273 The Original・10
◆ The Original・準備エリア ◆
一応前準備としてネクロフォースと空中射撃型プロップドローン、ティアちゃんが新しい補助スキル【ブラッドリーク】、レーナちゃんが【魔弾の射手】を発動して用意完了。
ティアちゃんの【ブラッドリーク】は発動すると効果が永続。相手にダメージを与えた時に追加で出血させるスキルで、相手に独自の【失血ゲージ】が追加される。この失血ゲージが50パーセント以上になると出血多量状態になって死ぬっていう悍ましいスキルなんだけど、そもそも血液を持ってない相手だったり出血耐性が高い相手だったり自己再生スキルとか回復持ちだった場合はこの辺りも回復されて、挙げ句50パーセント削り切る頃には戦闘が終わってるしでなかなか決まらないんだよね。本命はティアちゃんがダメージを与えた割合に応じてブラッドドレインで回復出来る、そっちの機能の方かな。
そしてレーナちゃんの【魔弾の射手】は凶悪で、まずこっちも永続タイプ。特殊な準備も要らずに即時発動で、効果は単純に強くて【魔弾系スキルBP-1】【魔弾クリティカル率+50%】のこの2つ。魔弾による攻撃限定ではあるものの、レーナちゃんの新装備は更にクリティカル率が50%上がるらしくって、魔弾による攻撃は常にクリティカルが発生するっていうとんでもない状態。
「最初にBP10払うのは痛い」
「世の中には職ポイントを10以上使うと半分返してくれる装備とかもあるんですよ……」
「え、ヤバい。絶対欲しい」
唯一のデメリットはBPが10って重さだけど、20秒で1ポイント回復するから3分ちょっとで満タンになるんだよね。そして思ったことなんだけどね……。火力職でここまで性能が上がるってことは、これから先この性能に見合っただけの敵が沢山出てくるってことなんだよねえ……。
「そういえば、その魔砲ザミエルって貰ったって聞きましたけど、一点物なんですか?」
「んっ? これは作れる。ザミエルのレプリカ、ウェポンメイカーでいっぱい作ってある。ちょっとずつデザインが違う、コスチュームに合わせて変えたりとか」
「へえ~~……あの、等級ってレジェンダリーでしたよね?」
「そっ! ちなみに、機械で作れる装備だけど、基本はマスケットだから、実は機械系じゃない」
「あ、そうなんですか! じゃあアニメイト・フェティッシュでシークレット装備に出来るかもしれないですね~。レジェまでは突っ込めるようになったんで」
「…………」
『(;´∀`)!!!!!』
「強く出来ますねっ!」
あれ、レーナちゃんお顔が真っ青――――あ~~~余計なことを口走ったかもしれない今~~~!!! これ以上ザミエルは強化出来ないだろうから~で諦めていたかもしれないレーナちゃんの武器が強化出来るってわかった途端、レーナちゃんのお顔が真っ青になってるーーっっ!!!
「こ、今度、今度……」
「今度ですね! そ、そうですねっ!」
「でも、愛着がある武器がそのまま強化できるの、とても大事」
「あ、わかります! アップグレードでシークレット武器がそのまま強化されたの、すっごい嬉しかったですし!」
「超機アップグレードキット、欲しい……。まだここで勝った人、誰も居ないから、ここで出たら嬉しい」
「お~そうなんですね~……倒さなきゃ」
「んっ! 回復した、行こ!」
「行きますか~。皆準備は大丈夫かな~?」
「はいっ」
『(*´∀`*)b』
と、とりあえず、皆準備完了みたいだからポータル起動しよう! ね、ね! あっと、ネクロフォースの終了時間が近い……。ってか今思ったけど、消費MP増えてるのに効果量が殆ど変わってないんだから、術の割合消費機能割と要らないよね? バビロン様達から頂いたこのアクセサリーに組み込んであるヤツだし、そもそも古代神術は個別にスキル扱いじゃなくてその都度魔術陣を呼び出して使うタイプだから割合消費にならないし……。なんとも困ったな~。いいとこ取りみたいな装備が欲しいよ~。
『転送ポータルを起動しました。30秒後に【入江の洞窟エリア】へ転送されます』
「眠れぬ不死者達よ、我等の力となれ。ネクロフォース!」
『パーティ全員にステータス+150・被ダメ時無敵3秒・HP20%回復・状態異常回復が発動しました』
「効果時間5分、長いような短いような……」
『(´ε`;)』
「確かに、もっと時間が長くて強力な効果のが欲しい、気もする」
だよねえ~。なんかこれじゃ満足出来なくなっちゃったんだよねえ~……。カヨコさんの【満月の女王】みたいな専用古代神術が欲しいなあ~。私もゼオちゃんに古代神語の深いところまで教えて貰って、専用術の開発とかしてみたいな。
「カウント、もうそろそろ」
「ですね! 気合い入れていきましょう!」
『3……2……1……転送』
◆ ◆ ◆
『――――クリティカル! ミノスキング(Lv,300)に合計120,205Kダメージを与え、撃破しました。経験値 1,500,000,000 獲得』
『ブモォォォォォ…………』
「っふ……いいまと」
認識を改めました。レーナちゃんの持ってるこのマナタンク、ヤバい。ヤバいなんてレベルじゃない。レーナちゃんは今まで弾丸を撃つ度にBP消費してたけどそれが無くなったから撃ち放題、クイックドローショットが強化されたハリケーンショットでMP据え置きなのに手数が倍増、MPが尽きたらマナタンクの消費に切り替えて撃ち始めて、マナタンクが切れる頃に自分のMP回復が追いついてまた撃てる。更に自分のMPで撃ち尽くしてもマナタンクがある程度回復してるからまだ撃てる。そしてまたある程度回復した自分のMPでまだまだ撃てる……。
――――止まらない。回復アイテムを使ってないのに、MPが尽きない。
おにーちゃんが攻撃を挟めなくてドン引き、ティアちゃんがレーナちゃんの戦闘を初めて見て唖然としてお口ぱくぱく、私は異常なまでの攻撃の回転をじっと見てるだけ。
「ちょっと、離れて。強制冷却」
「あ、はい」
『白銀のレーナが【強制冷却】を発動、一時的に攻撃力が激減しMP回復力が激増します』
そしてこの強制冷却。攻撃力が激減する代わりにMPの回復力を激増……。パーティ情報欄からMPの残量を示すバーが表示されてるけど、たったの5秒ぐらいでマックスまで回復してる。挙げ句マナタンクもキュゥンキュゥンって言ってるから、多分マナタンクの方も回復してる。これはヤバい、マリちゃんにもこの装備作らせないと……! レーナちゃんはガンナー系の常識を破壊してる!!
『中堅:極・殺戮者 & 極・抹殺者が出現スタンバイ中……いずれかのポータルから出現します』
『警告:特殊ボスのため、フィールドタイプが【うみのどーくつ式】に切り替わります』
「つぎ。多分抹殺、いつものビーム。頼んだよっ」
『(;´∀`)b!!』
「あ! ティアちゃん、次に出てくるボス、赤い方が破壊光線撃ってくるから! おにーちゃんに隠れて!」
『フリオニールが【幸運の守護】を発動、フリオニールの被ダメ無敵効果が解除され、【ペネトレイト・15】状態になりました』
そうだ、連戦だった! 気を抜かずに次の用意をしないと……えーっとピアリス――――あ、古代神術だからダメだ! ヴラドにするか……いや! ここは、ヘルジャッジだ! 新しい術を使う絶好のチャンスよ! MP66.6%って激重だけど、カヨコさんの使ってたアレなら破壊力抜群のはずだもんね。
「我の前に立ち塞がりし者、絶滅せよ。灰燼に帰せ――――」
「え、なにそれ絶対ヤバい。怖い」
『白銀のレーナが【強制冷却】を解除しました』
『白銀のレーナが【徹甲魔弾】に変更しました。攻撃力が若干減少し、貫通力が増加します』
いやいや、そっちも恐ろしい名前のスキル発動してますからね?! 絶対それ防御ぶち抜くタイプのスキルですよね!? 黒い方のダメージカット系をぶち抜いて上から叩き潰す気満々じゃないですか! なんかチラチラ見てる! 私のリアクションが何か欲しいみたいだから、と、とりあえず……。ウインクだけしとく? した。
「あ。キュン――」
『極・殺戮者 & 極・抹殺者が出現しました!』
『塵トナレェ!!!!!』
――――喋ったァ~~!!???
『極・抹殺者(Lv,100)が【超熱破壊光線】を発射しました!!!』
「フリオニールさん危ないっ!!!」
『( ´ ゜ д ゜ ` )』
「やば、これ――――」
あ、これヤバい。絶対ペネ15じゃ耐えない。なんかね、エフェクトが違う……こうね、エフェクトから感じるんですよね『僕はヤバいタイプの攻撃ですよ。貴方を殺します』みたいな、こ――――
『フリオニールが【パーフェクトガード】を発動、【超熱破壊光線】を無効化しました。【パーマネンス】【ペネトレイト】【ステータス上昇効果】が破壊されました』
ほらね。殺意しかないよ。
「この~~っっ!!!」
『ティアラが【スナイパーランス】を発動、極・抹殺者(Lv,100)にダメージを与えられません!』
『効カヌ効カヌ、有象無象塵芥共ノ攻撃ナ――――』
『フリオニールが【フリスビー】を発動、極・抹殺者(Lv,100)に0.02Kダメージを与えました! 極・抹殺者(Lv,100)が口を閉じることが出来ません!』
『m9(^Д^)9m』
『フリオニールが【プロヴォーク】を発動、極・抹殺者(Lv,100)が激昂状態になりました!』
『○×△☆◆□▲~~~~!!!!!』
「お喋り、し過ぎ」
おおっと、赤い方が頭良くなったんだか悪くなったんだか。お喋りし過ぎておにーちゃんのいつもの盾が口にずっぽり入ったわ。口閉じられなくなってやんの! でも黒い方は全く、一言も発さずにこっちに高速で突っ込んできてるんだけどぉ~……。あっちは黙々とぶっ殺しに来るタイプのヤバい奴じゃん、絶対。
「リンネ、そっちの任せた。何とかして」
『白銀のレーナが【属性:風】【ハリケーンショット】を発動、Weak!!! クリティカル! 極・抹殺者(Lv,100)に合計215,333Kダメージを与えました』
「口の中、今」
「は、はい!!」
『ティアラが【リターンランス】【スナイパーランス】を発動、極・抹殺者(Lv,100)に8,525Kダメージを与えました!』
『★!◆?△☆◆□▲~~~~!!!!!』
すっごい雑なパスだけど、オーケー任されましたよ! 近接タイプの黒い方、なんとか止めてみよう。これで、止まれよーーー!!!
「――審判の時来たれりッッ!!」
『【★ヘルジャッジメント】を発動、地獄の女神達の審判が下されます!!!』
『地獄の女神達の幻影が出現しました!!!』
『――死刑~~♡』
『しぬべき』
『あらあら~♡ 銃殺刑かしら~~♡』
ん゛っ゛……!!?? カヨコさんが使った時のヘルジャッジメントと、全然性能が違う!? え゛え゛え゛え゛え゛っ……!? クールタイム【20時間 (短縮不可)】!!??? 嘘でしょこんなスキルだってわかってたら使わな――――
『…………ッ?!』
『極・殺戮者(Lv,100)が【フルスロットル】を発動、速度が急上昇します!』
『死神の剛拳が炸裂! クリティカル! 極・殺戮者(Lv,100)に101,555Kダメージを与えました』
『冥神の狙撃が命中! クリティカル! 極・殺戮者(Lv,100)に101,777Kダメージを与えました』
『魔神の大鎌が直撃! クリティカル! 極・殺戮者(Lv,100)に202,666Kダメージを与え、撃破しました。経験値 9,999,999,999 獲得』
『地獄の女神達の幻影が消え去りました……』
『白銀のレーナがレベル116に上昇しました。お祝いしましょう!』
なに、これ、うわ、やば、えっ、やば、つよ、なに、はっ?
『…………』
「…………あ」
『ッッ!!!』
『白銀のレーナが【デストロイシュート】を発動、Weak!!! クリティカル! 極・抹殺者(Lv,100)に185,201Kダメージを与え、撃破しました。経験値 9,999,999,999 獲得』
『白銀のレーナがレベル117に上昇しました。お祝いしましょう!』
「あ、おめでとうございます……」
「あ、ありが、と……」
「あわわわわ……」
『((((;゜Д゜))))』
レーナちゃんも赤い方も、何が起きたのか意味不明過ぎたのかポカーンとしてたじゃん……。挙げ句先に動いた方のレーナちゃんが撃ち抜いて倒すっていう……。な、なんだ、これ……。
『白銀のレーナが【強制冷却】を発動、一時的に攻撃力が激減しMP回復力が激増します』
「それ、連発、で、きるの……?」
「後20時間、無理って」
「だ、だよね。うん、もしかして、初めて……?」
「そう、ですね……」
バビロンパンチに代わる、絶対ヤバいタイプのスキルを手に入れちゃったじゃん……。こんなスキルだよってわかってたなら、絶対絶対ぜーーったい、最後のアップグレードはもっと縁のありそうな奴を取り付けてたよぉーーー!!! カヨコさんが、惜しいって言う理由がわかった。これはかなり、とんでもなく勿体ないことをした!!!
『大将:GGGG様が出現スタンバイ中……いずれかのポータルから出現します』
『警告:フィールドタイプが【入江の洞窟エリア】に戻ります』
や、ヤバい、切り替えて行かないと!! 次の、絶対ウザいやつだもん!
「次の準備しないと! 眠れぬ不死者達よ、我等の力となれ! ネクロフォース!」
『パーティ全員にステータス+150・被ダメ時無敵3秒・HP20%回復・状態異常回復が発動しました』
『白銀のレーナが【強制冷却】を解除しました』
『白銀のレーナが【爆発弾】に変更しました。攻撃力が上昇し、貫通力が激減します』
『Σ(´∀`;)!』
「は、はいっ!」
ヘルジャッジがまさかこんなに重い術だと思わなかったのは予想外として、一応真覚醒スキルを切る準備をしておこう。ある意味今、全員の真覚醒スキルが残ってて万全と言える状態だし、大将まで来て負けてられないもの。それに何ていうか…………こいつには、負けたくないんだよね。なんとなく。
『GGGG様が出現しました!』
さあ、行く――――うわあああああ~~~!!!???
『ンッン~~~? どうやらワターシのデバーンのようですネ~~~????』
なんっだこの、クソ眩しいキラキラエフェクト!!? ああああバビロンちゃんがオフにしてくれた、カードのエフェクトと同じやつ!? もしかして、そうなのぉ!? 目が、目がァーーー!!!