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246 呪物

◆ 加賀利城 ◆


「ダメだな、テレポータルを設置してもこのマナの嵐では変なところに飛ばされてしまうぞ」

「やっぱ無理~? 無理か~……」

「わ、わっちが、奇襲しかけて、来ますか……?」

『やめたほうがよろしいかと。先程東門での活躍をこの目で見ましたが、あの程度ならばぽこんこは容易に防ぎます』

「え、そ、そんなに、強いの……」

「とんでもなく強いと思う。さっき対峙したけど、私達だけじゃ刺し違えるのも厳しいレベルだったと思うよ」

「そんなに強いんですの!?」

「強いんですの」

「まぁ!」


 加賀利城に戻ってきて現状確認、戦死者は奇跡的に居ないけどもモンスターが中に攻め込んできた影響で城の修復が必要な状態。城下町制圧部隊のもふもふキングダムの皆も『思ったよりモンスターが強くて捗らない』って言ってたし、防衛圧勝って表示は出たけど後がないみたいな状態。ただ、この状態でぽこんこが攻め込んでこないところを見るに、向こうも攻め込みきれない状態にはなったんだと思う。


「ん~っと、向こうはホウエンと死灰丸が撤退まで追い込まれて多分回復中? 明後日の夜まで来ないってぽこんこが言ってたけど、本当なのかは不明と。向こうでピンピンしてるのがぽこんこと、デロナか~」

『ホウエンは不老不死だが、深く傷つけば治るのには時間を要するのは我々と変わらない。あの傷では二日以上掛かるだろう、明後日の夜となれば相当に無理をして出てくるはずだ』

『死灰丸はちょっと頭良くなってた! 速くもなってたし、力も強い! でもあそこまでギッタンギッタンにしたから、暫く動けない!』

『ぽこんこが自由なのが困りますね。アレは狡猾な狸ですから、秘密裏に何かを進めることでしょう』

『デロナが死体の回収に来ないよう、龍骨平原の躯は全てこちらで回収したぞ』

「あ! ありがとうございます!」


 お、危なかった……。デロナが死体を回収して混沌兵を量産する可能性があったのを見落としてた……。龍骨平原の躯っていうと、炎狼族のしかないと思うけど~……お? この装備が立派な奴は?


「あ、そ、それ、わっちが真っ先にアクアバーストブレスをぶつけた奴、ですね……」

「それが向こうの副長だったらしい。逃げるところを後ろから撃ち抜いたんだ」

「おおお~~~。これが炎狼族の副長、斬左丸とかいう……。この死体どうしようっか、つくねちゃん何か装備作る?」

「え゛!?」


 これ副長の斬左丸とか言うやつの死体か~。この戦、死体12時間は残ってるから回収さえ出来ればこういうのが出来るのが強みだよね。多分なんだけど、本当は新しく出来るようになったアイテムクラフターとかそういうクラフト系の職のプレイヤーが揃って作るタイプのやつなんだろうけど、今は私しか居ないからなあ~……。


『この牛頭鬼もなんか使えるか?』

「お……。こんなのも攻め込んできてたんですか……油断も隙もない……」

『異国の姫君がぶっ倒したんだ。とんでもねえ力押しだった』

「ペルちゃん……」

「わたくしはこの前貰ったばかりですし、他の人がいいですわね!」

「え? そう? う~ん……」


 牛頭鬼、こんなデカい牛頭の巨人も攻め込んできてたんだ。これもなんか良いもの出来上がりそうだし、う~ん……。


「じゃあ、千代ちゃんパパの武器を作ってやったらどうだ? 実はないらしいぜ」

『あ~……。大剣はな、ハゲ殿が海を超えて世代を超えて受け継いだみたいだがな、槌は行方不明なんだ……』

「あ」

『ん? 千代、今何か?』

「いえ、なんでも」


 …………千代ちゃん、絶対パパの大槌どっかにやったか壊したかしたでしょ今の反応。ママは事情を察してくすくす笑ってるし。これは、牛頭鬼と槌を合わせて作ろうか。それがいいね。


「じゃあ、これは大槌で。誰かレジェ以下で要らない両手槌あります?」

「ワイが持っとるで。倉庫倉庫~……これでええか?」

『レイジから【★ぎがんてぃっくすきれっと】を受け取りました』

「あ!! これ懐かしい!!」

「お、それかあ」

「せやろ? ええなと思って」

『それ、そのまま欲しいんだが、駄目か……?』

「…………もう一個あるで」

『おおおおおお!!!!!』


 うわぁ~懐かしい、これハッゲさんに昔プレゼントしたやつな気がする! そのまま欲しいのは、料理で使いたいんですね……わかります。良かったですねレイジさんが二つ持ってて。それじゃあ、これを使って呪物化してみましょうか!


「じゃ、行きます……捧げよ!」

『★ぎがんてぃっくすきれっとが呪われました!』

『★ぎがんてぃっくすきれっとが変質しました!』

『★★テライパーンになり、更にイレギュラー化します!!!』


 ――――あ。


『◆ペタペタミートハンマーが呪物化しました!』

『◆ペタペタミートハンマーが完成しました! おめでとうございます!』

「は、はぇ……! やっちゃった……!!」

「…………全然フライパンから離れた形になったけど?」

「これ、イレギュラー化です……。たまにあるんです、たまに……」


 この島に来てから暫く出てないなーって思ってたら、出ちゃったァ……。うわぁ、テラの上だからペタで、ペタペタして使ってねってのと掛けてペタペタミートハンマーかぁ……。ペタペタの前に、ペッタンコになるよこれ。しかも打撃時に剣山みたいなのが出てきてぐっちゃぁ!!! ってなるギミック武器じゃん。うひゃーーーー絶対当たりたくない、穴だらけになるよ!


「はい……」

『剛烈に【◆ペタペタミートハンマー】を渡しました』

『はいって、す、凄まじい見た目だな……』

「おお、そいつはミートハンマーだな。肉を焼く時とかに使って肉を柔らかくするんだ」

『生身の相手に使う物かこれが……!?』

「ん~……。普通は生身の相手には使わないだろうな。うん。だが武器として作られたんだ、武器なんだろうな」

『武器』

『あなたにピッタリでございますね』

『どこが!?』

『…………厳つい、見た目が』

『それで龍の肉も柔らかくなるかもしれんのう~』

「はっはっは!」


 うん、いいことにしよう。いいことにした。じゃあこれは、どうしようかなぁ……。斬左丸……。


「これ、当たり障りない鎧とかにしちゃいますか……?」

『おお~それがよいかもしれんのう~』

「お、いいんじゃな~い?」

「それじゃあこれ、鎧にしようと思うんですけど、これがいいよって意見のある方~……?」


 …………鎧か。鎧でいいか~。それじゃあ――。


「あ、じゃあ僕が前に使ってたこれをあげるよ~」

「え? え!? 良いんですか?」

「うんうん~使っちゃって~。今暗殺者一式で揃えてるから、使えないんだ~」

『お昼寝大好きから【★ドラゴンボーンアーマー+10】を受け取りました』

「お、おお……じゃあ、使います!」

「うん~使って使って~。ごーごー!」


 おお~……。これ、レーナちゃんが撃ち落としたリトルレッドドラゴンだかなんだかの宝箱から出た報酬、だったっけ? 私が始める前から存在する先輩装備だよ~! 思い切りがいいなぁ~……。あ! 強化品を呪うのっておにーちゃんを除いて初めてかも! 何か変化あったりして。やってみよ!


「捧げよ!」

『★ドラゴンボーンアーマー+10が呪われました!』

『★ドラゴンボーンアーマー+10が変質しました!』

『★★ドラゴンアーマー+10になり、更に変質します!』

『★★★ファイアドラゴンアーマー+10になり、強化ボーナスによりイレギュラー率上昇! イレギュラー化が発生します!!!』


 ――――あ。やっぱり強化でイレギュラー化あるわ!! やば、どこまで行く? どこまで行くのこれ?


『◆炎龍女帝になり、更にイレギュラー化が発生します!』

『◆◆真・炎龍女帝が呪物化! 完成しました! おめでとうございます!』

「あわわわわ……」

『なかなか凄まじいのが出来たのう。軽く、丈夫で、靭やかじゃ~。凄いのう~!』

「わ~凄いのになったねぇ~。性能は?」

「え、えっと……?」


 せ、性能? 性能ですか? ええっと……??


【◆◆真・炎龍女帝】(将器・スーパーシークレット・全身鎧・空きスロット無し【●】)

・【呪】装備するには【魔界侵食値】+900以上が必要

・【呪】装備するには【真覚醒】が必要

・【呪】装備するには【龍属性】が必要

・【呪】装備するには【炎龍女帝の許可】が必要

・アップグレード可能【超越】――必要材料別記

・この装備を着用時、真覚醒スキル【ギガインフェルノブレス】使用可能

・特殊能力【龍特効無効】獲得

・特殊能力【水属性無効】獲得

・スキル【破壊王】使用可能

・スキル【巨大化】獲得

・スキル【ド根性】獲得

・低確率で射撃攻撃が当たる前に燃え尽き無効になる

・飛翔のコストがなくなり、高速飛翔が可能になる

・全ての攻撃力+Lv/2% (物理・魔術・属性・クリティカル)

・ダメージカット率50%

・反射されない

・装備保護状態

・反動のあるスキルの効果を特大軽減

・【◆◆真・炎龍女帝ドレイクカード】良性状態が外的要因で解除されない

 ――――我が真の力を秘めし鎧、貴様に扱い切れるとでも? by真・炎龍女帝ドレイク

 強化可能・装備許可【――】・装備重量45.0kg



「あ、これつくねちゃんだ。つくねちゃんだね」

「え、え、え、な、なんですか? わ、わっち?」

「あ~。つくねちゃんだな!」

「つくねちゃんやな、これなぁ」

「つくねちゃんのだ~」

「ですわね! 間違いありませんわ!」

「うわ~何ここ、なんかここから読めないんだけど~」

「ほんまやな、アプグレ可能の括弧書きの先読めへんな」

「装備するまで性能わからないやーつ。でも装備条件はどう見てもつくねちゃんのやーつ」

「え? え? え?」

「はい、つくねちゃん」

「はえ、ほえ、ひえ……!?」

『ぎゅあ~~~』

「受け取れって、こ、こんな、凄いのを……?」


 これは完全につくねちゃん用の装備だわ。というか龍騎士系やってる人用の、かな。え? 皆このアプグレ可能から先読めないの? ああ、私超越してるから読み放題ってこと……? それか制作者だから読める? いずれにせよ、ケロッと口走らなくてよかった~。運営に超越のことは内緒にしてねって言われてるもんね。


「たまたま出来ちゃっただけだし、誰も反対しなかったし。条件的につくねちゃんだけだから」

「今はちょっとでも誰か強くならんとキツイでこれ」

「そ~そ~。受け取っちゃいなよ~」

「はい、どうぞ」

「え、は、あの、ありがと、う……ごじゃましゅ……」

『つくねに【◆◆真・炎龍女帝】を渡しました』


 よし、これで大物の処理は終わりだね。それじゃあ……。後はこの大量のモンスターと炎狼族と黒死天狗族の処理か~……。0時までには終わりたい、お願い終わらせて。


「よし! じゃあ大物分配終わったので! 死体とそこらへんの武具掻き集めて持ってきてください! ここからはスピード勝負の流れ作業で行きますよ! 一個一個見てられないですから!」

「でしたら、わたくしは出来上がった装備の仕分けをしますわ!」

「僕もやるよ~。物理さんに魔術武器渡ったら大惨事だし~」

「俺達はアレを持ってくるか。レイジ行くぞ」

「ワイも死体運搬やるんかいな!? ワイも装備見たいんやけど!」

「レイジは眺める癖あるからだ~め~。エリスちゃんは、武器と防具あつめてきま~す」

『俺も手伝おう』

『では、参りましょう』

『一応監視を続けても?』

「メイナさんは監視で!」

『若いのが頑張っていて嬉しいのう~。どれ、お茶でも……およ?』

『零姫様も、武具を集めましょうね。お茶は後です』

『むぅ~~……。そうじゃな、儂が見本を見せねば示しがつかぬか、やるかのぅ~……』


 よし、せっせとせっせと進めよう……。日を超えるまでまではやりたくない、今日は疲れたから寝たいの……! ん~~~山のようにあるねえ!? 終わるかなぁ!? 終わってください! ボヤいてても終わらないからやります!!!


「――――捧げよ!」



我、三回行動の民。日曜日の分まで投稿する者なり……。

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