253 対策
◆ 加賀利・城下町 ◆
「だーめだ、弾切れだぜ! 相手しきれねえ!」
「シュタークさん、俺から離れるな! 死ぬとデスペナ重いぜ!」
「悪いなハッゲの旦那!」
『シルダ・ゲグ・ナウダス!! ガァアアアアアア!!!!!』
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が【デッドリーポイズンブレス】を吐き出しました!』
「ああああ~~~これヤバい、みんな下がって~~!!!!」
いーーーや、こいつ強すぎだからね? 殴っても斬っても突いても焼いても凍らせても、とにかく何しても駄目なんだけど?! しかもこのクソブレス、僕以外毒耐性ないから即超毒か致死毒になって状態異常を回復しないとモリモリHPが減るし。もう何分戦ってんのよコイツと! もってぃ達の応援に来たのに全然応援になってないじゃん!
『完全毒耐性により【デッドリーポイズンブレス】を無効化しました』
『しまっ……く、くるし……!』
『加賀利の戦士・ソヨノが【超毒】【麻痺】【恐慌】【致命的出血】【徐々に石化】状態になりました』
「だぁ~!! 僕と零姫ちゃん以外撤退!! この子お願い!!!」
「すまねえ!」
「撤退する!」
逃げ切れなかった人を範囲外に担ぎ出してる内にコイツがまた動いて、攻撃される度に誰かが巻き込まれてまた救助みたいな最悪の流れよ! 僕も職ポイント復活する度に爆弾生成して投げつけてるけど、本当に足止めぐらいにしかならないんだよねぇ!!
『だぁあああああああーーーっっ!!!』
『零姫が【火の大太刀・紅蓮日輪】を発動、Weak!!! クリティカル! リビルドスカルドラゴン(Lv,????)に14,556Kダメージを与えました』
『シルダシルダ!! ガァアアア!!!』
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が【リビルドボディー】を発動、HPが完全に回復しました』
これだよ~~!! もっと大掛かりな方法でHP回復するとかするならまだわかるんだけど、ダメージ受けた途端に回復してるんだもん。無理ゲー過ぎるってこんな――――。
『正体不明の存在が【Unknown】を発動、小規模な破壊空間が展開されます!』
『ドルタ・メッガ!!!??』
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が66,805Kダメージを受け、体の一部が消滅しました』
『ガァアアアアアアアア!!!!!!!!?????』
『なんじゃ、今の攻撃は!? なにかわからぬが、効いておるぞ!!!』
何、今の真っ黒い球体攻撃!? 空間に突然穴が空いたみたいな、あいつの尻尾と左足が飲み込まれて消えた!?
「さすが◆◆◆◆・◆◆◆、巨大なパワーで、消し飛ぶに弱いですね。だいたいわかりました」
『誰じゃ!? おお!? 先程の!』
「◆◆◆、◆◆◆。自己紹介は、後にします。後で頭を撫でさせる、ください」
『助太刀してくれるのか!』
だ、誰!? 先程の~って、零姫ちゃん知ってるみたいだけど……。というか今の一撃を撃ち込んだのこの子? 誰だかわからないけど――――ええい、援軍ならこの際誰でも良いよ! こいつを倒せるチャンスだ~!
『◆◆◆◆◆・◆◆が【◆◆◆◆◆】を発動、正体不明の強化バフ状態になりました』
「美味しくないに見えます。処理開始」
『サレナ・ギレヌ・レディアス――――』
『◆◆◆◆◆・◆◆が【◆◆・◆◆】を発動、特効! クリティカル! リビルドスカルドラゴン(Lv,????)に44,650Kダメージを与え、体の一部を消滅させました』
『ギャァアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!!!!』
「つ……よぉ……」
『な、え、あ……? なな、なんじゃそれは……』
「とてもうるさい、臭いです」
『◆◆◆◆◆・◆◆が【◆◆・◆◆】を発動、特効! クリティカル! リビルドスカルドラゴン(Lv,????)の首を刎ねました! 頭部を消滅させました』
「ふぅ~~」
『た、倒しよった……!!』
「ええ~……」
共闘かな~ってね、うん、思ったんですけど。どうやらこれはあれだね、時間になったから倒しに来てくれるNPCが到着した系のイベントみたいな感じかな? そうだよね? そうだね、きっとそう。こんなに苦戦してたのがあっという間に倒せるんだもん、イベント戦だったか~~……!!
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が【コープスコレクター】と【リビルドボディー】を発動、周囲の死体を掻き集め体を再構築、HPが完全に回復しました』
「ん? あわわわ、◆◆◆と同じ性質。これは、復活しないになるまで戦う」
『首を刎ねたのじゃぞ?! まだ倒せていないのか!?』
「え?」
え、これまだ倒せてないの――――動く!? 胴体だけになってもまだ動く!! なーにこれ、しぶとすぎるでしょ!!
『シルダ・ゲグ・ナウダス!! ガァアアア!!!』
『リビルドスカルドラゴン(Lv,????)が【デッドリーポイズンブレス】を吐き出しました!』
『ええいまたこれか!! 馬鹿の一つ覚えじゃが、驚くほどに効果的じゃ!!』
「あ!! これは当たるとヤバいよ、下がって!!!」
「ヤバい? ヤバい、ヤバい? 今調べます……」
ちょ――!? え、この子カタコトで喋ってると思ったけど、まさかその本って……辞書か何かなのぉ!? この状況下で、ヤバいって言葉について調べてらっしゃるのそれ~!? 嘘でしょ!?
「ありません、困りました。リンネさん、後で聞きます」
『◆◆◆◆◆・◆◆が【◆◆・◆◆】を発動、【◆◆◆◆】状態になりました』
「は!?」
なんかバリアみたいなの出したけど、それで大丈夫なの!? 助っ人なのにサクッと退場されたら困るよ!? というか既にリンネちゃんはこの子と面識があるのぉ!? なんでぇ!?
『◆◆◆◆◆・◆◆が完全耐性により【デッドリーポイズンブレス】を無効化しました』
『完全毒耐性により【デッドリーポイズンブレス】を無効化しました』
「あわわわ。これは耐性なし、とても無理です。相談です、茶色の髪の毛にお耳が◆◆◆さん。リンネさん、死んでいるを集めるに困っています。集めて? 向こうに集めるしてください」
「え? リンネちゃん?! よくわからないけど、わかった!」
「白い髪の毛にお耳が◆◆◆さん、一緒に足止めしましょう。何回でも復活、大変ですが限られている」
『何か策があるのじゃな! わかった、足止めするぞっ!』
「後で頭を撫でます」
『は? え?』
死んでいるを集めるに困っているって、向こう……あああああ、リンネちゃんがこっそり隅っこのほうでなんかやってるっぽいわーー!!! あれは、死体? そうか、回復に死体が必要だから、その回復源を潰して回ってるのね!?
『【貸出死体安置所・1】に【実験体A-14】を納棺しました』
『【貸出死体安置所・2】に【実験体B-20】を納棺しました』
『【貸出死体安置所・3】に【実験体A-18】を納棺しました』
真覚醒して死体安置所の貸出が3個になって多くなって便利になったなーって思ってたけど、今確信したね。3個じゃ少ないよ~!! こういう急ぎの時に3個はね、本気で足りない!! 死体の重量を無視してインベントリに格納出来る神収納アイテムだからこそ、もっと数が欲しくなっちゃうんだよね……居た、リンネちゃ~~ん!!
「リンネちゃ~~ん!!!」
「あ! すみません声も掛けられなくて――捧げよ!」
『リンネが【アニメイト・フェティッシュ】を発動、【実験体A-22】・【★カルサスの曲刀】・【呪いのコイン】を捧げ、呪物の作成に成功しました』
「ぶりにゃ~たっくる!! いけいけ~!」
『オーレリアが【禍津・氷撃猫祭】を発動、Weak!!! 実験体C-31(Lv,????)に合計14,550Kダメージを与え、撃破しました』
うわ、この状態じゃ流石にこっちに来られないか……。あれ、さっきハッゲとかシュタークさんとかエリスがこっちに逃げてきたはずだけど? 盾なろ君とかも……会ってないのかな?
「お~い、集めてきたぜ~!!」
「ついでにまだピンピンしてる敵もかなり集めてきちまったぜ!! はっはっは!!」
「笑ってる場合じゃないよ~~これだけの量のトレインはヤバいよ~~」
「うおーーーすまねーーー!!!」
『恩寵を……』
『救済せよ、救済せよ……』
『受け入れよ……受け入れよ……』
ああ、もう手伝ってたのね……。いやこれは手伝ってるっていうか、ピンピンしてる実験体を引っ張ってきてリンネちゃんの邪魔してない!? イカンでしょ~~!!
「……今だ、がーちゃん! レオっさん!」
『グァアアアアアーーーーッッ!!!」
『ガリウス男爵(Lv,105)が【ダックラスターボム】を発動、魔法のアヒル型爆弾が降り注ぎます!』
『ぬんっっ!!!』
『モフリー王(Lv,106)が【レッドカーペット】を発動、火の絨毯が広がります!』
「フォレスーー!!」
『フォレス子爵(Lv,102)が【プロテクションウォール】を発動、光の障壁が生成されました』
『もってぃが【効果範囲縮小】を発動、【プロテクションウォール】が縮小します』
おお……?! これは……??? プロテクションウォールで、相手を囲んでる……!? これは、まさか!!?
『起爆! 複数の対象が平均1,104Kダメージを受けました』
『連鎖爆発! 複数の対象が平均1,520Kダメージを受けました』
『連鎖爆発――――』
「ふぅ~~~良かった~成功した~」
『グァァアアーーー!!』
『いやはや、この圧縮連鎖爆発空間は、驚くほどに効果的であるなぁ……』
『ワオーン!!』
「いや~すっご~……」
「完璧じゃねえか、大成功だぜ!」
クラスターボムと炎の床を敵ごと壁で囲んで、それを効果範囲縮小でギュッと圧縮しての超連鎖爆発攻撃……! ひとつひとつの威力はそこまで大きくないけど、これが全弾命中……それも炎の床で焼かれながらとなればその威力は絶大! 凄いなぁ、こんなコンビネーションスキルもアリなのか、テイマーは……。
「師匠! 言われた通りやってみたら、成功しましたよ!」
「ん、完璧ですね」
「はいっ! 師匠!!」
「師匠はちょっと……。あ、大きいのがこっちに来てますから、強敵用のアイアンメイデンも練習しておいてください」
「はい、師匠!!!」
『グワッ!!』
『師匠考案の連携攻撃、他のもモノにせねばならぬな!』
『ワウンッ!!』
え、これリンネちゃん考案なの……? というかもってぃ、もうリンネちゃん呼びじゃなくて師匠呼びになってるし。あれ、君って天下一の初戦…………うん、頑張って師匠を超えるんだよ……。
「リビルドスカルドラゴンは死体を吸収し続けて再構築しますから、アレに吸収される前にこちらで死体を消費してしまえば奴は再構築出来なくなります。ゼオちゃんが相手をしてくれている間に、周囲の死体を処理してしまいましょう!」
「あ、うん、わ、わかった!」
いけない、ボーッとしてないで僕もちゃんと動かないと! 色々と聞きたいことはあるけど、とりあえず全部後ね! 今はリビルドスカルドラゴンの再構築対策を急がないとね!!