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269 ログイン17日目 

◆ 自室 ◆


 コテージから移動するのやだよ~って散々駄々をこねた後、ゼオちゃんとリアちゃんに『行かないと負けちゃうよ!』って叱られて、とりあえず加賀利城にうちのメンバーとラージウスとガリャルド――寝てた組はポータルに無理やり押し込んだ――の全員を移動させて、どん太っていうベッドに飛び込んだ辺りまでは覚えてる。でも残念ながらそこからの記憶が一切ないので、これは間違いなくどん太の上で……寝ましたね!


「はっ……はっ……!」


 幸いにもなんだか目覚めは非常に良くて、とりあえず着替えて身支度をして、朝ごはんも最低限のインスタントセットを作って食べて――――シャワーを浴びる前に運動したくなったので運動中です。軽くランニングマシンでね、汗を流したいな~と思って。


「……ふぅ~~……」


 でね? ここまで走って毎回思うんだよね。これだけじゃ満足出来ないよ、と。そうすると自然にほら、ほら! 別のトレーニングマシンに乗っちゃうんですね~。不思議だよね~。


『天音様、朝から少しハードなトレーニング、ですね。定期的にスキャニングを行い、バランスの良い肉体を目指しませんか?』


 あ~……。真弓に用意してもらったこのトレーニングルーム、私のトレーニングを見守ってるこのお喋りロボットがうるさい…………と、思ってたけど。この際だからちょっとこれ使ってみようかな? 確かどこの筋肉が上手く使われてないからバランスが悪い~とか色々指摘してくれるんだよね。今まではなんかこう、言うことを聞きたくないっていうか、なんか反発して使ってなかったけど……。使おっか。


『スキャニングのご利用ありがとうございます。スキャンには少々お時間が掛かる場合が御座います。一緒に理想のボディを目指しましょう』

「ん……」


 へえ~……。なんかこう、ロボットから色々アームが出てぐさぐさーーっ!! っと刺さるのかな~とか勝手に思ってたけど、意外と静か。高性能のMRIみたいなシステムなのかな? どうなんだろ、この手はあんまり詳しくないんだよね。


『日常的な肩、首への負担が大きいようです』

「わかってるわそんなの」

『失礼しました。天音様のお体に対し、トレーニングに使用するサポーターが心もとないように思われます』

「わかってるわそんなの」

『失礼しました。適切なサポーターを検索致しました。このような商品が適していると思われます、ご購入されては如何でしょうか?』


 え~~昨日頼んだばっかりなんだよね~……。あれ、昨日頼んだ商品を取り消して注文なんて項目もあるんだ。あ~一応このロボットにも情報がリンクしてるのね。へ~高性能…………いや、高っっ!!!??? あああーーーそっか、このロボット自体がそもそもお金持ち用のロボットだもんね! なんで私みたいな学生が利用してるんだってレベルの!! そりゃあ表示される商品の額もゼロが1個か2個多いわねえ!


『昨日注文の商品を取り消して注文が真弓様によって選択されました』

「え、ちょっと!?」

『予備の分の注文も承りました』

「ちょっとぉぉおーーー!!!」

 

 ま、真弓ーーー!!!? 私こんな超高級品頼めないよーーー!! ってか起きてるの!? 何勝手に私の端末遠隔で弄って注文してるのーー!?


『真弓様によって代金は支払済みですので、到着を楽しみに待っていて下さい』

「え、え」

『最速配達指定が選ばれました。本日の正午までに到着致します』

「えっ! あ、あっ!!」


 ちょっと、真弓に電話しよ……。直接お礼言わないと……。それになんか、ジッとしてる内に汗引いちゃったし。これはもうシャワーを浴びて朝はこれで終わりにしよう。


『朝のトレーニングは終了致しますか?』

「ん、終わっとく……また昼か、夕方」

『お疲れ様でした』

「…………もしもし、真弓???」


 もう~~……。真弓ってば、私になんでも買い与え過ぎ! 嬉しいけど!! いつも、ありがとうね!!




◆ ◆ ◆




『東京を中心に降り続いている大雨は昼過ぎには弱まり――』

「ん~……」


 さっきの商品、最速で今日正午までに届くって言ってたけど、この大雨でちゃんと届くのかな? このぐらいの雨ならなんとか出来るノウハウがあるってことなのかな。こういう時に注文するの初めてだから、楽しみなような不安なような……。ま、いっか! やろ~っと!


『――バビロンオンラインのプレイがリクエストされました。バビロンオンラインへアクセス中……リンク完了』

『おかえりなさい。バビロン様からこれを預かっていますよ』

『バビロンちゃん (の、代理の魔神兵カヨコ)からの! デイリーログインボーナス16日目【◆500ゴールドサービスチケット】』

『貴方に幸多からんことを。それと、バビロン様から重要な発表がありました。ご確認を』


 お゛っ゛――――カヨコさんがログインボーナスに初登場した……! び、びっくりした……。カヨコさんに何回ビックリさせられるのよ私は……。それで? 重要な発表ってなーんだっ!! はい、どうぞっ!!


『メール (重要):聖メルティシア法国側へ宣戦布告を行いました。7月2日、日曜日。午後8時より作戦を開始致しますので、参加を希望される方は午後7時までにはバビロニクス中央広場へ集合してください。なお、この作戦は強制ではありません。この作戦期間中、ワールド全域でチャンネルが統合され1chのみとなります。予めご了承下さい』


 ほっほ~う……。つまり天下一決定戦の団体部門を終えたら、今度は法国も潰して良いのね! ふふ~ん、楽しみ楽しみ……。


『わう~わう~~ (おはよう~~重いよ~)』

「あらどん太、おはよう。重いとは失礼な」


 あらら? ログインしたらどん太のお腹の上に乗ったままだったわ。重いとは失礼な……いや、確かに一般の女性よりは重いかも。筋力的にも、身長的にも……。体格良いもんね私ね……。


「失礼な!」

『わうぅぅ~~!! (凄い、後から怒る!!)』


 なんかそれを理解した瞬間、微妙にむむっと来ましたねえ! まあどん太は悪くない、悪いのは発育が良すぎた私が悪いんだ。どうしてこんなに育ってしまったんだ私は……。中学校の頃はこんなじゃなかった気が――――うーん、どんなだっけ?


「おはようリンネ。今朝はマナの嵐も状態が安定していて、ローレイ側と通信が繋がっていたんだが……今は微妙に悪くなってきたな。音声も途切れ途切れだ」

「おはようマリちゃん~。音声? 通信?」

「ああ。物質をテレポートさせるのは大量のマナが必要だが、音声だけならと思ってね。お昼寝さんにローレイに連れて行って貰って、マグナと音声通信を繋ぐ装置を作ってみたんだ。マナの波長を合わせ、その波長が合った相手と会話が出来る。これを名付けて――――」

「ほえ~。トランシーバーみたいだね~」

「…………」

「ん?」


 あれ、マリちゃん? どうしてそんな悲しい顔をしてるのかな……?


「ひょっとして、リンネの世界にはもう、これが……ある……?」

「ん~似た原理のはあるかな?」

「…………どん太君、ちょっとそのもふもふのお腹を、貸してくれるかい?」

『わうぅ…… (泣いていいよ……)』

「~~~~~~~~~~~~…………!!!!!!!」


 あ、あ、凄い大発明だと思って、あっ……! ごめんマリちゃん、ごめん……!! ほんっっとうに、ごめん!!!


「ま、まあ、でもほら、念話が使えない相手ともこれで話せるようになったんだよ!? 凄いことだよ、ね! ね!?」

『がぅ~~…… (そっとしておいてあげて……)』

「はい……」


 マリちゃんごめんねぇえええ……!!! そんなつもりじゃ、無かったんだよぉぉ……!!!


「…………よ゛し゛。ずびっ……メンタル、リセットだ……」

「絶対引き摺ってる……!」

『わうぅぅん…… (いつでも、もふもふさせてあげるね……)』

「ありがとう、大丈夫だ。とりあえずリンネ、このテレパシーバー(・・・・・・・)を使ってマグナと連絡を取った結果、昨日ローレイに預けてきた神木を使って重要な部分から製作を開始したそうだ。今は重要な部分以外は神木以外の木材で組み上げ、最低限飛空艇の役目を果たせるように製作している。神木はマナを流すとその強度を増す特性を持っているが、普通の木材にはそれがないから、その分は装甲板で補う予定だ。まあつまり、順調に完成に向かっているということだな」


 凄い、この短時間で良く立ち直ったねマリちゃん……。そして飛空艇も完成に向かっているんだね! 重要な部分は神木、それ以外は木材と装甲板ね。なるほど、まずは飛ばしてみて様子を見たいって狙いもあるのかな。そうだよね、理論上飛べる状態で完成させるのと、飛べるのが実証された状態で完成させるのだと大きな差があるもんね。


「そ、そうなんだ! これで飛べた実績が出来れば、安心して完成に持っていけるね!」

「ああ、楽しみだな」

「…………あのね、マリちゃん?」

「だめ、泣いちゃうから」

「うぅぅ~~ん……!!」


 今後マリちゃんの前で、トランシーバーの話をするのは……やめようね!!! 思い出させるだけでちょっと目に涙がちょろっと見えたもん。本当に、本当に……ごめんなさい……!


『――――おはよう、リンネ殿』

「あ、メイナさんおはようございます」

『向こうに動きがあったぞ、やはり今夜襲撃するようだ。狙いは東門の破壊、そして…………あなただ』

「え?」


 え……? や、動きがあったのは予想通りだけど、狙いの一つに私が入ってるのは予想外っていうか、理解出来ないんだけど……?


『どうやら、死体を処理している術に感づかれたな。その術が向こうにとって非常に都合が悪いようだ……残念ながらそれ以上は、目と耳を潰されたからわからなかった』

「え!? だ、大丈夫なんですか?!」


 目と耳を!? え、え!? メイナさん、大丈夫なの!?


『ああ、実際に潰されたわけではない。式神を使って目と耳の役割をさせていたものを潰されたのだ。大丈夫、この通りしっかりとついている』

「そうなんですか、よかった……」

『では、確かに伝えた。用心してくれ』

「ありがとうございました!」


 敵の狙いは、私の死体処理技術の阻止もあるんだ……。ん? 死体を処理されると不都合ってことは、単純に考えてぽこんこ以外にデロナが来るってことでは? 確か混沌兵って、死体をツギハギして作り出した兵士なんだよね? じゃあ、来るじゃん。


「どうする? 狙いはリンネとなれば、前に出るのは危険だろう」

「確かにね。まあとりあえずこれを相談したい人がいるから、まずは……皆の様子を見ようかな」

「お?」


 とりあえずこの件はね、専門家に相談だ。さてさて、専門家は何処にいるのかな~?



【従者の状態】

・どん太:弱疲労、加賀利城・広間、ちょっと眠い~

・オーレリア:寝ぼけ気味、加賀利城・広間、…………にゃ?

・フリオニール:(`・ω・´)、加賀利城・広間、リアちゃん寝ぼけてるな~

・姫千代:絶好調、加賀利城・広間、朝からお肉、最高で御座いますね

・マリアンヌ:少し悲しい、加賀利城・広間、リンネに褒めて貰いたかったのに……

・ティアラ:絶好調、加賀利城・広間、朝~! お日様気持ちいいですっ!

・八百姫:絶好調、????、非常に好印象

・Z0:絶好調、加賀利城・広間、リアさんのほっぺ、やわらかぷにぷに……!


 あれ、広間に居る? どこに――――あ、絶対あの煙がほわ~っと出てるところじゃん。焼肉してんのがちよちゃんで、その周囲でゼオちゃんがリアちゃんのほっぺをぷにぷにして遊んでるはず……!


「……マリちゃん! 新しい発明、偉いっ!!」

「ダメだ、ないちゃう。どん太君ッ!!」

『わうぅ~~ (ひどいよ~)』

「ぐぅぅ……!! ごめん……っ!」


 マリちゃん、褒めたら褒めたで泣いちゃったよ……。もう初手をね、間違ったもん。本当にごめん……。でもマリちゃん、私は行かねばならないんだ! あの朝から焼肉やってる元気っ子達のところに!!


「どん太、マリちゃんを……頼んだぞっ!!」

『わう~~……わっ! わうわうわう~? (わかったよう~~あ! まだ寝ててもいい?)』

「うん、いいよ……! 昨日頑張ったもんね」

『わふっ (やった!)』

「~~~~…………!!!」


 すまぬ……。すまぬすまぬマリアンヌ……。あ、なんか語呂が良い。うわ、何考えてんだろ、私最低だぁ……。なんかこういう時、変なこと考えちゃうんだよね……。


「……次は、リンネの世界にもないような、驚くようなの、作るもん……」

「頑張って……。応援してるから、お金も足りなかったら――――こ、今度、言ってね」

「うぅ~~……!!」


 頑張ってマリちゃん、私……応援してるから! 次は絶対『あ、それって◯◯じゃん』って言わないようにしよう。絶対に……!


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