイド・ディスカウント・クレジット】が完成しました!』

「あ~……」

「ありゃ……?」


 あれ、なんか、もうちょっとこうシナジー効果が起きたりとかして、こう――――


『【◆◆◆プリペイド・ディスカウント・クレジット】が強烈に共鳴しています!!!!!』

「!!!」

「お!?」

「わ!!」

『(´゜д゜`)!!!』


 これは、これは! 来たんじゃないんですか!? 来ましたよね!? 来た来た来た来た!!! ある!!!!!


『【◆◆◆プリペイド・ディスカウント・クレジット】が究極超機化します!!!』

『【?デッドビート】が完成しました! おめでとうございます!!!!!』


 ほ、ほ……!!! ほぇ!


「ぁ……っ!?」

「ぃ……っ!?」

「う……~?」

『工エエェェ(´д`)ェェエエ工』

「「おおおおーーーーーっっっっ!!!!」」


 こ、これが、カヨコさんが言っていた相性の良い組み合わせの正体ッッッ!!! これが、これが……!!!



【?デッドビート】(究極超機・ニューホープエピック・指輪・空きスロットなし【●】)

・【呪】食いしばり系・デッドビート以外のバリア発生系が発動しなくなる

・最終消費MP-15%

・最終被ダメージ-15%

・最終クールタイム-15%

・HPの150%分のバリアを3回自動ストック (CT5分・短縮不可)

・バリア破壊時、3秒間だけバリアを完全無敵バリアに強化する

・HPの減少を6秒遅らせる

・状態異常の発生を12秒遅らせる

・究極スキル【踏み倒し】獲得――獲得済み

 ――失敗した? 借金地獄? 踏み倒せば良いではありませんか by死の商人ワイパーニ

 強化不可・破壊不可・不良債務者【レーナ】・重量なし



「「踏み倒し」」

「ふみ、たおし?」


 ヤバい、絶対にヤバいスキルだよ。だって見たことないもん【究極スキル】なんて!! こ、これも見せてもらっても……?


「や、約束だから」

「ありがとうございますっ!!」


 やった! 見せて下さいレーナちゃーーん!!!



【踏み倒し】(究極スキル・クールタイム20時間)

・この効果は10秒間継続する

・いかなる方法でもクールタイムを短縮及び回復できない

・支払予定のHPダメージを踏み倒し、なかったことにする

・支払予定のMP消費を踏み倒し、なかったことにする

・発生するはずのクールタイムを踏み倒し、なかったことにする

・発生するはずの状態異常効果を踏み倒し、なかったことにする



「は、ははは、ははははははは!!!!!!! なんだこれーーー!!! あっははははは!!!!」

「や、ヤバいもの、手に入れた、ど、どうしよう、どうしようリンネ」

「もうどうにもなりませんって! 使いましょうこれ、堂々と!!」


 なんだこれヤバいわーー!!! もう、私の持ってる最大アップグレードの杖が如何に『惜しい装備』か理解(わか)らせられた気分だわ!!! あーーもう、ええ……。



 ――――私も、ヘルジャッジもう一個引いて良相性アップグレード、しよ。絶対。



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