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267 神樹でのひととき

◆ 神樹のコテージ ◆


 アハ……アハ……ッ!!! オカネ、ナクナッチャッタ……!!!


『素晴らしいですね。落ち着いた雰囲気が出ていて、機能性に優れて快適。とても居心地が良いです……ついつい増築した甲斐があるというものです』

「リ、リンネちゃん……」

「キレイ、ウツクシイ、スバラシイ……ヒヒッ……!!」

「ああ、そのリンネはもう暫くはダメだろうな。お金を大量に消費した時のショック状態になっている。我も経験したからわかる」

「満足感と虚無感が同時に入り混じってますねっ」

「またいっぱいオカネ? 貯めよう、リンネさん!」

「ハイ、ゼオチャン」


 最初はね? 5Gぐらいで抑えたんだよ?! あれもこれもって飾り付けたり設置したりしてたらカヨコさんが、あ! カーミラさんが急に『これでは少し狭いですね。リンネさん、木材はまだ持っていらっしゃいますか?』って言うからぁ!! 神木以外全部出しちゃったし、なんならオークションから木材買い占めちゃったの!!!

 そしたらもう止まらない。出費、止まらない。増築した分の部屋の家具も欲しい! ベッドもふわふわふかふかにしたい! どん太達が寝泊まりできる大きな入り口も欲しい、増築! 増築! 追加設置! 追加設置! もう止まらないの。結局オークションの売上も全部回収して35Gぜーんぶ使っちゃったぁあああ~~~!!!! は、はっ……! はははははは!!!!!


「アハハハハハハハ…………!!!!」

「うわ、笑い始めたぞ」

「満足そうですし、きっと大丈夫です……」

「私、このお部屋好き! 家の中、全部見渡せます。もちもち、くっしょん? これも大好きです!」

「私はここ、お勉強するのに丁度いいですっ! ふわふわベッドも好きですっ!」

「ここでは作業を忘れて過ごしたいな、我はどこでも……いや、やっぱりここが良いな」

『わぅぅぅぐぅぅぅぅぅ……』

『重――――ぐぁぁ…………』

『なんで俺の方に来るんだお前らは……』

『きゅぅぅ~~……いぃぃ~……すぴぃぃ……』

「つみれ、寝てる……。じゃあわっちも、今日は寝ますね」

「あ、お疲れ様~またね~」

『プレイヤー【つくね】がログアウトしました』


 つくねちゃん落ちちゃった。とりあえずシェアハウスの申し出はオッケーしてくれたし、この様子だとつみれちゃんもガリャルドも当分起きないだろうし、丁度良かったね!

 ところでどん太とガリャルドとラージウス、増設した広い部屋が気に入ったみたいじゃん……。皆それぞれお気に入りの場所を見つけたのね。いいことだよ、とても。後で千代ちゃんとおにーちゃんとティアちゃんと、やおちゃんのお部屋も用意しておこうね。そうだ、ゲストルームも用意しておこうっか……。


「無くなったら貯めれば良い……無くなったら貯めれば良いの……」

「お姉ちゃん、なんだかダメ人間の発言に聞こえます!」

「リアちゃんもリクエストのふわふわベッド買ってあげたんだからお金稼ぎ手伝うんだよ?」

「あっ」

「…………わ、我はほら、忙しい――――ひぉぉぉ……!?」

「マリちゃんは飛空艇関連の仕事終わったでしょ? 手伝うんだよ?」

「くぅぅ~……」

「私にも手伝える、ありますか!?」


 ゼオちゃんに手伝えること、かあ~……。ん~…………。そういえばゼオちゃんって古代神語は話せるけど、書くことは出来るのかな? ほら、聞く喋るは出来るけど読み書きが出来ない可能性ってあるじゃない?


「ゼオちゃん、古代神語は読み書き出来る?」

「んう~? とても得意、です! 博士(ドク)と勉強、覚えました!」


 お、読み書きも出来るんだ~偉いね~。ニッコニコして褒めて欲しそうにしてる、頭撫でちゃろ。


「お~。じゃあ理論上、パナシーアクリスタルを圧縮して線維化して、丸々一本消費して作り出したスクロールならピアリスぐらい撃てるのか~……いや、豪華過ぎる……」

『あの魔鉱石で一撃限りの攻撃術を売るのでしたら、原初の火術(アンク・ファラメ)などの初級古代神術が良いでしょう。それぞれ四属性で欲しくなる、でしょう? 起動ワードはわかりますか?』

「あ~~~……焼き尽くせ(ヴェルナ・ダオヌ)、ですか?」

『素晴らしい。正解です』


 お~~カヨコさんの問題に見事正解しました~嬉しいね。ん、ん! カヨコさん、んっ!!!


『…………』

「…………」

『よく、できまし、た……?』


 ん~~~~~カヨコさんに撫でてもらった~~~嬉しいね~っ!! お。皆もこんな気持ちで撫でて貰ってるのか! これは、今度からもっと気持ちを込めてなでなでしてあげよう。テキトーに撫でたらしょぼーんとしちゃうわ!


「…………ふふ~~んっ!!」

「え、すっごい。どうしましょう、ちょっと悔しい気がしますっ!!」

「私が、古代神語(アンクイス)、教えますか? 勉強しましょう!」

「いいんですか、おねがいしますっ!!」

「我も興味があるな。一緒に良いかい?」

「大丈夫、生徒が何人、増えると楽しい!」


 ゼオちゃんが古代神語をリアちゃんに教える先生になろうとしている……。得意げな感じでドヤっとした顔してるの可愛いね。リアちゃんもおめめがキラキラしておられるよ……。そうなんだよね、私が教えてもなんか『勉強法がまるで違うから全然入ってこない』って諦められちゃったんだよね……。ゼオちゃんは合うといいなぁ~……。ついでにマリちゃんもお勉強するのね、いいことだよ。


『……そういえば、古代の記憶なる場所を見つけたと先程言っていましたね』

「あ、そうです。確認しに行こうと思ってたんですけど、伸ばし伸ばしになっちゃって」

『その場所の確認も一応任務に入っていますので、一緒に確認に行きますか?』

「いいですか? じゃあ、お願いしますっ!」


 じゃあ皆がそれぞれやりたいことをやってる内に、私はカヨコさんとデートしに行ってこよっかな~。古代の記憶ダンジョンって気になっちゃうじゃん? ペルちゃんに聞いても『何の反応もなくて、良くわかりませんでしたわ!』しか言わないし。いこいこ~!




◆ ◆ ◆




 古代の記憶まで行く道中、カヨコさんが『最近の朝食はトーストにバターを沢山塗って、サラダはノンオイルドレッシング、牛乳を好んで飲む』ということが判明し、レオンさんが実はカジノにハマってるとか、グスタフさんが字の読み書きを練習し始めたとか、他にもスージーちゃんがちゃんと喋る事が出来るように辿々しい言葉遣いながらも努力してるとか……。色んな話をしながら夜の散歩を楽しんで居る最中。


『――――当面の目標は、バビロン様の影を超えることですか?』

「そうですね~。バビロンちゃんの偽物を倒せるように、このまま貰ったものをそのまま使い続けてちゃダメだと思って」

『その杖は、スタッフ・オブ・バビロンと呼ばれるバビロン様が昔使っていた杖を模した物でしたね。改造を施したようですが、なんとも惜しい改造に見えますねえ……』


 私がアップグレードを施したヘル・バビロン・エッセンスが『なんか惜しい』と言われてしまいました。もしかしてこれ、何か失敗してる? もっといい組み合わせがあったりするのかな?


『とても失礼ながら、死・魔の力で重なったところに純粋な魔力の力が入ってしまって、中途半端な出来になっている気がして。リアさんの持っていたあの……特殊な武器。あれになら合う気がするのですが……』

「え、やっぱり何か組み合わせとかあるのかなこれ……」

『もう取り外せない程に融合していますし、それはそれで仕方ないとは思いますが……。もし再挑戦するのであれば、バビロン様がその杖を作った時と同じ方法で作り出せばなんとか出来ると思いますが』

「…………あ!!! これ、勝手に専用装備だと思ってました! そっか、あの時使った装備と同じもの……」


 そっか!! この杖、私専用だと思いこんでたけど何処にもそんな事書いてないし、何ならあの時バビロンちゃんが作った方法って確か……【アニメイト・フェティッシュ】だったよね! ということは、え~~~~っと~~~…………? 紫水晶の杖!!! レジェンダリーの紫水晶の杖だ!!!


「んっ!!!」

『おやおや、そちらは?』

「これ、この世界の異界人がアイテムを売り買いしている競売場なんです。これに、あの時使った装備が売ってるかな~って……あった! あ!!!!」

『お金がないのですね?』

「…………こ、この出てる杖、6本買い占めたら、完璧になくなるかなぁ~~……!!」

『困りましたねえ』

「とりあえず、倉庫の中のガラクタ装備を売りに出そうかなと……」

『一時しのぎにはなりそうですね』


 この、出品されてる杖買ったら本格的にスッカラカンだぁ……。あ、そういえば生存5秒君をカバン系と組み合わせるの忘れてた……。ん~どうせ来週2体また狩るし、それに全部同じバッグだと面白くないし? 他のバッグも作れないか試してみたいな~。じゃあこの平均5秒君は、まずは一発この杖に使ってみよう!!


「ちょっと一回、これで作ってみます」

『呪物化ですか。実は生で見るのは初めてです』

「別に面白いものでもないですよ……? じゃあ……捧げよ!」

『ほ~う……』


 カヨコさんが見てるとなんか緊張しちゃう! 変なの出来ませんように!!


『★紫水晶の杖が呪われました!』

『★紫水晶の杖が変質しました!』

『★★不死者の杖になり、更に変質します!』

『★★★魔王の杖になり、更にイレギュラー化が発生します!!!』

『◆スタッフ・オブ・バビロンになり、更に――』

「あああーーーー!!!」

『◆スタッフ・オブ・バビロンを取り上げ、更なるイレギュラーを阻害しました!』

『◆スタッフ・オブ・バビロンが完成しました! おめでとうございます!』

「あ!!!???」

『あら、途中でやめて取り出す事も出来るのですか。狙いのものが一発で出来てしまいましたね』

「え、これ途中でやめて取り出す事が出来るんですか!?」

『…………え?』


 え、嘘! これ以上変化して欲しくないからって左手を呪いのドロドロの中にズボッと突っ込んで勢い任せに取り出したら、更にイレギュラー化しないように止められたんだけど! えーー嘘おぉーーん!!!


「出来るみたいです!」

『……今、何も考えなしに手を入れたのですか?』

「はい!」

『チャレンジ精神が豊富なのは、大変素晴らしいことだと、思います。ええ……ですが、良いものが見れました。ありがとうございます』

「こちらこそありがとうございます!!」

『……どう、いたしまして?』

「はいっ!」


 まあ何はともあれ、超ラッキー!!! 一発で狙いのアイテムが出来ちゃった~! わあ~……能力は何一つ変わりない! 不慮の事故で落としたりしないように、パクパクバッグに収納しておこう!


『……可愛らしいバッグですね』

「こう見えて神器クラスのアイテムなんですよ~っ」

『ほう、なかなか……。独自の異次元空間を持っているのですか。私は異次元空間を収納道具に付与するのは得意ですが、このように小さいものへ大変巨大な空間を与えるのは並大抵では――――あ、到着しましたよ』

「お? おおお~~……」


 あーだこーだ話してる内に、着いちゃった……。この向こう側が見えないワープゲートみたいな大きな門が、古代の記憶ダンジョンか~……。あ、門の前にポータルがあるや。あれが入り口かな?


「これみたいですね。ちょっと踏んでみます、あ! 光った!」

『活性化したようですね』


 お、光った光った。ペルちゃんは名前しかわからなかった、ポータルが光らなかったって言ってたから、これはやっぱり条件開放式っぽいね~。ど~れどれ~??



【古代の記憶・天空魔術師(アカシックマジック)】(推奨レベル:不明)

・入場条件:森のめぐみダンジョンを表・裏いずれかでクリア

・入場条件:神通力・超越系のいずれかを所持

・最大8人までパーティ入場可能

・ペナルティ:参加人数によって相手のHPが調整されます

・ペナルティ:ダンジョン入場時全ての状態が解除されます

・ペナルティ:ダンジョン内での制限人数を超過する召喚系スキルは使用不可



 ああ~……。なるほど、そもそもが森のめぐみをクリアしてないとダメなのね。そしてこの感じは、ケイレに時間5秒君を封印した何者かと戦闘する感じかな~……? そんな感じだよね~。


『私は読み取ることは出来ますが、入るのは拒まれているように感じますね』

「森のめぐみって、あの神樹の下にあったダンジョンをクリアしないとダメみたいです。神樹を切り倒して出てくる、え~~っと……あ、こいつこいつ。虚空なるもの(ヴィオダ)を倒すか、表クリアって書いてあるから~~……? 最終日まで耐えなきゃダメみたいですね」

『そうでしたか。では私はここに今は用事がありませんね……。わかりました、戻りましょうか』

「は~い」


 内容が確認出来たから、とりあえず帰ろうっか~って! 結構時間が……もう0時をとっくに超えてる! もう寝なきゃ~。


『…………ところで、神樹を切り倒し……なんですって?』

「ダンジョン内の神樹を切り倒しました! パラレルワールドでしたし、神木が沢山欲しかったので! そしたらなんか出てきたのでやっつけました!」

『ひょっとして、さっきの死体は……』

「そうです! アイツがそれです!」

『…………はあ。本人が聞いたら、もっと昔にリンネさんが居てくれたらと言うでしょうね』

「え? どういうことです?」

『いいえ、なんでも。答えはこのダンジョンにあることでしょう……さ、戻りますよ。掴まっていて下さいね』

「え――――」


 あ――――抱っこされ……は、や――空ッ!!!??? ラージウスが、飛んだら平衡感覚を失って、落ちるって……落ちない!!! ひゃあああああああああああーーーー!!! 速いいいい!!!!!! ぎょわああああああああ~~~!!!



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