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271 The Original・8

◆ 原初へと続く大穴 ◆


 いや~凄く珍しいメンバーになったよ、これは。まず残ってる組は千代ちゃんがパパとママと稽古、どん太はまだ疲れてるからおねんね、リアちゃんゼオちゃんマリちゃんは古代語の勉強会。こっちに来たのは戦闘経験豊富な人とそうでもない人とで真っ二つって感じ。私、おにーちゃん、ティアちゃん、レーナちゃんの4人パーティね。こうなったら行くダンジョンは決まったも同然、やっぱり経験値も結構貰える……ここよ!



【原初に続く大穴】 (制限レベル100~) (推奨レベル100~)

・制限:レベル100以上で入場可能です

・制限:NPCにレベル制限は適用されません

・最大4人までパーティ入場可能

・ペナルティ:各階層、制限時間5分

・ペナルティ:各階層、覚醒スキルの使用は1名まで可能

・ペナルティ:戦闘中の召喚系スキル使用不可

・パーティの該当スキル:【死体安置所系】【魔神兵召喚】【空中射撃型プロップドローン】

・特典:5の倍数階層毎に覚醒クールタイムをリセット

・毎週2度まで挑戦が可能

・30秒のカウントダウン後、ポータル内のメンバーがダンジョン内に転送されます


 

 大穴! 今週まだ来てなかったし、先週はちょっともったいないことをしたからね。おにーちゃんはフォーマルハウト……って思ったけど、前のゼロスみたいなやつが出てくるのを警戒していつもの鎧で来るって。フォーマルハウトは倉庫に預けようかと思ったけど、倉庫も無尽蔵に入るわけじゃないし、残念だけどフォーマルハウト結構重いから……どこかに預けてこようかな~って思いついた先がマグナさんの研究所よ。

 そしたらマグナさんが『あっ!』って言うもんだからどうしたのかなーと思ったら、とあるプレイヤーさんが常に起動状態で取り外し不可の失敗作をいくつか作ったらしくって、これをどうにか取り外せないか考えた末、『何らかの方法でエネルギーを完全に消耗させれば取り外せる』って裏技みたいな技術を発見したプレイヤーさんが居たんだって。

 それで元祖失敗作のフォーマルハウトが丁度来たから『せっかくだから飛空艇の素材で余ったパーツとかを使って皆で改造しよう』なんてプロジェクトが立ち上がっちゃったんだよね。最初は遠慮したんだけど、そもそも余ってるのが私のお金で買った素材らしくって、どうしようかこれって悩んでたところだったんだって。それじゃあ遠慮なく、作って貰うしかないよね! それでも余ったら分配して使って下さいって置いてきた。マリちゃんも『凄い発見だ、参考にしよう。我の失敗作で良ければぜひ好きなだけ弄ってくれ』って改造許可が降りたし、完成が楽しみだね~。


『原初へと続く大穴へようこそ。各階層の制限時間は5分です。注意して下さい』

「スライム!」

「スライム階、全堀……!」

『(;´∀`)!??!』

「え? 全部掘っていいんですか?」


 いやいやいやいや、ダメでしょレーナちゃん。絶対ジェリーヌクイーンとかそんなヤバいの出てくるって……。最初っから滅茶苦茶ぶっとばすじゃん……。


「ん? スライムは途中で止めると強いけど、最後まで行けばただの水になるよ」

「え?」

「え? あれあれ? 掲示板に書いてあった、よ?」

「え!?」

「スライムは、超大当たりのボーナスマップ」


 う、嘘……。スライムは最終的に原初の神なんたら~じゃなくて、ただの……水になるの!? 確かに元を辿れば行き着く先は水なのかもしれないけど、そんなことがあるの……!?


「その宝石がカウント凄く進む、あとあっちの大きいパナシーアクリスタル、引っこ抜いて。ティーちゃん、これ。合図したら皆で掘って次々に掘る」

「え、あ、あっ! はい!」

『(;´∀`)b』

「わかりましたっ!」


 本当に大丈夫!? 大丈夫なんだよね!? 行くよ、掘っちゃうよ!?


「じゃあ行くよ、いち、に~……さ~ん」


 ええい、ボーナスマップだって言うんだからボーナスマップのはず! やっちゃえやっちゃえ!! もうどうにでも、なぁ~れ~!!


『採掘スポットが大量に採掘されました』

『カウント最大!!! 警告!!! 原初の水が出現します!!!』

「ひっ!? 冷たっ!?」

「あ、それが今出てきたやつ。原初の水」


 本当に、原初の水しか来ない……? うわ、本当に来ない……。こ、こんな裏技みたいな方法があったなんて!? じゃあ先週のスライム階、私本当にもったいないことしちゃったんじゃん!!


「逆にジェリンセス、ジェリンスが狩りたいならこれ、やっちゃだめ。だから逆に、希少モンスターかも?」

「あ~確かに……え、でも目的のを倒して納棺してから水にすれば良くないですか?」

「そう上手くは行かないのがバビオン。残念、納棺中のも水になる。全モンスター消失型と、全モンスター変化型の階層、あるみたい。ダンジョン内だと納棺も仮取得扱い。鉱石とかと同じ~」

「ほえ~~~……」


 なるほどなるほど、あれはあれで良かったんだ……。というかこれを知ってるってことは、レーナちゃんもジェリンセスは倒した? この階層は全モンスターが一斉に変化するタイプで、倒したやつが水になっちゃったわけだ。上手く出来てるのね~……。


「消失型は、生きてるモンスターだけ消失。納棺中は残ってた」

「あ、じゃあゼロスみたいな巨大ボス系は、ウルフとかを倒しても残るってことですか」

「たぶん?」

『(*´∀`*)b』

「いっぱい集めました~!」


 おおおお……。パナシーアクリスタルがこんなに沢山……!! 魔の宝石系も、死も冥も、何点かある!! すっごぉ~い。いいね……。


「もう次の切り替わりまで出てこない。集め放題」

「…………ふっふっふっふ」

「にっひっひっひ…………」

『(;´∀`)』

「わぁ、取り放題ですか? マリアンヌさんが喜びますねっ!」

「そうだねえ~~……!」


 ごめんなさい、今一瞬『これでスクロールいっぱい作れるかもしれない、お金持ちだぁ~~……!!!』とか思ってました。ティアちゃんの純粋なニコニコ笑顔に浄化される日々だよ、汚い心が漂白されていくね……。もうね、頭撫でておこう。


「ほゎ……?」

「ティアちゃんは、いい子だねぇ……!!」

「ん、持ちきれないのは私が持つ。あ、撫でられてる。いいな~」

『( ´∀`)……』

「おにーちゃんのは求めてない」

『(´;∀;`)』


 哀れおにーちゃん、レーナちゃんからガッツリ断られておる……。さあさあ、この調子で4階までバッコバッコ回収していこう! いやぁ、スライムは私の邪魔ばかりするクズだと思ってたけど、いいとこあるじゃない……。これから毎階層スライムでもいいのよ。




◆ ◆ ◆



 ――――よし……っと。なんだかあっという間に25階まで下って来ちゃった。私がポータルを見破って、レーナちゃんが各階層の引き際を見極める。淡々とここまで強いモンスターとも戦わずに降りてきちゃったな~。


「採掘者セットをどこかで装備すると、51階までしか行けない。51階が【採掘者の楽園】って場所に変わって、鉄鉱石から魔鉱石まで、いろんな採掘スポットがいっぱい並ぶの。ここは時間無制限」

「へえ~~」

「でも重量制限があるから持って帰るものとの戦いになる」

「あ~~……」

「そのバッグ、いっぱいあれば解決しそうだけど」

「これ、量産したいなーとは思ってるんです」

「逆に量産できるの、怖い……」


 そういえばルテオラで採掘者セットみたいなのあったな~。あれを装備すると51階で止まっちゃうんだ~。誰情報なのかな……。あれ、じゃあ逆に使わないとどうなるの? その先があるってこと?


「採掘者セットを使わないと、どうなるんですか?」

「51階から採掘スポットが一切なくなる。出てくるモンスターの種類が完全にランダム、もしくはパターン変化型でボスラッシュに変わるの」

「へえ~~!!!」

「一度50階まで行ったら、好きなのが掘れなくなる代わりに、50階までスキップして……鉱石ランダムボックス50個と、レア鉱石ランダムボックス10個が貰える、はず」

「時間がないけど箱だけ欲しいって人向けですね!」

「そっ!」


 ランダムボスラッシュ!! つまりこの大穴、どっちを本命にして来るかで目的が変わるんですね~……。ランダムボスラッシュ目的ならついでに鉱石箱が貰えてラッキーって感じで、鉱石目当てなら時短にはなるけど旨味が減る感じか~。でも凡ミスとかによる失敗で追い出されるリスクなしで固定収入貰えるなら、スキップのほうが良い気がするな~。


「ん、あと25階! がんばろ~」

「がんばろ~っ!」

「頑張りま~すっ!」

『(*´∀`*)』


 あ、でもこれ、私がネタバレしないで初見の楽しさを知ってほしいとか言わないで素直に教えてれば、もっと早くに攻略方法が確立してたのでは……? う、そう考えると嫌なことしたかも……。


「う? どうしたの?」

「いや、初見の楽しさを知ってほしいとか言わず、最初から教えてれば~と思って……」

「あ。おかげで初見組が大盛り上がりしたから、平気。逆に教えられて罠全部回避出来てたら、リンネは自力でやったのに、私達のほうが申し訳ないから。おあいこ、おあいこ」

「今度から、ネタバレが嫌な人用に配慮して秘匿文章とかで情報公開だけはするようにします……」

「いい考え。ネタバレが嫌なら見るなは、大事。今度から皆そうしよっ!」


 秘匿文章にして『このダンジョンのネタバレokな人だけ見て下さい!』って限定すれば、ネタバレで苦しむ人も居なくなるし、ネタバレokな人は攻略が進むし……。うんうん、今度からそうしよう! そうするべきだね!


『9分経過』

「あ、そろそろ、行こ」

「そうですね。あれ、おにーちゃんから鉱石貰ったっけ?」

『(*´∀`*)b』

「そっかそっか、貰ってたか。あ! 預けてなかった! あぶなーい」

「あーぶなーい」

「確認は大事です、ねっ!」

「ね~」


 おおっと確認不足。おにーちゃんから受け取った鉱石を倉庫に収納し損ねてたわ。この階層で初めてミミックが出てきたから驚いちゃって、受け取ったかどうかも忘れちゃってたや。それじゃあ気を取り直して、50階目指して行ってみよ~!! 一応倒せそうな階層あったら、撃退チャレンジかな! ゼロスとかは一度倒してるし、チャレンジはアリかもね~。



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本作をご覧頂き誠にありがとうございます
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ガイド役の天使を殴り倒したら、死霊術師になりました ~裏イベントを最速で引き当てた結果、世界が終焉を迎えるそうです~Amazon版
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